週間情報通信ニュースインデックスno.625   2007/10/06

1. 「年収100万円台の非正社員」を放置していいのか(10.5 nikkeibp)
 景気拡大が続いている。 拡大のペースは非常に緩やかではあるが、その間に雇用関係の指標も大きく改善した。 2002年1月に0.5倍と最低を記録し た有効求人倍率は、2007年7月には1.05倍に上昇。 有効求人倍率が1倍を超えるということは、数字の上では、すべての求職者に求人が行き渡ってい ることを示している。

 直近で有効求人倍率が1倍を超えていたのは、バブル期の1988年から1992年までのことだから、現在の求人の盛り上がりは、数字を見る限りバ ブル期並みということになる。
こうした状況を指して、構造改革路線は正しかったという学者が少なくない。「改革が成功したからこそ雇用情勢が改善した」と彼らは主張する。だが、それは 本当だろうか。

 有効求人倍率が改善したからといって、素直に喜べないのにはわけがある。通常の有効求人倍率には、パートタイマーの求人が含まれているからだ。  正 社員のみの求人倍率は、厚生労働省が毎月、参考指標として発表している「正社員の有効求人倍率」にある。これは、正社員の月間有効求人数を、パートタイム を除く常用の月間有効求職者数で除して算出したもので、2007年7月の値は0.59倍。つまり、求職者10人に対して、正社員の求人は6人以下であっ た。

 以上のことから、「パートでよければ誰でも職は見つかるが、正社員として就職するのは難しい」ということがお分かりになるだろう。しかも、この正 社員の有効求人倍率は、前年の数字を0.01ポイント下回っている。正社員の職を得ようとする人にとって、雇用情勢は改善しているどころか悪化している だ。

わたしは繰り返し、「非正社員の増加は、今後の日本にとって大きな問題となる」とさまざまなメディアで主張してきた。その理由は、こうした年収 100万円台の非正社員を放置した場合、将来何が起きるかを考えてみれば分かるだろう。

 年収100万円台の人たちの大半は年金を払っていない。このまま放置して、年金制度が崩壊したらどうなるか。彼らの生活保証はすべて生活保護が受 け持つことになり、莫大な税金が必要となってしまう。

2.ネット業界人、転職は当たり前、メタボは予備軍を含め約4割(10.4  nikkeibp)
ソフトバンク・ヒューマンキャピタルは10月4日、インターネット関連企業で働く人の意識調査の結果を発表した。それによると、転職経験者は79.0%に のぼり、未経験者でも転職を考えたことのある人が64.3%に達した。インターネット業界では転職が当たり前に行われているという。

転職をした、あるいは転職を考えた理由としては、「やりがいのある仕事をするめ」(31.1%)、「仕事環境を変えたかったため」(25.1%)、 「年収を増やすため」(24.9%)という回答が最も多かった。

ブログを書いている人は52.2%に達し、1日1回以上更新している人は30.6%だった。また1日に受信するメールが100通を超える人は 39.8%にのぼった。
見た目が「やや太っている(メタボリック予備軍)」と考える人は31.5%、「太っている(メタボリック)」は9.3%だった。
調査は、2007年9月27〜28日にかけて、同社が運営するインターネット業界向け転職サイト「イーキャリア」において、20〜30代の男女400人を 対象に実施した。

3.戦略なきところにリスクは見えず(10.4 nikkeibp)
 9月30日に金融商品取引法(金商法)が全面施行されました。金商法は投資家保護を目的として証券取引法など旧来の法制度の改正及び新設の規定を盛り込 んだ法律で、様々なポイントがあります。

 中でも脚光を浴びてきたのが、財務報告の虚偽記載などの防止を目的とした、内部統制報告書制度を設けたことです。金商法の施行で、主に株式上場会 社に対して財務報告に関する内部統制体制の報告を四半期ごとに義務づけ、2008年4月以降の決算期から全上場会社に適用することにしたのです。

 金商法で内部統制報告書制度を設けた趣旨は、粉飾決算を防いで財務報告の信憑性を高めることで、投資家の利益を保護することにあります。制度の目 的はあくまで粉飾防止であって、内部統制はその手段に過ぎません。

 しかし、残念ながらこの内部統制報告書制度に関して、一般事業会社の間でその趣旨を誤解している節があります。内部統制のための文書化をどのよう にすればよいのか、そのための内規をどのように書かなければいけないのか、といったテクニカルな部分に議論が矮小化されているように見受けられます。

 内部統制の根幹はリスク管理にあります。金商法では財務報告に焦点を絞っているようにとらえがちですが、適正に財務報告をするには、会社が法令順守や業 務効率化、資産保全など企業活動全般にわたるリスク管理を一体的に行う必要があります。

 本来、会社が抱えるリスクには、1つとして同じものがないはずです。会社ごとに業務内容も違えば、事業規模や事業特性も異なる。経営環境や成長段 階も違います。各社にはそれぞれ独自のリスク管理手法があるはずで、どの会社にも当てはまる内部統制の仕組みなどは、存在しないのです。

 適切なリスク管理をするには、明確な経営戦略の構築なしにはあり得ません。新たな商品・サービスを投入して収益の急成長を狙う場合と、競争プレー ヤーも限定されている安定した収益基盤を守る場合とでは、おのずとそこに内在するリスクは違います。会社としてどのように事業を展開していくかの戦略を持 たなければ、どのようなリスクが発生し得るか、そのリスクの発生を抑えるために何をすべきか対応できません。

 金商法の内部統制報告書の監査に関する実施基準では「財務報告の信頼性の確保」「業務執行の効率性の確保」「コンプライアンス(法令順守)の確 保」「資産の保全」といった4つの目標が掲げられており、さらに「統制環境」「リスク評価・管理」「統制活動」「モニタリング」「情報とコミュニケーショ ン(伝達)」「IT(情報技術)への対応」など7つの構成要素が挙げられています。

 要するに、財務報告の信頼性の確保をはじめとする4つの目標を達成するために、自社のリスクを分析・評価して、そのリスクに対応した行動(統制活 動)を取り、その結果をチェック(モニタリング)して、改善すべき点は改善する、ということなのです。いわゆるPDCA(プラン、ドウ、チェック、アク ト)を繰り返して螺旋を描くように企業活動を高度化させていくことを法は求めているわけです。そして、これこそがリスク管理のあるべき姿なのです。

 ただし前述したように、こうしたリスク管理手法は各社各様です。まずは自社のリスクがどこにあるのかを想像力をたくましくして見極める必要があり ます。金融機関の例で言えば、銀行強盗に遭ったらどうするのか、あるいは情報漏洩が起きたらどうするのか、といった具合にリスクを個別・具体的に想定する のです。そこで重要なことは“明日のために備える”ということです。

「儲 からない免許」で争奪戦(10.2 nikkeibp)
 イス取りゲームにこぞって参加した通信のガリバーたち。しかし、必死になって奪い合うイスはどこか座り心地が悪そうに見える――。次世代高速無線通信の 免許争奪戦の光景だ。

 総務省が用意したイスは2つ。それを(1)NTTドコモ・アッカネットワークス連合、(2)KDDIグループ、(3)ソフトバンク・イー・アクセ ス連合、(4)ウィルコムが奪い合う。下馬評では国産の次世代PHS技術での参入を目論むウィルコムが一歩リード。ほかの3陣営はWiMAX(ワイマック ス)と呼ばれる同じ技術で参入を目指しており、争奪戦の行方は混沌としている。

 だが、通信会社の鼻息の荒さが目立つ一方で、争奪戦を見守る投資家の目は、実は冷ややかだ。数千億円規模とされる投資額に対し、収益の見通しが不 透明なためだ。
「手がける通信会社にとって、免許獲得はプラスというよりマイナスの評価につながる」(モルガン・スタンレー証券の田中宏典アナリスト)、「投資額と収益 計画のバランスが取れているか。慎重に見極める必要がある」(野村証券の増野大作アナリスト)。市場の声はどこかつれない。

 高速データ通信に最適とされる次世代高速無線通信だが、どれだけ利用者を獲得できるかは不透明。利用が進んでいない公衆無線LANの二の舞いを危 惧する声すらある。ある陣営の首脳自身からも「収益は正直言って厳しい」との本音が漏れる。

 ドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社は、携帯電話の高速化、次世代携帯電話の開発を進めている。二重投資に陥るリスクもある。
それでも携帯大手3社が免許を欲しがるのはなぜか。各社が取り組むデータ通信事業の現状にヒントがある。

携帯大手3社はデータ通信の定額プランを提供しているが、これは携帯電話でデータ通信を楽しむためのもの。パソコンを携帯電話につないでデータ通信 を無制限に楽しむことはできない。パソコンは通信量が格段に大きいため、携帯電話のネットワークに負荷がかかりすぎるためだ。ドコモはパソコンでのデータ 通信向けに月額1万円の定額プランを近く投入するが、動画の利用などは制限している。

 パソコンでのデータ通信を無制限に認めれば、大規模なインフラの増強を迫られる。データよりも音声で儲けている携帯電話のビジネスモデルからすれ ば、データ通信のための巨大投資は利用者の理解を得にくい面もある。

 携帯大手3社がワイマックスで次世代高速無線通信に参入する事情はここにある。別会計のワイマックスにデータ通信の新たな需要を振り向け、携帯電 話事業の負担を和らげる狙いだ。

 「携帯とワイマックスは、サービスも機器も異なる。ネットワークは別々に作る必要がある」(KDDIの小野寺正社長兼会長)、「データ通信を野放 図には増やせない。鬼門のパソコンでの利用はワイマックスでカバーする」(ソフトバンクモバイルの松本徹三副社長)。各陣営の見解はほぼ一致する。

 数千億円規模の投資が必要で、利用者を早期に確保することが収益好転の必要条件になるワイマックス事業。データ量の急増への対応という思惑が一致 しているのなら、携帯大手3社が大連合を組む選択肢もあったはずだ。

 実際、ソフトバンクからKDDI、ドコモに秋波は送られていた。ただ、ドコモもKDDIも単独参入の意欲が強く、提携はまとまらなかった。 どの 陣営が勝つにせよ、幅広く利用者を集めるには、ほかの通信会社との協力が近道。総務省がネットワークの開放を免許取得の条件にしたこともあり、イス取り ゲームの後には、再び大連合を探る動きも出てきそうだ。そこで足の引っ張り合いが起これば、ワイマックスは「儲からない」ままで終わり、大量データ通信時 代に対応したインフラ構築は一歩後退する。

5.【CEATEC】NGNとインターネットは対立しない---NTT副社長 (10.3 nikkeibp)
  「よく“NGN V.S. インターネット”という対決の構図でとらえられるが,これは違うと思う。NGNとインターネットは共存する」---。NTT副社長の宇治則孝氏は2007 年10月3日,幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2007」の基調講演で,次世代ネットワーク「NGN」の姿を紹介した。

 宇治氏がまず指摘したのは,日本のネットワーク利用環境の変化である。2007年現在,インターネットの“のべ契約者数”は,全人口とほぼ同じ程度に達 しているという。音声を中心とした電話の利用が減り,代わりにデータ通信が増えている。

 データ通信のブロードバンド化も目覚しい。内訳は,FTTHが966万人,xDSLが1379万人,CATVが369万人。特に,xDSLからの切り替 えなどによって,FTTHが急速に伸びている。携帯電話の世界でも,MOVAからFOMAへのシフトが進んでいる。ブロードバンド利用料金は,日本が世界 で最も安い。このように,IPアプリケーションを快適に使うための環境が整備されつつある。

 こうした背景の下,NTTは社会と文化を支えるインフラとしてオープンなネットワークを構築することを中期経営計画に挙げている。サービス事業者が各種 のアプリケーション・サービスを提供できる環境を,NTTが用意して支えていくという。その環境こそ,NGNである。NGNをベースに,ネットワーク・ サービス事業者を含んだエコシステムを構築していく考えだ。

 NGNを構築するにあたっては,既存の2つの通信サービスの良いところを取り入れることにしたという。サービスの一つである電話網は,安心・安全を追求 したライフライン。もう一つのサービスであるインターネットは,分散型で自由なネットワークだ。NGNは,セキュリティや信頼性を確保しながら,IPアプ リケーションを利用しやすいネットワークにするという。NGNの特徴として宇治氏は,QoS,セキュリティ,信頼性,オープンなインタフェース,の4つを 挙げる。

 NGNによって実現するアプリケーションとして,宇治氏は4つほど例を挙げた。一つは,遠隔病理診断支援である。医師が手術中,専門医に映像を見せてア ドバイスを仰ぐという使い方だ。二つめは,映画館に映画のディジタル・データをデリバリ(配信)する用途。郵送するよりもコストが安く済むという。三つめ は,家庭にハイ・ビジョン映像を送る用途。最後が,NGNの回線識別情報を既存の認証技術と組み合わせた複数要素認証である。


 

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