週間情報通信ニュースインデックスno.609 2007/06/09

1.アマゾンの会員制プログラム「Amazon プライム」、「お急ぎ便」が使い放題(6.8 nikkeibp.jp)
アマゾン ジャパンは6月8日、同社としては初めての会員制プログラム「Amazon プライム」の提供を開始した。年会費は3900円。沖縄と一部離島を除く日本全国で、「お急ぎ便」を追加料無しで何度でも利用できる。

お急ぎ便は、指定時間までの注文で関東地方(一部地域を除く)なら当日または翌日に配達、関東地上以外の全国(一部地域を除く)なら1?3日後までに配達する。

そのほか、Amazon プライムでは、対象商品であれば購入金額にかかわらず通常配送を無料とする。従来の配送無料適用の最小購入金額は1500円だが、「配送料を意識して複数の商品をひとつにまとめたりする必要がなくなる」(同社)

2.「素人目線の推敲」で分かりにくさを排除(6.8 nikkeibp.jp)
「説明のはしょり」「専門用語の多用」は、読み手に不親切だ。
素人の目線でチェックすることで、分かりにくさを排除しよう。
メッセージを明確に伝えるためには構成もシンプルにしたい。

インターネット関連のコンサルティングを手がける武井由紀子さんは、仕事柄、デキの悪いウェブサイトを文章術の反面教師にしている。その典型は、トップページに部署名を羅列してるような役所のホームページ。どこに進めば求める情報にたどり着けるのか、部外者にはさっぱり分からない。

このような「不親切」なサイトの改善案を考えたりするのが武井さんの仕事だ。それゆえ自身が書く文章も「分かりやすく」「伝わりやすく」を心がける。書き上げた後に「素人目線」で文章を読み返し、分かりにくい点を排除する。「読む人は『何も知らない』と想定し、背景や前提をはしょったり、難しい専門用語を使っていないかチェックします。読み手の立場になって書くのが基本です」。

顧客向け提案書のように読み手が特定されてる場合は、相手によって強調するポイントを変える工夫も欠かさない。例えば現場の担当者向けなら、どのようなサイトに変わるのか、日々の作業はどう変わるのかを強調する。一方、相手がマネジメント層なら、費用対効果などを見せ場にする。

伝えたいメッセージを明確にするために、文章の構成にも気を配る。武井さんがよく使う構成は、「現象(問題点)」を述べ、そのうえで「原因」を続ける形だ。問題点が多い場合には、「現象→原因」の記述を繰り返す。

3.2010年までに「テレワーク」人口を就業者の2割に、政府が目標(6.7 nikkeibp.jp)
政府は6月1日に閣議決定した長期戦略指針「イノベーション25」に、ITを利用してオフィス以外の場所で働く「テレワーク」人口の倍増を、今後3 年間で早急に取り組むべき課題として盛り込んだ。5月に政府のIT戦略本部がまとめた「テレワーク人口倍増アクションプラン」に沿って、企業がテレワークを試行できるシステムの運用を2007年中に始める。

国内のテレワーク人口は2005年時点で就業者全体の約10%だが、政府は2010年までに約20%に増やす計画だ。少子高齢化対策として、仕事と子育ての両立や高齢者の就業を容易にするなどの狙いがある。

IT戦略本部は「e-Japan戦略II」(2003年7月)や「u-Japan推進計画2006」(2006年9月)で、テレワーク人口を増やす方針を発表したが、「在宅業務では情報漏えいの危険もある」との指摘を受けていた。アクションプランでは、業務関連の情報を従業員のパソコンに保存せず、企業のサーバーで一括管理する「シンクライアントシステム」を利用し、こうした問題を解消する方針を示している。

4.「ポスト・グーグル」への新潮流(6.7 nikkeibp.jp)
インターネット人口は世界で10億人を超え、生活に不可欠なものとなった。企業は仮想世界と共存し始め、現実世界とシームレスに融合しつつある。
「ネットのあした」を考えずして「企業のあした」は語れない。 =文中敬称略

 ドイツのハノーバーで3月21日まで開催されていた世界最大級のIT展示会「CeBIT(セビット)」。携帯電話メーカーのソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは参加した約6000社の1社だ。そのブースで説明員をしていたドイツ人のミッケル・ディンゼオはこう話す。

 「毎日150−200人の来場者に携帯電話の新機種の説明をしているよ」
といっても、ディンゼオは現実のハノーバーの会場にいたわけではない。「セカンドライフ」という3次元の仮想空間にセビットに合わせて設けたもう1つの仮想ブースで働いていたのだ。
米ベンチャー企業のリンデンラボが運営するセカンドライフの“住民”は累計で480万人。ユーザーはアバターという自分の分身を作って、仮想空間で会話やカネ稼ぎに興じる。

 ソニー・エリクソンが作った仕掛けは、セカンドライフの住人に自社製品の話題を提供し、意見交換を促すもの。現実世界だけでなく仮想世界の意見にも気を配る新しい取り組みだ。
 現実世界と仮想世界の融合。これを分かりやすく示したセカンドライフにインターネットのユーザーが群がり、それを企業が注目している。出会いや会話、旅行、購買、商売など、現実世界の生活のあらゆる要素を取り込んだことが人気の秘訣だ。

ユーザーIDが“身分証”に

 「ネットなんか信用できない」。旧来型の企業や政党はネット上に渦巻く世論から目を背けてきた。しかし、ネット人口が10億人を超えた今、そうは言っていられない。ネットは現実世界の地平とつながりつつあるのだ。

 1995年、「Windows95」の登場とともにネットの本格的な普及が始まってから12年。最初は大企業がユーザーに情報のシャワーを浴びせる「媒体」でしかなかったネットは、企業の論理ではなく、ユーザーの論理を優先する「ネット民主主義」の時代へと移った。先導したのは米グーグルだ。

 グーグルは検索サービスを使い、世界中の情報を整理し、ユーザーが欲する情報を的確に瞬時に探せるようにする「ネットインフラ」を築いた。
 このインフラの上に、個人が情報発信するブログや他人とつながる「mixi(ミクシィ)」のようなSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が続々と登場し、ユーザー自らがネットの世界を作り上げるようになった。

 セカンドライフのように生活を再現するサービスも登場し、時空を超えた「社会」が形成されつつある。そして今、ネット社会の最先端では「ポスト・グーグル」と言える、新しいうねりが出てきた。カギは「世論」だ。

 「今後のネットに必要な要素は、個人が他人とコミュニケーションをするインフラと、それらが生み出す世論を正確に整理して把握できる検索の仕組みだ。我々が狙っていることは、この2つの要素をほぼカバーしている」

 米マイクロソフトでネット事業を統括する上級副社長のスティーブ・バークウィッツは日経ビジネスにこう語った。
 ネット世論の顕在化――。マイクロソフトはメールやメッセンジャーソフトなどで発行した累計3億5000万人ものユーザー登録IDを、現実世界での身分証のようにネット上で利用しようとしている。

 「仮想社会でのコミュニケーションにもパーソナリティーは必要。我々はユーザーがネットの世界でもアイデンティティーを保てるようにする」と話すバークウィッツ。そのベースが3億5000万人のIDというわけだ。

 例えば、自分が知りたいトピックスについて、友人はどんな意見を持っているのか…。友人としてユーザー登録したIDを持つ人がネット上で発言した内容に限定して検索をかければ、友人らの評価が手に取るように分かる。マイクロソフトは新しいオンラインサービスの「Windows Live」で、こんな試みを実現させようと準備している。

ポスト・グーグルを狙い、日本のベンチャー企業も「世論の把握」を武器に動き出した。
 「グーグルだけが基準のネット世界はちょっと窮屈。グーグルの技術を否定する気はさらさらないけれど、欧米とは違う価値基準を持つ日本の基準に合った検索サービスがあってもいい」

チームラボの猪子社長。「日本の基準に合った検索サービスがあってもいい」という発想をサグール開発につなげた

 186cmの長身に無精ヒゲをはやす猪子寿之は、29歳の若き社長。東京大学在学中の2001年3月に「チームラボ」を起業した。ネットに関する様々な事業を手がけてきた猪子が胸を張るのが、昨年6月に試験版を始めた新手の検索サービス「SAGOOL(サグール)」である。

 グーグル検索ではそのサイトが外部から張られているリンクの数を人気の指標として、検索結果を表示する際の順番に反映する。一方、サグールは日本人の主観や興味を取り込んだ“オモロイ”検索結果を出すことに注力している。

 例えば、「ドラえもん」というキーワードを入力して検索してみよう。

 グーグルでは、藤子プロの「公式サイト」が最上位に表示される。これに対し、サグールでは「ドラえもん最終回シリーズ総合メニュー」というサイトが最上位に出てくる。「ドラえもんの最終回が最も面白い」というのがネット世論だと判断するからだ。

 チームラボが開発した独自の言語解析処理技術を使うと、サイト上の「面白い」「おいしい」「楽しい」といった評価を数値に変換できる。この数値などを基に、サグールが独自の検索基準を作成して、検索キーワードに関連したサイトを導き出す。

 単にキーワードに合致したサイトを順番に表示するのではなく、日本語を解析して世論を反映した表示結果を追求するチームラボ。猪子は「ユーザーは電話帳のような検索サービスだけでは飽き足らない。他人がどう評価しているかを知りたがっている」と話す。

 他人の評価は自分の評価に影響を及ぼし、そうした評価の総和が世論を形成していく。サグールはその一助だ。チームラボはこのほかにも、違う世論形成の仕組みも手がける。

 産経新聞社の情報サイト「イザ!」。産経グループが発行する媒体の記事を「政治」「ビジネス」「スポーツ」「芸能」などの部門に分類して表示。読者は感想や意見、関連する情報などを自由に書き込める。チームラボはこのサイトの設計・開発を手がけた。

 現役記者約70人のブログや記事の文中に登場する用語を解説するキーワード集も用意。1つの記事を巡って読者が感想や意見を書き込みやすくする工夫で、情報の奥行きを広げている。

 調査会社のネットレイティングスによると、産経グループの2007年1月のアクセス数は988万9000人と、2位の読売新聞の668万人に大差をつけてトップを走る。新聞発行部数では219万と読売の5分の1にすぎない産経がネットの世界で躍進した原動力は「世論の顕在化」を求める読者ニーズをうまく捉えた結果と言える。

 他方では、ブログから世論を見極める新手のサービスも登場している。ブログは個人の価値観や意見を不特定多数に発信する定番ツールとなった。
 調査会社のビデオリサーチインタラクティブによると、2006年に日本のブログを閲覧したユーザーの数は2687万人。国民の5人に1人が見ていることになる。

5.NTTドコモDoCoMo2.0が、iモードの成功を追体験できる条件(6.8 nikkeibp.jp)
 NTTドコモの2007年3月期決算は、連結営業利益が前年度比7.1%減の7735億円にとどまった。ライバルのKDDI(au、ツーカー含む)が前年度比88%増の385、ソフトバンクモバイルも前年度比76%増の1346億円と、過去最高の営業利益を計上したのと対照的だ。

 新年度に入ってからもドコモの苦戦は続いている。今年5月の携帯電話契約の純増数のシェアは、ソフトバンクモバイルの42.3%、KDDIの36.1%に対して、NTTドコモは21.6%に終わった。今年4月の純増シェアである14%より5月は挽回したが、2強1弱の構図は変わらない。

 携帯電話の普及台数は今年4月末時点で9719万台。このうちドコモのシェアは54.2%を占める。ドコモの中村維夫社長は2007年3月期の決算発表会で「市場が飽和し、わずかな純増数しか予測できず」と言及する状態だ。

 さらに今年からはイー・アクセスが出資するイー・モバイルがデータ通信を主体とした携帯電話市場に新規参入したほか、WiMAXと呼ぶ高速の無線アクセスサービスも始まり、競争環境は厳しさが増す。ドコモはどのように対応しようとしているのか。

世界で唯一のサービス 「DoCoMo2.0」

 伸び悩みの状況を打開するため、ドコモが先月から始めた大掛かりなキャンペーンの名称がこれ。テーマは「ケータイが変わります」で、その目玉となるサービスの第1弾が、1台の携帯電話機で2つの電話番号を使いこなせる「2 in 1」と、携帯電話を傾けたり振ったりして操作する「直感ゲーム」だ。直感ゲームはカメラ機能が被写体の動きを察知して、端末が顧客にどう扱われているかを分析する技術を使ってカラオケやボクシングなどができ、任天堂の新型ゲーム「Wii」の携帯版とも言える。これらのサービスは、5月から発売した新機種「904iシリーズ」で対応している。

 2 in 1は1人が2つの番号を持てば潜在的な市場規模を拡大させ、直感ゲームはこれまでにはない新しいサービスを提供することでドコモの存在感を立たせる戦略と言える。2つのサービスの根底にあるのは技術力。特に2 in 1は「端末やネットワークの開発をゼロからスタートさせる必要があり、今のところ誰にもマネできないサービス」と、ドコモは強調する。

 飽和感と競争環境の激化を新技術で打開する戦略は、1999年2月に「iモード」を開始した状況と似ている。90年代後半から携帯市場は2社が新規参入、さらにPHSサービスが始まって6社が競合する状況だった。また市場規模の端末価格の下落などが後押しして急速に拡大し、音声通話だけでは成長は近いうちに止まる。その危機感から生まれたのが、世界に先駆け無線パケット通信技術を使ってデータ通信サービスを実用化したiモードだった。

使いたい人は30%強

 DoCoMo2.0での新サービスは、iモードの成功体験を再び享受できるのか。 2 in 1サービスは、会社と自分用を使い分けているなど、場面によって携帯電話を使い分けたい人の層を拡大するためのものだ。電話を複数持つことなく1台で使い分け可能にするという利便性を持たせることで、市場の拡大を図る戦略だ。

 サービスを利用するには、月額使用料900円(税抜き)が必要になる。追加の利用料を払っても、2つの電話番号を持ちたい層を増やせるのか。モバイル市場の各種調査を手がけるMMD(モバイル・マーケティング・データ)研究所の調査によれば、2 in 1を「利用したい」と答えた人は5822の回答中33.8%、一方「利用するつもりはない」は29.3%でほぼ拮抗し、「特に決めていない」が36.9%だった。「特に決めていない」という層をどれだけ取り込めるかが、成功するためのカギの1つと言える。

 直感ゲームは、データ通信のパケット収入の増加につながるのかがポイント。ドコモはパケット収入を上げるため、これまでも独自ニュース配信サービス「iチャネル」など、コンテンツの充足は図ってきた。しかしパケットの1人当たり月額平均収入の増加が期待できるパケット定額制の契約率は、iモード加入者のおよそ30%に過ぎず、大量のパケット通信をする層の開拓は進んでいない。

 ゲームコンテンツは携帯コンテンツの中でも人気が高く、着うたや着メロに次ぐ利用率となっている。しかし、これまでのゲームコンテンツは着うたや着メロとは違い、一度ダウンロードすれば、同じものを使い続ける類のものが多い。直感ゲームがパケット収入を上げるには、継続的にダウンロードしたいと思わせるコンテンツを提供できるかが1つのカギになる。

競合他社は機能より使い勝手

 ドコモが新しい携帯電話の世界観を作り出そうとしている一方で、競合他社は異なる道を歩き出している。KDDIやソフトバンクモバイルはこの夏の新商品において、新しい機能の追加を控えて、使い勝手の良さの向上に力を注ぐ戦略に転換したのだ。

 auを展開するKDDIは「既に携帯電話には利用者が必要とするほとんどの機能は搭載してある。後は利用者の様々な利用場面に合わせて、どれだけ既存のサービスを使いやすくしていけるかが商戦のカギになる」と高橋誠コンシューマ事業統括本部事業統括本部長は言う。auの新モデルではワンセグをお風呂場で見たいというこだわりに応えるため、防水機能を持った機種など一人ひとりの顧客の利用シーンに合わせて既存のサービスをブラッシュアップするラインアップとなっている。

 ソフトバンクモバイルの姿勢もKDDIと同じだ。孫正義社長は「機能も追求していくが、機能があるだけでは本当の携帯電話への愛着は生まれない。かっこよさにコンテンツが重要で、これからは持ち歩きたいと言ってもらえる携帯を作る」と話す。端末の機能を進化させるというより、どんな端末でも受けられるコンテンツの充足に力を入れるという。

 利用者の細かいニーズを満たしていくKDDIとソフトバンクモバイルは端末の数もそれだけ増える。新機種を見ると、auは15モデル、ソフトバンクモバイルは13モデルとなる。一方、ドコモの904iシリーズは5モデルにとどまる。

 消費者の心をとらえるのは、ドコモが展開する斬新なサービスか、それともKDDIやソフトバンクモバイルが強調する消費者の細かいこだわりを満たす戦略か。

強い危機感はあるのか

 野村証券金融経済研究所の増野大作アナリストは「ドコモの新サービスが実際に顧客に受け入れられるのか、もうしばらく様子を見る必要がある」と述べる。ドコモ自身も2008年3月期までの目標契約数の中に「2 in 1」の増加は計上していない。

 新サービスの中身は当初は、提供する側が最も精通している。その中身を利用者に伝えられるか否かは、提供側の意気込みかかっていると言っても過言ではない。iモードが消費者の心をとらえたのは、当時のドコモの幹部にこのままでは成長が止まってしまうという強い危機感が、世界初のサービスを浸透させる基盤になった。普及台数が1億台に迫る中、iモードを開始した時より強い危機感を持たなければ、ドコモは消費者の心をつかめないだろう。
(日経ビジネス 鈴木 雅映子)
 
 
 
 
 

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