週間情報通信ニュースインデックスno.635   2007/12/15

1.中国人が日本で買い漁っているもの(12.14 nikkeibp)
 会 場に入ると、見慣れない光景が広がっていた。入口付近に10人以上の男性が固まり、ものすごくデカい声で言い合っている。「何でぃ何でぃ、喧嘩かぃ」と腕 をまくってみたが、みな興奮しているがバカ笑いしている人もいたりして、揉め事という風でもない。近寄って聞くと、音声は中国語のようである。

 場所は東京美術倶楽部。「正札市」という、新古美術品を1万点も集めた年に2回の大展示即売会での光景である。知り合いの美術商に「何ですか、あ れは」と聞くと、「何だかこの会を目あてにしたツアーの参加者らしいですよ。いやぁ、大勢来てくださるのはいいんですけど、手癖の悪い人も混ざっちゃって いるみたいで」という。何でも、会場での盗難事件がこのところ、すごい勢いで増えているのだという。

 10年くらい前まで、日本でよく見かける中国人の美術関係の業者といえば、いわゆる「担ぎ屋」という人たちがほとんどだった。どんな手段を使うの かわからないが、母国で大量に美術品を仕入れ、無事に税関をすり抜け、日本に持ち込む。それを担いで古美術商などを回り、「卸売り」するのである。メイン は贋物なのだが、「わざわざ仕入れるより掘ってきた方が安い」ということか、かつてはビックリするような発掘の名品が混じっていたりすることもあったらし い。

 美術品の価格は需給バランスで決まる。そんな人が増え供給過剰になり、さらには贋物が市場にあふれた結果、日本市場における中国美術品の価格は暴 落した。それを受けて仕入れ原価を抑えたためか、担ぎ出されてくる美術品の質も下がり、粗悪な贋物が増え、さらに市況は悪化していく。そんな負のスパイラ ルが続いていると思ったら、4〜5年くらい前から急に、日本に古くから伝来している中国美術品の里帰りが始まったのである。今や、日本で見かける中国人美 術商の大多数が担ぎ屋ではなくバイヤー、つまりは買い出し屋である。

 おかげで、中国の古い漆芸品、書画、磁器などがものすごく値上がりしている。「10年前は数万円で取り引きされていたものが、中国人バイヤーに数 百万で売れた。それでビックリしていたら、それが上海でオークションにかけられて、数千万の値段がついたと聞いたときは腰を抜かした」などという景気のい い話をやたらよく聞く。この前まで日本の古美術品をもっぱら扱っていた国内の業者さんが、にわかに「中国美術専門店」に看板替えするケースも珍しくないら しい。現代中国製の贋物は今でもどんどん入ってくる。そして、時代を超えて賞玩されてきた価値ある本物は、どんどん日本から中国に流出しているのである。


2.デスクの飾り付けでやる気アップ(12.14 nikkeibp)
 
オフィスのデスクに自分のお気に入りのモノを飾るなどして、個性を反映させたり、自分に合うように環境を整えたりすることを「パーソナラ イゼーション」と呼びます。やる気を高める有効な手段の1つです。

米国UC バークレー校の名誉教授で建築家のヴァン・ダー・リンらの調査によると、学生寮で個室の壁にポスターなどを張ることや、部屋の模様替えを規則によって禁止 すると、やる気が下がる学生が多い、という結果が得られたそうです。

一方、環境心理学者のW・B・ハンセンとアーウィン・アルトマンらが行った、米国ユタ大学の新入生寮の部屋を対象とした研究では、中途退学した学生 の部屋は、在学中の学生の部屋に比べて飾り付けが少ないという事実が判明しました。

さらに、米国コーネル大学のフランクリン・ベッカーの研究によると、「パーソナライゼーション」にかけた費用が多いほど部屋の満足度は高くなること がわかりました。
このように、デスクを飾り付けるといったパーソナライゼーションは、個人が満足できる環境づくりに欠かせない要素です。

NTT からスーツ売り場へ、「顧客管理」に目覚めて起業(12.13 nikkeibp)
 「私はNTTに入社して、たった9カ月でドロップアウトしたんです」。11月20日に大証ヘラクレス市場に上場したシナジーマーケティン グの谷井等社長は、こう言って笑ってみせる。
1996年に入社して、大手化粧品会社を担当する法人営業部門に配属された。ところが「大きな会社なのでチームを動かせる地位になるのに10年近くかか る。若気の至りというか、それまで待っていられないと思って」と退職の経緯を語る。「ただ、朝起きられなかったからという話もありますけど」と付け加え、 また笑いを誘う。

シナジーマーケティングは、インターネットを通じてソフトウエアの期間貸しをする方式で、企業に顧客情報管理システムを提供するIT(情報技術)ベ ンチャーだ。期間貸しする方式なので、企業はシステムを独自に構築する必要がなく、初期費用を抑えられる利点がある。IT業界で「SaaS (Software as a Service)」と呼ばれる、注目のビジネスモデルだ。

メール配信やアンケートができるソフトなどを取り揃え、顧客の動向を分析したいと考える企業の需要を開拓してきた。松下電器産業から顧客情報の管理 を一手に引き受けているほか、今や約800社の企業が利用する。同じ方式の国産システムとしてはシェアトップだという。

4.NTT東西と任天堂「Wii」との協業が示唆するもの(12.12  nikkeibp)
 11月下旬、NTT東西地域会社は任天堂と共同で、ゲーム機「Wii」とNTT東西の光ファイバー・サービスの接続を推進する協業について発表した。 「パソコンを使わないユーザーを獲得したい」−−。発表会に登壇したNTT東日本の古賀哲夫副社長は狙いを説明した。

 今回の協業は、ゲーム機からのネット接続を増やしたい任天堂と、パソコン以外に光ファイバー利用の起爆剤となる端末を必要としているNTTのニー ズが合致したもの。両社は共同でユーザーがWiiをNTT東西の光ファイバーでインターネットにつなぐ際のサポート窓口を設置するほか、光ファイバーを 使った機器のセットアップをパック化して提供する。

 NTT東西の光ファイバーは、2008年にNTT東西が商用サービスを始めるNGN(次世代ネットワーク)のアクセス回線である。今回の任天堂と の協業からは、NTTがNGNで目指す方針の一端が垣間見えた。

 そもそも現在の加入電話網は、電話という単一アプリケーションのために作られたネットワークである。1995年ころインターネットが一般に広がったあた りから、家庭とNTT局舎を結ぶ電話線の接続相手としてパソコンが急浮上した。電話線でやり取りされるものは音声が中心だったが、テキスト・データから動 画などの大容量データまでが扱われるようになった。

 こうした経緯を踏まえて構築されるNGNは、加入電話網の後継ながら、はじめから電話だけでなく様々な機器をつなぐことを前提として作られる。任 天堂との協業のように、家庭用エンターテインメント機器のテレビゲーム機を大容量の光ファイバーに接続すると、ゲームと高速な通信を絡めた新サービスの登 場を期待できる。ゲーム機以外にも新しい選択肢を加えることで、機器と高速ネットワークとの接続を前提とした新しいビジネスが育ってくるかもしれない。

 これまで加入電話網は電気・ガス・水道と同じように、ライフラインとしての役割を担ってきた。この広くあまねく存在するネットワークがNGNに進 化すると、これまで以上に新しい市場を生み出せるビジネス・インフラになる。

 こうなるとNGNを構築するNTTには、従来とは全く異なる発想のビジネス・モデルが必要になる。しかし電話会社としての長い歴史を持つNTTに は、新しいビジネス・モデルの構築に対する戸惑いや悩みが透けて見える。

5.イノベーションは細部に宿る(12.12 nikkeibp)
 auの携帯電話機「INFOBAR」やプラマイゼロの家電など、これまで数々の製品デザインでイノベーションを起こしてきた深澤直人氏 は、デザイナーに必要なのは、問題を正しい視点から捉える力だと語る。

深澤氏の言う「正しい視点」とはどのようなものか。世の中に出回る多くの商品がいまやデザインされすぎている感がある。そうした中で、モノの本質を 捉え直してもう一度製品の在り方や姿を整理し直す作業ができること、と言い換えても良いだろう。

傘立てのデザインを例に取ろう。多くのデザイナーが考えるのは、傘を入れるための箱をどんな形にするか、ということ。一方で深澤氏は人が傘を立て掛 ける時に取る無意識の行動に注目する。傘立てが無いとき、人はどうするか。床がタイル状になっていれば、傘が滑って倒れないように、目地に傘の先を置いて 壁に立てかける。そう考えれば、玄関の壁ぎわに傘を置くための溝を1つ作れば必要な機能は十分満たせるはず。こんな考えが、これまでの常識を越えた新たな イノベーションを生むのだ。

そこでは、特に誰も目を向けなかった細部を意識することも重要だと深澤氏は言う。同氏がデザインした松下電工のユニットバス「i-u」では、壁と浴 槽をつなぐ目地、床と壁の継ぎ目の幅木、換気扇の出っ張りなどや浴槽のフチを極力抑えることに注力した。これにより、樹脂製品にありがちな安っぽさを無く し、スッキリと静謐感のある空間を作り上げた。


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