週間情報通信ニュースインデックスno.536 2005/12/24

1.「電子メールは生活に定着、スパムへの懸念が低下」、米調査(12.23 nikkeibp.jp)
米DoubleClickのDoubleClick Email Solutions部門は、2005年における消費者の電子メール利用に関して調査した結果を米国時間12月21日に発表した。 それによれば、電子メールが消費者の生活の一部となっており、ほぼ半数の消費者が職場で個人の電子メールを読んだり家庭で仕事の電子メールを閲覧していることがわかった。 また、スパムに関する懸念が低下していることも明らかになった。

回答者の57%は、仕事関連の電子メールは職場で閲覧していると回答しているが、ほぼ同じ割り合いの回答者が家庭でも夜間(55%)、または週末(54%)に仕事関連の電子メールを読んでいることが明らかになった。 48%は職場において個人の電子メールを時々チェックしており、21%は常に個人の電子メールをチェックしていると回答している。

電子メール・アドレスに関しては、回答者のほぼ半数が少なくとも3個のアカウントを所有していることがわかった。 95%は1アカウントを重点的に使っており、ほぼ4分の3(72%)は、1アカウントをオンライン・ショッピング用に利用しているという。

2.宮永博史の“戦略的CIO思考”のススメ:技術を活かす(12.22 nikkeibp.jp)
■高い技術力だけでは事業の成功は不可能
技術主導型の業界においては、研究開発部門に優れた人材を配置し、他社にない技術を開発することが、成功するための必要条件であろう。例えば、インターネット検索エンジンの世界で一躍リーダーに躍り出たGoogleは、スタンフォード大学の大学院生がそれまでの検索エンジンにないアイデアを実現し、もはや出尽くしたかと思われた検索エンジンの世界で見事に成功した。その秘密はこうだ。研究論文の世界では、論文の価値判断のひとつとして「サイテーション・インデックス」と呼ばれる指標を用いる。つまり、その論文が他の論文に何回引用されたかを数えるのである。多くの研究者に引用される論文はそれだけ価値が高いだろうという考えに基づいている。Googleはこの指標をインターネットの検索エンジンの世界に持ち込んだ。あるサイトの価値を他のサイトからのリンク(引用とみなす)の数で判断し、多くのリンクが張られている(引用されている)サイトを検索の上位に持ってくるという、単純ではあるが本質的なアイデアを具現化したのである。

では、優れた人材や他社にない技術があれば事業として成功するかというと、必ずしもそうではない。先に挙げたGoogleも、創業者である2人の技術者だけではあるいはここまでの成功はなかっただろう。経営の視点を持った人材を外部からCEOとして迎え入れたことも成功要因のひとつであった。他社にない技術を開発することも必要であるが、それを活かす経営者の存在もまた同じように必要なのである。

1970 年代初頭に、コンピュータ産業において革新的な技術を数多く開発した米Xeroxのパロアルトリサーチセンター(通称PARC:パーク)は、文字通り多くの素晴らしい技術を持ちながら、事業として成功に導けなかった例としてよく引き合いに出される。しかし会社という枠組みを越えてその技術は大きな花を咲かせ、しかも今なお咲かせ続けている。

「情報のアーキテクチャー」を創造することをミッションとして、カリフォルニア州パロアルトにPARCが設立されたのは1970年7月1日のことであった。コピー機事業で大成功したXeroxが、将来のペーパーレス社会に備えて設立した戦略的研究機関である。当時、世界中のコンピュータサイエンティストのトップ100人(実際の研究員の数は100人に満たなかったにもかかわらず)を集めたとまで言われた研究所の誕生だ。その成果が活かされれば、今頃はコンピュータ業界におけるマイクロソフトやIBM のポジションを占めていたことであろう。

1983年10月に設立されたアドビシステムズも、そうしたスピンオフで成功した会社である。創業者で、現在、共同会長を務めるチャールズ・ゲシキとジョン・ワーノックは、ソフトウェア業界のリーダーであり、PARCではグラフィックス、デスクトップ・パブリッシング、電子ドキュメント技術などの研究開発に従事していた。アドビシステムズは、グラフィックデザインの世界のマッキントッシュのような存在であるが、現在ではPDF(Portable Document Format)により、ビジネスの世界でもよく知られるようになってきている。この、創業者の1人であるジョン・ワーノックによって1990年に開発されたPDFは、ポータブル(他のシステムに移植可能な)という名の示す通り、コンピュータやアプリケーションソフトの違いによらずファイルを開き、保存し、プリントできるという画期的なものであった。1992年のコムデックスという世界最大規模の展示会では、最優秀技術賞に輝いている。PDFファイルを開くのに使用するソフトウェアである「アクロバットリーダー」は無料でダウンロードでき、しかもセキュリティソフトと違って、バージョンアップ製品も無料である。この利便性のために文書管理の世界では、今やPDFは世界標準となっている。

 しかし、当初からPDFがビジネス的に成功したわけではない。1993年6月に$50の価格で発売されたアクロバットリーダーとその作成ソフト($195)の売り上げは芳しいものではなかった。そして、素晴らしい技術がありながら、ビジネスで成功できないというPARCの二の舞になるのを救ったのが、現CEOのブルース・チゼンだ。彼は家庭用電子機器メーカーであるマテル・エレクトロニクスからスタートし、マイクロソフトで米国東部のセールスディレクターを4年務め、さらにクラリス社の創設にも関わっている。アドビシステムズには1994年に入社し、2000年にCEOに就任した。チゼンは徹底的に顧客志向であり、「まもなく消滅する恐竜」と思われていたアドビシステムズを見事に立て直した。

文書処理の効率化を図るためにFDAは、製薬会社が新薬認可申請書をPDFで提出してもよいと1997年に認めたのである。アドビシステムズにとって追い風が吹いた。このときファイザーの提案によって、アドビシステムズとファイザーはPDFとアクロバットリーダーを活用して、臨床試験プロセスを効率化し、新薬開発期間を短縮するためのプロジェクトを1998年に立ち上げている。当時、一般ユーザー市場を開拓する部門の副社長だったチゼンのリーダーシップの下、アドビシステムズは、紙に慣れた医師や看護師が抵抗なくPDFを利用できるよう様々な工夫を行う。使い勝手の良い電子用紙デザイン、記入された情報を自動的データベースに落とし込み、かつFDA向け申請書類へ自動的に変換する手法などを確立するのである。この結果、ファイザーは2種類の新薬を通常よりも短期間で開発でき、1億4200万ドルの増収効果を上げることができた。

3.ライブドア、Skypeに映像通話/ポータル機能付き新版(12.22 nikkeibp.jp)
ライブドアは12月22日、米eBay傘下Skype Technologiesとの提携ブランド製品として、通信ソフト「livedoor - Skype for Windows 2.0」のベータ版を発表した。専用Webサイトで無償配布している。 新たに映像通話機能「Skype Video」を備える。Windows XPをインストールしたパソコン間なら、相手のWebカメラの映像を表示して通話が行なえる。

またインタフェースにポータル・サイト「livedoor」の主要コンテンツを表示する「livedoor コンテントタブ」を組み込んだ。 インターネット/ブログ/画像検索機能の検索ボックスや、ニュースや天気情報の見出しなどをインタフェース上に表示。 検索を実行したり、見出しをクリックするとWebブラウザを開き、検索結果、詳細記事などを表示する。

このほか株式/外国為替市場のチャートや指標、株式ランキング、直近上場企業(IPO)といった金融情報、ショッピング情報、ブログ情報なども表示。それぞれ「livedoor ファイナンス」「livedoor デパート」「livedoor Blog」などのコンテンツへリンクしている。

4.セブン銀行、予定通り来年1月のWindows勘定系稼働を決断(12.23 日経コンピュータ)
 セブン銀行は、この年末年始に予定していた勘定系システムの刷新作業を予定通り進めることを決めた。新しい勘定系システムでは、日本ユニシス製の大型 IAサーバー「ES7000」と「Windows Server Datacenter Edition」の組み合わせで、同社製のWindows向け勘定系パッケージ「BANKSTAR」を動かす。データベースは「SQL Server」を使う。日本ユニシス製のWindows勘定系システムを稼働させるのは、セブン銀行が初めて。

 新システムの稼働開始は、2006年1月3日の5時30分。日立製作所のメインフレームで動作する現行の勘定系システムは、12月31日の23時にオンラインを停止する。今回の刷新は、勘定系システムや対外系システムなど、サーバー側のシステムが中心なので、セブン銀行のATM(現金自動預け払い機)は年末年始も稼働する。このため、セブン銀行以外の銀行のキャッシュカードで、セブン銀行のATMから現金を引き出すことはできる。

 セブン銀行は勘定系システムの刷新により、顧客のニーズに応じた迅速な新商品/サービスの提供と、システム維持コストの削減を目指す。勘定系システムの刷新プロジェクト推進は、野村総合研究所が担当している。 システム構築費用は、本誌推定で30億円程度。

5.新機軸「バックボーンの網機能開放」で革命を起こすボーダフォン(12.23ITPRO)
携帯事業者各社が端末のオープン化を推し進める中、ボーダフォンが10月に表明した戦略は他社の戦略とは明らかに一線を画していた。その戦略とは、企業の業務システムと携帯電話の連携を大幅に強化することをねらい、同社のバックボーンの網機能(コア・サービスと呼ばれる)を開放するというものである。

バックボーンの網機能のオープン化は、端末のオープン化とは全く別の話。スマートフォンなどのオープン端末は、従来よりも多くの端末内蔵機能をアプリケーションから制御できる。しかしそれが実現してもなお、企業は携帯電話をまだまだ生かしきれていない。それは、携帯電話で使えるサービスの多くは今もなお、閉鎖的な環境下で提供されているからだ。

携帯電話で使えるサービスは音声通話とメール、Webだけではない。情報伝達手段だけでもSMSやPTT(push to talk)、位置情報など、ほかにもあまたある。ところがこうしたサービスのほとんどは、携帯電話間だけでしか使えない。つまりそれをオープン化して、外部のシステムから操作できるようにするというのが、新戦略の骨子である。

企業にとってコア・サービス開放のインパクトは大きい。企業から社員の携帯電話への情報伝達の利便性が,飛躍的に高まるからだ。想定例だが,社員の携帯電話からプレゼンスを取得して,圏内にいる社員にPTTで一斉指示を出し,圏外の社員には留守電にメッセージを送る。こうした情報伝達を,業務システムから自動的に行えるようになる。

 しかも開放対象となるコア・サービスは相当数にのぼる。SMSや端末が圏内にいるかといったプレゼンス,位置情報などがその一例。音声通話や留守番電話,PTTなどの音声系のサービスも,コアを通じて提供されている。端末にインストールされたアプリケーションを把握するデバイス管理,課金などもコア・サービスの一種である。

新サービスで「出先も社内と同じように」

 既に携帯電話と連携が取れている業務システムもある。その最たる例がメールやスケジュールを利用できるグループウエアだ。しかしその連携もまだ十分とはいえない。例えば社員は,Webを通じて携帯電話から企業のグループウエアを利用できる。しかしWebだと圏外では内容を見られない。またユーザーが自らアクセスして閲覧しに行かなくてはならない。メール転送サービスなどを利用すると,業者の設備に重要な企業情報や個人情報を含むメールが蓄積されてしまうため,セキュリティ面で課題が残る。

 こうした現状を打破するべく,ボーダフォンは携帯電話と企業のシステムをより密接に連携させる第一弾として,グループウエアとの同期サービスを1 月18日に開始する。「ボーダフォン・オフィス・メール」だ。携帯電話と社内のグループウエア・サーバーを同期させる。両者を常時接続しておき,リアルタイムにメールやスケジュールを同期させるという,これまで見られなかった手法を採用している。

 このサービスを使うと,グループウエア・サーバーに登録した新着メールや新規登録スケジュールは,すぐにプッシュで自動的に届き携帯電話に蓄積される。その内容は圏外でも確認できる。サーバーと携帯電話でやり取りするメッセージは暗号化されるため,通信経路上のサーバーなどに蓄積されることもない。対象機種は12月17日に発売した「702NKII」(写真)だが,今後増やしていくという。

 携帯電話を業務利用する目的は,生産性の向上に尽きる。その近道となるのは,携帯電話を活用して機動力を上げることだ。「音声通話とEメール, Webしか使えない」あるいは「いつでも,どこでも使えるとまではいかない」といった制限が多すぎる現状では,機動力の大幅向上は望めない。ボーダフォンがこうした現状に一石を投じた意味は大きい。
 

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