週間情報通信ニュースインデックスno.616 2007/08/04

1.森永卓郎:自民党が破滅への道を進む可能性(8.1 nikkeibp.jp)
7月29日に行われた参議院議員選挙の結果、安倍総理の率いる自民党の獲得議席は37議席にとどまり、歴史的な惨敗を喫した。わたしは、選挙前の自民党大敗報道により、自民党が最後の底力を見せて多少の揺り戻しがあると思っていただけに、ここまでの惨敗は予想していなかった。おそらく、安倍総理自身も予想していなかったに違いない。

自民党の幹部は、たとえ過半数を割っても、40台の後半を獲得すればいいと考えていたのだろう。そうなれば、国民新党や無所属議員を一本釣りして与党は過半数に達する。衆参両院で過半数を維持することで、集団的自衛権や消費税など、国民にとってきつい課題について、一気に結論を出すつもりだったのではないか。

ホワイトカラーエグゼンプションも実施するつもりだったのかもしれない。そして、衆議院の任期満了まで2年間総選挙を引っ張り、国民の記憶が薄れたところで勝負に出る。これが安倍総理の戦略だったはずだ。だが、ここまで負けるとそうした戦略がとれない。当面のところ、強いことができなくなったのは確かである。

2.米国メディアが示す紙媒体とネットの未来(8.3 nikkeibp.jp)
WSJ、フォーブスのトップが語る
「信頼ある新聞社は勝ち残る」
ダウ・ジョーンズ「WSJ」紙発行人 ゴードン・クロビッツ氏
 ダウ・ジョーンズ(DJ)がなぜ、買収の対象になったのか。この件に関して今の段階では詳しく話すことはできない。
 だが、これだけは胸を張って言える。紙メディアの優位性が崩れてきた現在においても、新聞は飛躍の可能性を秘めている。信頼できる権威メディアの価値は、今後も上がり続けていく。

 DJには追い風が吹いている。一般ニュースは日用品と化し、その価値は下がり続けている。その一方で、ビジネス・経済ニュースの価値は高まっている。実際、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の紙面を1月に刷新してから、WSJの購読者数は約4.5%増えた。現在の新聞業界において、稀有なことだ。米新聞社の発行人の中で、自社の将来を楽観視しているのは私だけではないか。

 紙メディアの発行人は、従来とは異なるメディア消費社会が到来したことを理解すべきだ。消費者には今、いくつもの選択肢がある。何を読むのか、どの媒体で読むのか、決めるのは消費者。新聞は選択肢の1つに過ぎない。

 同様にこれからの記者は、様々な媒体に貢献を求められる。WSJ紙に記事を書き、オンライン向けにビデオを制作し、ポッドキャストに出演し、時にはオンラインでブログを書くこともあるだろう。

 新聞がデジタル時代で勝ち残るためには、強力なブランドと優れたジャーナリズムが最大の武器になる。だが、多くの新聞は、他メディアとの差別化に失敗し、独自性が欠如している。

 その点、我々のビジネスモデルは違う。WSJオンラインは、一貫して課金モデルを選んできた。紙媒体と同様に、ウェブサイトのコンテンツに独自性があれば、オンライン読者は喜んで対価を払う。

 我々はニュースを提供し独自のジャーナリズムブランドを構築しているが、グーグルやヤフーはこれをむしり取っているだけ。不特定多数のメディアからニュースを集めるだけのサイトでは、いずれ限界が見えてくるだろう。(談)

「ダウは致命的なミスをした」
フォーブス社長兼CEO スティーブ・フォーブス氏

 現代人は、コンテンツのアクセスにお金を払いたいとは思っていない。米国のレストランで、パンとバターにお金を払わないのと同じ感覚だ。ネットの収益は広告に頼るべきで、その成否は、いかに多くの読者をサイトに引き込めるかにかかる。

 その点、ウォールストリート・ジャーナル紙は致命的なミスを犯した。ネットのコンテンツを有料化したことは失敗だった。コンテンツを無料公開すれば、紙にそのシワ寄せがくると考えたのだろう。強力なネットビジネスを作れなかったダウ・ジョーンズ(DJ)には、このメディア激動の時代を乗り切るだけの体力がなかった。だから、ルパート・マードック氏の買収標的になったとも言える。マードック氏は、DJの資源を積極的に他の媒体にも転用していくだろう。

 紙媒体のブランド力なくして、ネットの繁栄があり得ないのは確か。だが、同時に、オンラインなくして紙メディアの未来はない。両者は全く異なる媒体として、刺激し合う関係にある。だからこそ、オンラインも独自のアイデンティティーを確立する必要があった。

 そのため、我々はフォーブス誌とフォーブス・ドット・コムの本社を別々にした。企業には、新しいことを始めると、それを主要ビジネスのアクセサリーにしようとする文化がある。象が赤子を踏み潰すようなことはさせたくなかった。実際、フォーブス・ドット・コムのコンテンツに占めるフォーブス誌の割合は、2%でしかない。

 2001年頃にネットバブルが弾けると、競合他社はこぞって投資を控えるようになった。ネットの未来を信じた我々は、その間も積極的に投資してフォーブス・ドット・コムを拡充した。その差が今、顕著になっている。

 フォーブス・ドット・コムの収益は過去4年間、30ー50%増で成長した。2−3年でフォーブス誌の収益を上回ることが現実味を帯びてきた。米主要メディアで初めて、ネットの収益が紙媒体を上回る例になるかもしれない。(談)

3.アップルと組むのは危険(8.2 nikkeibp.jp)
圧倒的な市場支配力が作り出す奇妙な提携関係
Peter Burrows (BusinessWeekシニアライター、シリコンバレー)

米国時間2007年7月3日更新 「Apple's Partner Paradox」

 米アップルは、魅力的で画期的なデジタル家電製品を作り続ける会社だということをこれまでに何度も見せつけてきた。新型携帯電話機「iPhone(アイフォン)」の熱狂的な人気を見ても、話題を盛り上げ、消費者に「欲しい!」と思わせてしまう能力では、どんな企業の広告キャンペーンもアップルの足元にも及ばない。

 では、パソコンメーカーから家電大手へと進化を続けるアップルの勢いを削ぐような要因があるとすれば、それは何か。多くの専門家や業界関係者の話を総合すると「他社との提携戦略」に尽きる。

 最も分かりやすい例は、アップルが巨大な携帯電話市場を征服しようとしていることである。アップルは携帯電話サービスを提供するために米AT&T(T)の協力を仰いだ。ところが、華々しいアイフォン発売にミソをつけたのは、AT&Tのデータ通信ネットワークが遅く、回線を開通するまでに時間がかかるということが発売直後に報道されたことである。

提携とは名ばかり、短期的に利用するだけ

 念のために言っておくが、アップル(AAPL)にとって提携相手を探すことには何の問題もない。周辺機器メーカーから企業向けソフト開発会社、航空会社に至るまで、誰もがアップルとの取引を求めてスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)の扉を叩いている(BusinessWeek.comの記事を参照:2007年6月28日「Welcome to Planet Apple」)。

 スティーブ・ジョブズ氏は世間で言われているように、ハイテク業界における流行の仕掛け人であり、タフな交渉人でもある。例えば、1997年に米ウォルト・ディズニー(DIS)との契約更改では、ジョブズ氏が立ち上げた米ピクサー・アニメーション・スタジオがもっと利益を上げられるようにもっていった。ちょうど、ピクサーが8作連続の大ヒットを飛ばす直前のことである。

 2005年には世界各国からフラッシュメモリーを大量に買い上げるという大胆な行動に出た。この決断のおかげで、アップルは「iPod(アイポッド)ナノ」や「iPodシャッフル」といった製品への需要を賄い、しかも高い利幅を維持できたのである。

 その年、アップルは米インテル(INTC)との間で様々な意味で重要な契約に署名した。それからの2年間で、両社はインテル製高性能マイクロプロセッサーをアップル製パソコン「マック」に移植するプロジェクトを完了させたのである。アップルにとっては新規顧客の獲得につながり、インテルにとっては急成長する革新的企業としての地位を確固たるものにできた。

 しかし、この提携はインテルに幸福をもたらすものなのか。残念ながら、アップルが長期的に双方にとってメリットがあるようなつき合い方をできるとは思えない。「アップルは常に自社のことしか考えない、しかも短期的な視点で」と指摘するのは、米エンドポイント・テクノロジーズ・アソシエーツの共同設立者であるロジャー・ケイ氏だ。「結局、そのツケは自分たちに回ってくる。パートナーシップというものを分かっていないのだから」。

痛い目に遭ったアドビ、モトローラ、ヒューレット・パッカード

 そのため、ハイテク業界やメディア関係者の多くがアップルと組むことにはリスクがあると考えているのだ。よく言われるのは、ジョブズ氏はきわめて競争心が強くて交渉術にも長けているため、相手を説き伏せてしまうということだ。だが、相手は後になって悔やむことになる。「彼にとって“ウィン-ウィン”なんてどうでもいいことなのだ」と、かつての協力者は言う。

 実例は枚挙に暇がない。技術者の多くが指摘するのは、1980年代にアップルが長年のパートナーであった米アドビ・システムズ(ADBE)を騙まし討ちにしたことだ。アドビのポストスクリプトというページ記述言語を採用しながら、その一方で独自のトゥルータイプフォントを開発して戦いを挑んだのである。

 2004年には米モトローラ(MOT)が、「iTunes(アイチューンズ)」を搭載した携帯電話「ROKR」を製造することで軽率にもアップルと契約を結んでしまった。結果は惨憺たるものだった。保存できる楽曲数をたった100曲までにすることにアップル側がこだわったことが失敗の一因である。

 
4.モバイルがPCを超える日(8.2 nikkeibp.jp)
1兆円のモバイルEC市場が見えてきた
 携帯電話利用者は1億人を目前に控え、市場は飽和しつつある。それは事実である。しかし、ここに来てモバイルサイトの世界は激変している。プロモーションツールとして、EC(電子商取引)利用として見た場合、PCに比べていまだにモバイルを軽視する事業者も多いことだろう。若者だけが使うツールと高をくくってはいないだろうか。モバイルを活用できない事業者、そして消費者は、ウェブ2.0時代では、情報弱者となるだろう。

PCを上回る勢いで成長するモバイルのウェブビジネス市場

 ここ数年、ウェブ事業者の成長を支えてきた市場は、ECとネット広告である。ただ、それはPCを中心としたものであったと言える。しかし、 2010年に向けてモバイルが主役に躍り出る可能性が高い。2007年、モバイルEC(着うたなどモバイルコンテンツを含む)とモバイル広告を合わせて1 兆円の市場が見えてきているのである。

 PC向けのウェブビジネス市場も今後堅調に拡大する見込みだが、モバイルの拡大速度はそれを上回る。2010年には全体の25?30%、もしくはそれ以上に拡大する可能性がある。

 現在モバイル関連ビジネスが依存している通信ネットワークは、各携帯電話事業者が提供する第3世代携帯電話網である。ベストな状態の通信速度で、 384kbps?1.4Mbpsという状況である。この通信速度の場合、例えて言えば「Yahoo!」のトップページの表示に10秒以上の時間がかかる。そのため現在、快適なモバイルネット環境が提供されているかと問われれば、不十分だと言わざるを得ない。

 しかし、今年ライセンスの付与が予定されている次世代無線通信網(WiMAX、次世代PHSなど)や、第3.5世代携帯電話網(HSDPAなど)が整備されれば、3Mbps以上の通信速度が期待でき、ようやく万全の環境が整うこととなる。2010年までにはそうしたモバイルブロードバンド環境の整備が完了する見込みであるため、図1に示すモバイル関連の市場規模はさらに上振れする可能性は大きい。

 ウェブ2.0時代の象徴的な市場トレンドの1つに、あらゆる情報・デジタルコンテンツがオープン化され、無料化されていくという流れがある。これによって、PC向けコンテンツとモバイルコンテンツの垣根が取り払われ、両者が融合していくのではないかと業界では考えられている。2007年6月29日に米国において発売された「iPhone」にしても、“PCサイト”を非常に使い勝手良く表示する「safari」というブラウザーを標準搭載している。

半年で世界が変わるモバイルサイト

 しかし、日本のモバイルサイト事情は、これまで独自に発展してきた経緯から、まだ特殊な状況を色濃く残しているもようである。モバイルならでは、モバイル独特のサイト文化がそこには花開いている。

 今、日本で最も勢いのあるモバイルサイト、それは「モバゲータウン」である。サイトが立ち上がったのは2006年2月、わずか1年半前のことである。このサイトの特色は3つある。(1)モバゲータウンは携帯電話通信事業者の公式サイトではない。(2)ゲームなどあらゆるコンテンツが無料で利用可能である。(3)会員数が600万を超えるお化けサイトである。

これまでのモバイルサイトの成功の定石は、いかに早期に公式サイトとなるかであった。公式サイトになれば、各携帯電話事業者が提供するモバイルサイトトップメニューに表示される可能性が高くなり、それに伴いアクセス数も増加する。訪れた消費者を月額100円から300円の会員にするか、コンテンツのダウンロードに対する都度課金によって収益を上げることができた。つまり、これまで成功してきたサイトは、コンシューマービジネスがほとんどであった。

 それに対して、モバゲータウンはモバイル広告を主な収益源とするBtoB(企業間取引)モデルのビジネスである。モバイルネットワークは、特殊な環境であるため、それに対応したモバイルコンテンツは有料であるという常識を覆すサービスを提供したこととなる。現在、通信費は定額制によって、最大でも月々3000円で済むため、モバイルコンテンツヘビーユーザーは無料コンテンツを気兼ねなくダウンロードできる。

 このサイトの成長速度がいかに速いのか、ということを把握するために、日本で最大のPC向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイト「mixi」と比較してみたい。mixiは500万会員を獲得するまでに、2年9カ月を要した。それに対してモバゲータウンは、1年3カ月で500万会員を突破している。mixiの2倍の速度でこのサイトは会員をかき集めたことになる。

 これほどまでにこのサイトが拡大できたのは、いくつかの戦略と市場環境変化が相乗効果を生んだからにほかならない。具体的には以下の事柄が、サイトの拡大を進めた要因である。
(1)優良なモバイルコンテンツを大量に無料で提供した。
(2)コンテンツの無料化を待ち望む多数の10代のユーザーの心をつかむことができた。
(3)SNS機能を強化することで無料コンテンツを楽しんだユーザー同士のコミュニケーションを活発化した。
(4)パケ死(パケット通信料が高額になり、支払い困難または支払い不能に陥っている状態)で苦しんでいたユーザーを救った「パケット通信料定額制サービス」の開始時期と、モバゲータウン萌芽期のタイミングが絶妙にマッチしていた。
(5)PCでは実現できない、“いつでもどこでも手軽に”アクセスできるモバイルと10代の若者との親和性が高かった。
(6)「モバオク」「モバコレ」など既存のサービスとのコラボレーションを図った。
 このように、矢継ぎ早な展開でユーザーを飽きさせていない。見込みのあるものは即座に導入し、市場性を問う。徹底した市場原理主義的な事業展開が、今の地位を築いたと言える。

8割の消費者がモバイルEC利用に意欲を示す

 市場規模という点では、モバイル広告よりもさらに魅力的なのが、モバイルECである。前述したモバゲータウンを運営するディー・エヌ・エー(DeNA)は、モバオク(auでのサービス名は「auオークション」)、ポケットビッダーズ、auショッピングモールなど各種ECサイトも運営している。

 商品カテゴリー別で見た場合、ECとモバイルECの利用率は現在おおよそ5倍の開きがある。「アマゾンドットコム(Amazon.com)」に代表される書籍・音楽カテゴリーのEC利用率は5割と高い水準であるが、同カテゴリーのモバイルEC利用率は10%にとどまっている。その他アクセサリーや旅行などもPC向けの利用率と比べればおおむね5倍の差が見られる(図2)。

 唯一、モバイルの利用率が高いのがコンテンツである。モバイル向けECではそもそもの市場の萌芽は着メロや壁紙などのモバイルコンテンツである。現在は着うたフルなど楽曲のダウンロードも活発である。一方、PC向けのコンテンツは著作権の問題などもあり、進展が遅れているとも言える。着うたに代表されるモバイルコンテンツ市場はすでに頭打ちではあるが、各種調査によれば、男女を問わず今後のモバイルEC利用意向は8割を超える。書籍や化粧品などその他の商品カテゴリーについては、本格的な拡大はこれから始まるのではないだろうか。

 
 モバイルECに親和性の高い商材の特徴とはどういうものがあるのだろうか。筆者は2つの大きな特徴があると考えている。「指名買い」と「きっかけ買い」である。

 「指名買い」とは、ブランド名、商品名だけで購入を決定することができ、購入頻度が月に1回から数カ月に1回という比較的短い消費行動を指す。まさしくこれに該当する代表例が化粧品である。20代女性における化粧品のモバイルEC利用率は、他の世代の3倍から5倍にまで達する。全体平均では化粧品のモバイルEC利用率はまだ5%にとどまるが、今後20代を中心に急速な拡大が期待できる分野だと言える。

 モバイルECを好む消費者にとっては、「わざわざ5分待ってPCを立ち上げている間に、ケータイならば目当ての商品の決済を済ますことができる」ためPC向けECサイトで購買するいわれはないのである。また、決済方法も「Edy」など各種電子マネーを活用できるため、初めて訪れるサイトの場合、セキュリティー上の観点から決済認証を敬遠する人も多かったのだが、その心配も薄れつつある。

 もう1つの「きっかけ買い」は、今後急速な拡大が見込まれる消費性向と捉えている。つまり、購買履歴などの過去の行動に基づいた行動連動型広告によって、消費者が「気づき」や「きっかけ」を与えられることで決済まで導かれる消費行動である。携帯電話ならば、「きっかけ」が与えられた瞬間に、どこにいても即座にモバイルサイトにアクセスして購買することができる。まさに天からの啓示を受けたといわんばかりの消費行動である。

 現在各携帯電話事業者やサービスプロバイダーは、こうした潜在消費の発掘を目指して各種行動連動型広告の開発に注力している模様である。最近のサービス事例としては、ブレード・コミュニケーションズとモバイルワンテクノロジーが2007年3月より位置情報に基づいた広告配信「ローカルクリック」の提供を開始している。

 具体的な生活シーンで解説すると、将来次のようなことが起こるようになる。ある土曜日の昼さがり、西新宿の洋服店で流行のワンピースをおサイフケータイで購入した20代の女性がいるとする。その女性が数カ月後、モバイルSuicaを活用して新宿駅西口の改札を出た時、その洋服店から次のような行動連動型広告が飛んでくるのである。「前回あなたが購入したワンピースと同じデザイナーが制作した秋物のニットが本日10%OFFで購入できます」。実際の広告のキャッチコピーはもっと気の利いたものとなるだろうが、内容としてはおおよそこうした広告となるだろう。

 店舗としてはDMを送付するよりも、より効果的に安価にターゲットユーザーに告知することができる広告手段として期待されている。一見理想的な広告サービスと感じられるが、過去の購買履歴、現在の位置情報、性別、メールアドレスという各種個人情報をどこまで消費者がオープンにしてくれるのか、課題は多い。このプライバシーの問題をまだ克服できている事業者はいない。今後の展開が注目されるサービスの1つである。

「インターネット=ケータイ」の世代

 メールを打つなら、ケータイよりPCの方が早い。インターネットを見るなら、ケータイよりPCの方が見やすい。これはいったい誰の言い分だろうか。現在、この感覚を持っている若者は少数派なのかもしれない。

 モバイルECは、今後拡大が期待されると述べたが、モバイルECとPC向けECの利用状況から、「インターネット=ケータイ」の世代がいることを示したい。図3に示すように、10代では、モバイルECのみの利用者が10%を数える。PCとの併用ユーザーの割合で考えた場合でも全体の4割に達する。

 今後は、初めて持つ携帯電話がHSDPAに対応するモバイルブロードバンドケータイである世代が増えることだろう。“通信速度が遅い”という感覚すら持ったことがない携帯電話利用者があふれかえる日はそう遠くはないだろう。日本で1億人、世界で30億人の消費者との窓口がそこに広がっている。ケータイがPCを超える日は、間近に迫っている。
 
5. 「Googleがテーラーメイド携帯電話を計画」、米紙報道(8.3 nikkeibp.jp)
米Wall Street Journalは8月2日付けの同紙で「Googleがテーラーメイド携帯電話を計画している」と報じた。同紙によればGoogleはこのプロジェクトに数億ドルを投じており,プロトタイプを開発し技術仕様について携帯電話メーカーと話し合うとともに,T-Mobile USAやVerizon Wirelessといった事業者と交渉しているという。

携帯電話のプロトタイプはカメラ,無線LAN,GPSを備え,3Gを推奨している。スライド式キーボードを備えたタイプやBlackBerryのような携帯のものがあり「iPhoneのように革命的なものではない」という。Googleは仕様に基づき複数の携帯電話メーカーが製造し,複数の事業者で利用できるようにすることを望んでいるとしている。
 
 

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