週間情報通信ニュースインデックスno.641   2008/02/02

1.米Microsoft,迷走の末の「Yahoo!買収」提案(2.2  nikkeibp)
  Yahoo!の後追いだったWeb 1.0型(=ポータル・サイト)の「MSN」を捨て,Google後追いの「Live」を始めたはずの米Microsoftが,いつしかMSN路線を復活 させ,最終的にYahoo!買収に至った---。Microsoftが2月1日に発表したYahoo!に対する買収提案からは,オンライン広告分野で苦悶 するMicrosoftの姿が浮かび上がる。

 MicrosoftがYahoo!に対して買収を提案した唯一の目的は,当然の事ながら,オンライン広告市場を支配する米Googleの追撃である。し かし,Google追撃の手段がなぜ,一度諦めたYahoo!の買収なのだろうか(Microsoftは今回,2006年末から2007年初めにかけて, Yahoo!と同社の買収に関して協議したことを明らかにしている)。ここ数年のMicrosoftのオンライン事業を巡る動きを振り返ってみよう。

 Microsoftが「Live」ブランドでGoogleを追い上げると発表したのは,2005年11月のことである。Liveサービスの狙いは当時か ら「広告」であり,Ballmer氏は「Microsoftの事業で今後最も成長するのは広告ビジネスだ」と力説していた。

 Liveを始めるまで,Microsoftのオンライン事業の中心は,米Yahoo!を仮想敵とする「ポータル・サイト」の「MSN」だった。MSNに おける検索サービスやソフトウエア・サービスの比重は小さく,収入の中心はニュース記事や動画などのメディア・サービスと,それに伴う広告ビジネスだっ た。

 しかしMicrosoftは「Yahoo!型のMSN」を捨て,「Google型のLive」に全力を投入。ユーザーになじみの深い無料メール・サービ ス「Hotmail」を「Windows Liveメール」に,「Windows/MSNメッセンジャー」を「Windows Liveメッセンジャー」に,ポータル・サイトのMSNをLive.comに模様替えすることさえ模索した。MSN時代の経営幹部も2006年春には次々 と社を去り,その様子は「MSNメルトダウン」と表現されたほどである。

 しかし,MicrosoftのLive路線は,思ったほどの成果を上げられなかった。Live構想を発表したわずか1年後の2006年末に, MicrosoftがYahoo!と買収交渉を始めていたことこそが,同社の苦境を物語っている。

 この苦境は,直近の決算にもはっきりと表れている。Microsoftの2007年10〜12月期決算におけるオンライン・サービスの売上高は,前年同 期比38%増の8億6300万ドル。米Googleの2007年10〜12月期決算の売上高48億2668万ドル(前年同期比51%増)と比較すると, 額・伸び率ともに大きく見劣りする。

 2007年に入ると,MicrosoftがGoogle路線とYahoo!路線の狭間で悩むのをあざ笑うかのように,Google自身がYahoo!や MSNのテリトリーに進出し始めた。Googleは2007年5月にディスプレイ広告(バナー広告)に強い米Double Clickを買収。いよいよメディア向けの広告ビジネスでも,Googleは無視できない存在になった。Microsoftも,同じくディスプレイ広告に 強い米aQuantiveを60億ドルで買収して,Googleになんとか対抗を図る。

 しかしGoogleは手を緩めない。2007年秋には,携帯電話機プラットフォーム「Android」を発表。Microsoftとしては, 「Windows Mobile」を担ぐスマートフォン向けOS市場を侵食されるだけでなく,携帯電話機向け広告でもGoogleの後塵を拝するおそれが出てきた。

 結局Microsoftとしては,無理にでもYahoo!を買収せざるを得なくなった,というのが実情なのだろう。 Microsoftからの「求愛」 に対して,まずはYahoo!の経営陣や株主がどのような判断を示すか,しばらくは目が離せない。

2.NTTドコモ 客流出に歯止めかかる気配も、成長の道筋見えず(2.1  nikkeibp)
 店頭にお客さんが並んでくださったのは久しぶりだ。 うれしかった――。  NTTドコモ(9437)が1月29日に開いた2007年10〜12月期決算発表の席上、中村維夫社長はこんな言葉を漏らした。  中村社長が手応えを感じているのが、昨年11月26日の発売以来、1月半ばまでに200万台以上を販売した「905i」シリーズだ。人気機種であるパナ ソニックモバイルコミュニケーションズ製の「P905i」、いわゆる「ビエラケータイ」は現在でも品切れ状態が続いている。

2007年4〜12月の営業利益は前年同期比7.7%減の6250億円。通期予想の7800億円は「射程に入ってきた」(中村社長)が、値下げ競争が続く 中で前年割れの厳しい状況に変わりはない。「905i」のヒットが業績を直接押し上げてくれるわけではない。  それでも「905i」のヒットの効果は、これからゆっくりと表れてきそうだ。その兆しは今回の決算発表からも見て取れる。

解約率が着実に低下

 ドコモの解約率が下がり始めているのだ。 2006年10月のナンバーポータビリティー(番号持ち運び)制度導入以降、ドコモの解約率は1%近くで高止まりしていたが、2007年10〜12月の解 約率は0.74%にまで下がった。  理由は2つある。1つが、昨年8月に導入した利用者が2年間利用し続けることを条件に、誰でも基本使用料を半額にするサービスの効果が出てきたこと。も う1つが、ドコモが「905i」の発売に合わせてスタートさせた新しい販売モデルの効果だ。

 新しいモデルの中心となるのが「バリューコース」。月々の利用代金を安くして、その代わりに販売奨励金(端末の購入代金の一部をドコモが補填する仕組 み)を減らすという仕組みを取り入れた。端末の値段は高くなるが、長く利用すればするだけ得することになる。

 ドコモによると、昨年12月末までに「905i」を購入した利用者のうち、94%がこのバリューコースを選択した。バリューコースを選ぶ利用者は、端末 を購入する際、一括払いか分割払いかを選択できる。利用者のうち、4人に3人が分割払いを選んだ。

 905iのヒットが、ドコモ利用者の買い替え需要を刺激している。買い替えが加速して分割払いを選択する利用者が増えれば、解約率の低下に拍車がかかる 可能性がある。分割払いや割引による期間拘束でほかの携帯電話会社に乗り換えにくくなれば、累積の契約者数で約5割のシェアを持つドコモにとってのメリッ トは大きい。

 グーグルを横取り

 ドコモは今年1月、米グーグルとの包括的な提携を発表した。グーグルとの提携ではKDDIが先行していたが、同様のサービスをドコモの携帯電話上でも利 用できるようになる。具体的には、グーグルによる検索やグーグルマップの標準搭載のほか、GmailやYouTubeなどがドコモの携帯電話上で利用でき るようになる。

 さらに両社は、グーグルの携帯電話向けOS(基本ソフト)「アンドロイド」の開発でも密接に連携していくという。中村社長は決算発表で「世界標準のもの にiモードを付加するようなことができないか。世界戦略の方向を変えていく」と述べた。アンドロイドとiモードを組み合わせて世界で売り出すような展開 も、可能性としては考えられそうだ。

 携帯電話の契約数は1億台を超え、国内はすでに飽和市場となっている。成長性の乏しい市場では高いシェアを持つ企業が有利になりやすい。ドコモは顧客流 出という「流動性危機」を乗り越え、成熟産業のチャンピオンの地位を手に入れようとしている。

 いくら高いシェアを維持したとしても、値引き競争が広がる中では利用者1人当たりの支払い料金は低下するばかり。収益はじりじりと減少していくほかな い。5000万人近い契約者という巨大な面を生かしてどのように収益を深く掘り下げていくのか。グーグルとの提携でもこの具体的な姿ははっきりとは見えて こない。誰もが納得する成長の道筋を描けなければ、いくらシェアを維持しても投資家は納得しないだろう。

3.NTTを縛る“電話的価値観”(1.30 nikkeibp)
 過去の成功体験が大きいほど、企業は成功を生み出した考え方や価値観から抜け出しにくくなる。価値観と時代が合致しているうちはよい。し かし時代は移り変わるものだ。企業が時代遅れの価値観を貫き通せば、企業は迷走し始める。

 ところが、成功体験に基づく古い価値観で育った経営陣は、時代と価値観のズレに気付かない。古い価値観の影響を受けていない若い世代が変革すべきと進言 しても、ことの重要さを理解できない。つまり企業は自分自身を古い価値観でがんじがらめに縛って、変革のチャンスを自ら捨ててしまうのだ。

 こうした企業の自縛現象は、多くの企業に見られることだ。特に伝統があり、大企業であるほど陥りやすい。その代表が、NTTグループである。NTTの迷 走は、鳴り物入りで始める次世代ネットワークやIPネットワークの障害などで明らかになりつつある。

 「このままでは、NTTは今の時代に必要のない会社になるのではないか」−−。中堅・若手社員を中心に、こうした危惧の声が上がる。通信業界最大手であ るNTTグループの迷走は、日本の通信・IT業界の硬直化にもつながる恐れのある大きな問題である。この連載では、NTTがとらわれている価値観の正体と その弊害を明らかにしていこう。


期待外れだった次世代ネットワーク

 NTT東日本が2007年10月25日に開催した次世代ネットワーク(NGN)の記者会見では、報道陣のいらついた声が会場に響いていた。既存サービス と代わり映えしない発表内容を見た記者から質問が飛んだ。「結局、オプション・サービスの契約をしない限り、今のフレッツと同じというわけですか?」。

 発表者であるNTT東日本の渡邊大樹取締役はやや間をおいて、こう答えた。
「つまり、そういうことになります」。

 報道陣がいら立つのも仕方がない。これまでNTT持ち株会社はNGN構想を大々的にアピールしてきたからだ。NTT持ち株会社の和田紀夫社長(当時)は 常々、「NGNはインターネットと同じIP(Internet Protocol)技術を使うが、電話の信頼性とインターネットの柔軟性を“いいとこ取り”したインフラだ」と強調し、その素晴らしさをアピールし続けて きた。

 それがいよいよ商用サービスに向けてふたを開けてみたら、「現行フレッツの単なる後継」と再定義され、それまでの期待感は急速にしぼんだ。どうしてこん なことになってしまったのだろうか。

100年かけて築き上げた価値観

 NGNは画期的なサービスを実現する一大プロジェクトだったはずが、単なるNTTのネットワーク更改になってしまった。この理由は、NTTが電話時代の サービス開発のやり方をついつい踏襲してしまったことにある。NTTが100年かけて築き上げた“電話的価値観”で、自分自身を縛っているのだ。NTTグ ループに根深く残る電話的価値観を紹介しよう。

 主な電話的価値観には、(1)NTT自らが信頼性の高い交換機を開発する「自前主義」、(2)計画に従ってネットワークを維持し続けることを重要とする 「計画を重視するマインド」、(3)電話ビジネスから生まれた「プロダクトアウト的思考」の3つがある。

 電話サービスで使ってきた電話交換機は、国内通信機器メーカーと連携して作り上げた高度な耐障害性を持つ代物。めったなことでは壊れないように、細部の 仕様までNTT主導でメーカーと一緒に設計・開発してきた。自前主義で作った信頼性の高い電話交換機を使えば、電話の使用量が多少増えても持ちこたえられ る。それに、電話の使用量は、災害時などを別にすれば、それほど急激に増えることはない。

 こうして、NTTでは計画経済的に設備投資や構成の見直し計画が作られ、それに沿って粛々と交換機のネットワークは高度化されてきた。つまり、柔軟に ネットワークを見直すというよりも、一度作った計画を重視するやり方に慣れてしまった。 計画的なインフラ更改によって可能になる機能追加こそが、新サー ビスを提供するトリガーとなる。「こんなサービスがほしい」「利用したい」というユーザーのニーズがサービス開発のきっかけになっていなかったのである。 例えば、アナログ電話交換機をデジタル交換機に替えることで新しい機能が使えるようになると、新サービスを提供するといった具合である。この電話的価値観 に基づいて構築が進んだと考えれば、NGNがユーザーから見て画期的なサービスにならなかったのは納得がいくだろう。

IP時代に露わになった弊害

 ただし、電話的価値観自体が悪いわけではない。むしろ電話全盛の時代には、優れた考え方だった。自前主義は、電話サービスの信頼性を高めるための努力の 結果だ。計画的にネットワークを更改した方が、場当たり的にネットワークを構築するより効率的である。

 耐障害性が高い電話交換機を使い、従量課金が当たり前だった固定電話サービス全盛の時代が今後も続くなら、NTTが電話的価値観を大事にしていても弊害 を生まないはずだ。しかし、電話の時代は過ぎ去りつつある。代わってインターネットで主流となったIPの時代には、電話的価値観は弊害を生んでしまうの だ。

 NTTはNGNでも無意識に、電話的な価値観に従ってインフラ機能をアピールしてしまった。電話交換機を機能強化してきた時と同様に、「大容量」「帯域 制御ができる」などNGNの機能を前面に出したのである。しかし、ユーザーにしてみれば、ネットワークの機能をいくらアピールされても困る。知りたいの は、「それでどんなサービスが可能になるのか」「いくらで利用できるのか」「どんな利便性があるのか」などの情報であるはずだ。

 ところが、NGNを主導してきたNTT持ち株会社には、ユーザー目線のこうした発想がほとんどなかった。電話的価値観に基づくプロダクトアウト的な発想 があるからだ。このため、商用化直前に「NGNのふたを開けてみたら、箱の中はからっぽだった」という事態につながったのである。

4.「Netscapeは3月にサポート終了、Firefoxに乗り換えを」――モ ジラ(2.1 nikkeibp)
Mozilla Japanは2008年2月1日、Webブラウザー「Netscape」の開発とサポートが3月1日に全面的に終了することを受けて、実質的な後継製品で ある「Firefox」への移行を推奨するとともに、移行方法などをまとめたWebサイトを開設した。

Netscapeブランドのブラウザーを提供している米AOLは2007年12月29日、Netscapeの開発とサポートを2008年2月1日に 終了することを発表。その後、3月1日までサポートを延長することを明らかにした。3月1日以降は、Netscapeは一切アップデートされなくなる。

5.おサイフケータイ「なりすまし怖い」が5割(1.31  nikkeibp)
セキュリティに不安を感じているユーザーが5割を超える
調査会社のネプロジャパンとネプロアイティは2008年1月31日、おサイフケータイに関するユーザー意識調査の結果を発表した。

 おサイフケータイとは、電子マネーの「Edy」や「Suica」などを携帯電話で利用できるようにしたもの。リーダー/ライターから現金をチャージ(入 金)したり、クレジットカードからチャージしたりして利用する。調査は2008年1月10〜11日にかけて行われ、有効回答数は4601人。男性44%、 女性56%。

 おサイフケータイを利用したことが「ある」と答えたのは14%で、所有する携帯電話にその機能はあるものの、利用していないという回答が61%と大半を 占めた。

 利用していない理由は「必要性を感じない」が30%で最も多いが、次いで「携帯に機能が付いていないから」が15%、「セキュリティが心配だから」が 12%となった。利用の有無にかかわらず、セキュリティに関して「不安」「非常に不安」と答えたユーザーが5割以上にも上った。その理由として同社は 「2007年末にJR東日本のモバイルSuicaでなりすましによる不正利用が相次いだため」と見ている。



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