週間情報通信ニュースインデックスno.612 2007/06/30

1.Google,「Google Docs & Spreadsheets」の操作性を向上(6.28 nikkeibp.jp)
 米Googleは米国時間6月27日,Web経由で利用するワープロと表計算を統合したサービス「Google Docs & Spreadsheets」の強化について発表した。アイコンなどを新しくしたほか,多数のドキュメントの管理機能と扱いやすさを向上させたという。

 これまでのタグに代わりフォルダ機能を導入した。ドラッグ・アンド・ドロップ操作でドキュメントをサイドバーのフォルダに保存できる。同一ドキュメントを複数のフォルダに置くことも可能になる。

 また,共有ドキュメントを共有メンバー別に分類し,閲覧できるようにした。

 検索機能では,キーワードを入力している最中でも,そこまでの入力内容に当てはまるドキュメント,フォルダ,共有メンバーなどを表示する。

 Googleはまた,オンライン写真共有サービス「Picasa Web Albums」の機能も拡充した。同社ソフトウエア・エンジニアのPing Chen氏およびJoel Onofrio氏が同社公式ブログに投稿した6月26日の記事によると,写真を撮影した場所を「Google Earth」などの地図上に表示できる「Map My Photos」機能を追加した。さらに,同サービスのモバイル版(picasaweb.google.com/m/)も開始した。

 ちなみに米メディアの報道(InfoWorld)によると,米Microsoftもオンライン写真共有サービス「Windows Live Photo Gallery」の限定ベータ版を公開した。現在は招待制だが,2007年第3四半期にはより幅広いユーザーに提供する予定。
 

2.書評『iPhone 衝撃のビジネスモデル』(6.29 nikkeibp.jp)
 荻野 進介
『iphone 衝撃のビジネスモデル』 岡嶋裕史著、光文社新書、700円(税抜き)

 昨今のWeb2.0ブームに冷や水を浴びせる本である。いや、その言い方は正しくない。Web2.0の向こうにある、新たなネット社会の一端を、映画の予告編よろしく、手際よく
見せてくれる本である。

 Web2.0のどこが問題なのか。ブログやSNSによって、個人が能力を拡張できる機会は用意されたが、利用者が基本的に無料で利用でき、企業が収益を上げる機会が無視されているからだ。あのグーグルでさえ、収益は旧来のビジネスモデルである広告頼みだし、アマゾンも通販という既存のビジネスをネット上で大規模に展開しただけで、Web2.0とはあまり関係ない。

 一方で企業が確実に収益を上げられるネットビジネスもある。ネットへの接続が可能でありながら、課金が当たり前の携帯電話ビジネスだ。“携帯”ゆえに、端末の持ち運びは容易だが、唯一の欠点が操作性だ。電話である以上、操作はテンキーに頼らざるを得ない。

 利用者が“王様”のWeb2.0では企業が儲からない。課金は可能だが、通信業者が携帯“電話”、すなわちテンキーにこだわる限り、新しい市場が開けない。このジレンマを解決するのが2007年にアップルが発表したiPhoneだ、というのが筆者の主張である。

 iPhoneは基本的に携帯電話端末だが、テンキーがなく、全面タッチパネルなのが特徴で、一度に複数の指を使ったさまざまな操作を行うことができる。これによって、今までの携帯端末にはなかった大きな画面表示と、用途に応じて使い分けられる柔軟なユーザーインターフェイスが実現した。例えば電話なら相手の顔が、メールならキーボードが画面に現れる。他にも画面に表示可能なものなら何でもござれ、テレビはもちろん、銀行のATMや切符の自動販売機、さらにはカーナビ画面にもなり得る。

 ただの携帯端末ではなく、身の回りにある機械操作がすべてこれひとつで可能になるかもしれない。いわば「携帯する身体能力拡張機構」であり、これがiPhoneのすごさである。新たなビジネスチャンスは無限となり、これこそ筆者がいう「稼げるWeb2.0」のビジネスモデルだ。

カタカナ語やアルファベットが頻出し、おまけに議論の“枝葉”も多く、決して読みやすい本ではない。それでも、上記の“幹”をふまえて読めば、ネットの世界はまだまだ進化の途上にあることを実感できるだろう。

3.マイクロソフトの逆襲(6.28 nikkeibp.jp)
井上 理
ネット上のサービスでは米グーグルの後塵を拝する米マイクロソフト。
圧倒的な資金力と人材を武器に、王者がついに本気で動き始めた。
形勢逆転を狙うマイクロソフトが市場に放つ秘策とは──。

 東京の上野駅から電車で50分、さらに車で20分行ったところに、その小さな飛行場はあった。広大な田園風景が広がる真ん中に、ひっそりとたたずむ茨城県の竜ケ崎飛行場。3月下旬の午前9時、ここから1機の小型セスナが飛び立った。

 最高級クラスの航空写真向けカメラを搭載したセスナは、間もなく東京の上空に飛来。約1700mの高度を保ったまま、地上の撮影を開始した。
 3月13日から極秘裏に進められているこのプロジェクト。雇い主は世界最大のIT会社、米マイクロソフトである。

 まずは米サンフランシスコのダウンタウンの風景を写した右の写真を見てほしい。一見、航空写真かと見まごうほどの精緻なものだが、実はコンピューターが描いたCG(コンピューターグラフィックス)の画像なのだ。

 世界中のすべての風景をCGで再現する――。
 マイクロソフトは今、莫大な資金と膨大な人員を投入して、世界中の空から地上を撮影し、その写真を立体的なCGに変換するという壮大なプロジェクトを進行させている。
 OS(基本ソフト)で覇権を握った、王者マイクロソフト。インターネットの世界では長らく米グーグルの後塵を拝してきたが、ようやく逆襲の狼煙を上げ始めた。

 2005年6月、検索サービス最大手のグーグルは世界中の衛星写真、航空写真を自在に見ることができる専用ソフト「グーグルアース」を無償で提供し、世界を驚かせた。
 グーグルはその技術や画像を、「グーグルマップ」などのウェブ上のサービスに生かし、ウェブサイトの検索のみならず、地図や地域情報の検索分野でも首位の座を確固たるものにした。

 ここにマイクロソフトは画期的なサービスをぶつけ、形勢の逆転を狙っている。昨年11月から開始した「バーチャルアース3D」。これはグーグルアースやグーグルマップと同じく、世界中の衛星写真や航空写真を自在に閲覧したり、場所を検索したりできるネット上の無料サービスだ。

 対グーグルの最大の武器は、3次元機能。「3Dボタン」を押すと、平面にビルや野球場などの建造物が次第に立体的な形を帯びていく。
 実は、ページトップの画像はバーチャルアース3Dを利用して、サンフランシスコの上空で“撮影”した1コマ。空中を自由自在に飛ぶように視点を変えることができ、風景が変わっていく。まるで本物の都市を空撮しているかのような錯覚に陥る体験だ。

 「技術やサービスの品質で言えば、既にほとんどのサービスでグーグルに追いついた。中には追い越したサービスもある。バーチャルアース3Dは、その1つだと確実に言える」
 マイクロソフト本社でオンラインサービス事業部を統轄する、スティーブ・バークウィッツ上級副社長は、こう自信をにじませる(4ページの囲み記事「『消費者志向』へ企業文化変える」を参照)。

 断っておくが、3次元で建造物を表示する機能は、グーグルアースにもある。だが、左上の画面を見ると分かるように、多くはのっぺりとした形状のみが表示され、バーチャルアース3Dほどの精細さはない。「グーグルアースとはリアリティーがまるで違う」(バークウィッツ上級副社長)のだ。しかもグーグルアースのように専用ソフトを必要としない分、簡単に楽しめる。

 今のところ、3次元化されている地域は、シアトルやボストンなど米国31都市と、英国のロンドンなど5都市、カナダの7都市、合計43都市の中心部に限られている。そのほかの国や都市を3次元化していく今後のスケジュールは一切、公表されていない。日経ビジネスはその計画をつかんだ。 2010年までに世界500都市の3次元化を完成させる――。 そして、そのプロジェクトは、この日本でも着々と進んでいるのだ。

4.日本HP,期間限定でサーバー機を1万円台で販売(6.28 nikkeibp.jp)
 日本ヒューレット・パッカードは2007年6月28日,サーバー機「HP ProLiant ML115」を1万8900円(最小構成の場合)で販売開始した。5月24日に,同製品を9月27日まで2万5200円で販売する「ホップ・ステップ・ジャンプ・キャンペーン」を開始したばかりだった。価格を6300円引き下げたのは,「市場調査による結果」(同社広報部)としている。今回の値下げは一時的ではなく,キャンペーンが終了する9月27日まで継続する。

 HP ProLiant ML115は,注文時に仕様を変更できるBTOを採用し,最小構成ではAthlon 3500+,512Mバイトのメモリー,80Gバイトのハード・ディスク,48倍速のCD-ROMドライブなどを搭載する。通常価格は3万9900円であり,2万1000円も安くなっている。

 最小構成ではOSをプリインストールしていないが,Windows Server 2003 R2がセットだと9万3450円,SUSE Linux Enterprise Server 10がセットだと4万3050円になる。また,CPUをデュアルコアのOpteron 1210に変更するには,9450円を追加する。

 ホップ・ステップ・ジャンプ・キャンペーンでは,東京都昭島市にある同社の昭島工場で製造するサーバー機を対象とする。HP ProLiant ML115のほかに,HP ProLiant ML110/150が含まれる。キャンペーンは,昭島工場の知名度向上とx86サーバーのシェア拡大を狙ったもの。

5.ITサービス革命に動く英国富士通サービス(6.28 nikkeibp.jp)
 「IT業界は50年の歴史があるのに、まるで10代のような振る舞いをしている。今晩10時に帰宅すると言っておきながら、夜中の2時に酔って帰るようなものだ」。英国富士通サービスでグループ・マーケティング・ディレクターを務めるフィリップ・オリバー氏は、無駄な開発作業を繰り返し続けるIT業界に、サービス提供形態の革命の必要性を説く(5月に開催された富士通フォーラムで講演)。

 オリバー氏によると、欧州のITサービス市場は年率3?4%成長と成熟したことで、競争がますます激化しているという。富士通サービスやIBM、 HP、EDS、CSCなどのITサービス会社が熾烈な戦いを展開し、価格は下落傾向にある。そこに、インド企業が低コストで、同等品質のサービスを提供してきたことが加わり、価格プレッシャーは増している。

 そうした市場の中で勝ち抜くには、「効率的に、いかに価値の高いサービスを、価格を下げて提供できるかにかかっている」(オリバー氏)。そのカギを握るのがリーンサービスだという。トヨタ自動車など日本の製造業から学んだもので、「システム設計やコンフィグレーションなどで重複した作業が多すぎることが分かった」(オリバー氏)。こうした無駄な作業を徹底的に排除するには、「物事をシンプルにしていく」(同)こと。つまり、可能な限りサービスやソリューションを標準化するというITサービスの工業化に取り組むことになる。

 そして、無駄をそぎ落とすことで、「システムも自動車と同じようする」(同)。自動車の機能は豊富になり、ますます複雑化するものの、パフォーマンスや信頼性を向上させながら、コストを下げている。もちろん使うテクノロジーはどんどん進化している。リーンサービスはこんな方法である

原点は富士通のトリオーレに

 ユーザー企業が短納期、低価格を強く要求していることがリーンサービスの背景にある。「システム構築に、CIO(情報統括責任者)に『6カ月、9 カ月かかる』と回答すると、『それでは遅すぎる』となる」(オリバー氏)。ITは経営や組織などの変化を促すものなのに、逆にITが変革を遅らさせてしまうからだ。しかも、「ITの原点は、ビジネスの成果を出すことなのに、テクノロジーが強調され過ぎている。どのテクノロジーを使うのかは、ユーザーにとって関係のないこと」(同)。信頼性が高いのは当然のこととも、ユーザーは考えている。

 オリバー氏は「信頼性は重要だが、ユーザーはITを100%いつでも使えると思っている。だから、拡張と縮小に対応するスケーラビリティが求められている」と話す。例えば、年末年始に大規模な処理が必要になる一方、夏の処理量は少なくなる。ユーザーは需要に応じて、価格を変動させることを、IT サービス会社に要求しているのだ。

 ところが、ITサービス業界はITシステムを一から作り上げようとする。同じものが、必ずどこかで作られているのだ。「8割、9割は他で経験したこと。例えば、ERPのコンポーネントでも全く同じものがあるのに、作ったことがないかのように作ってしまう」(オリバー氏)。無駄な作業、意味のない作業を繰り返していたら、「売り上げをかさ上げしているだけ」と言われかねない。そこに、サービスやソリューションの標準化の必要性がある。再利用できるものは利用し、低コストで提供する。他社が標準化したサービスも活用する。

 実は、リーンサービスの原点は、富士通のITインフラ「TRIOLE(トリオーレ)」なのである。最近、日本で聞かなくなったトリオーレだが、英富士通サービスは4年の歳月をかけて重複するサービスの標準化に取り組み、ようやく一部を完成させた。ITインフラのテンプレートを作り上げたところで、「欧州の案件の9割はこれで対応できるようになり、提案は数時間から数日でできる」(オリバー氏)。

 提案する営業マンの考え方も変わったという。「標準化したものは、顧客の要求に100%合致しないかもしれない。だが、時間とコストを考えているユーザーに低コストになることを説明すると、中には『これで安くなるならいい』となる」(オリバー氏)そうだ。ユーザー企業にとっては、選択の幅が広がったことになる。

 ITインフラの次は、アプリケーションの標準化になる。「ここはSOA(サービス指向アーキテクチャ)のアプローチで、部品化を意味する」(オリバー氏)。標準化作業は既に18カ月経過し、英国でパイロットを開始したところ。さらにビジネスの領域まで踏み込むために、ビジネス要件分析などを始めており、市場に投入するのは12カ月後になるという。

標準化作業に遅れた富士通

 先行したはずの富士通がなぜ、ITサービスの標準化で遅れをとっているのか。企業体質、組織体制に起因するのかもしれない。「標準化したサービスを利用するユーザーは少ない」「ユーザーは標準化したサービスに満足しない」と思っているのかもしれない。業績が少し改善したことに、安心し新しいことに取り組む必要性を感じない幹部がいるのかもしれない。

 だが、「改革の先頭にいるのは富士通だ」とオリバー氏は強調する。「一から作ることは意味のないこと。必ずどこかで作られている。それを有効利用する」。富士通がITサービス業界で勝ち抜くために、重要な意味を持つ。ユーザーに開発コスト、期間を明確に説明する上でも、トリオーレの考え方が重要な役割を果たすのは間違いないだろう。
 
 
 

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