週間情報通信ニュースインデックスno.654   2008/05/10

1.弁論勝負の米国人、沈黙の日本人(5.9 nikkeibp)
竹中 正治
 米国民主党の大統領選候補者選で、ヒラリー・クリントンのネガティブキャンペーンに腹を立てたバラク・オバマが、「ヒラリー、恥を知れ!(Shame on Hillary!)」と発言した。それに応じてヒラリーが「あんたこそ、恥を知れ!(Shame on you!)」とやり返し、この一幕が話題になった。

 勝負の決着がつくまでは、あくまでも弱みを見せず、徹底的に強気でやり合う。これは米国政治劇の定石だ。ヒラリーの見せた「涙」ですら、戦う姿勢をより 効果的に演出するための小道具に過ぎない。

「かわいそうなくらい苦労しているんですよ」、福田発言にがっかり

 どうしても比べてしまわずにいられないのが、4月9日の国会で行われた党首討論で、福田首相が民主党の小沢代表に対して言ってしまったセリフ、「かわい そうなくらい苦労しているんですよ」だ。

 福田首相はあえて質疑の攻守を替え、民主党の小沢代表に対し、日銀総裁問題での「人事権の乱用」「民主党の意思決定の遅さ」などを攻めたところまではよ かった。ところが最後に“泣きを入れている”と思われても仕方がない一言を言ってしまった。小沢党首は不敵な冷笑で応じていた。これではまるで、漫画ドラ えもんに登場するジャイアン(いじめっ子)相手に泣きを入れているのび太の構図である。

 民主党のオバマ候補は上院議員1期目という若さにもかかわらず、聴衆を感動させる演説で注目される存在に躍り出た。そして、あれよあれよと言う間に、圧 倒的な知名度と実績を誇っていたヒラリー・クリントンを逆転してしまった。

 オバマに限らない。米国で政治家、企業のCEO(最高経営責任者)などのスピーチを聞くたびに思うが、みな演説がうまい。日本の政治家や大企業のトップ と比べると段違いにうまい。もちろん、米国でも日本でも個人差はある。しかし米国では地位の高い人ほど演説がうまい人が多い。


米国の政治家、企業トップに雄弁家は多いが…

 リーダーの雄弁だけではない。米国では1時間の講演なら講演者が一方的に喋るのは普通30分までだ。それ以上喋ると聴衆がフラストレーションを起こす。 半分以上の時間は質疑応答、討議に当てられる。討議の時間になると、「俺にも言わせろ」「あたしにも質問させて」という聴衆が尽きない。

 もちろん、議論を発展させる建設的なコメントや質問が歓迎されるが、ピントの外れた質問や、勘違いコメント、講演内容に関わりのない質問まで臆面もなく 飛び出す。それでも公論の場でのエチケット(例えば1人で長々と喋らない)を守って発言する限り、「沈黙」よりも「発言」が歓迎される。

 反対に日本の講演会はほとんど講演者が一方的に喋り、質疑応答は最後の10分だけという場合が多い。質疑に時間を取っても、シ〜ンとして質問もコメント もなかなか出てこない。いったい、この日米の違いはどこから生じるのか。

 ちょっと「日本通」の米国人に聞けば、こんな答えが返ってくるかもしれない。「日本の社会や組織は閉鎖的、権威主義的で、意思決定は事前の根回しであら かじめ準備されるでしょ。だからオープンな討議やプレゼンテーションにあまり価値が置かれない。それだからじゃない?」。

 しかし多少でも米国に身を置いて観察すれば分かることだが、米国の政治も見た目ほどオープンではないし、企業統治ではCEOの独裁的な力が問題になって いる。それでも米国の文化的な規範・価値観が演説やディベートに日本よりもはるかに高い価値を置いていることは間違いない。

 実際、海外ではあまり喋らない日本人は損をしている。英語の上手下手の問題ではない。下手な英語でもガンガン主張している連中はたくさんいるのだ。それ でも全体としては、「日本人は何事も集団主義的で、個人の意見がないのじゃないか」などという偏見がまかり通ってしまう。ではなぜそうした日米の相違が生 まれたのか。実は分かりやすい事実の中に、日本人のプレゼンテーション下手の原因があると私は思う。

膨大な時間を奪う日本の子供の読み書き訓練

 米国に駐在中のこと。娘の小学校のクラスメイトの米国人宅で、話題が日米の小学校での国語教育に及んだ。米国の子供と比べると、日本の子供たちは、表音 文字としてひらがなとカタカナを学び、表意文字として漢字を学ぶ。さらに小学校高学年からアルファベットでローマ字を学び、中学1年から英語を学ぶわけ で、米国の小学生に比べると読み書きに要する学習量は大変に多い、と私は語った。

 米国人の奥さんが、漢字はどのくらいの数があるのか、100か200かと問うので、一般に使用されている数で1000とか2000だと言ったら、目を丸 くされた。さらにアルファベット24文字に対して、ひらがなは50音文字で、そのままだとパソコンのキーボードに乗り切らない。

 だから私たち日本人の多くはワープロソフトを使用する時、アルファベットのキーボードを叩きながら、パソコン画面上にひらがな、カタカナ、漢字の3種の 文字で構成された日本語文章を作成するのだと話したら、「信じられない。魔法みたいだ」と言う。そうりゃあそうだろう。英語ワープロユーザーは「文字変換 の魔法」を知らないのだ。

文字体系の複雑さが生み出した相違

 米国人にそういう説明をしながら、はっと気がついた。実際、日本人は子供時代に「書く」ことを学ぶために米国人とは比較にならないほどの学習労力を費や している。しかも計算訓練にも米国人以上の訓練を費やす。だから日本の小学生で算数の計算能力が平均的な子供でも、米国の小学校ではトップ水準だ。

 しかし、学習に費やせる時間には限りがあるので、それだけ日本の子供が書く訓練に多くの労力を費やせば、必然的に犠牲になる訓練が出てくる。それが口頭 プレゼン能力、大勢の前で話す能力の訓練である。

文章文化の日本人はブログ書き込みが世界一好き

 日本人が文章文化だと考えると、講演会では静粛過ぎる聴衆が、一転ブログの世界で大胆・活発に書き込み合っている日本の事情が理解できる。某ブログ調査 データによると、世界のブログ書き込み言語のシェアで日本語は37%と英語の33%を凌駕しているという。英語ユーザーの人口が日本語ユーザーの数倍であ ることを勘案すると、これが本当なら驚くべきことだ。

 ブログの匿名性によって助長されている面もあろうが、文章文化の日本人はブログの書き込みが世界一好きな国民だということになる。NBonlineでも 「俺にも言わせろ」「あんた、何言ってるの」と溢れんばかりに寄せられるコメントの群れは、「百家争鳴」と言うべきか、「暴言有理」とでも呼ぶべきか。

2.顧客を取り込む新たなネット活用法〜ネットマーケティングで勝ち残る〜(5.9  nikkeibp)
 インターネットの進展により、既存のビジネスの仕組みが大きく変わり始めている。大企業に比べて経営資源の投資が限られた中堅・中小企業 には新たなビジネスを創造し、大きく飛躍するチャンスといえる。インターネットやデータベース管理技術といった情報技術を活用した新規事業戦略や販売・販 売戦略の立案を手掛ける電通ネットイヤーアビーム代表取締役社長への取材をもとに、先進事例と激動の時代を勝ち残るためのネットマーケティング活用法を紹 介する。

宮城県で15店を展開する中堅スーパーのダイシンは大型競合店の出店によって来客数が減少する中、携帯電話を使ったインターネット(モバイル)マーケティ ングに取り組んでいる。2006年に携帯サイトを開設、携帯メールマガジン配信をスタート。属性に合わせたメール配信、リアルタイムでの情報配信により、 約3000人もの新規会員を獲得する成果をあげた。

同様にネットや携帯電話を活用する中堅・中小企業が増えている。厳しい経営環境の中で生き残り、成長するためには新たな戦略が不可欠だからだ。加えてウエ ブ2・0などネットの進化が背景にある。

「検索」が変えた消費者行動供
「ネットの普及によって消費者行動が変化し、購買(販売)プロセスで大変革.が起きている。企業には新しいマーケティング戦略が求められている」。ネッ トマーケティングの実情に詳しい電通ネットイヤーアビーム社長の及川直彦氏は指摘する。

企業が商品やサービスを顧客に提供する場合、「いかに認知させるか(認知形成)」「いかに購入に結びつけるか(購入支援)」「アフターサービスや追加購入 促進(フォローアップ)」というプロセスを踏む。それぞれのプロセスでネット活用法がある。

まずネットがもたらした消費者行動の最大の変化が「検索」。従来、「認知支援」では企業は様々な手段で商品を認知(想起)させてきた。現在、顧客は気にな るものがあるとすぐにネットで検索。ホームページ(HP)で内容を確認し、価格比較サイトや口コミサイトを見て購入を決める。これはBtoB(対企業取 引)でも同じ。

「それだけにネットマーケティングでは検索エンジンでいかに顧客に自社商品を出合わせ、買ってもらうかがポイントとなる」と及川氏は指摘する。

そのための手法の一つが「SEO(検索エンジン最適化)」。検索した際に上位3位と下位に掲載されるのでは、HP閲覧で大きな差が生じる。そこで企業は、 SEOで検索時に上位に表示されるように仕掛ける。実際には、HPに掲載するキーワードを工夫したり、関連情報を扱うサイトと相互にリンクを張ったりす る。

検索ワードに連動して表示するのが「リスティング広告」。料金を払えば、確実に上位表示される。クリック数による課金制で上限も設定できる。

3.ITスキル標準が2年ぶり大改訂、情報処理試験との対応を明確化(5.8  nikkeibp)
IPA(情報処理推進機構)は3月31日、「ITスキル標準(ITSS)」を2 年ぶりに大幅改訂したバージョン3(V3)を公開した。最も重要な改訂ポイントは、ITSSのレベル認定に情報処理技術者試験を利用可能にしたこと。IT 人材の育成に生かせる「ものさし」を統一したという意味で、大きな前進と言える。

ITSS V3は、IPAが2006年4月に公開した「ITSS V2」以来、2年ぶりのメジャー・バージョンアップとなる。ドキュメントは、IPAのWebサイトhttp: //www.ipa.go.jp/jinzai/itss/download_V3.html)からダウンロードできる。

最も重要な改訂ポイントは、情報処理技術者試験との対応を明確化したことである。職種・専門分野も手直しし、専門分野の定義を若干変更した。

ITSSは2002年12月に公開されてから5年がたち、職種とレベルに関するIT業界共通の「ものさし」として大企業を中心に定着しつつある。

IPAが2007年9月にITベンダー2000社を対象に実施した「IT人材市場動向予備調査」(回答企業357社)によれば、従業員数1000人以上の 大企業のうち、人事制度や人材戦略の立案にITSSを参照・利用しているのは、63.4%に上る。

「利用を検討している」と答えた企業を合わせると78%に達する。V3の登場で、ITSS採用の動きがより加速しそうだ。

4.Google、「Google Apps」向けWebセキュリティ機能の提供を北米/欧州で開始(5.9 nikkeibp)
米Googleは米国時間2008年5月8日、オンライン・アプリケーション・サービス「Google Apps」の企業向けWebセキュリティ機能「Google Web Security for Enterprise」を発表した。Webアクセスに乗じて暗躍するマルウエアからパソコンを守るとともに、URLフィルタリングを実施できる。現在のと ころ、同機能は北米と欧州で利用可能となっている。

Google Web Securityを利用すると、Webアクセス時のセキュリティを確保できる。また、従業員やワークグループ、全社レベルでインターネット利用のセキュリ ティ・ポリシー設定も可能。外出先でノート・パソコンを使っている場合でも、Webアクセス・トラフィックを自動転送して監視することで、社内と同様の安 全性を維持する。

5.SprintとClearwireがモバイルWiMAX事業の合弁設立へ、 IntelやGoogleなどが出資(5.8 nikkeibp)
米Sprint Nextelと米Clearwireは米国時間2008年5月7日、両社の次世代無線通信事業を統合した新会社を設立することで最終合意に達したと発表し た。新会社は名称を「Clearwire」とし、全米にわたるモバイルWiMAXネットワークの普及促進に取り組む。また、米IntelのIntel Capital、米Google、米Comcast、米Time Warner Cable、米Bright House Networksが合計32億ドルを新会社に出資する。

ちなみにSprintとClearwireは2007年、モバイル・ブロードバンド・ネットワークの共同構築計画を白紙撤回した経緯がある。



ホームページへ