週間情報通信ニュースインデックスno.90 2007/01/27

1.小山昇:「罰のない会社」は雰囲気が暗い(1.25 nikkeibp.jp)
株式会社武蔵野には、毎月たくさんのお客様がみえます。ビジネスパートナー、会社見学会の参加者 ―― 。お客様に共通して言われることがあります。「働いている人たちが明るいですね」と。「社員が明るい・暗い」は数字では表しにくいものですが、確かにある。わたしもお中元・お歳暮の訪問や見学などで年間100以上の会社を訪問しますが、「なんとなく活気がなくて暗いし、雰囲気も悪いな」「社員が生き生きして明るいな」とは日常的に感じるところです。

明るい会社と暗い会社とでは、いったい何が違うのか。わたしが見るに、賞ばかりで罰のない会社は暗いのです。なぜか。社員のA君がクレームを起こしたが報告をしない、営業に行くふりをして喫茶店でお茶を飲んでいた ―― なんのことはない、すべて我が社の社員のしでかしたことですが、このA君に何らかのペナルティが課せられないと、他の社員が「なぜAばかりお目こぼしがあるんだ」と不満に思う。不満が鬱積すれば社内は暗くなるのは当然です。

2.無能経営者”ほど賛同する?!「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」(1.25 nikkeibp.jp)
いわゆる残業代ゼロの「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制度にうまく逆風が吹いてきた。

 あらかじめ立場をはっきりさせておくと、僕はこの制度に反対の立場である。昨年末あたりでは今国会で法案が提出されて制度化されてしまうぐらいの勢いだったのが、世論に押される形で法案提出は時期尚早といったムードに風向きが変わってきた。

 そもそも経団連が提言する「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制度には、労働者の権利の側面から見て無理がある。にもかかわらず、なぜこのような“無茶”を経済界が通そうとしているのか?

 今回のコラムでは、この点について僕なりの解説をしてみたい。“無茶”をしかける側には、それなりの理由があるに違いないからだ。

 そもそも、なぜ工場で働く「ブルーカラー」よりも、オフィスで働く「ホワイトカラー」の給与レベルが高いのか。俗説では、ホワイトカラーの方が技能が高いから給与も高いと思われているが、実際はそんなことはない。嘘だと思ったら、トヨタやキヤノンの工場のブルーカラーと、商社やメガバンクのホワイトカラーとで、どちらが仕事に対してより高い技能を持っているか、どちらがより創意工夫をもって仕事に取り組んでいるのかを比較してみるといい。全く変わりがないはずだ。

 にもかかわらずブルーカラーの給与が低い最大の理由は、中国やベトナム、マレーシアといった海外の低賃金労働者と仕事を“奪い合わなければなら”ないからだ。

 日本人が、賃金が安い海外の労働者に仕事を奪われないためには、常に生産性を高める努力をしつつ、それでもあまり高価な給与を望むことができない。国内において人件費が高騰すれば、工場ごと海外に移転してしまう。ブルーカラーには、職場を国内に“維持する”ための国際競争が存在しているということができる。

 それに比べて、金融やサービス業で、しかも管理部門や営業職といった仕事では、これまで海外の労働者に仕事を奪われる脅威はそれほど大きくはなかった。ホワイトカラーには賃金の安い海外の労働者との競争はほとんどないが故に、給与レベルはメーカーのブルーカラーよりも高い水準に上がっていった。きわめて大胆にいえば、このような解釈が国内におけるブルーカラーとホワイトカラー両者の給与格差についての真実に近いだろう。

 若者はこういった傾向を敏感に感じ取って、いわゆる「理系離れ」「メーカー離れ」に走る。日本の大学生には文系の学生の方が多く、しかも文系の学生は就職先としてメーカーを避ける傾向が強い。その理由は、メーカーのホワイトカラーの給与水準が、同じ会社のブルーカラーに引っ張られてやはり低い水準になってしまっているのに気づいているからだ。

 さて、これまではこのように状況はある意味で単純だったのだが、ここに新しい要素、というよりも新たな火種が生まれてくる。ホワイトカラーの仕事を、海外の労働者が奪い始めているのである。それがいわゆる「BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)」という領域である。

 日本に住んでいると、アウトソーシングといってもそれほどまだポピュラーに感じないかもしれない。しかし米国では、実に様々なビジネスプロセスが社外に、いや国外にアウトソースされている。本社の管理部門などはアウトソーシングの格好のターゲットである。

 例えば、人事部での給与計算などは、別に給与の高いホワイトカラーに任せなくても、海外に仕事を切り出すことができる。購買部でいったん決められた購買プロセスが規定どおりに行われているかどうかのチェックも、外部で行えるかもしれない。経理部門の伝票の処理は? これも外部で行えるではないか。

 少なくとも米国企業の場合は、英語が通じるインドという国があるのだから、ビジネスプロセスの様々な部分を社外、すなわち海外に“切り出す”ことができる。しかも、米国とインドでは時差があるため、インドに切り出した仕事は米国のビジネスパーソンが翌朝出社してみると完了していたりして、なかなか便利だったりもする。

 米国では、BPOが日本の数倍から部門によっては数十倍規模で浸透している。これに対して、これまでの日本企業はBPOといっても、コールセンターや物流、それに情報システム部門のICT関連のアウトソーシングなどが、米国に比べるとかなり小規模に展開されているぐらいの状況が続いていた。

 日本企業に本社管理部門の仕事を外部に委託するという考えが育ってこなかったのは、外部に安価な委託先が存在していなかったからといっていい。実際、日本的アウトソーシングの事例をきちんと分析してみると、アウトソースした方がトータルでのコストが高くなっている例が少なくない。

 問題は、いつまでもそのような状況が続くとは限らないということだ。

 世界のアウトソーシング業界は、2000年代に入って以降、急速に発展し、その結果、欧米のホワイトカラーの仕事量のかなりの部分がインドを中心とする、いわゆる「地球の反対側」に奪われていった。アウトソーシング業界が発展している以上、いずれ「日本語圏」にも、彼らのビジネスは拡大していく。

 実際、人口約13億人といわれる中国と、こちらも人口約10億人といわれるインドには、いま現在でも日本語に堪能な人が年々増大しているという。問題は、「彼らがわれわれ日本人のホワイトカラーの仕事を奪うかどうか」ではなく、「いつ奪うか」に移ってきているのである。

 
つまり早晩、日本のホワイトカラーは、かつてのブルーカラー同様に、アジアを中心とする海外のホワイトカラー労働者と仕事を奪い合う時代に突入するというわけだ。

なぜ僕が「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制度に反対の立場なのかというと、要はそのやり方が、安倍首相のいうところの「美しい国」にふさわしくないと感じているからだ。

 元々、ホワイトカラー・エグゼンプションという考え方は、もっと高い年収、例えば1000万円を超える年収を受け取っている専門性や技能レベルの高いホワイトカラーに適用される概念である。このレベルになると、能力の高い人はさっさと仕事を済ませて帰宅できる。逆に能力が低い人は、遅くまで働いても能力の高い人ほどの成果は出せなかったりする。

 ここで逆転が生じる。つまり「単価×労働時間」で給与を計算すると、能力の低い人の方が、能力の高い人より給与が高くなる訳だ。そこで「ホワイトカラー・エグゼンプション」という考え方の意味が初めて出てくる。

 そのような概念を年収400万−500万円のホワイトカラーに適用するというのは、本来の原則から外れている。僕にはただ、人件費を抑えるのに好都合な概念だから、「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」と言い出しているようにしか見えない。

 能力に関係なく、そもそも仕事の量が多すぎるために労働時間が長くかかってしまっている状態に対して、残業代ゼロを適用するのは、単なる「サービス残業」の正当化だ。これは経営者の無能さを労働者に単に押しつけているだけのことである。

 しかも、労働ビッグバンの論議には、ホワイトカラーだけではなく、違法状態のブルーカラーの「偽装請負」まで法制度を変えて容認しようという考えすら加わってくる。

 正直いうと、現在の御手洗経団連会長については、以前(キヤノンという企業の)経営者としては尊敬していた人物だったが、日本の経済界から、さらにはその“延長線上”にくる国を牽引していくには(リーダーとしては)、力の足りなさを露呈しているように感じ始めている。

 そもそも日本的経営の良さとは、経営者と労働者の間に厚い信頼関係を保ってきたところに国際競争力があったはずだ。

3.MNP純増が約48万と絶好調、KDDIの2006年度第3四半期決算(1.26 nikkeibp.jp)
KDDIは1月25日,2007年3月期第3四半期の決算を発表した。2006年4月?12月の連結ベースの売上高は前年同期比10.4%増の2兆 4625億円,営業利益は同22.7%増の3161億円,経常利益は同24.9%増の3196億円で,増収増益となった。KDDIはこれを受けて,通期の連結業績予想を,売上高3兆3300億円(370億円増),営業利益3420億円(240億円増)に上方修正した。

中でも好調なのが,携帯電話番号ポータビリティ(MNP)で顧客数を伸ばしている移動通信事業。移動通信事業の売上高は前年同期比7.1%増の1兆 9760億円で,全社売上高の約80%を占める。営業利益は同12.1%増の3359億円だった。小野寺正社長兼会長は「順調なすべり出し」と控え目だが,MNPによる純増は12月末時点で合計48万4000(他社からのポートインが63万2000,他社へのポートアウトが14万8000)。 MNP以外の新規契約も合計48万2000あり,第3四半期の純増シェアは73.3%(auが116.8%,ツーカーが-43.5%)と驚異的な数値を記録した。

4.ITと携帯電話で成功した韓国,失敗した日本(1.25 nikkeibp.jp)
 2004年に韓国を旅行したときのことだ。ソウル市内の南大門市場(日本で言えば上野のアメ横のような街)で韓国海苔を買ったら,店のお婆さんが,会員カードを作ってあげるから用紙に名前と住所を書きなさいと,流暢な日本語で言ってくる。別にカードは欲しくなかったが,その場の流れで書いて差し出すと,「メール・アドレスも書きなさい」という。正確には覚えていないが,割引情報などをメールで送ってくれるようなことを言っていた。

 それにしても地場のお店のお婆さんがメール・アドレスを聞いてくるとは。瑣末なエピソードだが,「韓国がIT立国というのは本当なのだな」と,その時筆者は実感した。

 昨年12月の「ITU TELECOM WORLD 2006」や,この1月開催の「2007 International CES」でも,韓国企業は目立つ存在だった。IT立国としての存在感を世界に対して見せつけていたと思う。

日本と韓国はガラパゴスだが・・・

 日本と韓国は有線,モバイルともに世界最高レベルのブロードバンド・インフラを持つ点で共通している。さらに,携帯電話の通信方式で世界標準の「GSM」を採用しなかった点も同じだ。つまり,日韓は米アップルの「iPhone」が使えない国だ。ガラパゴス諸島のように独自の進化を遂げてしまったのが日本と韓国の携帯電話産業である。

 インフラの先進性は似通った両国。だが,インフラにつなぐ端末や,インフラ上のサービスでは大きな差が付いてしまったと思う。一言で言うと,韓国は世界市場で通用する携帯電話端末やネットのサービスで成功。一方,日本はこれに失敗した。

 既に有名な話だが,サムスン電子は携帯電話の世界シェアが12.5%で3位(数字は2006年第3四半期のもの。出典元:米調査会社アイサプライ),LG電子は6.7%で5位(同)だ。一方,日本勢はソニー・エリクソンが8.1%で4位(同)に着けているが,同社は“純日本メーカー”ではない。 NECやシャープといった純日本勢は,もはや世界シェアの統計にも出てこないくらいで,各社ともわずか0.5ー1.5%程度のシェアだと思われる。

 時々,「日本はGSMを採用しなかったから,日本メーカーは世界でシェアを取れなくなった」との発言を耳にする。しかし,前述のように韓国も GSMではないが,韓国メーカーはGSM端末で成功している。GSMではなかったことが,世界市場で失敗した決定的要因とは言い難い。

 携帯電話メーカーだけではなく,韓国では通信事業者(キャリア)も自国での成功をもとに,海外進出している。韓国最大の携帯キャリア,SKテレコムは米国へ進出(関連記事)。固定通信最大手のコリアテレコム(KT)も海外進出に積極的だ。KTが高速無線通信技術「モバイルWiMAX」(韓国名は「WiBro」)を世界に先駆けて商用化したのも,世界市場を睨んでのことだと言われている。

 韓国の通信産業の話になると,頻繁に耳にするのが「テストベッド」(試験環境)という言葉だ。すなわち,モバイルWiMAXのように自国市場で技術を試し,成功したら世界市場へ持ってゆく。これが韓国企業の戦略である。極論すれば,韓国市場は小さいので,始めからモルモットと考えている節もある。

海外へ出る韓国のネット企業

 インターネットのサービスも海外進出に成功しつつある。SNSの「サイワールド」は,日本,台湾,中国,米国へ進出を果たした。オンライン・ゲーム・コミュニティ「ハンゲーム」は日本でも大成功し,Alexaのトラフィック・ランキングで36位(日本国内)に着けている(1月中旬時点)。

 一方,日本のネット・サービスはどうであろうか。オンライン・ゲームや携帯コンテンツ系では,中国などへ進出している企業が何社かある。しかし,サイワールドやハンゲームのように独自のサービス・モデルを作って,それらを海外へ輸出できている企業は見当たらないように思える。

5.世界市場売上でIBMを抜いたHP、「2007年は日本でもナンバーワンに」(1.26 nikkeibp.jp)
日本ヒューレット・パッカードは2007年1月25日、東京都内で2007年度のサーバー・ストレージ事業の戦略発表会を開催した。2006年度の全世界における米ヒューレット・パッカード(HP)の売り上げが米IBMを追い抜いたことを受け、2006年度の実績をまず報告するとともに、「2007 年度は日本でもナンバーワンを取れるような施策をとりたい」(同社 執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ統括本部の松本芳武統括本部長)と意気込みを語った。

松本統括本部長は「HPとIBMのポートフォリオは一致していないので、売り上げの比較にどこまで意味があるのか」としながらも、「少なくともサーバーとストレージの事業では、競合に打ち勝って大きな成長を果たした。間違いなくリーディング・ベンダーになった」と自賛した。さらに、売り上げだけでなく利益率も上昇したことをアピールした。情報システムを含む間接費の削減が成果を上げたという。
 
 

ホームページへ