週間情報通信ニュースインデックスno.652   2008/04/26

1.米Apple社は40%超の増収、ノート・パソコンの販売台数は6割増 (4.25 nikkeibp) 
 米Apple Inc.は、2008年会計年度第2四半期(2008年1〜3月)の決算を発表した。売上高は対前年同期比43%増の75億1200万米ドル、営業利益は 同33%増の13億1500万米ドル、純利益は同36%増の10億4500万米ドルで、大幅な増収増益となった。粗利益率は32.9%で、前年同期の 31.5%から1.4ポイント上昇した。

パソコン「Macintosh」の第2四半期の販売台数は対前年同期比51%増の228万9000台。このうち、デスクトップ・パソコンは85万 6000台で、ノート・パソコンは143万3000台だった。前年同期からの伸びは、ノート・パソコンが61%と高い。同社は2008年1月に、超薄型 ノート・パソコン「MacBook Air」の出荷を始めている。一方、デスクトップ・パソコンの伸びは37%。パソコン全体の売上高は、対前年同期比 54%増の34億9400万米ドルだった。

2.大前研一:新福岡空港にみる財界人の駄目さ加減(4.23 nikkeibp)
 余計なコストがかかる大工事が必要だからこそ、「なるべく遠いところに、でかい空港を造ろう」ということになるのが、我がニッポンなの だ。まさに「壮大なゼネコン国家」である。地元の経済人にとっては、工事がしたいだけなのは明らかだ。これが実現することになったら、うれしくて仕方ない だろう。

 それでも、空港移転によって相応の経済効果が見込めるというのなら(積極的賛成はしないとしても)まだ容認できる。しかし、わたしの感覚で言うと 「期待できない」だ。三苫・新宮ゾーンに海上空港など造ったら、利用するのは地元の人くらいになるだろう。空港から数分で主要駅に乗り換えることが「でき なくなる」デメリットは、たぶん移転推進派が想像する以上に大きい。

 これは、北九州地方にある他の空港を考えてみると納得してもらえると思う。例えば九州と本州との境には、人口島の上に新北九州空港がある。門司や 小倉からも遠く、これまた不便なところと言わざるを得ない。不便なことが幸いしてか(?)24時間営業こそ可能になっているものの、当初宣伝されていた深 夜便は結局ほとんど使われていない。

 佐賀県も有明海を埋め立てた佐賀空港を持っている。長崎県には大村湾の島を利用した長崎空港がある。どの県もみんな空港を持っているのだが、それ ぞれ主要都市や観光地から非常に遠く、中途半端な印象が否めない。九州の中ではほぼ唯一、利便性の高い福岡空港までもが追い立てられて海上空港になった ら、誰も使わなくなるだろう。

3.失敗を待つマスメディアの監視下 システム一本化を始める三菱東京UFJ銀行(4.23 nikkeibp)
 “馬鹿の一つ覚え”という言葉は、三菱東京UFJ銀行の情報システム統合に関する新聞やテレビ の報道にふさわしい。同行が3年前の2005年2月に、旧東京三菱銀行のシステムに一本化することを決めて以降、マスメディアは開発を進める同行の足を 引っ張る報道を繰り返している。この5月からいよいよシステム一本化作業を始める同行にとって、最大のリスクはマスメディアの報道姿勢と言っても過言では ない。

システム一本化を巡るマスメディアの論調は、「統合作業に不安が残り失敗して大混乱が起きるかもしれない、その場合経営トップは責任を取るべき」 「仮に成功したとしても、総額3300億円というシステム投資は多すぎる」というものだ。そして、統合作業を難しくし投資増を招いた原因として「旧UFJ 銀行のシステムを残さなかった」ことを挙げる。UFJ銀のシステムではなく東京三菱銀のそれを選んだ前後に指摘するならまだしも、3年も経ち一本化作業が 大詰めを迎えている今になっても「UFJ銀のシステムを選べばよかった」と言わんばかりの報道をするのは異常である。

難癖をつけようとするあまり、マスメディアは時に滑稽なことを書く。今年1月4日、三菱UFJ信託銀行が統合システムを動かした際、4店舗でキャッ シュカードが使えなくなった。朝日新聞は5日、「同信託と三菱東京UFJ銀行はそれぞれ(中略)完全統合を1年がかりで進める計画で、先駆けて統合作業に 入った信託のトラブルは計画に不安を投げかけた」と報じた。その根拠として同じ記事に朝日は「(信託のシステム統合は)『銀行側の統合が成功するか否かの 試金石』(行内関係者)とも見られている」と書いた。

三菱東京UFJ銀行内にこうした見方をする“関係者”がいるとは信じ難い。言うまでもないが、三菱東京UFJ銀行は三菱UFJ信託銀行とは別の会社 であり、両行のシステム統合の間に関係はない。仮に日産自動車の新車開発が遅れたからといって、ルノーの新車開発に不安あり、と報じるだろうか。システム 統合の計画に「不安を投げかけた」のは信託のトラブルではなく、朝日新聞の方である。

一方、日本経済新聞は4月5日、「システム統合 『史上最大の作戦』始動」と題した囲み記事を掲載、最盛期に6000人ものシステムエンジニア (SE)を動員する史上空前の開発規模になった理由として、「ある大手銀幹部は『業界で最先端だった旧UFJ系ではなく、旧東京三菱系に合わせてコストが 膨らんだ』と指摘。主導権争いが巨大投資につながった面もある」と書いた。自行を含め大手銀行数行のシステムの優劣を見極められるとは、大変な見識をお持 ちの“ある大手銀行幹部”がいたものである。

4.Web 2.0 Expo】ブラウジングやモバイルは言葉として変,Mozilla財団会長がこんな問いかけ (4.23 nikkeibp)
 Web「ブラウジング」や「モバイル」デバイスは,そのものの本質を表す言葉(メタファー)として,間違っているのではないだろうか− −。米Mozilla Foundationの会長であるMitchell Baker氏は4月24日(米国時間),サンフランシスコで開催中の「Web 2.0 Expo」の基調講演で,このような問いかけをした。

 Baker氏が「ブラウジング」という言葉に異議を唱えたのは,われわれが今,Webブラウザを使って行っている行為が,もはや「ブラウズ(閲覧)」と いう意味の枠を越えているからだ。Baker氏は聴衆に対して,「私たちはWebブラウザを使って,(情報や機能に)アクセスし,ミックスし,マッシュ し,セーブし,ストアしている。これらは今後,デスクトップやラップトップ,電話といったデバイスを問わず,家庭や電車と言った場所を問わずに,行われな ければならない」と訴える。

 そのためにMozillaが現在取り組んでいるのが,「モバイルWeb」の実現だという。「モバイルWeb」を実現するためには,1つのコンテンツがあ らゆるデバイスから利用できる状態になっていなければならない,とBaker氏は主張する。「(Mozillaが開発する)Firefoxは,これまでパ ソコンを念頭に開発されてきたが,(2008年内にリリースされる予定の)バージョン3は,あらゆるデバイスを念頭に開発が進んでいる」(Baker 氏)。Firefoxがモバイル・デバイスに対応することで,あらゆるデバイスから同じコンテンツを利用できるようになると,Baker氏は主張するの だ。

 もっともBaker氏は「モバイル」という言葉もおかしい,と指摘する。「モバイル・デバイスといっても,デバイスが私から離れて勝手に動くわけではな い」(Baker氏)。何より重要なのは,ユーザーが移動している時でも,自宅や職場でパソコンを使っているときと同じように,「私の元に情報が集まる」 (Baker氏)ということであり,それが「モバイルWeb」の本質なのだとBaker氏は主張した。

5.【Web 2.0 Expo】Web 2.0の父が示した「今そこにある3つの変革」 (4.24 nikkeibp)
 「Web 2.0によるグローバルな変化はまだ始まったばかり。インターネットは真の意味でプラットフォームとなりつつあり、すべてのデバイスがつながるようにな る。劇的な変化が待っている」。米国サンフランシスコで開催中のWeb 2.0 Expoで基調講演に立ったティム・オライリー氏(写真1)は、こう切り出した。

 Web 2.0を提唱したことで知られるオライリー氏は、「今まさに始まりつつある3つの大きな変化」として、Web 2.0の企業への浸透、クラウド・コンピューティングの普及、モバイルによるWeb 2.0を挙げた。

 「当初は一般消費者向けのインターネット・サービスで広がったWeb 2.0だが、企業がその価値を理解し始めた。彼ら自身がネットワーク市民の一員となることで、新しい世界が開けると分かり、積極的にWeb 2.0の技術やサービスを自社のサービスに取り込み始めた」(オライリー氏)。

 企業がWeb 2.0の考え方を取り入れた例として、オライリー氏は米デルの顧客支援サイト「IdeaStorm」を紹介した。これはデルの製品やサービスに関する顧客 からの意見や改善の要望を掲載するサイトである。投稿された改善要望に対する人気投票機能も備えている。これまでは掴みにくかった顧客の生の声を基に、製 品やサービスを改善できるようになる。

 IdeaStormは米セールスフォース・ドットコムが自社向けに開発・公開してきた顧客支援サイト「Ideas」を土台に、デルが自社向けに開発し た。セールスフォースのIdeasも元をたどれば、YouTubeなど一般消費者向けWeb 2.0サービスの仕組みを取り入れたもの。セールスフォースのようなソフトウエア企業だけでなく、デルのような製造業もWeb 2.0の仕組みを取り入れ始めたというわけだ。

 オライリー氏はさらに「1.0」の代表的業種として銀行業を取り上げ、「2.0」企業と比較した。大規模データセンターを運営していることや詳細な顧客 データを収集していること、収集した顧客データに基づく行動分析に注力していることなど、両者には共通点が多いとしたうえで、「決定的に違う点が一つあ る」と指摘。それは「収集した顧客データを基に、リアルタイムの顧客対面型サービスを提供しているかどうかだ」(同)。

 ここで同氏が例に挙げたのが、WesabeというWebサイトである(写真2)。Wesabeは銀行やクレジットカードの手数料を節約するための知恵 を、会員登録した利用者同士が持ち寄って共有するサイト。Wesabeが会員のクレジットカード利用履歴を分析して、その結果に会員が節約のアドバイスを する。「Wesabeは人々の知恵を集めて共有し、賢いお金の使い方を示してくれる」(オライリー氏)。

 オライリー氏は、こうしたデータは比較される対象である銀行にとっても有用であり、銀行に新しいチャンスをもたらすと指摘する。銀行もそれに気付きつつ あるという。「Web 2.0によって顧客の知恵を自社のバックオフィスに取り込み、自社を内側から変えることができるようになる」(同)。

Web 2.0がクラウドを加速する
 オライリー氏が2つめの変化として挙げたのがクラウド・コンピューティングである。IBMの初代社長であるトーマス・ワトソン氏が「世界にはコンピュー タが5台あれば事足りる」と語ったとされるエピソードを、“昔話”として引用。「現在ではパソコンから携帯端末まであらゆる機器がインターネット・クラウ ドにつながり、一つの『グローバルなコンピュータ』として振る舞うようになっている」(オライリー氏)。

 クラウド・コンピューティングの代表例として挙げたサービスが、米アマゾン・ドットコムの「EC2」である。「インターネットをOSとして活用できる、 世界規模のIT基盤サービスだ」(同)。

 「アマゾンは自社でクラウド・サービスを提供するだけでなく、新たなエコシステムを形作りつつある」(オライリー氏)。アマゾンのサービスを利用したア プリケーションを開発・提供するベンダーが、続々と登場しているという。ちょうどパソコン用OSであるWindowsの普及が、アプリケーション・ベン ダーの参加によって加速したように、アマゾンのWebサービスも普及や用途拡大を促す好循環を生み出しつつあるというわけだ。

 クラウド・コンピューティングにはグーグルも参戦を表明したばかり(関連記事)。Web 2.0のサービス事業者の多くが、こうしたクラウド・コンピューティングを利用して素早く自社のサービスを立ち上げている。「今後もこうしたトレンドがま すます加速するだろう」(同)。

 3つめの変化はモバイル機器とセンサーによるもの。「モバイル機器とは電話だけにとどまらない。良い例がマイクロソフトの新サービスだ」。オライリー氏 はこう述べて、モバイル分野における変化の兆しとしてマイクロソフトの新サービス「Live Mesh」を紹介した。ノートパソコンや携帯情報端末など非パソコン機器を、クラウドを介して連携させるサービスである(関連記事)。マイクロソフトです ら非パソコン機器を前提にしたサービスに踏み出したことで、「ソフトウエアが単一のデバイスだけで動作する時代は終わった」(同)。

 「Web 2.0による変化は、まだ始まりに過ぎない。世界を変えよう」。オライリー氏は一段と語気を強めて、講演を締めくくった。

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