週間情報通信ニュースインデックスno.573 2006/09/23

1.NTT東がひかり電話の障害原因の一部を特定,「ソフトに不具合」(9.22 nikkeibp.jp)
NTT東日本は9月22日,同月19日から21日に発生したIP電話サービス「ひかり電話」のつながりにくい状況のうち,19日の原因を特定したと発表した。呼制御サーバーの一部機能のソフトウエアに不具合があった。

不具合があったのは,主に企業で使われる代表番号に関連する機能。着信した呼を,同一グループに設定した電話機に順番に振り分ける機能の処理が大幅に増加したことで,ソフトウエアに不具合が発生。呼制御サーバーのふくそうを引き起こした。その影響が中継系の呼制御サーバーにも及び,ふくそうの範囲が拡大した。

2.“インターネットの父”ヴィントン・サーフ氏に聞く(9.22 日経ビジネス)
インターネットの父は、今をときめくグーグルで未来を凝視していた。市民がネットを進化させ、ネットが新しいデモクラシーの形を作り出す。破壊と創造はようやく始まったばかりだ。日経ビジネスオンラインでは、 Podcastとストリーミング映像で米グーグル副社長ヴィントン・サーフ氏の肉声をお伝えする。(聞き手は日経ビジネス編集長、井上 裕、編集委員 水野博泰)
一般の市民や消費者がつくるネット民主主義

インターネットの父と呼ばれ、1960年代の草創期からインターネットの進化を見守ってきたサーフ氏はネット民主主義の可能性について次のように語ります。

ネットの情報は常にオープンで、誰でも自由にアクセスできる究極の民主社会です。誰でも自分を表現し、情報を共有する機会を持てるということが重要です。「情報は力なり」という表現は正確ではなく、「情報共有こそが力なり」が真実です。米グーグルはこの事実を証明してきました。ネットから欲しい情報を探し出し、共有できるようにすることで、グーグルとウェブの魅力がさらに上がります。ネット利用者はさらに多くの情報をネットに乗せて共有しようとします。

インターネットがこれほど普及するとは当初、全く予想していませんでした。私が開発したインターネットの中核技術である「TCP/IP」は、米国防総省のプロジェクトで、軍の戦術行動や戦略的通信への応用を想定していました。ところが、ネットワークの進化に最も大きな影響力を持ったのは、国防総省ではなく、一般の市民や消費者でした。

3.総務省,IP電話などの信頼性を高めるための技術基準を検討開始(9.22 nikkeibp.jp)
 総務省は9月22日,IPネットワークの信頼性を確保するための管理方法や技術基準を検討する「IPネットワーク設備委員会安全・信頼性検討作業班」第1回会合を開催した。IP電話をはじめとするIP系サービスの障害が増え,障害の大規模化や長期化が進んでいることに対処するのが狙い。

 総務省によると,2005年度に起こった通信サービスの事故は把握している分だけで70件。そのうち,27件がIP電話などのIP系サービスで,増加傾向にある。事故の半数以上がソフトウエアなどの不具合によるもので,人為的なミスも増えているという。さらに,復旧時にサーバーが高負荷になって再起動を繰り返すなど障害が長期化する傾向にある。「早くても4−10時間,長い場合は3−日かかるケースもある」(電気通信技術システム課)。

 第1回会合では,NTT,KDDI,日本テレコムの各事業者から安全・信頼性対策の現状をヒアリングした。NTTは持ち株会社の第二部門次世代ネットワーク推進室の雄川一彦・担当部長が取り組みを説明。19日から21日かけてNTT東日本の「ひかり電話」で発生した障害については「原因は現在究明中。解明した上で近々公表させていただく」とした。また「IP電話にぜい弱性があるわけではない。まだ発展途上の段階にあり,トラフィック制御やオペレーションに関する技術基準や必要機能などを今後検討していく必要がある」との意見を示した。

 次回の会合は10月下旬に開催する。携帯電話事業者,電気通信事業者協会(TCA)の安全信頼性協議会などから安全・信頼性対策の現状をヒアリングする予定である。作業班では2007年3月をめどに技術基準の素案をまとめ,親会のIPネットワーク設備委員会を通じて情報通信審議会の答申を受ける。最終的には省令などへ反映していくことになる。

4.「Web 2.0はむしろ企業システムでこそ有効」--フォレスター・リサーチのプリンシパル・アナリスト(9.22 nikkeibp.jp)
 Web 2.0といえば、ブログにしてもSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)にしても、コンシューマ向けのサービスだと考えられがちである。しかしむしろ企業内において有効だ??。米フォレスター・リサーチでWeb 2.0など「ソーシャル・コンピューティング」のリサーチを担当しているプリンシパル・アナリストのシャーリーン・リー氏が本誌記者のインタビューに応じ、こう語った。

いわゆるWeb 2.0と呼ばれる現象は、米国の企業にどのような影響を与えているか。
 一般にWeb 2.0はコンシューマのツールだと考えられがちだが、ブログは優れたナレッジ・マネジメント・システムとして使える。実際私も社内向けのブログを開設しているが、ファイアウォールの内側だけでも非常に多くのユーザーが見ている。例えば米マクドナルドは、社長が従業員向けのブログを運営している。旅行やレストランのデザイン、健康な食にむけてのストラテジなどの情報を掲載している。
 ほかの企業でも、入社すると電話番号、電子メール・アドレス、ノート・パソコンに加えて、ブログが与えられるというところもある。毎日アップデートすることが望まれている。それがナレッジ・マネジメント・システムとなり、検索可能になる。SNSを使えば共通の関心事を持つ従業員同士でグループを作ったり、プライバシのための機能を使ってプロジェクト管理に使ったりできる。
 こういったことはコンシューマの世界でも実現できるが、企業内システムの方がよりうまく機能する。発言者が誰なのかがわかるし、どのように振る舞うかも見当がつく。フレームやスパムなどの懸念もない。企業の秘密情報が漏れる心配も少ない。

現在のところどれくらいの企業が、Web 2.0の技術を使っているのか
 直接そのことを示す数字はないが、13%のマーケティング担当者がブログをマーケティング・チャネルとして使っている。38%は今後1年以内に利用する計画があるという状況だ。まだ新しい技術であり、大半の企業で使われているという状況ではない。
 ただ、企業内で使うというユーザーはこれから増えてくる。実際、米シックス・アパート社によれば、対象とする市場にもよるが、半分から2/3のユーザーが企業内部で使うために製品を購入している。確かに企業内向けに実装する方がポリシーの設定などは簡単だが、そこでは技術が問題になっているわけではない。従業員同士のコミュニケーションをどのようにやっていくべきなのかを考えるべきだ。
 これは、顧客との関係においても同じだ。企業が定期的に情報を顧客向けに発信したいというだけなら、ブログは必要ない。しかし、何に顧客が関心を抱いているか知りたいのであれば、ディスカッション・ボード(掲示板)を置くべきだ。ユーザーの声を聞きたい、あるいはユーザー同士のコミュニティを作りたいというなら、それ相応の技術を使えばよい。

集合知(Wisdom of clouds)やロングテールは企業システムでも有効か
 集合知に関してはイエス。集合知は結局、そこで「雲(clouds)」をなす人々が重要。例えば私がソーシャル・サーチをする際に、技術に詳しい人々のグループと、女友だちのグループは分けて考える。ショッピングの質問は前者にはしないし、技術に関する質問を後者のグループでしたってしょうがない。
 だがその特性ゆえに、企業ではうまく働く面がある。企業内であれば、だれがグループなのかがわかるからだ。どの人間の意見がどれくらい正しいかを推定できるというのは大きい。
 ロングテールは、ディジタル化した情報になっていなければ有効に働かない。丹念に情報を蓄積する仕組みを実現することが問題となる。

5.ウィルコム、次世代PHSで上下20Mbpsの転送速度を実現
  ウィルコムは2006年9月20日、次世代PHSの実験で、上り・下り20Mbpsの転送速度を実証したと発表した。

 同社は2006年8月に2.5GHz帯での実験免許を取得しており、1年間をめどに実験を行っている。今回はその2.5GHz帯において、複数の搬送波を用いてデータの転送効率を上げる新しい通信方式「OFDM」を利用した。ウィルコム本社周辺の東京・虎ノ門地域にあるビルと郊外に、それぞれ1個所ずつアンテナと基地局実験設備を設置して実証実験を行った。電波を指向的に集中させるアダプティブアレイアンテナ技術を採用した場合や、無線LANでも利用されているMIMO技術を採用した場合の性能評価を中心にしたという。

 ウィルコムは次世代PHSの特徴として、(1)最高転送速度が20Mbps以上、(2)複数の基地局を1台の端末から利用が可能、(3)MIMO など無線LANで使われている技術と同等の高速化技術の導入、(4)現行PHSとの共存、などを挙げている。今回の実験では(1)が実現可能であることが確認されたことになる。なお、「商用化については未定」(ウィルコム)という。
 
 

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