週間情報通信ニュースインデックスno.583 2006/12/02

1.残業代11.6兆円が消失する?!(12.1 nikkeibp.jp)
「ホワイトカラー・エグゼンプション」という言葉をご存じだろうか。
日本語では「自律的労働時間制度」と呼ばれるもので、今後の日本人の働き方を大きく左右するような新しい労働法制である。元々は米国で生まれた。

エグゼンプションとは“免除”という意味で、労働基準法で定められている1日8時間、週40時間の労働時間規制を適用しないということ。いつ、どのように働くかという自由度が高まり、働いた時間ではなく仕事の成果によって賃金を決められるというのが賛成派である財界の主張だ。労働組合側は、労働強化と実質的な賃下げにつながるとして反対の立場。両者は導入の是非を巡り激しい議論の真っ最中にある。
 

しかし、そんな重大な議論が行われていることが、不思議なことに、さほど大きなニュースとして報じられていないのである。
ホワイトカラー・エグゼンプションを巡る議論は、来年の通常国会への法案提出を念頭に、厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の労働条件分科会で、労働組合、使用者(経営側)、公益委員(学者)の3者を交えて、議論が重ねられている。

議論が始まった当初は、「製造業の労働者は対象にしない」「年収要件は1000万円以上の管理職層」という条件付きだったが、審議会が開かれるごとに素案における適用基準は緩く、曖昧になっている。直近の11月28日の会合では、製造関係の労働者を外すとした文面はなくなり、年収要件は「400万円以上」にまで緩和すべきだという意見まで出た。

この制度が適用されると、働く者にとってはどうなるのか。一面的ではあるけれども最も分かりやすいのは、「残業」という概念がなくなり、「残業代」も支払われなくなるということである。
この制度の導入に反対の立場を取る労働運動総合研究所の試算によると、ホワイトカラー・エグゼンプションを年収400万円以上の労働者に適用すると、総額11兆6000億円、ホワイトカラー労働者1人当たり年114万円もの残業代が消え失せてしまうのだという。さらに、適用対象の労働者は、自分で労働時間を管理しなければいけないため、仮に、働き過ぎで過労死をしても会社に使用者責任を問うことはできなくなる。

2.JR東日本のSuicaで初の大規模トラブル(12.1 nikkeibp.jp)
JR東日本の自動改札システムで、12月1日未明に大規模なトラブルが発生し、184駅で非接触ICカード「Suica」が使えない状態となった。 12月1日に日付が変わった時点で利用者が改札を通過できなくなり、ゲートを開放することで対処した。同日朝5時頃までに大部分の改札機が回復したが、「ここまで大規模なトラブルは2001年のサービス開始以来初めて」(広報部)という。

問題を起こしたのは、自動改札機にインストールしているプログラム。Suicaの状態をチェックするプログラムにミスがあり、ゲートが閉鎖されてしまう事象が起きた。特別なケースを想定した、設定フラグがすべてのSuicaに適用されてしまった。

3.「ツールの進化で少人数での“大規模開発”が可能に」、まつもとゆきひろ氏(11.30 nikkeibp.jp)
「生産性の向上により,今まで大規模開発とされていたものでも,少人数での開発が可能になる領域ができてきた。必要なのは割り切りと信頼」--- 11月30日,日経ソフトウェアと日経SYSTEMSが主催した「次世代開発フォーラム 2006 Winter」の基調講演で,まつもとゆきひろ氏は「ソフトウェア開発の新潮流?Rubyの場合?」と題した基調講演でこう語った。

ソフトウエア開発の現場には,高品質,短納期,低価格という相反する,厳しい要求が突きつけられている。この矛盾を解消する方法としてまつもと氏がすすめるのが「少人数での開発」だ。小規模開発はコミュニケーションのコストが低く,変更も容易で生産性が高い。そのことはソフトウエア開発者なら誰しも肌で感じている。かつては少人数では小規模な開発しかできなかったが,フレームワークなどツールの進化により,以前の“大規模システム”が少人数で開発できるようになってきた。

「Webアプリケーション・フレームワーク『Ruby on Rails』はJavaの10倍の生産性とも言われる。本当に生産性が10倍かどうかはともかく,同じ機能を実現するために必要なプログラムの量が10分の1になるのは事実。標準的なプログラマが1日に生産する量は言語によらず一定であり,生産性は確実に向上している」(まつもと氏)。コンサドーレ札幌の公式ブログ・サイトやドリコムの就職情報サイトDrecom Career SearchなどがRuby on Railsで開発されている。

4.【Symposium/ITxpo】「次のIT基盤をどのように構築するかが、CIOの最大の課題になる」(12.1 nikkeibp.jp)
「現行の情報システムが5年後も自社の業務を支えられるのか、真剣に考える時が来ている」――。米ガートナー・リサーチのアプリケーション マネジングバイスプレジデントであるスコット・ネルソン氏は、企業の情報システムに転機が訪れようとしていることを強調する(写真)。ガートナージャパンが東京・台場で開催している「GartnerSymposium/ITxpo 2006」で語った。

 「古いシステムを支えられる人材は少なくなる。企業のIT基盤をどのようにするかが、2008年以降、企業のCIO(最高情報責任者)にとって最重要課題になるだろう」。ネルソン氏によると、この課題に対して企業には三つの選択肢があるという。一つ目は、「あえて何も実施しない」。「何もしないといっても、問題を無視することではない。情報を集め、慎重に判断した上でのことだ。待っているうちに問題を解決するのに有効な新しい技術が登場する可能性もあり、結果的にこれでよいケースもある」(ネルソン氏)。

 二つ目は、「ベンダーが勧めるプランに従う」。よけいな労力はかからないものの、ベンダー任せになるリスクがある。三つ目は、「自社で独自の取り組みを始める」である。「この選択をする企業が最も多い」(ネルソン氏)。

 自社でIT基盤の検討を開始するのに当たって重要になるのは、責任者の選任である。ネルソン氏は、「いつか誰かが始めるようにするのではなく、見当に当たっての責任の所在を明らかにするべき。IT技術にもビジネスにも精通し、立案能力も求められる、大切な役目だ」と説明する。

 実際の作業プロセスで重要なのは、業務プロセスや社内に蓄積したデータ、業務システムなどの状況を把握すること。さらに、IT基盤整備/移行に際してのルールや意思決定プロセスを明確化、アーキテクチャを変化する社内ニーズに合わせて適宜見直すこと、などがあるという。

 またネルソン氏は、ネットワーク経由でサービス化されたソフトウエアを提供する「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」にも言及。「現状はではSaaSと企業システムとの間にギャップがある。本格的に利用するためには、SOA(サービス指向アーキテクチャ)への対応など、企業システム側の準備が必要だろう」。

 ネルソン氏によると、「次世代のIT基盤はこれ、といった、どの企業にも共通する魔法のような解が現時点であるわけではない」という。同氏は最後に、「次世代のIT基盤は、企業が自社の実態を踏まえて検討を重ね、ようやく見いだすものだ。その意味で、長期的な取り組みになるだろう」とまとめた。

5.【Symposium/ITxpo】“Web3.0”がやってくる!?(11.29 nikkeibp.jp)
中核技術は「セマンティックWeb」

 「Web2.0が取り上げられている中,早速,一部で“Web3.0”というキーワードが話題になっている」。米ITリサーチ会社,ガートナーのチャールズ・エーブラムズ氏は言う。

 エーブラムズ氏は,ガートナー ジャパンが11月29日から開催しているイベント「Symposium/ITxpo」で講演。「Web2.0による企業変革」と題して,Web2.0が企業情報システムに与えるインパクトを解説した。

「もはやWeb系のテクノロジーは,企業が自社ITに採用すべき原則」
「特にマッシュアップは業務システムで有効な手法」
「Ajaxは今後10年を形作る重要なWebテクノロジー」

 このようにWeb2.0と企業情報システムの関係を説きつつ,エーブラムズ氏は「2009年,Webはどうなるだろうか」と話題を振った。そんな折に彼の口から出たのが,冒頭のコメントだ。

 現状,Web2.0について,漠然とはしているがようやく共通認識が出来上がってきたところ。そこに持ち上がった“Web3.0”についてエーブラムズ氏は,「私は単にWebと呼んだ方がいいと思う」と前置きしつつポイントを解説する。

 エーブラムズ氏によると,“Web3.0”の最大のポイントは,セマンティックWebである。

 セマンティックWebとは,Web上にあるコンテンツやデータを効率よく検索・収集するための,次世代Web技術の総称である。中核をなすのは,コンテンツやデータの「意味」。コンテンツやデータの意味情報を,「メタデータ」としてあらかじめ付加しておく。例えば「このデータ中にある『Windows』という単語は『OSの名称』を意味する」という内容を,メタデータとして一定のフォーマットで記す。インターネット分野の標準化団体であるW3Cは,「RDF(Resource Description Framework)」と呼ぶメタデータの仕様を策定している(W3CのRDFのWebページ)。

 メタデータを付加することで,コンピュータがコンテンツやデータをより高度な形で処理できる。ユーザーの代理の役割を果たすエージェント・ソフトに「この情報が欲しい」と命令を与え,ネット上の情報を自動的に収集させる,といったことが可能になる。

 セマンティックWebは,インターネットの発明者の一人,ティム・バーナーズ・リー氏が1998年に生み出したものである。これを“Web3.0”と呼ぶかどうかはともかくとして,セマンティックWebの実用化と普及が進むことで,インターネットに再度大きな波がやってきそうだ。
 

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