週間情報通信ニュースインデックスno.603 2007/04/28

1.消費者のストレスは減ることがない(4.27 nikkeibp.jp)
鈴木貴博
 最近、「消費者本位の経営」というテーマで検討を行った際に気付いたパラドックスがある。 一つは、消費者として買い物をする際に、ストレスを感じることが増えた気がしていたこと。それがどうやら僕自身だけではなく、かなり多くの消費者に当てはまっているらしいということが分かってきた。 もう一つは、メーカーや小売店が消費者に対して感じるストレスが増えている事実を目の当たりにすること。 これもコンサルティングの仕事を通じて判断すると、かなり一般的な事実のようである。

 なぜこれがパラドックスになるのかというと、普通に考えればメーカーと消費者どちらかのストレスが増えることは、どちらかのストレスが減ることにつながりそうなのだが、最近のケースではそうなっていないからだ。

 一般的にはWebの出現以降、メーカーや小売店から消費者にパワーシフトが起きているといわれている。ブログやSNSなどの出現によって、消費者は製品やサービスについて以前は持ち得なかったような“リッチな”情報を手に入れることができるようになった。「価格.com」や「@コスメ(アットコスメ)」のような口コミサイトの情報を通じて、ユーザーが販売員よりも詳しく製品・サービスの実態を把握しているということも珍しくない。
 
 以前は情報の「非対称性」、つまりメーカー側が消費者側よりもたくさんの情報を握ることで、イニシアチブを取っていた。だが、この情報の非対称性が崩れたことで、メーカー側から消費者側へのパワーシフトが起きたわけである。

 こうしてパワーシフトが起きた以上、メーカーや小売店側が消費者に対してストレスを感じるようになるのは無理もないのだが、その一方で、消費者側も以前よりずっとストレスを感じるようになってきているのは一体全体なぜなのだろうか?――というのが今日の話のテーマである。

 では、消費者の立場で見た“ストレス”とは何か?

 その原因は3つある。第一に、新分野が常に増え続けていること。第二に、紛らわしい製品・サービスが増えていること。そして第三が、“弱者”である消費者の弱みに付け込まれてしまうこと――である。順を追って見ていこう。

 まず新分野だが、今は新しいものが家庭の中にどんどん入ってくる時代である。例えばテレビ。以前は、テレビは古くなったら買い換えて、それで“終わり”だった ところが、最近では状況が異なる。

 まず「地デジ(地上デジタル放送)」の問題がある。 テレビを選ぶ際には液晶がいいのかプラズマがいいのかで、また悩む。 次にテレビ番組を録画しようとすると、今度はハードディスクレコーダーを買わなければならないが、そこでまた「コピーワンス」だの「ムーブ」だの「VRモード録画」だの、新しい言葉を学ばなければならない。さらにHDMI端子が付いていないテレビは将来、レコーダーなどの接続ができない世代遅れになるといった新しい情報も後から判明する……。

 パソコンやケータイなども消費者の目に付き始めてから10年ぐらい経ち、“新参者”としてはかなり馴染んできたものであろう。それでもテレビの“地デジ問題”同様に、パソコンであれば、ウイルス対策だとか、無線LANだとか、「Windows Vista」の登場だとか、ようやく慣れたと思った途端に必ず新分野が登場する。この絶え間なく登場する新分野にキャッチアップしていくために消費者は大いなるストレスを感じているわけである。

 では、そのような“ハイテク気味”の新分野とは違う、ローテクの世界ではどうかというと、今度は「分かりにくい」、そして「紛らわしい」製品・サービスという第二のストレスが待ち受けている。 例えば練りわさび。これは先日、僕がスーパーに練りわさびを買いに行った際の実話だが、売り場に行ってみると同じメーカーのチューブ入り練りわさびが4種類も並んでいた。どれも同じようなパッケージの商品だが、値段が100円から250円まで4段階ある。

 どれがどう違うのか分からず頭をひねっていると、隣でおばあさんが同じように頭をひねっている。「どう違うんですか」と尋ねた僕に、人生の大先輩であるおばあさんも「いやいや、全く分かりませんがな」と困ったご様子。

  そのような消費者のストレスに追い討ちをかけるのが、三番目の「弱者の弱みに付け込こむ」傾向で、実はこの傾向が消費者にとっては一番たちが悪い。そして残念なことに、我々、経営コンサルタントも少なからずこの傾向に加担しているのである。

 例えば、本体はリーズナブルな価格なのだが、消耗品がやたらと高い商品。ないしは色々とお得に見える契約だが解約が難しい、または条件が複雑で後から計算してみると実はお得ではなかった……。そんな製品・サービスが世の中に増えている。

 もう一つ、「条件が複雑で、お得かどうかが分かりにくい」というのも経営コンサルタントが発案したものだ。簡単に比較できてしまうと価格の安い会社に消費者が流れ、価格競争が起きる。そこで最近の製品・サービスでは簡単に価格が比較できないように、企業の側は条件が複雑になるよう工夫するわけだ。
 
2.NTTなど、携帯電話だけで撮影/投稿/編集/閲覧が可能な動画共有サービス(4.27 nikkeibp.jp)
 NTTとNTTレゾナントは、ポータルサイト「goo」上の実験サイト「gooラボ」において、携帯電話による動画共有サービスの実験「携帯動画共有実験」を開始した。両社が4月25日に明らかにしたもの。実験は2007年10月末まで行う予定。

この実験サービスは、動画の撮影から編集、閲覧までのすべての機能を、携帯電話から利用できる。動画の公開先を限定するソーシャルネットワーキング・サービス(SNS)機能も備えている。

携帯電話で撮影した動画をメールに添付して投稿すると、Webサイトに掲載して共有できる。掲載時に、システム側が動画内の映像を解析し、特徴的な場面を抽出してサムネイルとして表示する。

SNS機能により、動画の「非公開」「友達だけに公開」「特定グループだけに公開」「友達の友達まで公開」「全体に公開」の指定が可能。友達を SNSに招待する機能も備える。あらかじめ用意されているテンプレート映像を合成する機能「あてこみ」を使えば、投稿した動画にオープニング/エンディングを組み合わせられる。

実験に参加するには、NTTドコモの「FOMA 900」「同700」製品系列の携帯電話で「iモード」「iモーションメール」を使う必要がある。

3.「犯人は韓国人」の衝撃と米国との微妙な距離感(4.26 nikkeibp.jp)
米バージニア工科大学での銃乱射事件は、米国はもちろんのことだが、韓国をも震撼させた。 「犯人は中国系」──。そう見られていた頃までは、乱射事件に関連してジョージ・ブッシュ大統領を皮肉る漫画評論が新聞に掲載されるくらいで、韓国内では“対岸の火事”を眺めるような雰囲気があった。だが、「犯人の国籍は韓国」ということが判明するやいなや、韓国内の空気は凍りつき、韓国人はパニック状態に陥った。

 ノ・ムヒョン大統領は米国に対する謝罪コメントを3回も出した。駐米韓国大使は在米韓国人の集会において、「32日間の断食」に入って悔い改める気持ちを米国民に示そうと提案した。政府は大統領特使や弔問団を送る計画を立てた。ソウル市内の米国大使館前では、市民団体の人々が泣きながら土下座で謝罪した。枢機卿の呼びかけで被害者を弔う集会が各地で開かれた。

 グローバル企業のイメージが高いサムスンやLGなどは、ビジネスへの直接的な打撃は大きくないだろうと予測しながらも、米国内では「KOREA」という国名を掲げてのイベントは控えることを決めた。「韓国企業」としてのブランドが浸透している現代自動車は、なるべく目立たないように広告キャンペーンなどを自粛する方針だ。

 韓国観光公社は、米国からの観光客を増やすためのキャンペーンを張り始めた矢先だった。事件が起きた4月16日から「コリア・スパークリング」というキャッチフレーズでCNNに広告を流し始めていた。キャンペーンは6月30日までの予定だったが、事件発生翌日の17日には放映を中断した。

 外国人が他国で殺傷事件を起こすことはあるが、今回は32人という多数の犠牲者を出した。米国の教育現場を舞台とする銃乱射事件では史上最悪の記録を塗り替えてしまった。だから、犯人が韓国籍だったことが、多くの韓国人に連帯責任の情と重苦しい罪悪感を抱かせた。まるで事件を起こしたのが「韓国」そのものであるかのような集団心理に陥ったのである。ある有名な韓国人詩人は、被害者を弔う集会で献上した詩の中で「私たちがあなたたちを殺した」と書き綴った。

 だが、冷静になって考えれば、「韓国」が今回の事件を起こしたというわけではない。国家対国家のイデオロギー対立という要素が事件の背景にあったわけでもない。確かに犯人の国籍は韓国だったが、8歳の時に両親とともに移民して米国永住権を得ている。米国で長く生活し、米国の教育を受けてきたわけで、限りなく米国人に近い韓国人だった。

 犠牲者に対して哀悼の意を表するのは人として自然な気持ちの動きだとしても、「韓国があなたたちを殺した」とまで言って懺悔するのは行き過ぎのように思う。ただ、その背景には、韓国と米国との微妙な距離感がある。

 第1に、200万人もいる在米韓国人、そして10万人を超える韓国人留学生の存在である。韓国人にとって忘れられない記憶──それは、15年前、カリフォルニア州ロサンゼルスで大暴動が起きた時、韓国人や韓国商店が集中的に狙われたことである。米国社会に多くの韓国人が根ざしているのに、両者には乗り越えることのできない壁があるという現実。あの悪夢が韓国人の深層心理に与えた衝撃は大きかった。
 
 今回の事件でその記憶が蘇った。犯人が韓国人だからという理由で、韓国人全体が差別の対象になるのではないかという恐怖は、米国に住む韓国人だけでなく、肉親や知人を送り出した韓国本国の人たちをも震え上がらせたのである。

 韓国政府は事件直後、公館を通じて在米韓国人たちに外出を控え、決して米国人と争ってはならないという指示を発令した。在米韓国人が営む商店は被害を恐れて早く店じまいし、留学生は大事をとって登校を控えた。これから米国に留学しようと準備している学生たちは動揺と不安を隠せないでいる。

 事件後の韓国の反応があまりにも敏感だったためか、バージニア工科大学学生会は駐米韓国大使館に「バージニア工科大学ではこの事件によって韓国人差別などはしない」というメールを送ってきたという。駐韓米国大使館は、「バージニア工科大学の件が韓国人のビザ取得に影響することはない」と発表した。米国側の理性的な対応を見るにつれて、あまりにも卑屈な考え方と対応を改めようという反省の声が韓国内に広がりつつある。

 筆者も最初は、韓国の対応を当たり前に受け止めていた。惨劇を起こしたチョ・スンヒが韓国人であることに腹を立てた。けれども今は少し違う。アメリカンドリームを追い求めて海を越えた青年が、いかにして夢に破れ、孤独の淵に自らを追い込み、なぜあのような惨劇を引き起こしたのか──。同じ韓国人として、その問いに正面から向き合わなければならない。韓国の人々はそう感じ始めている。
 
4.「Web2.0」、5つの落とし穴(4.24 nikkeibp.jp)
 2.0現象には特有の落とし穴もある。特性をよく理解して、仕事力と日常生活の向上に生かそう。

1.「ロングテール」の罠

◎ 「『不良在庫』保有の勧め」との勘違い
     「死に筋不人気商品でもネット上に置けば売れる」と考えるのは誤り。「80対20の法則」で店頭の棚から弾き出されるマニアックな商品でも通好みの愛好者が満足するクオリティーがあり、かつそこに愛好者がアクセスしやすいルートが確保されていて初めてネットで売れる。

◎ 成立はレアケース
     商品が陳腐化しにくく保管コストが限りなく低いという条件が不可欠。音楽配信のようなデジタルデータの販売に向く。不採算事業からの撤退反対派が、方便として悪用するケースがあるので要注意。

2.「みんなの意見」の過信は禁物

◎ 属性に偏り
     ブログやクチコミサイトの投稿は、相応のネットリテラシーを持つ特定層の意見である。また商品に対する感想は、感銘を受けた層と、期待ハズレで怒っている層が、書き込む意欲が高いので、偏った意見が幅を利かせやすい。
◎ みんなの意見は「正しい」≠「あるべき姿」
     アカデミー賞や選挙などの予想物については「みんなの意見」の精度は高い。2005年9月の衆院選もブログや掲示板の書き込みなどで早い段階から自民優勢が感じ取れ、結果もその通りになった。だが、それが「あるべき正しい姿」かどうかはまた別の問題。“衆愚政治”を回避できるようになったわけではない。

3.情報の質の玉石混交に拍車

◎ 「集合知」にはウソもある
     保有する知識を提供・共有し合う「集合知」はWeb2.0の特色の一つだが、その道のプロでなくても編集でき、また後日修正できる気軽さから、誤った内容が公開されることも起こり得る。
◎ 「スルー力」が重要に
     ここ数年で格段に増えた情報量の多くは個人ブログなどによるもので、玉石混交(特に「石」の増加)に拍車がかかっている。莫大な情報量の中から自分に有益な内容を引き出して仕事に生かすには、利用価値の低い情報に時間を割かれないように受け流す力「スルー力」が重要になる。運営するブログに寄せられる冷やかしコメントなどへの対応にも適用可。

  4.企業のヒモ付き情報も跋扈

 自分が買った商品の感想のように見せかけて、実は企業から商品提供を受けて書いている“ヒモ付き”ブログがある。原稿料が支払われていれば当然提灯記事になる。また、ショッピングサイトにリンクを張って手数料収入を得るアフィリエイトだけが目的のブログも、購買意欲をそそる文面になっている。そうした記事を鵜呑みにして購入すれば期待ハズレになる可能性がある。

◎ “ヒモ付き”ブログを見抜くコツ

        * 商品を褒めまくる提灯記事ばかりが並ぶ
        * 同じ会社の商品が何度も取り上げられる
        * ショッピングサイトへの誘導が露骨
        * 使用感の記述が少なくカタログ的な商品説明に終始

5.危険と隣り合わせ

例)

        * ブログに会社の機密事項に触れることを書いて注意、処分を受ける
        * ブログに書いた内容から個人が特定され、ストーカー被害に遭う
        * ブログの内容に反感を持つ人がコメント欄を集中的に荒らし“炎上”

5.【Symposium/ITxpo】Web指向ではないベンダーとは付き合うな,Gartnerのアナリストが主張(4.26 nikkeibp.jp)
 「企業情報システムのWeb 2.0化が進まないのは,業務アプリケーション・ベンダーに責任がある。ユーザーはベンダーに対して『Web指向アーキテクチャ』を採用するよう圧力をかけるべきだし,そうでないベンダーとは関係を見直した方がいい」。米GartnerのVice PresidentであるJeff Woods氏(写真1)は,サンフランシスコで開催中の「Gartner Symposium/ITxpo 2007」でこう主張した。

 ここで言う「Web指向」とは,「Webブラウザで使えるアプリケーションにする」という意味ではない。サービス志向アーキテクチャ(SOA)を採用しており,Webサービスなどを使って他のシステムと容易に連携できるという意味の「Web指向」である。

 Woods氏の演題は,「Enterprise Applications in a Web-Centric World(Web中心時代の業務アプリケーション)」。Woods氏は,「米SAPや米Oracle,米Microsoftなど主要な業務アプリケーション・ベンダーは,自社のアプリケーションがSOAを採用しており,『エンタープライズ・マッシュアップ』が容易などと言うが,実装は極めて難しい」と断言した。その理由は,各アプリケーションが本当にWeb指向アーキテクチャにはなっていないからだと説明する。

 「ユーザー企業はベンダーに対して,Web指向アーキテクチャを採用するよう圧力をかける時期に来ている。もしそうならないのであれば,ベンダーとの関係を見直した方がいい。2010年までには『マッシュアップができるかどうか』が,業務アプリケーションを選ぶ決め手になっているだろう」。 Woods氏は,ユーザー企業のCIOなどが中心を占める聴衆に対してこう訴えかけた。

 そもそもGartnerが「企業情報システムのWeb 2.0化が必然」と見なす理由はどのようなものだろうか。もう1人の講演者である米GartnerのVice President,David Cearley氏は,Web 2.0がSOAやWebサービスを前提にした動きであり,Web 2.0と企業情報システムが目指す方向が同じだからだと説明する。Cearley氏は「企業情報システムも,コンシューマ向けのアプリケーションも,『Webセントリック(Web中心)』に向かいつつある。この動きは止まらないだろう」と語る。

 ここで言うWebセントリックの「Web」も,もちろん「Webブラウザで使えるアプリケーション」という意味ではない。Web 2.0というとAjaxを使ったアプリケーションというイメージがあるが,「本当に重要なのは,リッチ・ユーザー・インタフェース・アプリケーション(RIA)が主流になったということ。AjaxはRIAの一部に過ぎない」(Cearley氏)。

 むしろAjaxには,「Webブラウザでしか使えない」「オフラインで使えない」「セキュリティ上の制限がある」といった弱点がある。仮想世界の「Second Life」のような,デスクトップ・アプリケーションを使ったサービスも注目を集めている。Cearley氏は,「今後は『進化したユーザー・インタフェース(UI)』を中心に考えるべきだろう」と訴える。

 では,企業情報システムがWeb 2.0化することによって得られる利点とは何か。一番魅力的なのは「マッシュアップ」だが,企業情報システムにとってのマッシュアップは,「Google マップのサービスをマッシュアップして不動産情報サイトを作る」などという単なるアプリケーション連携にとどまらないという。Woods氏は,本当のエンタープライズ・マッシュアップとは,「サプライヤ・マッシュアップ」であり「コンシューマ・マッシュアップ」だという。

 つまり,自社の業務プロセスをWebサービスとして開放し,サプライヤやコンシューマ(消費者)が業務プロセスにかかわれるようにする。これが企業情報システムのWeb 2.0化の肝なのだという。

 「企業情報システムのWeb 1.0,つまり『E-Business』の特徴は,消費者が企業のWebサイトで商品を注文できるようにするという『セルフ・サービス化』にあった。企業情報システムのWeb 2.0は,『超セルフ・サービス化』になる。つまり,消費者やパートナーに対して業務プロセスを可能な限り公開して,消費者やパートナーがやりたいことを彼らに直接やってもらう。そうすれば,サポート・コストの低減やユーザーからのより良いフィード・バックの収集,パートナーとのより密接な連携が,低コストで可能になるだろう」。Woods氏はそう強調した。
 
 
 

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