週間情報通信ニュースインデックスno.556 2006/05/20

1.ネット広告老舗のダブルクリック,創業9期目で黒字転換(5.20 nikkeibp.jp)
ダブルクリックは創業9期目に当たる2006年3月期決算で,初めて通期の営業利益が黒字に転換した。売上高は前期比34.8%増の12億700万円,営業利益は1億200万円(前期は7500万円の赤字)。

けん引役はバナー型広告の配信管理システム「DART」で,ASPサービスとソフトウエア・ライセンス販売がともに好調だった。2004年度に発売した携帯電話向けのマーケティング支援システム「Mobile MK」や,2005年度下期に発売した米オムニチュアのWebサイト分析ソリューション「SiteCatalyst」も増収に寄与した。「一時はバナー型広告は検索連動型広告に置き換わるとの見方もあったが,跳ね返した」(中山善光社長)。ブランド認知の用途や,動画・音声を含むリッチ・メディア化に伴い,バナー広告分野は今後も堅調な需要が見込めるという。

2006年度は,バナー広告配信システムの効果を最適化するツール「DART Adapt」を秋口に発売するほか,ビデオ広告対応ソリューション「Motif」を投入。DARTの利用を促進するとともに,「DARTユーザーに対して,システム的な連携が取れている点を訴求してSiteCatalystの導入を促す」(中山社長)。また,携帯電話向けには,新聞や雑誌などのどんな広告媒体からの誘導が効果的だったかを判別する広告効果測定ツールとして「MobileMK Analytics」を7月末に発売する。

2.ソフトバンクと英ボーダフォンが合弁会社設立へ(5.18 nikkeibp.jp)
ソフトバンクと英ボーダフォンは5月18日、合併会社の設立など、戦略的提携を行うことに合意した。「携帯電話端末やコンテンツ・サービスなど各種分野で連携し、相乗効果を高める」(両社)としている。

具体的には、携帯電話端末のほか、新たなサービス・プラットフォームや基盤ソフトウエアを共同で開発する。またコンテンツを共同調達し、両社ユーザーに配信する。これら合弁事業は日本を中心に展開する予定である。

合弁会社の資本金は両社が折半し、最大110億円になる見通し。両社から取締役を4名ずつ派遣する。

また、ソフトバンクが買収したボーダフォン日本法人は同日、今年10月1日より、社名を「ソフトバンクモバイル(英名:Softbank Mobile)」に変更することを明らかにした。ブランド名称も「ボーダフォン」から「ソフトバンク」へ変更し、ロゴもソフトバンクグループが展開しているデザインに全面的に切り換える。

3.「部分最適」のITベンダーとは断固戦う(5.19 nikkeibp.jp)
リスクを取り、自社製品で固めるベンダーの提案には乗らず

イオンが復調しつつある。総合スーパー「ジャスコ」などの業績を表す2006年2月期の単独決算は、営業利益が242億9700万円で前年比39.7%増となり、減益基調から大幅増益に転じた。景気回復などの外部要因の影響だけではなく、1990年代後半から続くグローバルリテーラー(世界的小売業)にならった改革の成果が出てきたようだ。

 イオンは約750億円に上るIT(情報技術)投資を実行。店舗、物流、間接業務などにかかわるあらゆる情報システムを再構築し、業務プロセスも抜本的に見直した。情報力を生かして在庫を10%以上削減するなど、新システムは利益率向上に貢献し始めている。

 改革のグランドデザインを描いて実行したのが、同社のCIO(最高情報責任者)に当たる縣厚伸・常務執行役IT担当である。縣氏に、大改革の狙いと進め方を聞いた。

「データベース」中心のシステム構造を徹底するためには、どうしてもITベンダーとの「バトル」になります。
 ITベンダーはどうしても「会計業務」などの業務ごとに仕事を引き受ける傾向があります。データベース中心という考え方ではなく、業務を実現するための情報システムをワンセットで提案してきます。これは「部分最適」でしかありません。

 例えば、会計システムの構築はITベンダーのA社にお願いしました。A社は、ハードウエア、データベース管理システム、ミドルウエアをすべてA社製にすれば、安くて早くて安心だと提案してきました。しかし私は、ハードウエアだけA社製を採用して、ほかはイオンが標準として決めた製品を採用することに決めました。

 イオンの標準製品とは、世界的に業界標準として使われていて、性能が最も優れていると思われる製品です。売上高数兆円のイオングループを支えるインフラとして相応の機能・性能が求められるため、各分野で優れた製品を「いいとこどり」しました。この徹底のためにも、「マルチベンダー」体制にせざるを得ません。
新しい業務プロセスはITベンダー任せでは作れない

 これも、私があまりITのことを知らない“素人”だったからできたのかもしれません。様々なメーカーの製品を組み合わせると、技術的な相性などのリスクがあるでしょう。そういうことを知っていたら怖くてできないかもしれません。しかし、やってみれば何とかなるものです。

 今回のプロジェクトでは、我々と業務系のコンサルティング会社とで全体の設計図を描きました。大規模プロジェクトを推進するために、実際のプロジェクトマネジメントの部分ではITベンダーの力を借りました。

 ITベンダーは、従来の業務プロセスを少し改善してシステム化することは得意です。しかし、今回のように、我々もITベンダーも経験したことがないような、まったく新しい業務プロセスを設計するのはITベンダー任せでは難しいのではないでしょうか。(談)

4.セブン&アイ、複数の電子マネーに対応した読み取り端末を世界で初めて導入(5.19 nikkeibp.jp)
セブン&アイ・ホールディングスは2007年春をメドに、SuicaやEdyといった複数の電子マネーに対応した端末を、セブン-イレブン・ジャパンの店舗1万1000店以上に導入する。同時に、同社が独自発行する電子マネー「nanaco(ナナコ)」のサービスを始める。続いて2007年中にも、読み取り端末をイトーヨーカ堂などグループ企業に展開。Suicaなど他社の電子マネーの取り扱いをスタートさせる。

セブン&アイが導入する電子マネーの読み取り端末は、松下電器産業製。松下製の読み取り端末を、東芝テック製のPOSレジスタに組み込んで導入する。新型の読み取り端末では、nanacoやSuica、Edyのほか、JCBが展開する「QUICPay(クイックペイ)」やNTTドコモの「iD」、 UFJニコスの「Smartplus(スマートプラス)」など、後払い方式の非接触型クレジットカードも使えるようにすることを目指す。

5. 「ITとの関係が補完か代替なのかを見極めよ」 --- 東大大学院・伊藤元重教授が基調講演(5.18 nikkeibp.jp)
 18日に開幕した「IPテレフォニー&ケータイソリューション2006」「ビジュアル・コミュニケーション2006」では、東京大学大学院の伊藤元重教授が「ITの技術とビジネス革新」と題した基調講演を行った。伊藤元重教授は国際経済を専門とし、『デジタルな経済』(日本経済新聞社)など著書も多い。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」にはコメンテーターとして出演中だ。

 講演でまず指摘したのがIT(情報技術)がもたらすインパクトである。米国ではITバブル以前に大きなものでは3つのバブル崩壊があったという。 19世紀前半の「鉄道バブル」、20世紀初頭の「放送バブル」、1920年代の「自動車バブル」。鉄道の敷設や放送の開始、T型フォードの開発が経済や社会を大きく変えると信じられて巻き起こったものだ。伊藤教授は、長期的な米国株式市場の動向を示すグラフを紹介しながらITバブルが過去のバブルより大きな規模であったことを示した。

 バブルの直前には新技術に対する期待から多額の投資が市場に流れ込む。「ITバブルは崩壊したが、そのとき流れ込んだ投資がITを安価にして企業革新を助けている」と伊藤教授は語る。さらに、昨年の世界経済の成長率は過去30年で最高の4.3%。米国は5%近い。中国は約10%にも上る。世界経済の成長の原動力となっている米国で、注目すべきなのは金融と流通であり、情報のかたまりのような産業なのに人海戦術に頼ってきたからITを導入したときに成果が表れやすい、と自説を続けた。

 一方、すべての産業がITの恩恵を受けるわけではない。逆にITにより駆逐されてしまう産業もあるという。大切なのは「ITとの関係が補完なのか代替なのか」(伊藤教授)の見極めだ。補完と代替をわかりやすく例に挙げると、コーヒーとミルクは補完関係で、コーヒーと紅茶は代替関係となる。ミルクがないとコーヒーを飲まない人もいるからこの2つは補完し合っており、紅茶が出されればコーヒーに手を出さない人もいるのでこの2つは代替関係にある。

 伊藤教授は補完の例として、コンビニエンスストア大手のセブン-イレブン・ジャパン(東京都千代田区)の取り組みを挙げた。同社はインターネットで商品を注文し、最寄の店舗で受け取るセブンドリーム・ドットコムというサービスを展開している。商品を自宅で受け取ることもできるが、伊藤教授が数年前に鈴木会長と対談したときに92%が店舗での受け取りを選んでいたという。店舗とインターネットが補完関係にある理想的な例だ。

 一方でITの進化によりその存在をおびやかされている産業や企業は少なくない。「自社のサービスのITとの関係が補完なのか代替なのかしっかりと見極めていくことが大切になる」と伊藤教授は締めくくった。

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