週間情報通信ニュースインデックスno.578 2006/10/28

1.番号継続制度は大山鳴動鼠一匹か? 地殻変動の予兆か?(10.28 nikkeibp.jp)
(山田 肇=東洋大学経済学部教授)

 携帯電話加入者の希望は、すべて、携帯電話会社の囲い込み戦略の中に封じ込められてきた。携帯電話会社を変更しても同じ電話番号を使いたい。メールアドレスを自由に持ち運びたい。ダウンロードしたコンテンツも自由に移したい。インターネット接続時には、サードパーティの初期画面(ポータル)を用いたい。番号ポータビリティ制度によって、そこに初めて風穴が開く。
「メアドを変えたくないもの」

著者の講義を受けている学生に、携帯電話の番号ポータビリティ制度について聞くと、必ず否定的な返事が返ってくる。理由は「メアドを変えたくないもの」。

ついに始まった番号ポータビリティ制度では、音声通話用の電話番号は継続できるが、メールアドレス(メアド)は変更を迫られる。それが最大の問題だ。

携帯電話会社が発表する月額使用料の加入者平均(ARPU)は、音声通話が5000円弱でパケット通信が2000円弱。しかし、音声通話には基本料を含むため、それを除けば音声通話とパケット通信の比率はイーブン、あるいはパケット通信のほうが大きい。

次の焦点はSIMロックだろう。SIM(Subscriber Identity Module)とは、携帯電話会社が発行するICカードで、加入者情報を記録している。携帯電話機に挿し込んで加入者の識別に使う。

ドイツやアメリカなど欧米では、SIMにロックがかかっていない携帯電話機(SIMロックフリー)が当たり前である。加入者は、SIMを挿し替えることで、複数の携帯電話機を同じ電話番号で利用できる。利用料金もSIM単位に課金される。例えば、ビジネスシーンに適した携帯電話機とウィークエンドにアウトドアで使う防水仕様の携帯電話機という具合に複数の携帯電話機を用意して、SIMを挿し替えて同じ加入者扱いで使うことができる。別の携帯電話会社のSIMを挿し込んでもかまわない。外国に旅行するときには、例えばふだん利用しているGSM端末を持っていき、現地の携帯電話会社が提供するSIMを挿し込んで、通話料金を安く済ませるのも可能だ。そのために、SIMは標準化されている。

日本でも、同じ携帯電話会社が販売する携帯電話機間なら、SIMを抜き挿しして同じ加入者扱いで利用できるようになってきた。しかし、携帯電話会社を越えるのは無理だ。外国旅行用にGSM対応のSIMを販売している例もあるが、あくまでも、その携帯電話会社が提供する海外ローミングを利用するためだけのこと。SIMという本来、加入者に自由を与える仕組みが、囲い込みによって完全には機能していない状態だ。
SIMロックがかかっているのは販売制度がおかしいから

SIMロックフリーの便利さがわが国で利用できないのは、携帯電話機の販売制度がおかしいからだ。原価の高い携帯電話機を安値で販売する。その損失は、後で月々の料金から回収する。そんな仕組みでわが国の市場は形作られてきた。SIMロックをフリーにすると、2台目の携帯電話機を安価で購入し、すぐに解約する加入者が増えかねない。そうなると、携帯電話事業者は損失を回収する機会を逸してしまう。

初期費用を抑えることは、普及期には適しているが、長い期間同じ携帯電話機を使い続ける加入者には不利な仕組みである。
 

2.ドコモ中村社長,ソフトバンクモバイルのやり方に対し「怒りを覚える」(10.27 日経コミュニケーション)
NTTドコモは10月27日,2006年度中間期(2006年4月1日から2006年9月30日まで)の連結決算を発表した。連結の売上高は前年同期比 0.4%増の2兆3834億円,営業利益は5169億円と同7.4%減の減益となった。第三世代携帯電話「FOMA」の販売比率が伸びたことで,端末機器原価が上昇したことが響いた。

中村社長は,ソフトバンクモバイルが用意した「ブループラン」「ゴールドプラン」の二つの料金施策について,「私たちのユーザーにとっては,ソフトバンクモバイルの二つのプランに入るメリットは全くない」と反論した。

 まずNTTドコモのプランから常に200円を安くするブループランに対しては,「ソフトバンクモバイルは10月1日から請求書を封書扱いにすると 100円かかる。ドコモは携帯経由での確認にすると100円引き扱いだ。また,iモードは200円なのに対して,ソフトバンクモバイルの同様のサービスは 300円かかる。これで200円の差は相殺される」(中村社長)と説明した。

 基本料金2880円で通話料とメールが0円となる「ゴールドプラン」に対しては,「標準的なユーザーがゴールドプランに入った場合,他社への通話が割高な点やオプション・サービスが多い点などを勘案すると,我々の料金プランで一つも負けているものはない」と断言。そのため中村社長は「料金に関して,施策を打つ必要は全くない」とした。

 批判はソフトバンクモバイルの発表の仕方にも及んだ。新聞に載ったソフトバンクモバイルの広告を手に取りながら「0円というのが大きく,欄外に例外が一杯書いてある」(中村社長)。「これを見て入ったユーザーは,後で請求書を見てびっくりするのではないか」(同)と語った。また同じ広告に書かれた「複雑怪奇な従来な料金プランを分かりやすく」というソフトバンクモバイルのコピーに対しても,「ゴールドプランのほうがよっぽど複雑」(同)と言い捨てた。

 孫社長がたびたび口にする「日本の携帯電話は世界一高い」という発言についても「どこに根拠があるのか」と語気を荒げた。総務省が公表している内外の携帯電話料金の調査を引用しながら,世界の主要都市と比べても日本の料金は高くはないとした。

 なお10月24日から始まった携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)の滑り出しの感触については,「下馬評通りauが強い。ただこれだけしか利用していないのかと思うほど,まだ数が少ない。当初は10月24日を満を持して待っているユーザーがもっといると考えていた」(中村社長)と語った。ただし,まだ3日しか経っていないので,「最初の週末である明日の動きを見て,MNPの傾向をつかみたい」(同)とした。

3.【NTT】通信と放送・家電との融合へ高品質の次世代ネットワーク(10.27 nikkeibp.jp)
日本のブロードバンド市場は世界をリードしているものの、様々なサービスやデバイスとの連携・融合がさらにより広く、より強く求められている。日本の情報通信・インフラの動向とNTT グループが取り組む新世代ネットワーク、さらに新しい技術やサービスについてNTTの山田隆持氏に語ってもらった。

日本はブロードバンドが加速度的に普及した結果、ICT(Information and Communication Technology)インフラでは世界最先端を走っています。国際比較では23の国・地域の中、総合評価で1位で、高速なインフラを低コストで利用できる環境が整っています。セキュリティーなどに課題はありますが、ブロードバンド料金は、データ転送量100kbpsあたりの費用で日本はトップにあり、2 位に韓国、3位に台湾が続きます。

 NTTグループのADSL(非対称デジタル加入者線)とFTTH(光ファイバー通信)を見ると、加入者数こそADSLの方が多いものの、純増数ではFTTH がADSLを抜きました。NTT 東日本が2004年11月、NTT西日本は半年遅れて2005年6月のことです。

 FTTHのサービス「Bフレッツハイパーファミリー」とADSLのサービス「フレッツADSL(47Mbps)」の料金比較では、インターネット接続の場合はFTTHの方が1.53倍高くなります。ただし、Bフレッツハイパーファミリーでは光電話を提供しており、インターネットと共に利用していただくと、総合料金ではADSLとほとんど差がなく、非常にお得になります。

 光アクセスの整備状況は、き線点のカバー率で示されます。き線点というのは、通信回線が電話局から地中管を通り地上の電柱に出てくる地点のことです。そこからお客様のところへは簡単に配線できます。2006年度末に、光アクセスのき線点カバー率は、90%近くになると見込んでいます。

 今後さらにブロードバンドが進むに従って、ICTの「光と影」を意識することが重要になるでしょう。遠隔教育・医療・監視や電子政府の実現、業務効率の向上など多くのメリットが得られる一方、不正アクセスやパスワードの盗難、情報漏洩などが、情報資産を揺るがし、社会を脅かすからです。安全・安心を実現する通信インフラとしては、セキュリティー対策が重大な課題になるわけです。
NGN構築のベースは固定電話網の品質と信頼性

 NTTグループの中期経営戦略には、大きく3つの柱があります。まず、ブロードバンド化、ユビキタス化など「市場への対応」。さらに、少子高齢化や介護・医療の充実を図る「社会的/経済的課題解決への貢献」。3つ目がネットの悪用や大規模災害に対応するための「ICTの抱える問題の克服」です。

 インターネットは、利便性と快適さを追求し続け、驚異的な速さで進化してきました。一方、電話網は、ライフラインとして極めて高い安定性と信頼性を持っています。NTTグループでは、これら2つの長所を生かして次世代ネットワーク(NGN)を構築し、お客様の端末機からネットワークまでをフルI P( Internet Protocol)化します。これは、上位レイヤーにアプリケーション/マネジメント層を設けてサービスを利用する構成で、固定電話とインターネット双方のメリットを兼ね備えたものです。

 次世代ネットワーク構築にあたって、フィールドトライアルを計画しています。この12月から実際にお客様に使っていただき、機能と改善点を確認していきます。そこでは、インタラクティブ(双方向)通信機能、ユニキャスト(片方向、一対一)通信機能、マルチキャスト(片方向、一対多)通信機能、ISP接続機能およびイーサ通信機能を提供します。

 光ファイバーを経由してテレビの映像や番組を配信するには、大きく分けて2つの方法があります。1 つは1本の光ファイバー中に波長多重で現在の伝送方式のまま配信する方法です。これは公衆の電波が光ファイバーの中を飛んでくるだけなので、知的財産権の問題は発生しません。もう1つの方法、IP信号の中に番組を入れる手法ですが、この場合は、知的財産権の問題が起こってきます。また、ハイビジョンなどの番組を配信する際には帯域の圧迫が課題となるので、圧縮技術を高めて多チャンネルに対応する必要もあります。

 NTTグループは、家電との連携も重視しています。多様化する機器やデバイスへの対応策として、お客様が要求したサービスだけをデータセンターからホームゲートウェイに送るシステムを発表したのがその一例です。固定通信と移動通信の連携には、FMC(Fixed-Mobile Convergence)を提供します。1つの端末が、会社内では無線LAN経由のIP電話として、外出先ではFOMA携帯電話として利用できるものです。

 NTTグループは今後、新しい融合サービスを提供していきます。ハリウッドからデジタルで映画を送り、日本の映画館でお客様に見ていただくデジタルシネマも進んでいます。これは映画とブロードバンドの連携ですが、ハリウッドの映画は数百億円をかけて製作することも珍しくないため、2年ほどかかってセキュリティーの問題を解決しました。上映する直前でセキュリティーを解き、データを盗まれないようにする技術です。

 さらに医療分野では、遠隔医療が実用化に近づいています。地方病院でガン細胞を採取し、即座に大都市の病院で診断してもらうシステムを、簡易かつ低廉に動かせる仕組みができあがりつつあります。ブロードバンド化が進むに従って、様々な技術との連携・融合が深まるわけですが、NTTグループは、今後も新たな可能性を追求し続けていきます。

4.NTT西日本がひかり電話障害で謝罪会見,「人知を超える範囲」と森下社長(10.27 nikkeibp.jp)
NTT西日本は10月27日,10月23?25日の三日間続いたひかり電話の障害について会見を行い,謝罪した。NTT東日本の障害時と同様,三日分の基本料金を請求しない方針だという。なお,NTT西日本幹部の責任については「今回の障害は人知を超える範囲だと考えている」(NTT西日本の森下俊三社長)と突っぱねた。

23日の障害の原因は,毎秒140程度の同時通話に耐えられるよう設計していたはずが,実際には毎秒120程度までしか耐えられなかったこと。同時通話が120以上発生した時点で呼処理サーバーがふくそう。次いで中継系呼制御サーバーにも影響が波及した。翌24日も,通常の火曜日より多い呼処理があり,ふくそうが再発した。NTT西日本によれば,前日に利用できなかったユーザーが通話を試みた結果,普段より呼が増えた可能性が高いという。

25日は,中継系呼制御サーバーと加入電話網側の中継交換機を接続する回線に設定した通話規制が裏目に出た。接続できる回線数を減らした結果,ひかり電話発加入電話着の呼と,加入電話発ひかり電話着の呼が回線空きの待ち状態が発生。空いた回線に,中継系サーバーと中継交換機の双方から接続しようとする呼が集中して衝突する事態が多数発生。これが中継系サーバーの処理負荷を増大させた。

NTT西日本は設計の見通しの甘さを認める一方で,「これだけ大規模のIP電話網をIPv6で設計・運用するのは最先端の取り組み。何が起こるか分からない」(森下社長)と強調。今回の障害発生の責任は,設計・運用などの見直しによって取っていくとした。

5.NTTデータのジョブ管理機能も備えるオープンソース運用管理ソフト,Windowsも対象に(10.20 nikkeibp.jp)
NTTデータは,従来のLinuxに加え新たにWindows環境を管理可能としたオープン・ソース(OSS)の統合運用管理ソフトの新版「Hinemos Version2.1」を,2006年10月20日に公開した。稼働環境へのソフトウエアのリリースなどを前提としたITリソースの一元管理機能,SNMPやプロセス稼働状況などの監視機能,ジョブ制御機能などで構成する。

 Hinemosは,各種OSS基盤の上に構築した統合運用管理ソフトであり,Hinemos自身がOSSとして公開される。ソフトウエアは,管理対象サーバーに導入するエージェント・ソフト,管理データのリポジトリDBと個々の管理機能を提供するマネージャ・ソフト,管理コンソール・ソフトで構成する。

 機能は大きく3つある。(1)syslogやSNMPを経由した稼働状況の監視。(2)IT資源をディレクトリ・サーバーで管理した上でグルーピングし,パッチの適用といったデプロイ作業を一括して実施する機能。(3)遠隔ジョブの設定とスケジュール実行,条件に応じたジョブ制御などジョブ管理機能,である。特にジョブ管理機能はエンタープライズ(企業)色が強く,OSSで入手できるメリットは大きい。

 稼働環境と利用しているOSSは以下の通り。マネージャの稼働OSはRed Hat Enterprise Linux AS 4.0。J2EE APサーバーのJBossに,ディレクトリ・サーバーのOpenLDAP,DBMSのPostgreSQLなどを用いている。エージェントの稼働OSは Red Hat Enterprise Linux AS 4.0またはWindows Server 2003。マネージャとエージェント間のデータの受け渡しは,syslogサーバーのsyslog-ng(syslog-next generation)やSNMPエージェントのNet-SNMPを用いる。管理コンソールの稼働OSは Red Hat Enterprise Linux AS 4.0またはWindows XP。Java開発

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