週間情報通信ニュースインデックスno.610 2007/06/16

1.見えないコストは減らせない(6.14 nikkeibp.jp)
「コスト削減」が効率的かつ継続して行われている現場はとても少ない。なぜなのか。この理由が四つあることを指摘し、前回は「既成概念」の問題を取り上げました。これに続き、今回は蔓延する「見えない病」について考えてみます。もっとも重症なのは、「自社の利用状況が見えない病」です。それに続くのが、「改善活動結果が見えない病」、「評価の仕方が見えない病」。症状の重い順番に解説していきましょう。

まず、「自社の利用状況が見えない病」ですが、結構大変な病気です。なぜなら、この病を患っている企業のコストは1円も下がることがないからです。コスト削減の出発点はデータ収集。自社の利用状況が見えていないと言うことは、イコール、データがないということでしょう。電気代も通信費もコピー代も、下げる努力はしているつもりでも下がらないのは、その利用状況が「現場」にも「経営」にも見えていないからです。

通信費削減の場面を想定してください。固定電話の料金を下げようとマイラインサービスに切り替えたとしましょう。けれど、かさんでいるのが携帯電話同士の通話代だったり、固定電話から携帯電話への電話代だったりれば、削減効果はほとんど見込めません。電気も同じです。いくら最適な契約プランに切り替えようと、ムダな使用が減らない限り、新プランに合った使い方を徹底しない限り本当の意味で電気代は最適化されません。

2.あふれる渋谷系男、足りない人材(6.13 nikkeibp.jp)
「日本の若い男性はどうなっちゃったんでしょう?」

数ヶ月前、以前から知り合いだった外資系金融会社で働く米国人女性と話をする機会がありました。話というより、一方的に仕事の愚痴を聞かされた感じでしたが。彼女はその会社で人事を担当しており、業務の一環として多くの就職志望者が集まる、ある求人フェアーに参加したのだとか。そのときの感想が冒頭の一言、というわけなのです。

フェアーでは、その会社を志望する人を相手に約5分ずつ、知り合いの人事担当者がプチ面接を実施しました。そこで対面した男性陣は、「やる気満々」という印象にはほど遠い方ばかりだったと嘆きます。まず、格好がだらしない。アタマは、今流行の無造作ヘアです。しゃべり方も服装や髪形同様に、めちゃくちゃ。大手企業に就職しようとして来たというよりは、渋谷へ遊びに行くつもりだったのに間違って会場に迷い込んでしまった、という感じだったようです。

その服装より何より、その人事担当者が驚いたのは、男性たちの話題です。「あのー日本は長いんですかぁ?どーして日本話が上手なんですかぁ?」などなど。これから勤めるかもしれない企業の上司と話すテーマではありませんよね。ビアガーデンでナンパした女性と話しているわけではないんですから。

ちなみに、女性の応募者は180度違うようです。まず、服装がピシッとしている。顔の表情もまじめで、会社の概要を事前にしっかり把握してから面接に来たことが、ちょっと話を聞いただけでもよくわかる。「御社の××担当の部署に勤めさせて頂けるなら、このように会社に貢献できると思います」とか、ハキハキと言うのです。まあ、それくらいのことを言えるだけの準備をしておくのは、就職志望者としては最低限のことなんですけど。

3.アップル 革命の第3幕があいた(6.13 nikkeibp.jp)
ジョブズとゲイツ 2人の男の30年(英エコノミスト誌)

 ほかの状況であれば、パートナー関係と同盟関係、ライバルと憎悪、敗北、勝利、逆転という経緯をたどった2人の男の30年の関係を概括するのに、ビートルズの歌詞を引用すれば野暮ったくなっていたに違いない。

 だが、先に開かれた会議の舞台上で、アップルのスティーブ・ジョブズ氏が昔を振り返りながらマイクロソフトのビル・ゲイツ氏に語りかけた時には、そうはならなかった。「あなたと私には、この先に続く道のりよりもずっと長い記憶がある」。ジョブズ氏がこう言うと、聴衆の中には目を潤ませる人もいた。

 ジョブズ氏は、彼らが行く手に続く道のりをまだ当面競い合いながら進むことになるとつけ加えてもよかったかもしれない。この2人と2人の会社は過去にパソコン時代をつくった。ジョブズ氏は典型的な開拓者であり、30年前に最初のパソコンを作り上げた。一方のゲイツ氏は典型的な実業家で、パソコンのハードとは別にソフトウエアを売る方法を考え出し、アップルを犠牲にして業界を牛耳った。

デジタルの時代 アップルが勝者となる

 しかし今、デジタルライフという新たな時代の夜明けを迎え、パソコンが急拡大する家電産業の一部に過ぎないようになると、ジョブズ氏とアップルが勝者となる公算が強まってきた。
 過去6年間、アップルは「iPod(アイポッド)」と「iTunes(アイチューンズ)」によって、(合法的な)デジタル音楽業界をリードしてきた。ちょうどマイクロソフトがパソコン産業を「ウィンドウズ」で支配しているように。6月29日、アップルはもっと大きな市場に参入する。「iPhone (アイフォン)」という名の新しい携帯電話を投入する。

 ジョブズ氏がアイフォンに抱く野心は、表面上は控えめだ。来年末までに1000万台の販売を予想しており、これは世界の携帯電話市場の約1%にすぎない。アップルはこれまでに、その10倍のアイポッドを売ってきた。

 だが、この数字はアイフォンの重要さもジョブズ氏の野心も正しく伝えていない。むしろそれはパソコンメーカーから家電会社へ変わろうとするアップルの変身の新たな一歩を表している。今年、社名から「コンピュータ」を取り除くことで、ジョブズ氏が明らかにした戦略である。

 破綻寸前から10年・・・

 彼がこれまで進めてきた転換の成功とアイフォンによる次なる段階への期待は、破綻寸前からほぼ10年の歳月を経て、アップルが今1000億ドル以上の株式時価総額を誇り、米国の一流企業の証明であるスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)100株価指数に含まれようとしている理由を説明している。

 アイフォンは一見して、デザインとシンプルさというアップルの遺伝子を最もよく継いでいる。ほかの端末には機械ボタンがたくさん詰め込まれているのに対し、アイフォンにはたった1つしかない。機能性では、「マルチタッチ」と呼ばれる新しい技術に頼っている。ペン入力などではなく、ユーザーは自分の指を使ってスクリーン上に現れたものを移動したり、サイズを変えたり、回転させたり、選択したりできる仕組みだ。

 アップルから生まれるほかの画期的な技術と同様、マルチタッチは同社が発明したものではなく、ジョブズ氏が装置設計の進歩の扉を開くカギとして目をつけた技術だ。
 指を操作ツールとして使うことを考えていたのは何もアップルだけではない。マイクロソフトも同様の計画を、テーブルの表面をインターフェースとして使う「サーフェス(表面)コンピューター」で進めている。いずれも既に券売機などに使われているタッチスクリーンよりもはるかに高性能なものだ。しかし、アップルはハードとソフトを結びつけ、いち早く実用化にこぎ着けた。

新たなカテゴリーを切り拓く機器

 アイフォンは一見、ジョブズ氏が手がけそうな商品ではない。アナリストとして1980年代初期からアップルをカバーし、現在コンサルティング会社クリエイティブ・ストラテジーズを経営するティム・バジャリン氏は、ジョブズ氏は通常、端末事業のような大きな既存産業で競争するより、新たなカテゴリーを切り拓く機器に魅力を感じると言う。

 だが、ジョブズ氏は携帯電話が音楽プレーヤーになり、アイポッドのライバルになりつつあることを認識していたため、携帯端末への参入は、どうしても必要な「防衛策」だったのだという。

  バジャリン氏の見るところ、ジョブズ氏はこの分野を一から創造することはできなかったため、再創造することにした。彼はアイフォンを単なる電話ではなく、同時に本格的なアイポッドにし(「これまでで最高のもの」とジョブズ氏は言っている)、さらにインターネットのすべてをユーザーがポケットに入れて持ち歩ける製品にした。

 アイフォンには欠点も多い。バッテリーもその1つだ。しかしこうした批判は的外れだとUBSのアナリスト、ベン・レイツェス氏は主張する。ちょうど2001年に最初のアイポッドが登場した時の疑念が的外れだったように。

 アイポッドには新しい技術(クリック・ホイール)が使われ、それによって、より優れた、より安価な後継機種(ミニ、シャッフル、ナノ)が登場することになる。今ではアイポッドシリーズ全体でアップルの売上高の半分近くを占めている。

 同様に、最初のアイフォンとそのマルチタッチ技術は、改良され、安価になるアイフォンの後継機種だけではなく、超軽量コンピューターや新型テレビといったその他の製品もサポートする新しい「メガプラットフォーム」とみなされるべきだ。アイフォンの投入は「今後何年もの間、新たに出てくる製品に論理的な年表をもたらすものだ」とレイツェス氏は言う。
これまでの軌跡

 「この視点がジョブズ氏を“シリコンバレーの神殿”において、ユニークな存在にしている」。長年、ハイテク業界の予測をしてきたポール・サッフォーはこう言う。なぜなら、それはジョブズ氏が、製品カテゴリーだけでなく、自分自身をも再創造する能力を持っていることを示しているからだ。

 アイフォンをベースとした新製品投入の軌道は、ジョブズ氏が第3の技術革新を成し遂げることを意味する。1984年のマッキントッシュによるグラフィカル・ユーザー・インターフェイス、そして2001年のアイチューンズとアイポッドによる合法的なデジタル音楽時代に続くものである。

 
4.Interop Tokyo:「企業はIP電話による業務変革に取り組むべき」,米アバイア(6.15 nikkeibp.jp)
「IP電話は企業だけでなく,社会にも大きな変革をもたらす時代になった。ユーザー企業は今,組織を変えるチャンスを目の前にしている」。米アバイアのルイス・J・ダンブロシオ社長兼CEO(最高経営責任者,写真)は6月15日,幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2007」の基調講演でIP電話による業務改革の重要性を訴えた。

講演のテーマは「これからの企業におけるコミュニケーションのありかた」。同社は,IP電話を単なるコスト削減手段ではなく,ビジネスの変革に応用する「インテリジェント・コミュニケーション」と位置付け,ユーザー企業に提唱している。講演では,インテリジェント・コミュニケーションのフレームワーク,すなわち(1)IP電話,(2)コンタクト・センター,(3)ユニファイド・コミュニケーション,(4)CEBP(Communications Enabled Business Process)について説明した。

5.NTT東西とANAのシステム・トラブルに見る顧客視点の有無(6.14 nikkeibp.jp)
 少し前のことになるが,6月1日付朝日新聞朝刊(科学面)に先のNTT東西会社と全日空(ANA)のシステム・トラブルについての論評記事が載っていた。「単純ミス・修理が『大事件』に」といった雰囲気の見出しで,その記事には本位田真一・国立情報科学研究所教授のコメントが寄せられていた。そのコメントに付けられた小見出しは,「技術者の育成と検証プログラムを」というものだった。筆者もそれは必要だろうと同意した。一方で筆者はこうした一連の報道を前に,NTT東西とANAという当事者は,今回の「事件」をどうとらえているのかを知りたいと思った。

ADSLに逆戻りする顧客がいてもおかしくない

 記事によると,NTT東西のひかり電話のシステム・トラブルは,「誤った命令文を入力した結果,ハードディスクのデータの一部が壊れ,サーバーがダウンする事態に発展」してしまったという。この説明の通りだとすると,NT東西Tのマネジメントの稚拙さが透けて見える。

 普通,プログラムは稼働前にデバッグする。誤りがないか検証する作業抜きにこのような重要なシステムを動かすことは通常,考えられない。プログラムの品質管理活動として当然実行しているはずだ。

 だとすれば,その実行されていたはずのデバッグ作業をすり抜けて,誤った命令文が実行されてしまった,というのが今回の「事件」ということになる。

 日本人の一般的な感覚としては,電話がつながらないという体験は非常に少ない。大震災が発生した時などを除けば,電話が繋がらないという事態に遭遇することは,あまりない。ところが今回,ひかり電話のユーザーは,そんな珍しい事態に遭遇することになったわけだ。

 利用者はその時,何を感じてどう行動したのだろうか。筆者にはこのようなシステム・トラブルで電話が繋がらなくなったという経験がないので,あくまで想像するしかない。ただ,停電で電話が使えなくなったという経験はある。

 筆者は以前,神奈川県三浦市に住んでいた。ある日,停電が発生した。落雷による停電だった。復旧に12時間以上を要した。発生時間が夜の10時過ぎだったので,とても不安なまま朝を迎えなければならなかった。その時,電力会社に確認の電話を入れようとしたのだが,あいにく安価なコードレス電話機を使っていたので,停電のため使えなかったのだ(携帯電話があるではないかと言われそうだが,筆者は携帯電話嫌いである。三浦に在住時,携帯電話は使っていなかった)。

 夜が明けて,筆者が最初にしたのは,電車に乗って家電量販店に行き,電源が必要ない電話機を購入することだった。電話機を買い足したのは,停電による通信の断絶を防ぎたかったからだ。電話回線には微弱だが電圧がかかっている。だから,停電しても前世代型の電話機であれば通話は確保できる。通話さえできれば,情報が集められる。そうすれば,どう対処すべきか考えることができる。停電などということを相当長い期間経験したことがなかったので,あらためて無防備に受け入れていた電化生活の危うさを体験させられた思いだった。

 ちなみに筆者は停電時,電池で動作するラジオを持っていた。ラジオ局のニュースを聴き続けたが,三浦市での停電を伝えるニュースはなかった。筆者は結局,電話機の他に小型のUPS(無停電時電源装置)も買った。そのUPSにパソコンと電話機を繋いだ。前世代型の電話機は,停電に備えて,電話線モジュラーの側の壁にマウントして,停電時には繋ぎ換えられるように準備した。

 この経験で,筆者はIP電話であるひかり電話へ切り替えると危ういと考えるようになって断念した。IP電話では,使用する機器類にはすべて電力が必要だと分かったからだ。

 NTT東西は積極的にひかり電話への転換を勧めているが,一連のトラブルを経験したことは,転換推奨策にどれほどの影響を与えるだろうか。また,ひかり電話もしくはインターネット接続サービス「Bフレッツ」からADSLへと逆戻りする顧客はいないのだろうか。もともとNTT東西は,顧客とのリレーション醸成には不慣れで不熱心な電話会社だ。CRMを専門とする筆者としては気になる事項である。
 
 

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