週間情報通信ニュースインデックスno.95 2007/03/03

1.ソニー時代と日本企業の将来を語る!(3.1 nikkeibp.jp)
『迷いと決断 ソニーと格闘した10年の記録』著者、出井伸之・ソニー最高顧問、クオンタムリープ代表取締役に聞く

―― まずは今回、なぜこの本を執筆されたのか、経緯を教えていただけますか。

出井 僕がソニーの経営に携わった1995年から2005年というのは、ものすごい激動の10年だった。日本は不況のどん底に転落する10年だったし、技術的にはインターネットが出てきて、世の中を大きく変えようとしていたわけですよね。

 またそういう中で業界構造も大きく変わろうとしていた。僕が当時日本人として非常に希有な経験をしたのは、1つは、日本の(旧来型の)トランジスタエレクトロニクスの終末を手伝ったという感じがしたことです。その後、日本では、パソコンやCPU(中央演算装置)エレクトロニクスというものが育った。

 いわば、この間、垂直統合型の産業から(部品を組み立てる)水平分業の横産業へ転換したのではないか。これだけ状況が変化すると、技術力よりスケールというものが重要になる。日本のエレクトロニクス産業の再編なども話題になってくるわけですね。そういう激動の中の経験をまとめるのは価値があるなと思ったのです。

―― なるほど。社長、CEO時代の出井さんは、執行役員制度などコーポレートガバナンス(企業統治)の改革と、AV(音響・映像)とITの融合戦略などが記憶に残ります。これらは時代の変化に対応し、意識して改革したのですか。

出井 そうですね。まずAVとITですが、これは似ているけれども違います。同じ画面があっても、記憶装置があるパソコンと、放送を流し続けるテレビでは、全く違います。使い方も、使う場所も当然違う。ただソニーとしては、どんな利用のされ方であっても必要になる端末を用意し、コンテンツも端末ごとに見せ方を変えればよい。簡単に言ってしまうと、そうした対応がAVとITの融合戦略なわけです。

 もう1つ、ガバナンスについて誤解してほしくないのは、僕は欧米流を真似るつもりは全くなかった。ガバナンス改革をした理由は、米国の映画子会社、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)があったからですね。米国で価値を生んでいる会社をガバナンスするのに、日本みたいな「なあなあ」ではやっていけないから。

―― 改革するには、旧来の路線を否定する必要もありますが。

出井 僕は本にも書きましたが、あんまり旧来の路線を否定していません。昔を否定して経営するのは、楽なものです。何でも昔が悪いと。ただ、前やったことを批判するのは簡単だけど、全部否定していたら非常に安っぽい経営になっちゃう。時代にそぐわないことは変えればいいけど、ソニーの持っているDNA(遺伝子)とか、その会社の持っている本質というところは見失うべきではない。

―― では、ソニーのトップとしてできなかったこと、あるいはやり残したことは何でしょう。

出井 グローバルカンパニーの支配機構ですね。いわゆる本社ですが、会社全体のバランスシートをトータルで見るマネジメントができていないことです。今はニューヨークにいるハワード(ストリンガー)さんがグループCEO(最高経営責任者)として全体を見て、社長の中鉢(良治)さんがエレクトロニクスを見ている。

 ところが、日本の株式会社の社長というのは偉いから、ここでちょっと矛盾が生じかねない。僕は、エレクトロニクスにグローバルの本社機能がついているのはおかしいと思うのです。グループトータルを見られる人は、どこの事業部門にも属していないというのが望ましい。昔の財閥の仕組みというのは、グローバル企業をコントロールするには極めてよくできた仕組みだと思います。

―― それがグループ企業を統括する純粋持ち株会社「ソニー・クリエイティブ・エグゼクティブ」の構想だったわけですね。なぜ実現できなかったのでしょう。
出井 時間の問題でしょうね。いろんな制約があって、そこまでの発展段階ではなかったというか。制度面でもいろいろ整わないとできにくいのです。

―― 出井さんは本で、後継者を選ぶ時に、4つの能力が問われると記されています。最初に、自分の地位や成功でなくソニーの長期的発展が考えられる人、2つ目が井深(大)さん、盛田(昭夫)さんが技術に懸けた創業時のスピリットを継承している人、3つ目に人として魅力がある人、4つ目が創造性(クリエーターの心)を理解できる人と。この4つと、先ほどのグループ全体を束ねられる人という観点で選んだのですか。

出井 要するにCEOになると、事業運営の詳しい中身を知っている、知らないという問題じゃないと思うのです。憲政の細かいところまで知っていないと、大統領とか首相になれないか、というとそうでもないのと似ています。

 それと同じで、大きな組織のトップの器になれるか、やっぱり人間の器とか、そういうものが大事で知識の比較じゃないですよね。だから、これだけのややこしい事業体を束ねていくには、米国人のチームと日本人のチームの良いところを組み合わせ、足りないところを補いながらやらなきゃいけないと思った。

―― ただ、ソニーのトップとして出井さんが掲げた戦略や方向性は合っていたとしても、組織がついて行かないこともありますよね。

出井 そういうことは当然ある。というのは、組織の中の仕事を分解していくと、すべて定型業務に分解されるわけです。組織というものは、作り上げた組織をうまく回すよりも、定型業務をいかに能率的にやるかというふうに、第一義としては動くわけですね。だから、能率の上がるシステムが会社の組織として出来できていればいるほど、急に会社を変えると言い出した時に、必ず抵抗が出るのです。
 
 もう1つは、人の問題もある。例えば、今のイチローにプロゴルファーに転向しなさいと言っても、「おれももう33歳。ゴルファーになるには遅過ぎる」と言われるでしょう。当然だと思います。一流の人ほど、むやみに変えられないということです。

 人と技術を変えれば、企業は生きながらえます。しかし、人は簡単には変革できない。それなら、古いシステムの合理化を命じる一方で、変われない人たちはそのままにして新しい事業を始めた方がよい。これは僕がマネジメントとして学んだ最大のポイントです。

―― 今後日本企業はどのような成長戦略を描くべきだと考えますか。

出井 グローバルな市場を取り込み、規模拡大で資本集中ができるかということが重要になる。半導体産業の国際競争力を保とうと思ったら、政府がバックアップしないと無理だと思う。実は僕は、官民一体論者なのです。

 韓国が半導体でやったことはまさに官民一体そのもの。台湾も、シンガポールもそう。日本もそうでしたが、日米半導体摩擦が起きて、米国から20%外国製の半導体を使えと言われてから、官と民が離れていった。米国でさえ宇宙開発や軍事は官民一体です。国としてどこを攻めるのか、もう一遍考え直してみるべきです。

2.「Vistaの風は吹かなかった」、アイ・オー・データが業績予想を下方修正(2.28 nikkeibp.jp)
パソコン産業界の期待を集めて2007年1月30日、市場投入されたマイクロソフトの新OS「Windows Vista」。発売前から「さほど効果が期待できないのでは」とする識者の声も聞かれたが、この予測がどうやら現実のものになっている。パソコン周辺機器メーカーであるアイ・オー・データ機器は2007年2月26日、2007年6月期(2006年7月?2007年6月)の業績予想を下方修正した。

Vista発売前の2006年12月18日に発表した前回予想では連結売上高を656億円としていたが、29億円マイナスの627億円に修正した。前年度比では10.5%の減収になる。2億2300万円の黒字を見込んでいた経常損益は4000万円の赤字予想に切り換えた。

3.「失敗の評価」に見る文明の差(2.28 nikkeibp.jp)
失敗した経験をどう評価するのか。 シリコンバレーのハイテクベンチャーの中枢にいる渡辺誠一郎さんのお話で、最も印象に残ったのは、日米の「失敗」に対する考え方の違いだった。

シリコンバレーでは、失敗した経験があること自体を、次の企業の採用担当者やベンチャーキャピタルなどが、1つのキャリアとして評価するという。しかも概念的に、哲学としてそれが理想だというようなものではなく採用などの面で評価するところが興味深い。

脳の学習理論としては、失敗と成功のメリハリの中から人は学ぶ。試行錯誤で学ぶしかないので、絶対に失敗してはならないということでは、学習のしようがない。失敗を許さない日本の企業経営の考え方では、ビジネスは学習することではなく別のものだと言えるだろう。こうしたところにイノベーションのスピードが大きくならない理由があるのではないか。

失敗が評価される仕組みは、広い意味での科学主義だと思う。ある証拠に基づいて次の方向性を決めていく。米国では企業経営もある種の経験科学にしているのだと思う。

4.ハードウエアも「あちら側」? Amazonが格安で提供する仮想サーバーとは?(3.2 nikkeibp.jp)
 Googleに代表されるようなネット・サービスは今年に入っても隆盛である。それはYouTubeのような動画共有や,MySpaceのような SNS,地図,ソーシャル・ブックマークと百花繚乱(りょうらん)。写真共有,ニュース・アグリゲーション,検索,ポータルといった分野でも新サービスが続々登場している。

 大変活気づいているネット業界だが,そうしたなか,新興のサービス提供会社を支えている注目のサーバー・サービスがある。米Amazon.comが昨年8月に始めた「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」(関連記事)だ。このEC2は一言でいえば「仮想レンタル・サーバー」。一般的なレンタル・サーバーのように特定のマシンを顧客に貸し出すのではなく,Amazonが自社サービスのために構築したサーバー環境を論理サーバーとして単位(インスタンス)ごとにレンタルするというものである。まだクローズド・ベータ版ではあるが,安定しており,格安で利用できることから新興企業にうってつけのサービスと評価は高い。仮想空間サービス「Second Life」の運営会社,Linden Labが利用しているサービスとしても有名である。

「起動していなければ課金されない」
 AmazonがこのEC2で提唱しているのは,サーバー環境を電気や水道のように提供するという「ユーティリティ・コンピューティング」。この考え方は特に新しいものでもなく,米IBM,米HP,米Sun Microsystemsといった大手サーバー・ベンダーも提供しているが,AmazonがこのEC2で差異を強調しているのはその格安で単純な料金体系である。

 EC2は,使った分だけで支払うという従量制のみが適用され,固定費は一切かからない。1インスタンスの1時間当たりの利用料金は10セントで,データ転送料金は1Gバイト当たり20セント。同社のストレージ・サービス「Amazon Simple Storage Service(S3)」と組み合わせて使うようになっているが,そちらの料金も1Gバイトで月額15セントと安い。データ転送料は外部とのトラフィック間のみで発生し,ストレージ・サービスのS3とEC2のあいだの転送については課金対象外となる。

 EC2の1インスタンスのシステム環境は,動作周波数1.7GHzのx86プロセサ,メモリーは1.75Gバイト相当。ディスク容量は160Gバイト,帯域は250Mbpsとなる。インスタンスの起動/停止は,数分単位で実行でき,停止中は課金されない。今のところインスタンスは基本的に最大20まで利用できるという。

公開するのはAmazonの堅牢なサーバー・インフラ
 EC2では,Webサーバーや,アプリケーション・サーバー,データベースなどで構成する,自分専用のマシン・イメージ「Amazon Machine Image(AMI)」を作成して,Amazon S3にアップロードし,WebサービスAPIを使って起動する。Amazonでは設定済みのAMIも多数公開しており,それらを利用することも可能となっている(EC2のリソース・ページで公開されている。例えば「ApacheがプリインストールされたFedora Core」といったものがある)。

 従来のサーバー環境といえば,例えばDellなどの大手ベンダーのサーバーを購入,あるいは複数年リースして運用するというのが一般的である。これにはサーバーそのものにかかる費用のほか,設定/管理/メンテナンスにかかる費用や通信費,ハードウエア・エンジニアの人件費,保守契約料などが必要になってくる。

 これに対しEC2はそのほとんどが不要になる。人材で必要なのはソフトウエア・エンジニアのみ。そのエンジニアによってAmazonが自社Web アプリケーション「Amazon.com」のために構築した強力でセキュアなコンピューティング資源を低コストでフレキシブルに使えるようになる。電源やネットワークが落ちたり,マシンが壊れるという心配は無用。データも常時複製され運用される。通常企業にとって考慮しなければならないのは,天災,事故,火事,停電といった不測の事態だが,そうした不安からも解放されることになる。

ハードウエアをサービスとして提供
 新しいサービスを立ち上げる新興企業にとって,トラフィック量の予測は大変難しい。多額の費用を投じてサーバー・インフラを構築したものの,サービスが不調に終わりプロジェクトはあっけなく解散,ということはよくある。またはサービスが思いのほか人気を博し,想定していた処理能力を超えてパンク。そんな話もよく聞く。EC2はスケーラブルで,変更も短時間で反映されるため,そうした無駄やトラブルから解放されるという。設定の変更やサーバーの引っ越し時にも,従来の物理サーバーとは比較にならないほどの利便性があるという。

 こうしたことを可能にしているのは,EC2がいわゆる「ネットのあちら側」で提供されるサービスだからであろう。そのあちら側にはAmazonの巨大なデータセンターがある。それを世界中の企業が,自社サーバーとして運用するようになる。Amazonはそんな構想を抱いているようである。

 Googleなどに代表されるネット・サービスは,ソフトウエアをサービスとして提供しているが,Amazonはサーバーをサービスとして提供していることになる。しかもそれはユーザーごとに割り当てる物理マシンではなく,巨大なAmazonのグリッド・コンピューティングの中で分散管理されている仮想マシン。レンタル・サーバーの未来の姿がここにあるかのように感じるのは筆者だけだろうか。
mazonの真の狙いとは?
 オンライン書店から始まり,ネット小売りで圧倒的な地位を確立したAmazonが,自社のサーバー・インフラを外販するというのはどういうことなのだろうか? 自社インフラを効率的に運用し,新たな収益モデルを確立したいと考えているのだろうか。しかしEC2やS3の料金は非常に安い。収益への貢献度は非常に低いと思われる。

 Computerworld Onlineに掲載されている記事によると,Amazonは「EC2は当社事業計画の心臓部」と説明しているという(Computerworld Onlineの記事)。同記事では,Amazonの製品管理/開発者向け広報担当副社長であるAdam Selipsky氏の次のようなコメントも掲載している。

 「Amazonは根本的にテクノロジ・カンパニーだ。これまで技術やコンテンツに15億ドル以上を投じてきた。我々は書籍販売からスタートしたが,我々の事業計画が,その分野にとどまると規定したことは一度もない」(Adam Selipsky氏)。

 Amazonがテクノロジ企業ということは有名でである。同社には「Amazon Web Services(AWS)」という事業部門がある。同部門によるサービスの第1弾は「Amazon Associates」,第2弾は「Amazon E-Commerce Service(Amazon ECS)」だった。前者は今やネットの世界で日々当たり前のように利用されているアフィリエイト・サービス。後者は,開発者が,Amazonの商品情報にアクセスし,Amazonと同様の機能を持つWebサイト/アプリケーションの開発ができるようにするというサービス。この考え方は今,すっかり定着しているばかりか,これを導入してビジネスで成功している人も多い。

 Amazonはこの2つにより,世界中のサイトを“支店”にするというWebサービス戦略を展開した。そしてそれはみごとに成功したといってよいだろう(関連記事)。今回のEC2やS3はそんなAmazon Web Services部門によって提供されている。このことは一目置くべきことではないだろうか。

AmazonとGooleの違いとは?
 Bezos氏のこの言葉は,Amazon とGoogleの違いを如実に物語っているような気がする。Googleの場合,ユーザーはそのほとんどのサービスが「無料」である。だからこそこユーザーが集まり,Googleを取り巻く生態系へと発展してきた。Googleはその巨大なユーザー群によってもたらされる広告ビジネスで収益を上げている企業である。

 Amazonの場合はこれが「薄利多売」となる。徹底的な効率重視でコストを抑え,薄利で個々の商品は少数ではあるが日々膨大な数を売っていく。いわゆるロングテールである。それがAmazonのビジネス・モデルであり,今回の仮想サーバー・サービスもその路線にあるということがうかがえる。

5.IBMとGoogle、企業ポータルにおけるマッシュアップ支援で協力(3.1 nikkeibp.jp)
米IBMと米Googleは、企業向けコンポジット・アプリケーションに関して協力する。IBMが米国時間2月28日に明らかにした。Google のミニ・アプリケーション(ガジェット)「Google Gadgets」とIBMの企業ポータル構築ソフトウエアを統合する。

「WebSphere Portal Version 6.0」および「同Express Version 6.0」のユーザーは、WebSphere Portalから直接Google Gadgetsを使って自由にWebアプリケーションをカスタマイズすることが可能となる。
 
 

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