週間情報通信ニュースインデックスno.539 2006/01/21

1.【立花隆】ライブドア粉飾決算事件でITバブルは弾けたのか(1.18 nikkeibp.jp)
ライブドアに東京地検の捜査の手が入ったのにはビックリしたが、想定外かといえば、そうでもない。 ライブドアには、昔から、変なウワサがつきまとっていた。 あまりまともとはいえないことに手を出す、ヤミ金融の世界の人間と怪しげなつながりを持っているなどのウワサが、ずっと流れていた。 

この事件どこまで広がるか、現段階では全く予測がつかないが、一般論として、東京地検が捜査令状を取って、公然捜査に踏み切るのは、その前段階の予備調査、内偵で、これはモノになるとよほどの確信が持てた場合に限るということである。

検察は捜査に踏み切るにあたって、相当慎重にすでに入手している証拠の証拠評価と法律的な詰めをしているはずである。これほど堂々たる捜査に踏み切ったということは、検察当局がすでに立件するに足る証拠を手にしているからだと考えてよいだろう。 検察当局としては、近い将来、やっかいな耐震偽装事件の捜査に乗りださざるをえないことを覚悟しているはずで、それに相当のエネルギーをさかざるをえないということがわかっている状態でこの事件をかかえこんだわけだから、これは事案としては簡単なケース(証拠集め、立件がそんなに難しくない)と考えているのではないだろうか。

この事件で、IT関連株がいっせいに売られているらしいが、それはもっともな部分と、過剰反応の部分がある。IT業界の一部には、ライブドアと同じように自社の株価が高いのに気をよくして、時価総額に依拠しての冒険主義的経営手法をとっているところが結構ある。

そういう会社の中には、時価総額を少しでも上げるために、今回問題にされたような虚偽情報開示、あるいは風説の流布に近いようなことをやっているところが他にも少なからずあるはずで、そういうところは、ヒヤリとしただろうが、ライブドアの時価総額がたった一日で一千億円近く(グループ全体で一千五百億円)下がったことを考えると、時価総額商法がいかに危ない経営手法かわかるだろう。 特に自社株を担保に借金をして、それでM&Aを行い、その株を担保にまた借金をするという、ライブドアがやっていたような、借金をを二重、三重にふくらましていくバブリーな経営法をとりだすと、こういう事件でバブルに穴があくと、夢と幻想の上に築かれていたバルーンのような部分が一斉に収縮する。

しかし、これはIT業界全体にダイレクトに結びつく話ではない。 私は反対に、IT業界はこれからますます栄えていくだろうと思っている。
昨年秋出版された「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」(日経BP社)という本がとても刺激的な本で、グーグルの登場によって、IT業界がどれほど急激に世の中を変えつつあるかがよくわかる。

グーグルの業績が驚くほど急激に伸びており、アメリカのIT業界最大手の企業の一つになりつつあるという事実は、新聞の経済面の記事を追うだけである程度知っていた。 日常的にグーグルを使っていたから、それが検索エンジンとしてすぐれているということは前から知っていたが、それがどうしてそれほど儲かる会社になったのかがよくわからなかった。

グーグルの入り口のページが、広告でいっぱいになっているわけではないから、広告スペースを売ることで儲けているとも思えなかった。 インターネット世界に詳しい人はみな知るように、グーグルは、グーグルを利用する人々の検索行動をすべてデータとして残し、そのデータの解析から得られるあらゆる情報をそのデータが欲しい人に売るというユニークな情報産業として生きているのだ。

情報の主たる買い手は、その情報をマーケティングに利用する企業である。インターネットに入ってきた人間が、たいていまずやることは、検索エンジンを使って、自分の知りたい情報がどのページにあるかを調べることである。

ページのリストが出てきてから、その人はどこかをクリックして、どこかのページに行く。その記録がグーグル側にみな残る。その人が情報探索をやめるまでの全行動の記録が残る。それを解析していくと、あらゆる消費者の消費行動のパターンがわかってくる。

特に情報探索がそのままネット上での商品購入に結びつく場合は、そのものズバリでわかるが、そうでなくとも、情報検索行動の一定の流れを把握してしまうと、消費者の行動に関して驚くほど多くのことがわかってくる。

そして、それを商売に利用しようと思うと、あらゆる可能性が開けてくる。 ある商品を売るためには、どういう階層のどういう行動パターンを持つ人々に働きかけるのがいちばん効果的かわかるから、最も効率のよいセールスができる。 どういう商品のどういう側面に関心を持つ人が多いかわかるから、最も効率のよい商品開発ができる。

要するに、あらゆるグーグル利用者の利用記録という個人情報を徹底的に集め蓄積し、それを解析して、利用可能なデータに組み直してそれを売るわけである。

グーグルはこの商売をつづけていくために、すべての検索記録をひたすらためこみ、それをデータベースとしてあらゆる解析手法を駆使して、何度も何度も再検索、再々検索をしていく。そのために、膨大なコンピューティング・パワーと、膨大なメモリーストレージを必要とする。情報検索ビジネスは、成功すればするほど、それらを収容する膨大な物理空間を必要とする。

グーグルがどんどん貯めこんで利用する情報はほとんど天文学的な量になりつつあるが、世界の情報拠点となっている大都市には、グーグルの巨大サーバーとメモリーストレージを大きなビルに丸ごとパイルアップした、“グーグル・タワー”と呼ばれるものが幾つもあり、それがどんどん増殖中なのだという話をコンピュータ業界の人から聞いた。

いま出版業界でさかんにいわれているのが、「07年問題」だ。07年問題とは、その年になったらインターネット広告が完全に雑誌広告を追い抜くという予測の年なのだ。インターネット広告は、昨年、ラジオ広告を追い越した。そのとき、次は雑誌広告が追い抜かれるかもしれないがそれにはまだちょっと間があるといわれていたが、もう07年に追い抜かれることは確実という情勢になってきたのである。

雑誌の収入は、販売収入と広告収入からなるが、ほとんどの雑誌が、収入の半分近く(以上のところもある)を広告収入に依存しているから、それがどんどん減っていったら、経営的に成りたたなくなる雑誌社が続出すると言われている。

アメリカはすでにそれに近い事態になっている。ネット広告は1兆円を大きく突破して、既に雑誌広告と並んでいる。「ビジネス・ウィーク」や、「ニューズ・ウィーク」といった有名雑誌、あるいは「ニューヨーク・タイムス」のような超有名新聞ですら、広告料金収入があまりに減ったため、人員整理をはじめる事態にたちいたっている。
 

2.北米テレビ市場でソニーが松下を猛追、シャープは亀山第2前倒しへ(1.17 nikkeibp.jp)
トリノ五輪やサッカーワールドカップもある2006年は、米国で本格的な薄型テレビの普及が始まる年でもある。液晶とプラズマを合わせた薄型テレビの北米の市場規模は来年には日本の2倍以上の1800万台強に成長する見通しだ。

その米国でとりわけ目を引くのがソニーの快進撃。9月に液晶の新ブランド「ブラビア」を投入するや、わずか1カ月後には3割強のシェアを奪取。シャープや韓国のサムスン電子、LG電子などを一気に抜き去った。
 

日本では液晶はシャープが強いが、米国におけるソニーブランドの輝きは別格と言える。 サムスン電子との合弁会社でパネルを製造していることもイメージ上、マイナスにならない。
一方のプラズマは、松下電器産業が2004年にプラズマの「ビエラ」シリーズを発売して以来、独走を続けている。 2005年の年末商戦では、プラズマの金額シェアで約4割を握り、サムスン、蘭フィリップス、日立製作所などを大きく引き離している。

だが、ここ数カ月のソニーの快進撃で、松下もうかうかしていられなくなった。松下が得意としてきた大型サイズのテレビをソニーの液晶が侵食し始めたからだ。 37インチ以上の大型サイズだけに限ると、昨夏までプラズマの市場規模は液晶の約6倍あった。だが、ソニーがブラビアを投入したことで、今は3倍まで差が縮まっている。

大型テレビの盟主の座を巡って戦いを繰り広げる松下とソニーの2強は、米ラスベガスで1月5日に開幕した家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」でも火花を散らした。松下は世界最大となる 103インチ型プラズマテレビを公開し、「技術展示だけでなく今秋には発売する」と北米松下の山田喜彦会長が宣言。ソニーも実際に販売するかは未定としながらも、市販中のシャープの65型を抜く82型液晶テレビを公開した。

ソニーの快進撃のあおりを受けたのがシャープだ。昨年末の商戦ではシェア2割を割り込んだ。海外家電事業を統括する濱野稔重専務は「(北米の)薄型テレビ市場が想定以上に早く膨らんだ。今秋に亀山第2工場が稼働するまでは我慢の時」と語る。亀山第1工場は、32インチ型など日本向け商品に適する。米国でソニーと互角に戦うには、40型以上の大型パネルの生産に適した亀山第2の稼働が不可欠となる。

濱野専務は「10月には店頭に商品が並ぶように、亀山第2の稼働時期を若干前倒ししたい」と言う。さらに2007年の年末商戦までに、薄型テレビ「アクオス」の上位機種となる新ブランドを導入する構想も明かした。

「ブラビアの好調で会社全体が明るくなってきた」。ソニーのハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者)はCESで、懸案だったテレビ事業の復活に手応えを感じていることを強調した。

しかし、収益面ではなお課題が残る。同社の収益源は先行投資がかさむ液晶ではなく、リアプロジェクション(背面投射型)テレビの「グランドベガ」だからだ。リアプロ市場はプラズマ、液晶の価格下落を受けて頭打ちとなっており、2006年にはプラズマに市場規模で逆転される見通しだ。

ソニーは「トリニトロン」に代表されるブラウン管テレビの強さがあだになって、薄型テレビへの転換が遅れた苦い過去がある。リアプロ市場の縮小度合いによっては、今度はグランドベガの遺産に悩まされる可能性がある。

東芝、パイオニアなど薄型テレビ戦争で生き残れるかどうかの瀬戸際にあると見られる企業は、一段と厳しい状況に立たされた。サムスン、LGの韓国勢も液晶・プラズマ用パネルで稼ぐ構図こそ変わらないが、最終製品においては一時の勢いはない。
 

3.景気回復基調「持続する」は、企業の約4割にとどまる(1.16 nikkeibp.jp)
帝国データバンクは2006年1月13日、2006年の景気動向に対する全国の企業の意識調査の結果を発表した。「2005年までの景気回復基調が2006年も持続する」と答えた企業は全体の約40%にとどまり、「持続しない」は約16%に達した。

月例の景気動向調査と併せて全国2万1508社に聞いたもので、有効回答数は9674社。それによると、「持続する」は39.9%で、「持続しない」が15.6%。「分からない」は「持続する」とほぼ同比率の39.0%だった。

業界や地域、企業規模別で見通しの格差が大きく、「自律回復の兆しは見え始めてきてはいるものの、その基調はいまだ脆弱で、今後の外部環境いかんでその動向が左右される弱含みの状況にある」(同社)という。

また、景気回復のけん引役は、「持続する」とした企業では「設備投資」(45.3%)と「個人消費」(39.9%)をあげたものが多かった。一方、「持続しない」とした企業の62.0%が「個人消費」を下押し要因として挙げ、どちらにしても個人消費がカギになるという見方が強い。

4.米グーグルのIM「Google Talk」がメッセンジャー仕様「XMPP」に完全準拠(1.19 nikkeibp.jp)
米グーグルは2006年1月17日(米国時間)、同社の「Google Talk」がインスタント・メッセージング(IM)のプロトコル仕様「XMPP」に完全準拠したと発表した。XMPPは、米アップル・コンピュータのIM ソフト「iChat」も採用。XMPP準拠のIMソフトはコンシューマ市場を中心にダウンロード数を伸ばしている。グーグルは当初からXMPPを採用し、拡張仕様の策定を主導してきた。今回の声明で、米マイクロソフトや米IBMなどが採用するIMプロトコル「SIMPLE」との間にある相互接続性の“壁” に揺さぶりをかけた格好だ。

XMPPは、米ジャバーが開発したIMソフト「Jabber」のプロトコルを拡張したもの。在席確認やメッセージの交換規約といった基本仕様をやインターネットの標準を策定するIETF (Internet Engineering Task Force)がRFC3920−3923として標準化した。現在は非営利団体のJabber Software Foundationがオープンソースの形態で開発を継続。2005年12月には、ピア・ツー・ピア(P2P)形式の通信や音声のやり取りの手法を定めた拡張仕様をGoogle Talkの実装をベースに策定した。

5.ネットワーク・インフラ“ただ乗り論”再燃、NTT和田社長が懸念(1.19 日経コミュニケーション)
2006年1月17日、NTTは和田紀夫社長の定例会見を開催した。その中で、和田社長は今後の同社のバックボーン・ネットワークのIP化について説明。「映像などがネットワークを使って大量に流通し始めることを想定すると、ネットワークを拡充する設備投資が必要になる」とした上で、「(その投資に対する)リターンをどういう形で確保できるのか」との懸念を表明した。今から2年ほど前、ピア・ツー・ピア型のファイル交換アプリケーションがネットワークの帯域を占有する事態が問題となったが、こうした“インフラただ乗り論”が再燃した格好だ。

やり玉に挙がったのが、無償のIP電話ソフト「Skype」である。 和田社長は2005年11月中旬から12月上旬、イギリスのBTや、米国の AT&T、ベライゾン、ベルサウスなどの大手通信事業者を訪問して意見交換した際のエピソードを披露。 「Skypeが、単なる音声やテキストでのやりとりだけではなく映像も扱うようになっている。各事業者とも(ネットワークの拡充に対して)同じ危機感を持っていることが分かった」と共通認識であることを説明した。
 
 

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