週間情報通信ニュースインデックスno.654   2008/05/17

1.オンキヨー、ソーテックを9月に吸収合併(5.16  nikkeibp)
音響機器製造のオンキヨーは、パソコン製造子会社のソーテックを9月1日付けで吸収合併する。合併により経営を一元化して意思決定を迅速にするほか、相互 に親和性の高い音響機器とパソコンの企画、開発を促進する。これに先立ちソーテックは7月15日に大阪証券取引所で上場廃止になる見込み。

3月の基本合意をもとに、5月15日付けで株式交換契約と合併契約を結んだ。株式交換は7月22日を効力発生日とし、ソーテック株1株に対し、オン キヨー株79株を割り当て交付する。

オンキヨーは合併後もソーテックのブランドを残す。パソコン事業にオンキヨーの人材や資源を投入し、購買/設計/製造/品質保証ノウハウを共有して 競争力を高める狙い。また両社の物流システムを統合し合理化を図る。互いの流通チャンネルを生かした販売力強化や、現在ソーテックがBTO業務などを受託 する鳥取オンキヨーを軸とした新たなパソコン生産/アフターサービス体制の確立も進める。

2.新築家屋の点検に170万円?! 高齢者の不安に付け込む悪質営業マン (5.16 nikkeibp)
 去年、こんなことがあった。
 実家に住む父から電話が掛かってきて、相談があるという。10年前に新築した家が10年点検の時期になったのだが、住宅メーカーからの見積書によると 170万円もかかる。「たぶん断ったほうがいいように思うが、お前はどう思うか」というのだ。

 父は今、70歳代後半。たいていの判断はまだ自分でできるのだが、今回の話は正直、よく分からないようだった。というのも、その住宅メーカーは、親会社 は経団連に役員を出すほどの一流メーカーなのである。決して悪質なリフォーム会社ではない。
 それにしても、10年点検に170万円かかるなどという話は聞いたことがない。詳しく聞いてみると、こういうことだった。

 両親の家に10年点検の営業に来た営業マンが、「普通であれば全く問題ないが、ごくまれに内部の木材が腐って弱くなることがある。足場を組んで点検すれ ばそういった心配がないかどうかも確認できる」といって、足場を組んで点検した場合の見積書を置いていったのだ。それで母は心配になってしまった。

 この営業マンの巧妙なところは、不安だけ植え付けて、判断は相手に任せているところにある。ビジネスマンとしての“品格”は低いが、法律には違反してい ない――今日は、この話をしたいと思う。  その前に、僕の実家の件がどうなったかというと、「そんな点検を依頼する必要は全くない」ということを母親に納得させて、足場を組むのは丁重にお断りさ せていただいた。

 実は、高齢者相手のビジネスの現場では、こういった高齢者の“弱さ”や“不安感”に便乗した商行為が後を絶たない。
 以前、問題になった悪質リフォームのような明確な犯罪行為だけでなく、“立派”な企業に所属するごく普通の営業マンでも、営業ノルマの厳しさから、つい つい高齢者に不必要なものを「買ってもらう」行為に走ってしまうことが少なくない。  そして、実はこれは「コンプライアンス違反」とすべき事項なのである。

「コンプライアンス」と「法令順守」はイコールではない

 「コンプライアンス」という言葉は、日本では「法令順守」と訳されることが多い。
 そのため、法律だけを守っていればいいと解釈されるケースが少なくないが、実際は、法令順守だけでは不十分である。“良き企業市民”であるためには、社 会的なモラルに反する行為も許されない。それも立派なコンプライアンス違反となるからだ。

 僕の友人で、我が国のコンプライアンスの第一人者でもある秋山進氏に教えてもらった面白い話があるので紹介させていただきたい。彼と中島茂弁護士の共著 書『社長!それは「法律問題」です』(日本経済新聞社刊、2002)の中にも書かれているエピソードである。

 自動車の運転中に携帯電話に出ることは、道路交通法違反になる。2004年11月の改正以降、多くの運輸会社ではドライバーに対してハンズフリー装置を 使わせるようになった。運転中でもドライバーには再配達の連絡が入る。法律上、運転中に携帯を手に持って通話をするのは違法だが、ハンズフリー装置は適法 だからである。

 ところが、この本の共著者である中島茂弁護士によれば、これは単なる「法令順守」にしかならないという。ハンズフリーで通話しているときでも、携帯電話 を掛けながら運転しているときと同じぐらい事故が起きるという実験結果があるのだ。左手がハンドルから離れているから事故が起きやすいのではなく、通話に 意識が向くから事故が起きやすい。

 本来、運転中の事故をいかに防止するかを考えるのが運輸会社の会社としての“あるべき姿”だから、ハンズフリーを導入するという解決策は、「適法だが、 コンプライアンス上はクエスチョンマークを付けるのが、会社としてあるべき姿」だと秋山氏も言う。

 本来のコンプライアンスというものは、社会の中で企業が一定のモラルに沿った企業人としての行動をとっているかどうかが問われるものだ。法律を守ってい るかどうかはボトムラインの条件であって、決して十分条件ではない。

 ここで重要なことは、より多くの日本人が“グレーゾーンの悪”を意識することだと僕は考えている。
 明らかにブラックな商行為については、社会の監視の目はいつでも光っている。悪質商法や霊感商法、振り込め詐欺といった行為であれば、誰もが「それは犯 罪だ」と言える判断力を持てるだろう。  ところが、今後、問題が起きるのは、白に近いグレーゾーンの問題だと僕は思う。

 認知症の初期症状が出てきたら、いつまでその人から注文を受け続けていいのか。80歳を超えたおばあちゃんから「一度、パソコンを勉強してみたい」と頼 まれたらどう対応するべきか。85歳のおじいちゃんに車の買い替えを勧めるべきか。もちろん個人差もある。

 法律やルールではスパッと切れない、白に近いグレーゾーン……。そうした問題が、これからの高齢社会ではたくさん起きてくる。それには人間が自分自身の 目で見、頭で判断しなければならない。1つ1つ、是々非々で考え、行動しなければ解は出ない。そのような問題が営業現場ではこれからどんどん起きてくる。

 だからこそ高齢者相手のビジネスは、“現場の教育”ビジネスなのだ。  単なる「法令順守」だけでは幸せな社会は作れない。企業としての本質的な姿勢が問われる時代が、もうそこまでやって来ているのである。

3.グーグルのCEO、アップル役員兼務の怪(5.15 nikkeibp)
携帯電話OSでの両社対決を前に、シュミットCEOの立場は微妙
 米グーグル(GOOG)のCEO(最高経営責任者)エリック・シュミット氏は、米アップル(AAPL)の社外取締役を兼任している。この関係は、今まで は大いに意味があることだった。
 世界最大のウェブ検索エンジンを運営するグーグルは、現在のIT(情報技術)界で絶大な影響力を誇る。アップルの看板商品であるパソコン「Mac」への 理解も深く、音楽再生が可能な同社携帯電話「iPhone」用に様々なソフトウエアも開発している。例えば、グーグル傘下の動画共有サイト 「YouTube(ユーチューブ)」の閲覧ソフトが代表例だ。パソコン、音楽プレーヤー、携帯電話など、ウェブ時代の画期的なハードウエアやソフトウエア を世に送り出しているアップルが、インターネットとその進化についてシュミット氏の見識を生かしたいと考えるのは当然のことだ。

 だが、その一方でグーグルは、アップルの競争相手にもなりつつある。このため、アップル取締役というシュミット氏の立場には、維持不可能とまではいかず とも、微妙な空気が漂い始めている。両社の事業が競合しかねないという懸念は、IT系ブログ界で以前から取り沙汰されていた。しかしここへ来て、対決の舞 台が急ピッチで整いつつある。アップルが次世代iPhoneの準備を進める一方、グーグル製のオペレーティングシステムを搭載した携帯電話の開発が提携各 社で進んでいるからだ。


グーグル開発の携帯電話用OS「アンドロイド」の登場で2社対決へ

 グーグルは、高速無線通信を手がける新設合弁企業にも大規模な出資を行う予定だ。米国では、無線ウェブアクセスの覇権を懸けて、iPhoneの通信事業 者とこの新設企業が直接対決する可能性もある。グーグルが5億ドルの出資を決めたのは、米スプリント・ネクステル(S)と米クリアワイヤー(CLWR)の 合弁企業(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年5月7日「Putting WiMax on the Fast Track」)。米国市場でiPhone向けの通信事業を独占する米AT&T(T)よりも高速の無線インターネット接続を実現する予定だ。

 アップルとグーグルの事業の領域が重なる兆しは以前からあった。アップルがiPhoneを発売したのは昨年6月、シュミット氏が同社取締役に就任 (BusinessWeek.comの記事を参照:2006年8月31日「Time for an Apple/Google Mash-up」)してから1年足らずのことだった。次世代iPhoneは市場範囲がさらに広がり、世界各国で幅広い消費者からの人気が見込まれる。 iPhoneの販売実績は3月末現在で540万台。米パイパー・ジャフレー(PJC)のアナリスト、ジーン・マンスター氏は、2009年末の販売台数はそ の9倍近い4500万台にまで達すると予想している。

 一方のグーグルも、今回の合弁企業への出資を決める以前から、携帯業界へ参入する意向を明らかにしていた。2005年には米ソフトウエア開発企業アンド ロイドを買収していた(BusinessWeek.comの記事を参照:2005年8月17日「Google Buys Android for Its Mobile Arsenal」)。グーグルが開発を進める携帯電話用オペレーティングシステム「Android(アンドロイド)」(BusinessWeek.com の記事を参照:2008年1月22日「A Warm Welcome for Android」)は、この時に買収した開発部隊が中核を担っている。


iPhoneをめぐる議論を辞退するも

 iPhoneが大成功を収めるというマンスター氏の予想が的中すると、2009年度のiPhoneの売上高見通しは180億ドルに達する可能性もある。 これは同氏が予測する同年の売上高570億ドルの実に約3分の1を占める。

 グーグルは携帯電話自体の販売を手がけるわけではない。代わりに、アンドロイドプロジェクトから生まれたソフトウエアを搭載した携帯電話が、米モトロー ラ(MOT)、台湾HTC、韓国サムスン電子などのメーカーから登場する。こうした携帯電話がどれほどのヒットになるのか、正確な予測は立たない。しか し、「スマートフォン」と呼ばれる多機能携帯端末の人気が高まる中での発売となるのは確かだ。

 米国で発売されているスマートフォンの主要機種には、iPhoneのほか、カナダのリサーチ・イン・モーション(RIMM)の「BlackBerry (ブラックベリー)」、米マイクロソフト(MSFT)の「Windows Mobile(ウィンドウズ・モバイル)」搭載機、米パーム(PALM)の「Treo(トレオ)」などがある。米市場調査会社アイサプライの推定による と、2007年末時点のスマートフォンの市場規模は世界全体で1億3600万台。それが2009年末までには2億2900万台に跳ね上がると予想されてい る。無線機器市場の中でも特に成長著しい分野だ。


 今回の件についてグーグルは一切コメントしていない。一方のアップルは、事業分野が競合する可能性について直接コメントしていないが、シュミット氏を取 締役に迎えた際に発表した、同氏を称える声明を繰り返した。

 いずれにせよ、グーグル陣営の企業やアプリケーションがiPhoneとぶつかり合う可能性があるとなれば、シュミット氏の立場は微妙になりかねない。報 道によると、現時点でも同氏はアップルの取締役会の中で、iPhoneをめぐる議論への参加は辞退しているという。しかし、売り上げ全体の3分の1近くを もたらす製品について内部情報を知り得ないとなると、本当に取締役としての務めを全うできるのだろうか。


4.NTTの2008年3月期決算は減収増益、音声苦戦もSI/データ通信が好調 (5.14 nikkeibp)NTT は2008年5月13日、2007年度の決算を発表した。連結の売上高は前期比797億円減の10兆6809億円、営業利益は同1976億円増の1兆 3046億円で、減収増益である。増益の大部分は、厚生年金の代行返上など特殊要因によるもの。そうした要因を除いた本業のみの営業利益は、前期比377 億円増の1兆1447億円となる。

主要事業会社別では、NTT東日本が売上高2兆27億円(前期比586億円減)、営業利益449億円(同149億円減)と減収減益。FTTH (fiber to the home)をはじめとしたIP系サービスは前期比1032億円の増収と好調だったが、同1270億円減となった音声伝送の減収分を補えなかった。専用線 サービスは同108億円の減収、電報などのその他の事業も同239億円減と苦戦が続いた。

5.IBM、グーグルが創る次世代IT、クラウド・コンピューティングの正体(前編)(5. 15 nikkeibp)
  ソフト開発もハードの調達もシステム運用も一切必要ない。すべてはインターネットという“雲”にアクセスするだけ―。コンシューマ市場では当たり前になっ た「クラウド・コンピューティング」が、企業システムにも迫ってきた。提唱者の米グーグルに加え、米IBMや米セールスフォースなどが、その重要性を強調 し始めた。

 「IBMは顧客のデータセンターのダイナミックな変更を支援する。そのために必要になるのが、クラウド・コンピューティングだ」。米IBMのシニア・バ イス・プレジデントでIBMシステムズ&テクノロジー・グループを率いるビル・ザイトラー グループ・エグゼクティブはこう語る。

 IBMは今年に入って、クラウド・コンピューティングをキーワードに、相次いで新事業を展開している。2月1日に中国・無錫にクラウド・コンピューティ ングの基盤となるデータセンター「China Cloud Computing Center」の設立を発表。2月5日には、米サン・マイクロシステムズや独SAPなど13団体と共同でクラウド・コンピューティングの研究プロジェクト 「RESERVOIR」を発足した。

 2月26日には、クラウド・コンピューティングのコンセプトを日本で披露。その場で「当社はクラウド・コンピューティングに真剣に取り組んでいる。毎 月、何らかの発表をしているほどだ」とIBMソフトウェア・グループ ハイ・パフォーマンス・オンデマンド・ソリューションズ担当ストラテジー・バイス・プレジデントのウィリー・チゥ氏は話した。

 SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・アサービス)大手の米セールスフォース・ドットコム(SFDC)もクラウド・コンピューティングに力を入れる。1月 17日に「Force.com Cloud Computing Architecture(CCA)」を発表。「Force.com CCAだけではなく、当社の提供するサービスは、すべてクラウド・コンピューティングだ」と日本法人の及川喜之CTO(最高技術責任者)は強調する。

Web2.0をエンタープライズへ
 IBMとSFDCだけではない。米グーグル、米マイクロソフト、米デル、米アマゾン・ドットコムなどは一様に、自社の事業における次の方向性を示すキー ワードとしてクラウド・コンピューティングを挙げる。事業領域が違う企業が、クラウド・コンピューティングという考えの下、同じ方向に進み始めたと言え る。

 各社が進めるクラウド・コンピューティングの定義は異なるが、共通点は企業ITに必要なシステム資源をネット・サービスとして提供することである。ここ でいうシステム資源は、ハード、ミドルウエア、業務アプリケーション、開発環境、オフィス・ソフト、そして人の知識・知恵など幅広い(図1)。

  
 グーグルやアマゾン・ドットコムといったコンシューマ市場で成功を収めたWeb2.0企業は、そのビジネス・モデルをエンタープライズ向けに展開しよう としている。SFDCのようなSaaS事業者は、アプリケーションだけでなく、ハードや開発環境も含めたプラットフォームのサービス提供を開始した。 IBMやSAPのように、企業システムに軸足を置いていた企業は逆に、Web 2.0的な発想を自社のビジネス・モデルに取り入れようとしている(図2)。

 
 そもそも「クラウド・コンピューティング」は、グーグルのエリック・シュミットCEO(最高経営責任者)が提唱した言葉だ。シュミット氏が講演や論文な どで利用したことをきっかけに、昨年後半ごろからIT業界全体に広がり始めた。

 グーグルはコンシューマ市場向けにメール・ソフトやオフィス・ソフトをインターネット上で利用可能にするサービスを展開。Webブラウザさえあれば、場 所や端末が変わっても同じ環境を維持できるといったメリットから、ユーザーを増やしている。

 グーグルはこうしたコンシューマ市場向けのサービスで示した方向性をクラウド・コンピューティングと呼び、そのモデルをエンタープライズ分野にも拡大し ようとしている。

 「コンシューマ市場向けサービスのほうが、エンタープライズ向けよりも技術的に先行している。膨大な数のユーザーの声を素早く反映して磨き上げているた めだ。当社のサービスはエンタープライズ分野でそのまま通用する」と、グーグルの大須賀利一エンタープライズ セールス マネージャーは語る。

 アマゾンは自社のプラットフォーム資産を開放したストレージ・サービス「Amazon S3」を展開している。現在はブログなどの用途で個人が利用するケースが多い。だが用途を個人に限っているわけではなく、すでに企業ユーザーも利用してい る。グーグル同様、コンシューマ向けビジネス・モデルを企業向けに拡大しつつあるわけだ。

 一方、もともとSaaS事業者としてCRM(顧客情報管理)の企業向けアプリケーションを提供していたSFDCは、ミドルウエア、開発環境といったプ ラットフォームの領域へ、サービスの提供範囲を広げている。

 「企業向けシステムの構築に必要な資源をすべてオンデマンド型で提供することを目指している」とSFDC日本法人の及川CTOは語る。「当社はクラウ ド・コンピューティングという言葉が登場する前から、企業システムに必要な資源すべてをインターネット経由で提供しようと考えていた。当社の取り組みのす べてはその考え方に基づいている」(同)。

IBMもSAPも“雲”に乗る
 クラウド・コンピューティングに注目するのはWeb2.0企業ばかりではない。IBMやSAPといったIT業界の“古参”の企業も、クラウド・コン ピューティングを志向し始めた。

 IBMは、仮想化やグリッド・コンピューティングなど、これまで培ってきた技術を基に、企業システムにWeb2.0的な考え方を取り入れる。

 具体的には、メインフレーム「System z」からブレード・サーバー「BladeCenter」まで、複数種類のハードウエアが混在する環境を、巨大な1つのハードウエアとして顧客に提供。場所 や端末を選ばずにアクセス可能にする。「金融機関や政府のシステムであっても利用できる」(米IBMのチゥ氏)ほどの堅牢性も備える。

 昨年11月には、その考えを具現化したサービス「Blue Cloud」を発表した。LinuxベースのBladeCenterに、オープンソースの仮想化ソフト「Xen」や分散ファイルシステムの 「Hadoop」などを組み合わせ、複数のハードウエアを一元化する仕組みを提供する。「組み合わせのパターンを増やしていくことで、大規模なアプリケー ションも構築できる環境を整備する」(チゥ氏)狙いだ。また、必要に応じて外部リソースとも柔軟に連携し、1つのクラウドを形成できるようにする。

 ERP(統合基幹業務システム)パッケージ・ベンダー最大手のSAPも、「クラウド・コンピューティングが次世代の開発キーワード」と宣言する。その第 一歩が、ユーザーなどが参加するWebコミュニティに集められたアイデアを利用した新アプリケーションの開発や、オンデマンド型のアプリケーション 「SAP Business ByDesign」の提供だ。

 コミュニティは、業種別に特化したアプリケーションの開発などに活用する。「ユーザーが欲しい機能をコミュニティ上で提案し、我々が開発すれば、ユー ザーの望むアプリケーションを安価で提供できるようになる」と、同社の共同設立者でスーパーバイザリー・ボードの議長を務めるハッソ・プラットナー氏は、 SAP流のクラウド・コンピューティングを説明する。

 アイデアをインターネット上に公開することで意見を募り、より良いものに改変していくという手法は、古くはオープンソース・ソフトの開発で用いられてい るものだ。また、コンシューマ分野でもユーザー参加型のインターネット百科事典「ウィキペディア」に代表されるように一般的になっている。SAPの取り組 みはこうした動きをエンタープライズ分野に適用したものと言える。

 オンデマンド型のアプリケーション提供は「中堅・中小企業など、システム部門の人員が十分でない企業に向く」とプラットナー氏は説明する。「システムを 管理する手間を割けない企業にとって、システムがすべてWeb上にあるのは魅力的」(同氏)だからだ。

 SAPは、必要なサービスをいつでも利用できる環境の提供を目指している。クラウド・コンピューティングを志向する方向性は間違いなさそうだ。




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