週間情報通信ニュースインデックスno.608 2007/06/02

1.「能力開発」を軸にすることで、会社の業績も社員のやる気も向上(6.1 nikkeibp.jp)
成果主義は日本に馴染まないというのは短絡的な見方だ。小手先の賃金制度改革にとどまった企業が失敗したに過ぎないからだ。能力開発を軸にした「ニチレイ型成果主義」は、組織の業績と社員の働きがいの向上で好循環を生みつつある。

ニチレイは2000年4月から、新しい人事制度「フレッシュ&フェア(FF)プログラム」を導入している。社員の成果と役割を明確にして、透明性と納得感の高い評価制度によって処遇や賃金を決めることを狙ったものだ。1999年3月期に事実上、初めての赤字決算に陥ったことがきっかけだった。

「成果主義」の最終目標は何かと問われれば、多くの企業は会社の業績向上だと答えるだろう。「ニチレイ型成果主義」は業績向上はもちろんだが、社員のキャリア開発を通じて、働きがいを向上させることに基軸を置いている点が特徴だ。

仕事のアウトプットを「成果」とすれば、その成果を生み出す基盤が「役割」となる。一人ひとりの社員が自分の役割をしっかりと意識したうえで、上司や会社がその役割に見合う「能力開発」を支援することによって、さらに大きな成果を生み出す下地を作る――。
 

2.「NGN」で変わる日本の高速ブロードバンドサービス(5.31 nikkeibp.jp)
 2006年末における国内のブロードバンドサービスの契約数は2500万に達した。このうち光ファイバー回線は794万であり、全ブロードバンドサービスの3割を占めるまでになった。光ファイバー回線は2006年の1年間で300万以上の純増であり、ブロードバンド普及に大きな貢献をしたADSL(非対称デジタル加入者線)は純減に転じている。

 光ファイバー回線が急増している理由としては、NTTをはじめとした通信事業者の営業が活性化していることや、既存の固定電話とほぼ同じ機能を利用できるIP電話(「光IP電話」と呼ばれる)が光ファイバー上で提供され、インターネットのヘビーユーザー以外にも裾野が広がっていること、新築のマンション等の集合住宅への導入が進んでいることなどが挙げられる。また、野村総合研究所(NRI)が行ったアンケートにおいても、既存の ADSLユーザーの半分以上が将来的には光ファイバーを利用したいと回答している。
 

 このような傾向が今後も続くことで、光ファイバー回線の契約数の増加は進み、NRIでは2011年には現状のほぼ倍の1800万(コンシューマ向け)に達すると予測している。
 この予測では、ブロードバンドの利用形態として、現状のインターネット接続を主な用途として想定している。ブロードバンドを利用した映像サービスが急成長したり、固定電話インフラがすべて光ファイバーに置き換わるようになれば、ブロードバンドサービスの利用者や光ファイバー回線の契約者はさらに増えていくであろう。

 ブロードバンドを活用した映像配信は、光ファイバーを活用したサービスの目玉として、従来から期待されているサービスであった。現在では、各社がインターネット接続サービス、IP電話サービスと合わせた「トリプルプレイサービス」の一環として30−40チャンネルのIP放送とVOD(ビデオオンデマンド:見たいコンテンツを見たい時に視聴する方式)サービスを提供しているものの、なかなか普及には至っていないのが現状である。これは、IPを利用した地上波放送が自由にできないことが原因の1つと言えるであろう。映像におけるテレビ番組の存在感は大きく、これを活用できない状況ではなかなかユーザー数が伸びない。

 一方、海外では、地上波テレビ放送を活用しながらトリプルプレイを行っている例が目につく。英国の電話会社、BTは「BT-Vision」と呼ばれるIP-TVサービスを開始した。現在はBTのブロードバンドユーザーであれば、「V-box」と呼ばれる160ギガバイト(ギガは10億)のハードディスクを搭載したSTB(セットトップボックス)が無料で利用可能である。地上デジタル放送の番組がブロードバンドで視聴可能なほか、映画等のVOD サービスも提供されている。

 イタリアのFastwebという電力系の子会社も、IP-TVサービスを提供している。地上波放送のほか、各種の有料放送、VODのほか、地上波の番組に関しては直近の全チャンネルの番組をクリッピングしており、ユーザーは録画していなくても閲覧可能となっている。
 

そのほか欧州ではイタリアのTI(テレコムイタリア)、フランスのOrange(フランステレコム)、Free、米国でもVerizonといった会社がIP-TVサービスを提供している。 これらの国ではブロードバンドサービスの主サービスはADSLであり、光ファイバーの普及率は日本と比較して低い。それにもかかわらずこのようなサービスが登場して、ある程度のユーザーを集めていることは注目に値する。当然、テレビ番組を取り巻く著作権などは国により大きく異なっているが、参考とする点は多い。

いよいよNGNが実用化へ

 国内では「NGN(Next Generation Network)」の実用化がいよいよ近づいてきた。NGNとは、IPプロトコルを利用して固定ネットワークと移動体ネットワークを統合する次世代ネットワークである。

 NTTは昨年末からNGNのトライアルを開始している。一般的にはNGNになることで、「携帯電話」「固定電話」「放送網」「IP網」と分断されているネットワークが統合され、ユーザーはネットワークの種類や事業者を意識することなく、安全で高品質なサービスを受けられると言われている。また NTTがトライアルを実施しているNGNでは、帯域の確保などによる回線品質の保証や、回線認証によるセキュリティーの確保などを謳っている。

 では、NGNは一般利用者にとって具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。まず、「携帯電話」「固定電話」「放送」「ブロードバンド」などが統合されて利用できるようになるという点は、比較的分かりやすい。現在は、どんなサービスを利用するかによって、端末や通信手段などを切り替える必要がある。NGNになるとその必要がなくなる。ユーザーのプレゼンス情報(どのような環境にいるのかといった情報)を利用して、その時々で通信手段が最適なものに自動的に切り替わるのだ。例えば屋外でテレビ電話を使うとしよう。携帯電話しか利用できない場所からブロードバンドなどの高速回線が利用できる場所に入ると、自動的に高速回線に切り替わり、テレビ電話画面の品質が向上するといった具合だ。

 NGNのもう1つの特徴として、回線品質の保証や回線認証などの技術がある。NTTのNGNでは利用形態ごとに「最優先」から「ベストエフォート」まで、4つの品質クラスの設定を可能としている。ただし一般利用者にとって「回線の品質」という概念はなかなか難しい。現在のブロードバンドは、いわゆるベストエフォート型が基本である。「最大40メガビット/秒」や「最大100メガビット/秒」というスペックはよく目にするが、「40メガビット/秒を保証」というスペックをユーザーが目にすることは少ない。

 NGNが普及するためには、むしろ保障するスペックよりも、具体的な利用シーンやサービスをアピールしていくことが大切だ。つまり、ユーザーにとって「何がうれしいのか」を訴求していくのである。「常に高品質な映像サービスを楽しんでもらうために、回線品質を保証している」という具合に、映像サービスの一部として回線の機能を提供していくことが必要と思われる。

 一方、法人にとってのNGNのメリットはより分かりやすい。法人ネットワーク市場では、以前から専用線や広域イーサネットなどのサービスがあり、通信の品質を保証することの重要性が理解されやすい。NGNを利用すると、今までのような大規模ユーザーだけではなく、小規模の企業や拠点であっても、帯域保証などの回線品質保証サービスを受けやすくなる。

 
また、常時回線の品質を保証するのでなく、必要な時だけ利用するといった、より柔軟な使い方も容易になる。今までベストエフォート型のインターネットVPN(仮想私設通信網)などを利用していたユーザーにとっては、より高機能なネットワークを利用できる環境が出てくると言える。

 さらに、NGNによって企業の情報システムのあり方も影響を受けるであろう。具体的には「Saas(Software as a service)」などの拡大が見込まれる。SaaSとは、ネットワーク経由でソフトウエアの機能を利用する形態だ。NGNにより通信の品質やセキュリティーが向上し、フレキシブルな設定が可能となることで、これまで以上に利用しやすくなると考えられる。

 SaaSには初期コストの低さや拡張性の高さといった運用上のメリットがあり、さらにNGNによる通信品質や信頼性が加わる。これまでは大規模システムを自前で構築していた大企業なども、今後はSaaSの導入が増えてくるだろう。

 例えば、日本郵政公社が顧客情報管理システムとして、SaaSサービスを展開するセールスフォース・ドットコムの「Salesforce」を採用することになった(2007年4月19日、セールスフォース・ドットコムの発表より)。Salesforceは短期間での導入が可能であり、使いながら個々の業務に合わせて機能強化や適用範囲の拡張ができる点などが導入の理由となった。今後、NGNが商用化されて普及するにつれて、このような事例がますます増えていくに違いない。

NGNで国際競争力を確保するために

 日本は諸外国と比較して、光ファイバー回線の普及率や、第3世代/第3.5世代携帯電話の利用者数という点で有数の先進国であり、世界に先んじて NGNにもトライアルしている。NGNで目指そうとしている、通信に関わる機能やスペックも世界最高クラスである。NGNに関わる日本の端末ベンダー、機器ベンダー、部品ベンダーにとっては、自社の技術をグローバルに展開していく絶好の機会が訪れていると言えるだろう。

 しかしながら携帯電話の状況を見てみると、日本の高機能、ハイスペックな端末が必ずしも世界に普及しているわけではなく、日本は世界の中で「異質」のマーケットとなってしまっている。前述のIP-TVサービスのように、ブロードバンドの普及が日本よりも遅れている海外において、より利便性の高いサービスが提供されている事例もある。単純にネットワークの機能だけを訴求するのでは、同じ道を歩んでしまう可能性がある。繰り返しになるが、NGNのネットワーク機能を利用してどのようなサービスができるのか、どのようなメリットがユーザーにあるのかを、ユーザーの視点で訴求していくことが重要だろう。

 NGNにおける日本のプレゼンスを向上させるためには、NGNの構築を進めている通信事業者だけでなく、コンテンツホルダー、サービス提供事業者、システムベンダーやソフトウエアベンダー、機器ベンダーなどが協業して、具体的な成功事例を作っていくことが、必要である。各プレイヤーが自分の領域だけにこだわることなく、「サービス」という視点で協業を行い、NGNを取り巻く市場が活発化することを期待したい。

3.楽天、携帯電話とフリーペーパーを連動させた「ZERO90」を創刊(5.30 nikkeibp.jp)
楽天は5月30日、携帯電話の画像認識技術と動画技術に、紙媒体を連動させたフリーペーパー「ZERO90(ゼロキューゼロ)」を発表した。同社によると、「携帯電話とフリーペーパーのクロス・メディアにより、“読む×撮る×見る×楽しむ”を同時に実現する新感覚メディア」。テスト・マーケティング版となる0号を5月31日に発刊する。

ZERO90は、カメラ付き携帯電話で対象物を撮影するだけで、さまざまな動画に誘導できるオリジナル・アプリケーション「090カセット」を採用。ユーザーがZERO90の記事を撮影すると、関連CMや裏記事を動画で視聴できる。また、動画から商品やコンテンツの購入が可能。

090カセットは現在、NTTドコモの「FOMA900」と「同700」シリーズ、ソフトバンクの一部機種に対応する。未対応機種とauユーザーは、カメラで誌面を撮影し、メールに添付して「p@zero90.nu」に送信する。返信されたメールに記載のURLから動画を視聴できる。

ZERO90では、ファッションやユースカルチャー、CM、お笑い、街ネタなど、さまざまな内容の記事と動画を組み合わせる。オールカラー60ページで、書店・コンビニエンスストア・地下鉄ラックなどで配布する。発行部数は関東で30万部(0号は都内10万部)。

4.NTTデータ、子会社上場による業績予想変更はなし(5.30 nikkeibp.jp)
NTTデータは5月29日、子会社であるNTTデータイントラマートが東京証券取引所マザーズ市場に上場しても、業績予想を修正しないと発表した。 NTTデータイントラマートは6月7日に上場する予定だったが、今回売り出し価格が18万5000円に決まった。上場に伴い株式の売却益が計上されるが、業績への影響は小さいと判断した。NTTデータイントラマートは、業務アプリケーション・パッケージの開発・販売などを主な業務としている。

NTTデータは6月7日に700株を売り出し、NTTデータイントラマートは3200株の新株を発行する。現在NTTデータが持っているNTTデータイントラマート株の比率は66.8%。6月7日の上場後には50%強になる予定だ。

5.米グーグル、オフラインでもWebアプリが使える新技術を発表(5.31 nikkeibp.jp)
 米グーグルは2007年5月31日、インターネットに接続されていない状態でもWebアプリケーションの利用を可能にする技術「Google Gears」を発表した。ブラウザーの拡張機能として実装されており、「Internet Explorer」や「Firefox」に組み込んで利用できる。同日、Webアプリケーションの開発者向けに開発途上版を公開。サンプルアプリケーションも用意している。

 「Ajax」などの進化により、ブラウザー上でもデスクトップアプリケーションに近い使い勝手を実現するWebアプリケーションが多数登場している。グーグルの「Google Docs & Spreadsheets」はその代表例だ。だがWebアプリケーションには、ネットワークが利用できない環境では動作しないという大きな弱みがあった。Google Gearsは、この問題を解決する技術。グーグルはGoogle Gearsをオープンソースで開発することを表明しており、同社の独自技術ではなく、Webアプリケーション実装における標準となることを目指している。

 Google Gearsは、3つの核となるモジュールで構成されている。(1)ユーザーのパソコンで動作させるWebサーバー、(2)同じくユーザーのパソコンでデータの管理を担うデータベース(オープンソースのデータベース「SQLite」を利用)、(3)時間がかかる処理をバックグラウンドで実行するなど、Web アプリケーションが実行する複数の処理を別々に管理してパフォーマンス向上を図るモジュール、である。このように簡易的なサーバー環境をユーザーのパソコンに構築することで、インターネット上のサーバーと通信できない状況でも、Webアプリケーションが実行可能になるわけだ。

 Google Gearsの対応OSは、Windows XP以降、Max OS X 10.2以降、Linux。いずれのOSに対してもFirefox 1.5以上のブラウザーに対応するほか、WindowsではInternet Explorer 6以降もサポートする。将来的にはMac OS X上の「Safari」も対応予定だという。
 

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