週間情報通信ニュースインデックスno.589 2007/01/20

1.米国発デジタルショックに備えよ(1.19 nikkeibp.jp)
デジタル景気は総仕上げの年に、“その次”を狙って米国が動く
* 2007年1月19日 金曜日
    * 若林 秀樹

年末からこの年始にかけて、企業経営者や業界関係者との議論を重ね、デジタル産業にとって2007年はどのような年になるのかということを考えてみた。素直に考えれば、2007年から2008年にかけては「デジタル景気の総仕上げ」の時期ということになるのだが、どうも新しい風が吹き始めたという“感触”が“確信”に変わろうとしている。

日本のデジタル産業はもう一段の再編・淘汰が必至

 まずは素直な現状分析から。2002年頃から始まったと言われる「デジタル景気」はデジタルカメラ、DVDレコーダー、薄型テレビという“新三種の神器”が順繰りに新市場として登場してきたことによって、5年にも及ぶ息の長いものになった。2001年当時はエレクトロニクス産業の成長率はもはや1 ケタに落ち込むという悲観説が一般的だったが、世界の市場規模は2002年の1400億ドルから2006年には2500億ドルにも膨張し、年平均で13%という高い成長率を記録した。

 明らかな変化は、かつてのような業界横並び構造が崩れたことである。電機メーカー間の業績格差は広がる一方で、半導体分野ではメモリー陣営は好調だったがシステムLSI(大規模集積回路)は苦戦が続いた。薄型テレビは価格の急落で“繁盛貧乏”に陥った。この5年間は電機メーカーにとってそれなりに良い時代だったと言えるが、今後はもう一段の再編・淘汰は避けられない。2008年の北京オリンピックまでには、そろそろケジメをつけねばなるまい。

 では、これからどうなるのか。2008年前半までは北京オリンピックによる需要拡大が見込めるし、米マイクロソフトの新OS(基本ソフト)である「Windows Vista」によるパソコンの買い替え需要が立ち上がるだろうから、それなりの活況を呈するだろう。しかし、その後にはハイテクサイクルの“谷間”が待ち構えている。最終製品への需要が落ち着くうえに、ここ数年の大型設備投資で半導体メモリーも液晶パネルも供給過剰に陥ることはまず間違いないからだ。

“ウィンテル体制”は終焉の時を迎え、“その次”は?

 ここまでは規定路線通りの読みである。問題は、この谷間をどうやって這い上がるかである。

 1990年代前半のバブル崩壊直後には、インターネットの普及と歩調を合わせたパソコン市場の高成長が救世主になった。97年のアジア通貨危機による不況期にはインターネットや携帯電話が急速に普及したし、フラッシュメモリーという新しい“玉”も登場した。そして、2001年のIT(情報技術)バブル崩壊後には、前述した新三種の神器がデジタル市場を底支えしたのである。

 しかし、今回は電機業界に救いの手を差し伸べる製品やアプリケーションが何かという点が全く見えないのである。

 昨年10月に半導体業界のアナリストを集めたパネル討論会で司会をした時、この問題意識を最前線のアナリストにぶつけてみたが、ある程度の市場に育っているカーエレクトロニクス分野以外では、ロボット、医療など想定の範囲内のアイデアしか出てこなかった。しかも、どうもインパクトが弱い。かつての液晶産業のように業界が一致団結して盛り上げていこうというような気迫が感じられなかった。

  既に多くの指摘があるが、長く続いた“ウィンテル体制”もそろそろ終焉の時を迎える。マイクロソフトがOSを押さえ、米インテルがMPU(超小型演算処理装置)を押さえたウィンテル体制は、良くも悪くも1つの時代を作り上げた。産業の構造モデルとして「水平分業」というものを生み出し、米国型グローバリズムを確固たるものにした。韓国や台湾が地位を上げ、日本が辛酸を舐めた。

 しかし、2008年のビル・ゲイツ氏の現役引退はマイクロソフトの落日とまでは言わないまでも、やはり1つの時代の終わりを意味している。インテルの牙城もライバルに脅かされ、米マイクロン・テクノロジーと組んで再びメモリー分野に本腰を入れて再参入するという選択を迫られている。最近では米アップルや米モトローラが元気だが、デジタル産業全体をぐいぐいと引っ張っていくほどの牽引力があるのかどうか、いささか心もとない。恥ずかしながら、私自身、次の5年、特に2010年以降のデジタル産業がどういう姿になっていくのか、シナリオさえ描けない。逆に言えば、シナリオさえ描けないほどに業界や市場の枠組みが変わっていくということを示しているのではないか。

 例えば、日本でも大騒ぎになっている「コンプライアンス」とか「内部統制」「日本版SOX法」は米国主導で作られたルールである。新会社法や金融商品取引法などに定められた途端に日本企業にとっては新たな「規制」となる。米国企業にとっても規制に違いないが、米国的発想で作られた規制の体系に適応する日本企業の方が苦労が多いのは容易に想像できる。しかも、日本の場合、監査や法務のインフラが整っていないところに拙速に導入することになってコストアップ要因になる。少し前まで「市場至上主義」を貫いていた米国の豹変に、日本企業は右往左往するばかりである。

2.叱るのがうまい人・下手な人(1.18 nikkeibp.jp)
「叱る」「断る」「頼む」・・・どれも言い出しづらいことだ。だがそれから逃げていては、あなたの後進は育たず、生産性の低い仕事まで抱えこむことになる。後腐れなく言いにくいことをどう伝えたらよいか? まずは「叱る」から。

叱るためのセオリーを学べ

 チームを組んで仕事をしていこうとすれば、叱ることから逃げることはできない。誰しも人を叱るのは嫌だが、部下や後輩の失敗を叱らなければ組織の目的を達成することが難しくなる。また「ここを伸ばせばもっと伸びるよ」と諭すことも上司の義務である。

 にもかかわらず、叱れない上司や、叱り方が分からない上司が増えている。リーダーシップ研修などを手がける加藤和昭さんは、「叱り方は自己流では限界がある」という。上手に叱るためには学習が必要なのだ。

「叱れない背景には、嫌われるのが嫌だとか自信がないという精神面の弱さもあります。でも、それ以上に問題なのは、上司が勉強不足なこと」と指摘する。つまり、最近の若者は傷つきやすかったり、反抗的であったりと扱いが難しくなっているのに、上司はそれに戸惑うばかりで、状況に対応した叱り方の腕を磨こうと勉強しない。だからうまく叱れないのだというのが加藤さんの意見だ。

「昔のように自己流で叱っていればいい時代は終わりました。叱ることの基本セオリーも知らずに叱っていたら、いつまで経っても部下は耳を貸さない」

 例えば、サンドイッチで叱るという方法や、奨励形で叱るという方法がある(叱るのがうまい人の7つのコツ)。これらの知識がもしあれば、反抗的な若い部下を叱らねばならない時もかなりスムーズにいくはずだ。この方法を何度も繰り返すうちに、自らの習慣になる。だがその知識を知らなければ、いつまでも効果の低い自己流の叱り方を繰り返すばかりだ。

 部下の担当業務に精通することも必要だ。加藤さんが心がけるのは「業務の内容も踏まえ、具体的に叱る」ことだという。例えば「印象を良くしなさい」とか「売り上げを伸ばしなさい」という言葉は何も言ってないに等しい。そうではなく「口を大きく開けてハッキリ発音するように心がけるだけで、明るい印象になるよ」というように、できる限り具体的な言葉で叱る。そのためにはビジネスセオリーの幅広い学習も欠かせない。

3.もっとリアルに活用できる「ウェブ2.0」(1.18 nikkeibp.jp)
 御立 尚資

2006年に大きく取り上げられた話題の1つが、ウェブ2.0だったことは間違いない。グーグルやYouTubeについての記事、書籍が数多く登場し、ロングテールやCGM(Consumer Generated Media)というコンセプトが語られてきた。

 ただ、一部の先進的な人々を除けば、大多数のビジネスパーソンは、いまだウェブ2.0を「トレンドについてのお勉強対象」としてしか捉えていないようだ。「何か新しいことが起こりつつあるようだが、当面自分のビジネスに直接は関係しない」というのが大方の意見だろうし、「(ネットでの口こみマーケティングや広告展開を除いては)自分のビジネスにウェブ2.0をどう活用できるか、さっぱり分からない」というのが本音かも知れない。

 中長期的に大きな変化をもたらしそうな事象であるウェブ2.0と、現在の自分のビジネス戦略とを結びつけて考える。そのために有効な手法の1つは、古典的な「コスト戦略」というレンズでウェブ2.0を眺めてみることだ。慣れ親しんだ従来型ビジネス戦略の視点でウェブ2.0のコスト優位性を深く考えていけば、いろいろな示唆が出てくる。

「タダ」でどんどん参加してもらう

 例えば「セカンドライフ(Second Life)」というオンラインゲームがある。近々日本語バージョンが登場するということもあり、ご存じの方も多いだろうが、狭い意味での「オンラインゲーム」という概念だけではその全体像を捉えきれない面白い存在だ。

 セカンドライフという名前の通り、参加者は自分の分身(アバターという)を作り、その世界の中で生活し、楽しみ、モノづくりをし、それを売り買いすることすらできる。その気になれば、この世界の中での収入で生計を立てることすら可能だ(ちなみに、セカンドライフの世界で使われるリンデン・ドルという通貨は、実際に米ドルに交換することができる)。1月7日の段階で、約240万人の参加者が世界中におり、その日1日の「経済活動」は、米ドル換算で約 100万ドルに達しているという。

 簡単に言えば、「3DのCG(コンピューターグラフィックス)で、かなりリアルに感じられる仮想世界を用意しました。その中でやりたいことをどんどんやってください」ということなのだが、参加者自身が自分で、ありとあらゆるものを作り上げていく、というところがミソだ。

 用意された様々なツールやプログラム言語を使って、参加者が、自分の衣装、住居、乗り物、といった自分の世界を作ることができる。また、他人に売るためのファッションやエンターテインメントコンテンツを作ることもできる。セカンドライフ側は、仮想世界の基本骨格とツールだけを用意し、その後、幾何級数的に増えていくアバター、そしてアバターたちの活動が生み出すコンテンツ、すなわち日々進化していく仮想世界の大部分は、参加者たちが知恵と時間を使って作っていってくれる。

4.本格化するNGNトライアル,グループ事業を統合する契機になるか(1.18 nikkeibp.jp)
 NTT(持ち株会社)とNTT東日本,NTT西日本の3社は2007年1月18日,IP技術を使って構築する次世代ネットワーク「NGN」のフィールドトライアル(NGNトライアル)にモニターとして参加する一般ユーザーの募集を開始した。首都圏と大阪府の13カ所の収容局がカバーする地域にトライアルの実施エリアを広げ,最大約700人のユーザーにNGNで実現するハイビジョン(HDTV)映像配信サービスや高品質IP電話などを利用してもらう。

 一般モニターの参加は2007年4月に開始し,同年12月まで新サービスを検証してもらう予定である。こうした検証を進めたうえでNTTグループは,2007年度下期にも商用サービスの提供を開始したい考えだ。2007年秋ごろにかけてはNGNの技術検証だけでなく,ネットワークを構築するためのノード開発,サービスの設計なども並行して進めていくことになる。このようにNTTグループは,2004年11月に掲げたグループ全体の中期経営戦略の中核を成すNGNの実用化に向けた作業を着実に進めている。そしてこの動きは,中期経営戦略のもう一つの柱であるグループ内の事業連携の強化と経営の効率化をさらに進めていく契機にもなりそうだ。

5.ブログやメールじゃ「ビジョン」は伝わらない(1.19 nikkeibp.jp)
相手の顔を見ながら、ひざを突き合わせて対話する――。経営幹部や管理職が社員の意見に耳を傾け、“将来ビジョン”や“思い”を生の声で伝えることが、ITエンジニアが仕事に対する「やりがい」や「モチベーション」を取り戻す第一歩だと、筆者は考えている。

 最近では、経営幹部のブログや社員有志によるSNS、電子メールやイントラネットの活用など、社内における情報共有手段として、ネットを活用した“デジタル”なコミュニケーションに注目が集まっている。だが、それだけでは経営幹部と社員、上司と部下との間でビジョンや思いを共有することは難しいだろう。

見えないIT業界の将来ビジョン

 筆者が“アナログ”なコミュニケーションを見直すきっかけとなったのが、日経コンピュータが昨年11月に実施した「働く意識調査」だ。調査では、ITエンジニアの士気低下に、まず目をひかれた。4人に1人(25.3%)が仕事にやりがいを「感じていない」と答え、「強く感じている(19.1%)」を上回った。リーダー役としての活躍が期待される30歳代後半での士気低下は激しく、約3割がやりがいを感じていない。強く感じていたのはわずか12.7%に過ぎない。

 調査の企画当初、ITエンジニアの士気向上を図るには、“キツイ、帰れない、給与が低い”といった労働環境の3K対策が重要だと筆者は考えていた。「ワークライフ・バランス(仕事と生活の調和)」などといった新たな価値観が、中堅・若手世代に広まっているからだ。それゆえ、3K職場であるIT業界の人気が低下し、慢性的な人員不足に陥っていると見ていた。

 だが、ITエンジニアが求めているのは、3K対策だけではなかった。むしろ、多少3Kであったとしても、働き続けるだけのモチベーションにつながる「将来ビジョン」を求めていたのだ。上記調査で仕事に対する「やりがい」を感じない理由を聞いたところ、「仕事や会社に将来性を感じない」(41.3%)が最も多く、2番目に多かった「評価が上がらない」(31.3%)を10ポイント以上も上回った。「今の会社・仕事を続けていて大丈夫なのか?」と、自らの立ち位置を見失い、将来に対して不安を抱えているITエンジニアの姿が見え隠れする。

 この結果を見て、経営幹部の多くは「ビジョンは伝えている」と主張するだろう。だが、それは単なる思い込みかもしれない。野村総合研究所が上場企業を対象に実施した調査によれば、「経営幹部が会社のビジョンを社員に伝え、自ら実践しているかどうか」という問いに、社長の61%が「実践している」と答えたのに対し、社員はわずか15%しか、そう感じていなかった。このコミュニケーション・ギャップを埋めない限り、ITエンジニアが抱えている将来への不安は消えず、仕事に対する士気向上は望めない。

コミュニケーションの“アナログ”回帰を始めよう

 将来ビジョンや思いが伝わらない理由の一つとして、「伝え方に問題がある」と指摘する人材コンサルタントは少なくない。その最たる例が、ブログやSNS、電子メールといった“デジタル”なコミュニケーションである。

 「デジタルな手段に頼りすぎると、一方的に伝えることだけに終始しがち。基本的なことだが、“伝える”と“伝わる”は違う。ことITベンダーは、デジタルなコミュニケーション手段に頼る傾向が強い」と、大手ITベンダーのコンサルティングを手掛ける人事コンサルタントは指摘する。

 実際、取材や懇親会の席でITベンダーの経営幹部に「将来ビジョンをどう伝えているか」を聞いたところ、「毎月、社員に対して電子メールでメッセージを送っている」、「今年から社員向けにブログを始めることにした」など、案の定、“デジタル”なコミュニケーションに頼る回答が多かった。

 一方、“アナログ”なコミュニケーションの効用に気がついたITベンダーも出始めてきた。例えば、富士通サポートアンドサービスでは、ES(従業員満足度)の低下を機に、経営幹部と一般社員との車座ミーティングを開催し始めた。常務など役員クラスが各地の拠点を駆け回り、部課長抜きで社員の本音を聞き、会社の将来ビジョンや個人の経験、思いを直接、伝える。NECソフトでも若手社員と社長とが昼食を共にするランチ・ミーティングを昨年秋から始めた。
 
 

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