週間情報通信ニュースインデックスno.665  2008/07/26

1.「野 茂」というブランドが日米で愛される理由(7.25 nikkeibp.jp)
 “悔いが残る”。そのひと言が野茂英雄選手の引退宣言を象徴している。私にはそう思えました。おそらく、多くの日本人がいちばん辞めてほしくないスポー ツ選手だったに違いありません。その証拠に、ほとんどすべてのマスメディアに大きく取り上げられていました。スポーツ紙では、星野ジャパン五輪代表選手決 定のニュースを押しのけて、すべて一面スクープ。衝撃の大きさを物語っています。

 野茂選手とは、一体、どんな人物なのでしょうか。
 記事のヘッドラインは、こんな感じです。
 「トルネード日米席巻」「侍メジャーのパイオニア」「トルネードが開いた道」「選手生命を延ばしてくれた」「ひとつの時代が終わった」「最後までスタイ ル貫き」「いまの自分は野茂さんのおかげ」「NO MORE NOMO」などなど。

 このヘッドラインは、単に野球選手のパフォーマンスだけをたたえてはいません。それ以上に、人間として、日本人として、先駆者としての野茂に惜しみない 拍手を送っているように思えます。

 日本では超一流の野球選手が、突然、大リーグ行きを宣言したのです。1994年、プロ野球選手として5年が過ぎた時でした。
 日本中がバッシングの嵐。「身勝手」「わがまま」「恩知らず」「もう日本では野球ができない」などのひどい言葉が、マスコミをにぎわせたのをいまでも覚 えています。

 当然、近鉄球団とは交渉が難航。日本では任意引退という厳しい宣告を受けたのです。いまでは当たり前になったポスティング制度は、この問題がきっかけで した。

 これからです、私が野茂選手を意識し始めたのは。そして、すぐに大ファンになってしまいました。1995年にドジャースに入団したその年、小学生の息子 を連れて、ドジャースタジアムへ行ったほどです。周りの米国人が、“NOMO”と叫んでいるのを聞いて、すごくうれしかった。本当に誇らしかったのです。 なぜ、私が野茂選手を好きになったのか。そこには間違いなく「ブランディング」の影がありました。

 ちょっとお考えになってみてください。海外で活躍している日本人を。ビジネスパーソン、学者、科学者、アーティスト、役者、スポーツ選手など。ほとんど が、日本人離れした性格の持ち主。明るい、主張ができる、コミュニケーションがうまい、固定観念に縛られないなど、グローバルな時代にマッチした日本人で す。

 一方、野茂選手はといえば、無表情、インタビューにも朴訥(ぼくとつ)、派手なパフォーマンスも見たことがない。ノーヒットノーランを達成した瞬間も右 手をギュッと握り締めるだけ。長い間、米国にいるのだから英語が出来るはずですが、英語でのインタビューも聞いたことがありません。

 この姿を見ていると、典型的な日本人像しか浮かばない。それなのに、米国では「ノモマニア」という言葉まで生まれ、当時の大統領、クリントン氏は「日本 の最高の輸出品」と称しました。

 私は、「野茂」というブランドが米国で再生を果たした、そう勝手に分析しています。

 「再生」。この言葉は通常、駄目になったもの、使えなくなったもの、人気のなくなったものを復活させるときに使いますが、野茂選手の場合は、一流を超一 流に、永遠の超一流にするための再生だったのではないかと思っています。

 あのまま、日本でプレーを続けていても超一流選手であり続けたに違いありません。しかし、野茂選手はその上のブランドを目指した。世界中のだれから見て も超一流。野茂選手はそれを見事に達成しました。しかも、「野茂らしい」やり方で。これが、「野茂」の差異化です。もちろん野茂選手自身は意図してはいな いでしょう。野茂選手は、ひたすら大好きな野球に打ち込んでいたのですから。彼流のやり方で。それがまた、素敵でした。

 以前にも書きましたが、ブランディングとは、「人(消費者)の中に“好き”という感情をつくるプロセス」にほかなりません。ですから、ブランドは人に置 き換えると分かりやすい。

 人に、特技、感情、個性、夢があるように、ブランドにもまったく同じものがあるのです。特技は、ブランドの機能的価値。感情は、ブランドの情緒的価値。 個性は、ブランドのパーソナリティ。そして夢は、ブランドの目指すべきゴールやビジョン。

 そう考えれば、ブランドはいわゆる商品だけではなく、人間、街、学校、農産物、商店街など、何にでもブランドがあるのが分かりやすくなります。また、ブ ランドを意識しなければ、ほかとの差異化が図れなくなり、カテゴリーに属するだけのものになってしまうのです。

 「野茂」というブランドをそういう観点で見てみると、その魅力が手に取るように分かってきます。では、「野茂」のブランド資産をまとめてみま しょう。

*機能的価値:トルネード投法とフォークボールで、強打者から三振を奪う

*情緒的価値:見ているだけで、魔法使いのような気分になる

*ブランド・パーソナリティ:無言実行、言い訳をしない、他人を批判しない、ひたむき、まっしぐら

*ブランドゴール:個性的な野球選手をひとりでも多く

2.またまた起きた東証の売買システム障害(7.23 nikkeibp.jp)
東証・鈴木義伯常務が語る「ソフトウエアにバグは付きもの」
7月22日に東京証券取引所で売買システムの障害が発生して、先物やオプション取引が午後まで中断した。東証の常務兼CIO(最高技術責任者)の鈴木義伯 氏は同日、記者会見を開き原因は「(19日からの)連休中に入れ替えたソフトウエアにバグがあった。事前のテストでは見抜けなかった」と説明したが、トラ ブルは今年2月と3月にも起きていた。「世界の資本市場を目指す」との掛け声は勇ましいが、現実にはエラーが続いている。

問 2月8日、3月10日と2カ月で2度もシステム障害が発生しました。2月8日の派生商品の売買システムの障害の原因は何だったのでしょうか。
答 本来はプログラムを作った時に潰しておくべき不具合が出てしまいました。システムエラーとしては、往々にしてありがちな内容です。バグをチェックする 試験は十分にやったんですが、それをすり抜けてしまいました。
 このシステムは今年の1月15日に動き出したばかりの新しいシステムです。約1カ月ぐらい動いて、そのシステムエラーが表面化したのです。

問 バグのチェックは十分だったのでしょうか。
答 2万ケース以上の試験をしましたから、私どもとしては十分にやったと考えています。しかし、今の技術では、プログラムの試験をいくらしても、ある一定 の確率でどうしてもバグが入ってしまうんです。
 障害が発生した後、また同様のバグがあるといけないので、改めてバグをチェックするプログラムを作成し、チェックを行いました。その結果、同じような問 題が3カ所見つかり、修正しました。ですから、同種の障害はもう発生しないと考えています。

問 この派生商品の売買システムは、当初は昨年10月に稼働予定でした。稼働が延期されたことと、今回の障害は関係あったのでしょうか。
答 延期したのは、ソフトベンダー(情報システム機器会社)からシステムを納入してもらった時、我々が想定していたよりもバグが多く、我々の検査に合格し なかったからです。そのため、再度ベンダー側に試験を依頼し、品質の向上を要求したわけです。
 今回のエラーは我々のバグのチェックを不幸にしてすり抜けてしまったからで、直接の関係はありません。

問 全てのバグをチェックすることは不可能なのでしょうか。
答 バグを調べる方法は2つあります。1つは、システムに実際に注文を入れて試験する方法。もう一つは、プログラムの書き方が正しいかどうかをチェックす るプログラムを作り、それで調べる方法です。

 実際に注文を入れる試験は何遍もやりました。でも、何回も問題なく動いているんです。我々からすれば、こんなところで障害が出るはずがないというところ で出ている。そこまで考えが及ばなかったわけです。非常に運がよければ見つかったのでしょうが。

 まあ、世の中で出ているバグは大抵そんなものですよ。テストをしないで稼働させるものなんて、まずありませんから。

問 ただ、東証のシステムというのは、社会的なインフラとして完璧さが求められます。
答 世間の皆さんがそういうふうに「大事だ、大事だ」と言ってくれるものですから、どんどん大事なシステムになってくるんですけど(笑)。
 新しいシステムを立ち上げると、一般的に半年で20〜100件ぐらいの不具合が出てくると言われています。それに対して、我々のシステムは20件くらい です。
 今回トラブルを起こした派生商品の売買システムも、稼働開始から約2カ月で、出ているバグは10件そこそこです。これからも、バグの数はそれほど増える とは思っていません。

 ですから、世の中の一般的なシステムと比べると、遜色があるということはなく、むしろ安定していて、いい方だと思います。
 もちろん、そうは言っても我々はより質を上げていくよう、やっぱり努力しなければいけないなと捉えています。

問 バグは2ヶ月で10件程度見つかったということですが、システム障害が今回の1件だけなのはなぜですか。
答 以前なら、1個でも不具合があると、システム全体を止めていました。しかし今は、バグが出ても、その障害を部分的な箇所で抑える仕掛けを取り入れてい るからです。

 今回のシステム障害でも、数多くある銘柄の中で、売買できなくなったのは1銘柄だけなんです。システム全体を止めるのではなく、1銘柄だけ止めるという 仕掛けが、ちゃんと機能しているということです。

 ただ、世間の皆さんの捉え方はどんどん厳しくなっている。1銘柄でも大変なことだと見られてしまいます。

問 続いて、3月10日には株式の売買システムで障害が発生しました。この原因は何なのでしょうか。
答 出した注文が処理できないために一旦取り下げ、再び注文する「リトライ」という現象が1秒間に100回を超え、システムがエラーと判断して、処理をス トップしてしまいました。

 コンピューターは、複数の処理を並行して処理しています。しかし、処理をするCPUは1個しかありません。一気に複数の処理が来るとぶつかってしまいま すから、ぶつからないように処理する順番を決め、いかにも並列に処理が進んでいるかのごとく制御しているんです。

 複数の人が同じ処理を要求すると、処理がぶつかってしまうので、両方とも処理が待機状態になることがあります。

 そこで、その状態を解消するために、どちらかが一旦処理の予約をキャンセルします。そうすれば、処理が進みますよね。そして一旦キャンセルした処理を再 び予約する。これがリトライです。そうして、めでたく両方とも処理が完成するわけです。

 ところが、今回の事例では、一旦キャンセルしてもう一度予約しようとしたのに、何かの拍子で別の人が同じ処理を申し込んでいた。相手の人は短時間で 500回も処理を申し込んでいたんですね。だからまた待たなきゃいけなくなった。こういったリトライが今回、連続して1秒間の間に100回も起きてしまっ たんです。

 我々は、100回もリトライすれば処理は成功すると思っていたわけです。だから、リトライの上限を100回と指定していた。今回、それを超えてしまった ので、システム異状があると判断して止めてしまったという事です。



3.コンビニの深夜営業自粛は百害あって一利なし(7.18  nikkeibp.jp)
経済アナリスト 森永 卓郎氏
 自治体がコンビニエンスストアに深夜営業の自粛を求める動きが広がっている。朝日新聞の調査によると、すでに埼玉県、東京都、神奈川県、長野県、愛知 県、京都市が規制を検討中で、今後検討予定の自治体も複数現われている。

 確かに、24時間、煌々と照明がついているコンビニは、エネルギ−の無駄遣いの象徴として映りやすい。全国に4万軒も存在するコンビニの深夜営業をやめ れば、さぞかし省エネに貢献することだろうと思っても不思議ではない。

 だが、コンビニの深夜営業自粛の動きは、いまとられている環境対策のもっとも悪い事例だとわたしは思う。なぜなら、どれだけ省エネになるかを議論にせ ず、単に目立つところをたたき、いかにも「やっています」というパフォーマンスを見せているに過ぎないからだ。

 地球温暖化防止に必要なことは、受け狙いのパフォーマンスではない。そういうことをするから、実質的な省エネ対策がおざなりになってしまう。目立ってい るところばかりを狙おうとして、目立たないことはしないというようになりがちなのである。

なぜコンビニが深夜に営業するようになったか。答えは明瞭だ。利用者のニーズがあったからである。夜中まで残業していても、おにぎりが食べられる。文房具 や電池が足りなくなってもすぐに買いに行ける。コンビニのおかげで、わたしたちの生活はとても豊かになった。もちろん、運輸や警備など、夜中に働いてわた したちの社会を支えている人たちにとっても助けとなる、非常に便利な存在である。

 コンビニに対する深夜営業の自粛要請というのは、その便利さを放棄せよという発想が根底にある。言い換えれば、わたしたちのライフスタイルを変えなさい というのが、自粛要請の本質なのだ。

 確かにそうした考えにも一理ある。ライフスタイルを昔に戻せば、省エネはらくらくクリアできるからだ。例えば、東京オリンピックの翌年である1965年 には、家庭部門におけるエネルギー消費はいまの5分の1しかなかった。当時のライフスタイルに戻せば、温室効果ガス半減はいますぐにでも達成できる計算と なる。

 当時、わたしは小学生だったが、醤油やソースは空きビンを抱えて店に量り売りのものを買いにいったものだ。八百屋さんは野菜を新聞紙にくるんでくれた し、客は誰もが買い物かごを持参していた。家にはエアコンもなく、道路には街灯も少ない。マイカーなんて夢だった。

 そうした暮らしに戻せば、環境問題はほぼ解決する。しかし、現実問題として本当にそれができるのだろうか。いや、もうエアコンなしでは夏の暑さを乗り切 れないし、郊外や田舎に住んでいる人は車なしでは生きていけない。ライフスタイルを昔に戻すというのは、机上の空論に等しいのである。

 もちろん、省エネを実現するには、ある程度の我慢は仕方がないだろう。だが、その前に、できるだけライフスタイルを変えずに済む方策を考えるべきではな いか。環境対策でまず優先すべきなのは、わたしたちのライフスタイルに影響を与えないことである。そうした点から考えると、コンビニの深夜営業自粛は、決 して効果的な手段ではない。それは、万策尽き果てたあとにやることだとわたしは思うのだ。

4.「『現行と同一』では要件は定義されない」とみずほ証券が再主張、株誤発注裁判 (7.25 nikkeibp.jp)
2005年12月にみずほ証券がジェイコム株の誤発注で出した損失を巡って東京証券取引所を訴えた裁判の第10回口頭弁論が2008年7月25日、東京地 方裁判所で開かれた。原告のみずほ証券側は、「取消注文の仕様について株式売買システムの要件定義書には『現行と同一』とだけ記載してある。これでは要件 はなんら定義されない」と改めて主張する準備書面を地裁に提出した。

 みずほ証券の今回の準備書面は、「誤発注を取り消しできない不具合は要件の誤りでなくバグであり、(開発ベンダーの)富士通に責任がある」という東証の 主張に反論したものだ。東証は「要件定義書に業務要件は適切に記述してある。富士通が、記載した業務要件を満たす詳細設計ないしプログラミングをしなかっ た。いわゆるバグだ」としている。

 このような東証の主張に、みずほ証券は「訴訟のこの段階になって突如として不合理な反論をしてきた」と述べた。「東証が過去に提出した資料によれば、富 士通は不具合を修正する際に『仕様変更の提示』を東証に求めている。これは、不具合に関連する仕様が要件定義書に記載されていないことを示している」と続 ける。

 これらの双方の主張をふまえ、裁判長は東証に対し、誤発注を取り消しできない不具合が金融庁から業務改善命令を受けることにつながった経緯について説明 する文書を、次回口頭弁論の9月5日までに提示するよう求めた。その主張に再反論する書面をみずほ証券が提出してから次々回の口頭弁論を開き、そこで口頭 弁論を終わりにする考えを示した。あと2回の口頭弁論を経て、早ければ年内にも判決が出る可能性がでてきた。今後は、過失相殺の割合についてさらに詰めて いくとみられる。

5.iPhoneブームを終わらせないアップルの戦略(7.23  nikkeibp.jp)
アップルは、発売最初の週末だけで「iPhone 3G」を世界で100万台販売したと発表した。このiPhone 3Gの人気は一過性か、それともこれからも続くのだろうか。

ソフトバンク表参道店に1500人以上が並んだ7月11日のように、ワっと盛り上がることはしばらくないだろう。ただし、これからはこうして早くから iPhoneを手に入れた人が、その楽しさや、癖になる使い心地を周りの人々に見せ、それに感化された人々へと、また少しずつiPhoneが広がり続けて いく。そのペースはメディアでの評判や、今後、アプリケーション販売サービス「App Store」に登場するコンテンツ、ライバルの動きなどにも大きく左右される。

ただし、アップルは販売ペースが落ちた場合に向けて二の手、三の手まで考えるような企業だ。今回は、アップルの次の展開や、iPhoneを使った新しいビ ジネスの可能性を推測したい。

ドコモとの提携や法人向けも視野に
まず、日本で販売ペースをさらに上げる方法として考えられる一つの方法は、噂が絶えないNTTドコモとの提携である。ソフトバンクモバイルの電波が入りに くい地方はもちろん、都心部でも「iPhoneはNTTドコモが販売してほしかった」という意見が相変わらず多い。NTTドコモとアップルが提携すれば、 そうした人達の最後の障壁をなくせる。

ソフトバンクモバイルにとっても、アップルとNTTドコモとの提携が十分に遅ければ、それほど痛手にはならないだろう。iPhoneがすぐにほしいユー ザーは既にソフトバンクモバイルに加入しているはずだ。ただし、新たにiPhoneを買うユーザーに選んでもらえるように、ソフトバンクモバイルもNTT ドコモも何らかの価値観をつくっていく必要がある。

またiPhone 2.0 OSの、強みの1つでもある企業向けシステムも無視できないポイントだ。コンシューマ向けの販売が一段落したら、その段階で法人営業が本格的に稼働するこ とは目に見えている。特にアップルは米国だけでなく、日本でも教育機関と密接な関係づくりに成功している。iPhone 2.0 OSでも、教育機関で独自アプリケーションを作って配布する方法などが提案されていることから、教育市場への進出も必至だろう。




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