週間情報通信ニュースインデックスno.614 2007/07/14

1.「会社の真実」を教えてくれた若手社員からの直訴――ぴあ会長兼社長 矢内廣 氏(7.13 nikkeibp.jp)
1996年、前年に定めたぴあの新しいビジョンの実現に向けた戦略を定める最初の会議でした。メンバーの一人が冒頭から「この戦略は実を結ばないと思います」と話し始めました。私が驚いてその理由を問うと、「社員全体に、以前のぴあが持っていた熱い一体感が失われている」と言うのです。業容が急速に広がり、ほかの部署で何が起きているのか誰も分からない。ぴあがどこを目指しているのか皆が見失っているというわけです。

私は創業以来、立ち止まらずに走り続け、周りの仲間は当時と変わらずに同じ目標を共有しているとばかり思い込んでいました。それが、いつの間にか社内がバラバラになっていたのです。

急きょ、会議のテーマを変え、ぴあが失った一体感を取り戻すにはどうすればよいのかを話し合いました。話し合ううち、社員が目指す方向を企業理念として示すべきということになり、98年7月に「ひとりひとりが生き生きと」という企業理念を「ぴあアイデンティティー」として定めました。策定に1年半をかけ、数十回を超える会議を繰り返した結果です。

この一件を通じて、「経営者が何もしなければ、社員との距離は自然と離れていく」ということを身をもって学びました。もっと社員と思いを共有しなければいけない――。私がまず始めたのは、とにかく社員と話をすることでした。

2.積水化学工業 エコ価値追求で成熟市場を生き残る(7.13 nikkeibp.jp)
蛯谷 敏
市場の成熟、金利上昇、消費税引き上げ。 住宅メーカーの事業環境にかつてない逆風が吹き荒れている。限られた有望顧客を開拓し、確実に住宅を販売していくために、各社は抜本的な戦略の見直しを迫られている。競争激化を覚悟したうえで、成熟市場の中で顧客を奪い合うのか、あるいは、一度つかんだ顧客をがっちり離さず、アフターサポートなどを通じて長期的な収益を確保するか。 「セキスイハイム」ブランドを展開する大手住宅メーカーの一角を占める積水化学工業の場合、後者を選択した。

 「住宅販売以外に、不動産の購入やリフォームといった周辺サービスをワンストップで提供できる体制を整えた」。積水化学工業住宅カンパニーの月田博営業部長は言う。同社は7月1日に、関東・中部・近畿の3地域にある住宅販売子会社をそれぞれ1社に統合した。2003年から中国、東北、九州などの各地域で販売会社の統合を進めてきた結果、販売会社は26社から16社に減った。

 同時に、統合した販売会社に不動産の賃貸管理を手がける地域会社や、「セキスイファミエス」ブランドでリフォーム事業を手がける地域会社も集約した。これにより、住宅販売から不動産、リフォームまでを一環して提供できる体制を整えた。

 積水化学の従来の販売店は、原則として各県ごとに販社を設置していた。「右肩上がりに住宅販売が伸びていた時期には、きめ細かな販売網が必要だったため」と月田部長は説明する。ところが、住宅市場が成熟した今では、従来ほどの需要は見込めなくなった。

 こうした環境の変化に対応し、拠点を集約する一方で、スタッフ部門などの重複人員を営業部隊に振り向けることで、営業力の効率化を図る戦略を取った。営業部員は2007年4月時点に1134人だったが、2007年度中には1500人に増員する計画だ。従来、販社で別々に保有していた顧客情報も共有することで、新たな顧客の開拓につなげるという相乗効果も期待できる。

 中でも、積水化学工業が力を入れているのは、リフォーム事業だ。同社の住宅購入者を中心に、リフォームによって顧客から継続的に収益機会を獲得する。リフォーム事業の売上高は2007年3月期で618億円と、全社の7%程度だが、営業部員の増強などで早期の拡大を目指す。

 もう1つ、同社が特色として売り出しているのが、環境への配慮をうたった住宅だ。その目玉となっているのが、太陽光発電システムである。2000 年頃から提案を始めた同システムを備えた積水化学の住宅は、今年3月末には1万棟を突破した。新築住宅では、半数以上が太陽光発電システムを採用するまでになった。

 他にも団塊、女性、団塊ジュニアやその下の世代であるジュニアネクスト向けの住宅など、商品ラインアップも多様化し、あの手この手で住宅受注のアップを目指す。

 積水化学工業の2007年3月期の連結売上高は、前期比4.6%増の9261億6300万円、営業利益は同12.1%増の451億5700万円を記録した。

 カンパニー別で見ると、住宅カンパニーは2007年3月期に売上高こそ4304億円と売上高全体の46%を占めるものの売上高営業利益率では 3.3%と、高機能プラスチックスカンパニーの8.4%、環境・ライフラインカンパニーの4.9%に比べて低迷する。今期の住宅カンパニーの業績見込みも、売上高は前期比1.3%増の4360億円、営業利益は同39.9%増の200億円と状況は改善する見込み。

3.「システム改革」とは何か(7.11 nikkeibp.jp)
 情報システムに対して構造的な変化を求められるのは、どのような場合であろうか。
 代表例として多いのは、企業が掲げる経営目標に応じて行われる経営改革や業務改革の内容を補完する場合であろう。「業務の効率化」や「コスト削減」といった従来のテーマから、最近では「新たなビジネスモデルの創造・構築」、内部統制などの「社会的責任の実現」といったテーマに対して、従来のシステム構造を見直すといったこともこれに当たる。

 例えば内部統制についていえば、2007年4月に発表されたJUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の調査結果から、システム改革における対応として「システム再構築(26%)」「ERPパッケージの導入など情報システムの見直し(20%)」を挙げる企業が多く存在していることも、その裏付けといえるだろう。

 しかしこの背景には、情報システムを維持していく上で、ビジネス環境の変化に対して柔軟、かつ迅速に対応できる構造になっていない、という共通の課題が存在しているのではないだろうか。具体的には、以下のようなことが挙げられる。

●一業務を変更したことによる情報システムへの影響範囲が特定できない、または特定するに当たって非常な時間を要する。
●目指していた効果を打ち消してしまうほど、情報システムを変更する際のコストが大きくなる。

 つまり、「さまざまな変更要求に対して、必要な機能を短期間で、かつ低コストで利用できること」ができない状態にあるといえよう。
 この課題を解消し、柔軟性・迅速性を確保し、情報システムの維持フェイズにおいて最適な情報システムを実現する活動を、筆者は「システム改革」と位置付ける。

なぜシステム改革が十分に実行できないのか

 情報システムの柔軟性・迅速性が確保できない理由としては、情報システムが必要以上に肥大化し、ブラックボックス化していることが挙げられる。その理由として、次の3点を紹介しよう。

過度のシステム化

 従来、企業における情報システムは、事務処理の効率化のためのツールであり、導入することで一定の効果を上げることができた。そのため各企業とも情報システムを積極的に導入し、企業活動の大部分を効率化していった。

 だが、その過程で、企業活動が持つ複雑性や個別性、例えば商品によって受注方法が異なるといった多くの例外処理まで、すべて情報システムでカバーできるようにシステム開発を行った。その結果、企業のシステム担当者でも把握できないほど多くの機能、またはシステムが存在する状況となっている。

システム変更対応の短サイクル化

 企業が今日さらされている環境変化のスピードが速まるにつれ、情報システム変更作業に許される時間が大幅に短くなっている。この短サイクル化に対応するためには、既存のシステム機能に対して変更を加えるよりも、ましてや構造面からの見直しを行うよりも、新しいシステム機能を別途、構築するほうがよいといった判断が行われることが多く、類似するシステム機能が複数のシステムに存在する状況となっている。

ICT部門のシステム投資判断力の低下

 企業内情報システムがほぼ成熟した結果、多少の改修・改善では得られる効果が少なくなっている。そのためICT部門は、経営部門や業務部門からの様々な変更要求に対して、投資対効果を十分に検討することが求められる。

 しかしながら現実には、『日経コンピュータ』(「ITメタボリック症候群」/2006年10月30日号)にもあるように、ICT部門が、変更要求に対する選別を行うことなくシステム機能を追加することで、必要性が不明確な機能が存在する状況となっている。

柔軟性、迅速性への取り組み

 一方、情報システムの柔軟性・迅速性を確保するために、最近では複数の既存システム間をWebサービスで連係させる「サービス指向アーキテクチャ(SOA)」や、メインフレームからオープン基盤へ移行する「マイグレーション」、ERPなどの「パッケージ製品の導入」など、さまざまな手法が取り上げられている。

 これらの手法は、既存の情報システムの活用や既成品の利用が可能という点で、開発フェイズでのコスト面やスピード面での効果は見えやすく、実際に成功事例もある。

 しかし、これらの手法が必ずしも維持フェイズで効果をもたらすとは限らない。その理由として、以下の点が挙げられる。

●SOAやマイグレーション(リホスト、リライト)は、既存の情報システムを活用できることが利点の1つとされており、既存の情報システム“そのもの”の複雑性を解消するものではない。例えば金融機関などで、顧客情報管理の方法が情報システムによって異なる(顧客単位、口座単位または債権単位など)場合がある。その際、その管理方法の違いを解消することなくSOAを導入しても、結果的に単位を変換する機能が必要になり、また、顧客情報に対して新たに項目を追加する場合は、結局複数の情報システムに修正を行う必要がある。

●パッケージ製品の導入については、実装されているシステム機能と業務とのギャップを埋めるべくカスタマイズを行った場合、維持フェイズにおいて、製品自体のバージョンアップごとに検証作業時間を要する、またはサポートされない場合がある。

 従って、情報システムの柔軟性・迅速性を確保するためには、こうした手法から取り組むのではなく、維持フェイズに着目したシステム構造の見直しとマネジメントが必要である。

システム改革のポイント

 では、情報システムが柔軟性・迅速性を確保するためには、具体的にどのような取り組みが必要であろうか。

 それには、柔軟性・迅速性を阻害する情報システムの肥大化を抑えると共に、ICT部門が把握可能なようにシステム構造の可視化と見直すこと、さらに中長期視点でのロードマップの策定を進めることが重要である。

4.NTT三浦新社長が引き継ぐ“内憂外患”「2010年問題」と「グループ内の不協和音」(7.11 nikkeibp.jp)
 「NTTグループをまとめる持ち株会社の機能は大きくならざるを得ず、事業会社に必要な調整をしていく。ワンストップでサービス提供をしていくには、グループの連携がますます重要になるからだ」――。正式に就任したばかりのNTT持ち株会社の三浦惺社長は6月28日、新体制の方針を表明した。前社長である和田紀夫氏が敷いた、持ち株会社の求心力を高めてグループ一体化を推し進める路線を、そのまま継承する。

 だが、5年にわたった和田体制は、NTTグループに思わぬ“内憂外患”をもたらす結果となった。三浦新体制は、その問題をそっくり引き継ぐことになる。そして2010年に向けその指導力が問われることになる。

 和田前社長が残した内憂外患とは何か。それは、組織形態の議論が予定される「2010年問題」の存在と、持ち株会社が求心力回復を狙う最中に飛び出した「グループ内の不協和音」である。

中期経営戦略を強引に推し進めようとした功罪

 和田前社長は2002年6月の就任当初から、NTT持ち株会社の求心力回復と、それによるグループの事業会社の連携強化に腐心し続けた。グループの一体経営を通じて成し遂げようとしている「2010年までに光3000万回線を提供する」という目標や、固定電話網の代替ともなるNGN(次世代ネットワーク)の構築計画を盛り込んだ04年11月の「中期経営戦略」の発表は、日本の通信市場が本格的にIP化時代を迎えた大きな転換点。その決断は、和田前社長による最大の功績と言えよう。

 だが一方で、中期経営戦略を実行するために、2005年11月に発表したグループ内の重複事業を整理して再編する案は、あまりにも大きな波紋を通信業界へもたらした。競合事業者から「NTTの独占回帰」、「事実上のNTT再々編」との批判を浴びるだけでなく、当時の総務相を務めていた竹中平蔵氏や、政界をも巻き込み「NTT再々編の是非」を巡る議論に発展した。

 最終的に組織形態を巡る結論は先延ばしされたものの、「2010年時点におけるNTTの組織問題の検討」が、「通信・放送に関する政府与党合意」へ盛り込まれた。この政府与党合意は「骨太方針2006」にも反映された。これがいわゆる「2010年問題」である。

 中期経営戦略の発表とその後の事業再編は、こうした外部環境に影響を与えただけでなく、グループ内部にも大きな禍根を残した。06年夏、NTTコミュニケーションズにNTT東西の法人営業を統合し、グループ内の上位レイヤー・サービスが次々と集約され始めた。

 中期経営戦略の発表以降、表面上は予定通り事業再編とNGNの構築の検討が進んでいたが、水面下では不協和音も大きくなっていたのだ。「2010年問題」が降って湧いただけでなく、グループ連携でも和田前社長の思惑は狂った。
 当初は希望していたにもかかわらずNGNの構築担当から外され、法人営業と上位レイヤーを集約されることになったNTTコミュニケーションズには、持ち株会社への不満が募った。NGNの構築担当にされながらも、携帯と固定電話の融合をもたらすNGNには、固定電話に携帯電話の収益を奪われることを恐れて NTTドコモが警戒感を強めている。さらにNGN構築の中核となるNTT東西でさえ、現場から遠いところにいる持ち株会社が主導を取るNGNのプロジェクトで、取り組み具合の温度差が早くも出始める始末だった。

 こうした中、2010年を最終年度とする中期経営戦略は淡々と進んでいる。06年12月にはNGNのフィールド・トライアルを開始しており、 2007年度下期の商用化が迫る。しかし今後、具体的なサービス像や料金、接続条件の開示などの課題が山積だ。NGNのアクセスとなる光ファイバーの提供は、「2010年に3000万回線」としているが、2007年度末でもNTT東西のFTTH(fiber to the home)は1000万回線弱の見込み。販売ペースのさらなる加速が必要となる。

 とはいえ、FTTH拡販をけん引するIP電話サービス「ひかり電話」はトラブル続き。NTT東西はひかり電話を、固定電話の代替として販売しているにもかかわらず、長らく誇ってきたNTT電話の信頼性確保には、いまだ課題を残す。

2010年に向け、内政と組織防衛に難局

 こうした正念場に、三浦氏は和田氏からNTT社長のバトンを引き継いだ。2010年に向け、グループ内をまとめながら中期経営戦略を推進していく内政の徹底と、2010年に始まる経営形態の議論に備えた組織防衛を同時展開する難局が待ち受ける。

 2010年の組織問題の検討において、NTT持ち株会社は現体制を守ることだけに固執するのではなく、自由に事業展開をしたいと考える事業会社の立場や、どうしたらユーザーにサービス提供しやすい組織形態になれるのか、規制で縛られずにNTTが事業展開できるようにするにはどうしたらよいのか、などを考慮するべきだろう。

 現場や事業会社の考え、ユーザーの要望を置き去りにしたまま、持ち株会社が求心力回復とグループ連携強化の旗を振り続けても、グループの内外が反発を強めるだけで、現実はついてこない。それはこの5年間が証明している。

5.FONはどれだけ使える?---秋にかけて新サービスを続々用意(7.13 nikkeibp.jp)
 格安ルーターの販売攻勢によって国内最大手の公衆無線LAN事業者となったフォン。フォンは今後もユーザー拡大に向けて,様々な方策を展開する計画だ。フォン・ジャパンの藤本潤一CEOは「この秋を目標に様々な新サービスを投入する計画」と語る。具体的には(1)自宅にFON APを設置していないユーザーでもFONを有料で使えるサービスの開始,(2)新たな専用APの発売,(3)コミュニティ・サービスのスタート,という新たな3つの施策を展開する計画だ。
動画広告表示で15分間無料利用できるサービスも

 現在の日本におけるFONのサービスは,自宅に設置したFON APを無料開放する代わりに,他人が開放したAPを無料で利用できる形。フォンはこれを「Linus」(ライナス)という名称で呼んでいる。実は海外では,Linus以外に「Bill」(ビル),「Aliens」(エイリアン)という形態のサービスも展開している。Billは,自宅に設置したFON APを有料で開放し,他人が開放するAPも有料で利用する形態。Aliensは,自宅にFON APを設置せず,他人が開放するAPを有料で利用する形となる。このうちAliensサービスを,日本でもこの秋から展開する予定。利用料金は1日200 円程度になる見込みだ。

 藤本CEOは「Aliensは,自宅にFON APを設置してくれる潜在ユーザーを開拓するきっかけになる」と語る。フォンはあくまでエリア拡大が第一の目的。有料サービスの利用をきっかけに,FON APを設置してくれるユーザーを増やすことが一番の狙いという。

 Aliensサービス開始に先行して,この6月からそのテストケースとも言えるサービスも始まっている。FONの認証画面に表示される動画広告を視聴することで,15分間限定で他人が開放するAPに無料接続できるサービス「WiFi ads」だ(図1)。

 FONのAPに接続後,強制的に表示されるWebブラウザの認証画面で,名前やメールアドレスを簡易登録。その後表示される約30秒の動画広告を視聴することで,15分間の限定で無料で自由にインターネット接続可能になる仕組み(図2)。利用は1アカウントで1日1回までに制限される。

 藤本CEOは「WiFi adsは,Aliensを提供する前段階の試験サービスの位置付け。WiFi adsを開始後,FON APの利用率は2倍以上と急激に伸びている」と打ち明ける。これまでのFONサービスは,他人が開放するFON APに実際に接続するユーザーはごくわずかだったという。

 WiFi adsは,フォンが狙う広告ビジネスを確立するための第一歩でもある。現在表示される動画はFONのコンセプトの紹介であり,実際の広告クライアントが入っているわけではない。藤本CEOは「クライアントの獲得はこれからだが,地域ごとの広告の出し分けなども可能になっている。無線LANを使うためリッチな動画も流せる」と,広告ビジネスの今後に自信を見せる。

 一方でWiFi adsのサービスは,FON APを開放している善意のユーザーが踏み台にされる危険がますます増える可能性も見える。認証画面でメールアドレスなどを登録するが,本人確認されないまま自由にインターネットが利用可能になるからだ。ホットメールなど使い捨てできるメールアドレスのほか,実在しないメールアドレスを入力しても利用できてしまう。藤本CEOは「セキュリティの強化は全社で力を入れて取り組んでいる課題。ユーザーが安心して使えるような環境を整えていきたい」と語る。
新たな専用AP「La Fonera 1.5」や拡張アンテナの発売も

 秋にかけてはフォンが「La Fonera 1.5」と呼ぶ,現状のLa Foneraを機能強化した製品も販売予定。さらに無線LANエリアをこれまでの5倍に拡げる拡張アンテナ「La Fontenna」も発売する計画だ。ハード面から,無線LANの利用エリアを広げたい考えだ。

 さらには「地図サービスをベースにしたコミュニティ・サービスの開始も計画している」(藤本CEO)。フォンが提供する地図サービスはアクセス数も多く,一つのメディアに成り得るという。藤本CEOは「例えばFONの利用者がAPの設置者にお礼を書き込めるような仕組みや,地域ごとにおすすめの APをユーザーが投稿できるようなシステムを実現できると面白い」と構想を語る。通常FONのサービスは海外の本社サイドで開発が進むが,「コミュニティ・サービスは,提携プロバイダであるエキサイトとも協力して,日本先行でサービス開発を進めている」(藤本CEO)と打ち明ける。
「年内に7万5000個のAP展開は可能」とフォン・ジャパン

 フォン・ジャパンは2007年内に7万5000個のAPを展開することを目標に掲げている。期日まで半年を残した7月現在,FONのエリア数は1万8000を超えたところだ。目標達成には残りの6カ月で5万以上のエリアを確保する必要がある。藤本CEOは「目標は十分達成可能」と強気の姿勢を崩していない。フォン・ジャパンでは「確実にFONにつながるエリアを戦略的に用意することも検討中」としている。ただしフォン・ジャパン自らが APを設置するのではなく,あくまでAPを設置してくれる提携事業者を見つける方針という。

 エリアが増えれば増えるほどユーザーの利便性は増し,FONの利用率も上がるだろう。それに伴ってフォンが狙う通信以外のビジネスの可能性も広がりを見せる。もっともユーザーの立場からすればこれまで述べてきたように,FONを安全に使うための機能はまだ不十分と言える。エリア拡大やサービス拡充と合わせて,セキュリティの強化やプロバイダとの提携に力を入れ,ユーザーが安心して利用できる環境を整えてほしいところだ。
 
 

ホームページへ