週間情報通信ニュースインデックスno.529 2005/11/05

1.経営者に求められる「IT経営」とは、野村総合研究所・淀川高喜氏(11.2 nikkeibp.jp)
ITに関する経営者としての3つの視点

 ITは企業活動のあらゆる分野に浸透しており、企業にとってなくてはならないものになっている。しかし、ITは競争力の強化をもたらすような重要な存在であろうか。多くの企業では、すでに効率化効果の大きい業務のシステム化は一巡しており、かつてのようなIT活用による目覚しい効果は刈り取りづらくなっている。

 一方、ITは今後ますます汎用品化し、自社独自の資産として大きな投資を行なう対象ではなくなっていくという見方もある。企業の経営者にとって「IT投資の最適化」をどのように考えるべきかは悩ましい問題である。経営者がIT投資を判断する上で重要な軸が3つある。有効性(役に立つか)、効率性(無駄はないか)、リスク(危なくないか)である。

 まず、リスクに対する投資が今後ますます大きくなっていくことを経営者は認識すべきであろう。個人情報保護法に象徴されるような「情報セキュリティ」に関する社会的関心の高まりや、企業改革法で求められるような「内部統制」の確立に応えていくには、企業活動のすみずみにいきわたっている情報システムの安全性が問われる。

 一定水準以上の安全性が確保できなければ、企業はビジネスの土俵に乗せてもらえなくなる。リスクに対する投資はいやおうなしのものである。しかも、ネット社会の進展にともなって、このための備えには今後ますます多額の投資が必要になってくる。

 次にITにかける金の効率性についてであるが、ここには、これまで蓄積してきた自社システムの不良資産化という問題がある。企業は、個別の業務の効率化要請に応じてそのつど構築し永年にわたって積み上げてきた膨大な自社システム資産を抱えている。これが、しだいに複雑化・肥大化し、動脈硬化を起こしている。

 硬直化したシステムは、その維持にコストがかかるばかりでなく、業務プロセスそのものの硬直化につながり、業務の非効率性と変化対応力の欠如を生み出している。小手先のコスト削減策を駆使しても、根本原因である不良システム資産問題を解消しなければ抜本的な効率化にはつながらなくなっている。

 このため、「システムライフサイクル」を見極めて、いつ更改に踏み切るかが経営者の大きな判断となる。企業の設備投資余力が回復に向かうなかで、サービス提供のための基幹設備となる「次世代システムプロジェクト」に着手する企業が増えてきた。この際の実現目標は「全体最適化」である。

 次世代システムのプロジェクトにおいては、古くなった機械を取替え、伸び放題になった枝葉を切り揃えるだけでは不十分である。個別業務に対して横串をさすような、基本となる業務連携ルールや共通管理情報を企業全体で明確にし、その共通の土台のうえに、あらためて個々の業務を臨機応変に乗せていくことができるように、業務とシステムの全体構造を整える機会にしなければならない。

ビジネス特性によって異なるITの価値

 ITの有効性については、各企業のビジネス特性によって判断が分かれる。ITは高々社内管理業務、間接業務の効率化のための手段であって、本業のビジネス構造の革新にはそれほど関係しないという企業もあろう。こうした企業にとって、ITは、業務効率化の道具以上のものではないから、得られる効率化効果を超えるようなIT投資には慎重であるべきだし、市場原理に照らしてもっとも安価なシステム化実現手段を採用すべきである。自前のシステムは持たない、自社独自のシステムは作らない、自社にIT部門は持たない、といった選択も経営判断として合理性がある。

 一方、自社ならではの情報取得、情報活用が付加価値を生む源泉となる企業や、情報処理装置が自社のサービスの品質やスピードを左右する基幹設備であるような企業にとっては、ITが競争優位の重要な要素であり、他に先んじた情報活用技術の絶えざる向上が必要である。この重要なITを外部に委ねてよいか、自社だけで将来にわたって支えていくことができるか、といった判断が経営者に求められる。このような自社にとっての ITの価値の再認識に基づいて、「インソース・アウトソース戦略」を見直し、それに応じた「IT部門構造改革」を行なう企業が増えている。

2.NTTデータの中間決算は増収増益、買収したシステム子会社が寄与(11.2 nikkeibp.jp)
NTTデータは11月1日、2006年3月期の中間決算(2005年4月−9月)を発表した。売上高は3896億円(前年同期比2.0%増)と微増。営業利益は169億円(同0.4%減)だが、経常利益は153億円(同13.2%増)、純利益は94億円(同15.7%増)と増益をはたした(いずれも連結)。浜口友一社長は「2006年3月期は中期経営計画の折り返しの大事な年。計画通りに達成できそうだ」と語った。

増収増益を支えた顧客セグメントは、金融分野と法人(金融機関を除く民間企業)分野。同社では、この2分野に官公庁などの公共分野を加えた3分野で事業を展開している。近年、公共分野の成長が厳しくなっていることから、意図的に金融と法人に事業をシフトしつつある。売上高で見ると、公共分野が1289億円(前年同期比16.6%減)、金融分野が1266億円(同7.9%増)、法人分野が1036億円(同32.0%増)である。販売管理費は増加したものの、原価率の改善と金融・法人両分野の伸びが下支えし、営業利益は昨年とほぼ同水準となった。

3.「これが,次の5年の方向性だ」,MicrosoftがWindows Live戦略を発表(11.2 nikkeibp.jp)
 「我々は5年ごとに新たな方向性を示してきた。1990年にWindowsを公開し,1995年にはインターネット戦略を,そして2000年にはXML 中心の「.NET」戦略を示してきた。そして今日は,次の5年間の話をする。」(米Microsoft Corp.,chairman兼chief software architectureのBill Gates氏)。

 米Microsoft Corp.は,2005年11月1日,米サンフランシスコで記者発表会を行い,同社の新型オンライン・サービス「Windows Live」および「Microsoft Office Live」を発表した(発表資料)。同社が既に提供済みのXbox Liveと同列に位置づける。Windows Liveは,ユーザーのパソコンなどにMicrosoft社のサーバからインターネット経由でアプリケーション用のサービスなどを提供する,いわゆる webサービスのプラットフォームである。個人用のWebサイトの設定や電子メール,VoIP,インスタント・メッセージ,検索など,インターネット関連の複数アプリケーション・サービスを提供する。Microsoft Office Liveは中小企業向けのサービス群で,主に業務用アプリケーションを提供する。いずれもサービスに広告を付加することで,ユーザーには無料で提供する。 Microsoft社は同社が運営するオンライン広告ネットワーク「MSN adCenter」経由で広告収入を得る仕組みだ。有料の会員向けサービスも用意する。

 Microsoft社は,Windows LiveとMicrosoft Office Live をあわせ,Microsoft Live Platform と呼ぶ。Microsoft Live PlatformではRSSやAJAX(Asynchronous JavaScript and XML),ピア・ツー・ピア技術,クライアント上でのソフトウェアを組み合わせ,Microsoft社が運営するサーバからインターネット経由でユーザのパソコンや携帯電話機にサービスを提供する。発表会では,今日からベータ版として提供を開始した「Live.com」で,ユーザが自分の好みに応じて Webサイトの設定ができることを示した。そこでは,Microsoft社の新型検索エンジン「Windows Live Search」の検索結果を保存したり,RSSで提供する情報や写真集を表示する場所を設定できる。他のサービス例では,ピア・ツー・ピア機能による写真や他のファイルを共有可能な「Windows Live Messenger」のインスタント・メッセージ・サービスや,パソコンの状態の遠隔モニタリングおよびファイルのバックアップ・サービスなどを提供する「Windows OneCare Live」がある。Microsoft社はLive Platform系のサービスをベータ版から通常版に移行する時期を明示しなかった。こうした手法は,Google社が同社のオンライン・サービスの製品化に用いたプロセスを彷彿とさせる。 

4.グーグル、日本語版「パーソナライズド ホームページ」を提供開始(11.4 nikkeibp.jp)
グーグルは11月4日、日本語による「パーソナライズド ホームページ」の提供を同日より開始すると発表した。同社の検索サイト「Google」とインターネット上の様々な情報リンクを1つのホームページにまとめるもので、「パーソナライズされた情報をより使いやすく、役立てられるようにした」(同社)。

パーソナライズド ホームページを利用するにはGoogleアカウントを取得する必要がある。Webサイトにアクセスしてアカウントにログインし、ホームページをパーソナライズする。好みに合わせて、セクションの位置をドラッグ・アンド・ドロップ方式で並べ替えられる。パーソナライズを完了すると、アカウントにログインすればどのパソコンからでも同ホームページにアクセスできる。

パーソナライズド ホームページでは、同社のWebメール「Gmail」のプレビューや、同社ニュース・サイト「Google News」のヘッドラインのほかに、NIKKEI NET、asahi.com、All aboutからのフィードなど、さまざまなコンテンツを設定できる。これらのコンテンツ以外でも、RSSフィードを提供しているサイトであれば、簡単に追加することが可能という。

5.Google,Skype,EarthLinkなどが参加するVoIP普及組織「Internet Voice Campaign」発足(11.4 nikkeibp.jp)
 インターネット・テレフォニに関する非営利組織の「Voice on Net(VON)Coalition」は,同技術に関する啓蒙と普及促進を目的として新しい構想「Internet Voice Campaign」を米国時間11月3日に発表した。

 Internet Voice Campaignは,VON Coalitionの一部。設立メンバーとして,米EarthLink,米Google,米Level 3 Communications,米Pulver.com,米eBay傘下のルクセンブルクSkype Technologiesなどが参加している。

 米Harris Interactiveが2005年5月に発表した調査の結果,消費者の誤った先入観がVoIPサービス導入の妨げになっていることが明らかになった。 VoIPサービスを知っているが導入していない消費者の36%は,同サービスのことを十分に理解していないためだとしている。38%はVoIPサービス・プロバイダが提供する情報に説得力がないことを理由に挙げている。また,緊急電話への対応,プライバシとセキュリティ,通話の品質といった問題も同技術導入の妨げになっているという。

 同団体は,消費者の誤った先入観を払しょくするために,これらの問題とともにインターネットを使った通話,インスタント・メッセージング,その他の高度な電話機能の利点を知ってもらうための啓蒙活動を行なう。

 第一段階として,同団体は,VoIPサービスを通じて消費者が望むサービスの種類,製品などに関する調査を年内に実施する。また,消費者の意識を高めるために,同技術の利点と機能を明確に示し,コストと使い易さに関して利用者のメッセージを添えて説明するキャンペーンを開始する。

 米IDCによれば,現在およそ300万人がVoIPを利用している。ユーザー数は2009年末までに2700万人に達するという。Internet Voice Campaignでは,消費者の認識が高まれば,同技術はより速く普及すると考えている。
 

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