週間情報通信ニュースインデックスno.681   2008/11/15

1. 「バカの壁」はあなた自身です(11.14 nikkeibp)
養老孟司

現代人にとって、障害となる「壁」は、あなたの外にあるのではありません。実は、あなた自身が壁なのです。

あらゆる情報は、「しょせん済んでしまったこと」

 なぜか。それは現代人が、未来を見ているつもりで、過去しか見ていないからです。
 インターネットの発達で、現代人は飛躍的にたくさんの「情報」を手に入れることができるようになりました。こうした「情報」をたくさん集めて何に使うの かというと、「新しいこと」を生むためです。あるいは「未来」を予測して、失敗しないようにするためです。

 けれども考えてみてください。 いくらたくさん「情報」を集めようと、それはすべて「過去の積み重ね」「済んでしまったこと」にすぎません。それ だけを眺めていても、未来に起きることを見越したり、新しいことを発見したりすることはできないのです。

 いま、流行の言葉に「危機管理」、英語でいうと「リスクマネジメント」というのがありますね。よく考えてみると変ではないですか? そもそも「管 理」できるのであれば、それは本質的な「危機」ではありません。いまの段階で「管理」できないからこそ、「危機」のはずなのです。

 情報化の象徴のような金融の世界、しかもその先端を行くアメリカの金融業界でリーマン・ブラザーズが破綻し、保険会社のアメリカン・インターナ ショナル・グループ(AIG)が国の管理下に入ったのがいい例ではないですか。あそこで働いていたみなさんは、情報集めのプロばかりでしょう。

 なのにつぶれた。それも突発的に。危機を管理できなかったわけです。いかに過去の情報から未来など予測できないか、というまさに証明です。 私か らすると、現代人は未来を見据えて歩いているつもりでいて、実は後ろ向きに「情報」という名の過去ばかりを見ながら歩いているように見えてなりません。

 いくら豊富な情報があろうと、それは過去にすぎません。本当に未来を見据えたければ、まず、前を見なければダメです。 では、前を見れば、未来が 見通せるのか? 見通せるはずはありません。人間は神様ではないのですから。格言通り、常に「お先は真っ暗」なのです。

 じゃあどうすればいいのでしょう? そこで今や死語になった言葉があります。「覚悟」すればいいのです。どんなことがあっても「覚悟しておけば」 どうということはありません。その都度対処すればいいのです。

 と、ここまで書けばおわかりでしょう。 情報をたくさんかき集めて未来を見据えているつもりで、後ろを向いたまま歩いている自分。これがあなた自 身の「壁」なのです。

 この「壁」を越えたければ、まず足元から前を見て歩く。それが最初の一歩です。そうやって「覚悟」を決め、己の体と己の智慧を振り絞って生きてい けば、実は未来はちっとも「真っ暗」ではありません。ちゃんと「明るい未来」が見えてくるのです。(談)

2.オバマ現象に活気づく中国網民(ネット市民)(11.14  nikkeibp)
 バラク・オバマが次期アメリカ大統領に就任することが決まった。その選挙戦の過程と結果に対して、思わぬ賛辞を送っている者たちがいる。それはネット言 論を通して中国の世論を動かしている中国の網民(ネット市民)たちだ。

 2008年7月のCNNIC(中国インターネット情報センター)統計によれば、中国のネット人口は2.53億に達し、アメリカを追い越して世界一 に上りつめた。しかも前年度成長率が56.2%というから、勢いは止まりそうにない。

 その網民たちが注目したのは、オバマが選挙資金を集めるにあたり、インターネットを駆使したことと、オバマが平民から立ち上がり、大資本家といっ たバックボーンなしに不特定の大衆に呼びかけて、草の根運動的に成功への道を歩んでいったことである。

 ネットを通した資金集めは、5ドル10ドルといった僅かな金額の積み重ねにより、1年間で2億ドルにも達し、ヒラリーやマケインの資金を遥かに凌 いでいった。そしてネットを通して発せられた彼のメッセージは多くの国民を惹きつけ、ボランティアとしての活動に導いていったことを、中国の網民たちは 「ネット上で展開された“人民戦争”」と位置付けているのである。

 これはインターネットの勝利であり、ここにこそ、真の民主主義があると、網民たちの文字は熱く燃えている。

3.日本通信の中間決算は赤字が拡大,3Gの新規契約 数は2万6688回線(11.13 nikkeibp)
 日本通信は2008年11月13日,2009年3月期の連結中間決算を発表した。上期(2008年4月〜9月)の売上高は対前年同期比20.9%増の 22億500万円だったが,営業損益は7億3300万円の赤字だった。損失額は第1四半期の2億7000万円から大幅に拡大した。

 同社はNTTドコモとのレイヤー3接続に基づき,2008年8月7日から3Gのデータ通信サービスを開始。9月末までに2万6688回線の新規契約を獲 得し,日本通信単体の売上高は第1四半期に比べて145%増加した。それにもかかわらず営業損失が拡大したのは,第2四半期決算から会計処理方法を見直し たため。

 日本通信はデータ通信端末と一定時間の通信利用権をパッケージ化して販売している。このため従来は売り上げを通信端末と通信料に区分して,通信端 末は販売時に一括,通信料は利用期間に案分して,それぞれ売上計上していた(未利用期間の通信料は前受収益として負債計上)。

 しかし,NTTドコモとの相互接続で実現した新商品は,従来のように通信端末と通信料に分けて計上するのが難しいという。日本通信のようにSIM フリーで通信端末だけを販売したり,利用時間で課金したりする事例がなく,売り上げとして計上すべき「公正な市場価格」を導き出しにくいとする。

 このため,新商品と機器組み込み型ソリューションについては,通信端末と通信料を区分せずに販売時に一括して売上計上することにした。ただし,売 上高から通信端末の売上原価を控除して算出した売上総利益を利用期間にわたって計上する。今回は「通信サービス繰延利益額」として7億5900万円を第3 四半期以降に繰り延べた。「仮に利益を繰り延べなかったとすると,第2四半期の営業損益は単体で9700万円,連結で400万円の黒字だった」(同社)と する。

 今回,会計処理方法を変更したため,4月21日に公表した通期予想はいったん取り下げ,改めて公表することにした。

4.「iPhone 3G」がインドで苦戦している理由(11.14 nikkeibp)
 インドには巨大な携帯電話市場があるが,現地の人たちによるとAppleの「iPhone」はまだほとんど浸透していないという。

 Appleが「iPhone 3G」でインドに進出してからの数カ月を分析した結果,そう結論している。アナリストの推定によると,9月の進出以 来,iPhoneはインドで1万1000台ほどしか売れていない。これはおそらく,サンフランシスコのダウンタウンにあるApple Storeなら,1週間ほどで売れてしまう台数だ。

 AppleもインドでiPhoneが大評判になるとは思っていなかったらしく,この記事によると,インド市場には5万台しか割り当てなかったとい う。インドでは毎年1億2000万台の携帯電話が売れ,そのうち600万台程度がスマートフォンタイプのものだ。この市場の60〜70%をNokiaが占 めているという。

 iPhoneのインドデビューが盛り上がりに欠けたことには,いくつかの理由がある。価格,宣伝,そして流通だ。この記事の執筆者たちが注目して いるのは,インドのモバイル機器市場には世界の大部分で採用されたキャリアによる補助金というモデルがなく,その結果,世界価格の199ドル(9500ル ピー)が発表されて一部が期待したよりも,はるかに高い値段でiPhoneが売られていることだ。しかし,価格が販売不振の主因というわけではないよう だ。というのも,iPhoneと競合する携帯電話も8GバイトタイプiPhoneの価格である3万ルピーと同じくらいの価格で販売されているからだ。た だ,安い世界価格で購入できると考えた消費者が,それが自分たちには適用されなかったことに失望したのではという考え方も一部にはある。

 本当の理由は,Appleと,同社と提携した携帯電話事業者(Bharti AirtelとVodafone)とが,ほかの国ほど積極的にiPhoneを宣伝しなかったことにあるようだ。また記事によると,インドでの流通経路は複 雑に入り組んでおり,インドの多岐にわたる顧客に到達するために,いくつもの販売店が多様な戦略を採用しているという。

5.「クラウドの利点は革新の速度と経済性」、グーグルの企業向け事業責任者 が強調 (11.12 nikkeibp)
グーグルは2008年11月12日、エンタープライズ分野向けサービスのイベントを開催した。米本社で同事業を統括するデイブ・ジロード エンタープライズ部門担当社長(写真1)は、「クラウドコンピューティングには従来の情報システムにない数多くの利点がある」とアピール。聴衆であるIT 企業やユーザー企業の担当者に「グーグルの雲」に乗るよう呼びかけた。

 ジロード社長がクラウドコンピューティングの利点として挙げたのは、機能追加や改良の「スピード」、大規模インフラを活用した「経済性」だ。同社の企業 向けサービス「Google Apps」は、今年に入って53回の機能追加を実施した(写真2)。「従来の企業向けソフトは新版が出るまでに1年や2年といった時間がかかる。クラウド ならユーザーは1カ月単位で新機能を利用可能になる。バージョンアップ作業も不要だ」(同)。

 経済性については、大規模データセンターを基盤にした「規模の経済」によって1ユーザー当たり年額50ドル(日本では6000円)という価格を実現でき ていると強調した。例えばGmailでは、「ユーザー当たりのコストは一貫して下がっている」(ジロード社長)。Gmailの1ユーザー当たりの収益は、 2008年にユーザー1人当たりに費やすコストを上回ったという。

 企業として気になる信頼性はどうか。ジロード社長は第三者機関による調査結果を挙げ、「既存のメールソフトよりGmailの方が5倍も信頼性が高い」と アピールした。

 しかし今年8月には、メールサービス「Gmail」で大規模な障害を起こしている。ジロード社長はこの障害から「多くを学んだ」として、システム設計見 直しなどの対策を講じたと述べた。

 「みなさんとつきあうことで、我々も伸びていく。今はとにかくみなさんの信頼を得たい」。ジロード社長は最後にこう述べて、エンタープライズ分野への意 欲を示した。



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