週間情報通信ニュースインデックスno.497 2005/03/19

1.【緊急連載・ソフトバンクはどこへ行く】意外に知られていない「1兆円企業」の人と組織(3.18 日経コミュニケーション)
2月9日の2004年度第3四半期の決算発表で連結売上高が2500億円を超えたことを受けての発言である。 売上高1兆円というと,通信業界でいえばざっとNTT東日本やNTT西日本の半分。NTTコミュニケーションズに匹敵する規模である。

ADSLサービス「Yahoo! BB」やIP電話サービス「BBフォン」のユーザー拡大による収入増も効いているが,伝統ある固定通信事業者の日本テレコムを買収し,100%子会社として連結に加えたことが大きく寄与した。 売上増にあわせて人員面も拡大していく。 買収した日本テレコムの人員に,新卒採用や他社からの転職組が加わることで,従来の約5000人から最終的に約 1万人まで倍増する見通しだ。 グループの“本丸”も用意した。 今年の2月にはソフトバンク本社を東京の水天宮から汐留に移し,日本テレコムも同じビルに収容した。

ソフトバンクが2001年にYahoo! BBで通信業界に殴り込みをかけた時,通信業界の関係者が「どうせ孫さんはすぐにあきるだろう」「スピードネットと同様に頓挫するさ」とことごとく指摘した。ところがソフトバンク・グループは,あっという間に,NTT,KDDIに続く第3の通信事業グループを築き上げた。

ソフトバンク・グループには,通信業界や金融,メディアや流通業などを出身母体とする仕事師が何人もいる。ソフトバンクBBやソフトバンク本体,グループ会社の幹部として,孫社長を陰に陽に支える。その証左として,グループの通信事業会社における孫社長の役員職は意外に少ない。ソフトバンクBBとヤフー,日本テレコムと携帯事業会社のBBモバイルぐらいである。

ソフトバンク・グループの組織上の特徴は,一人の幹部が複数の肩書きを持っていることと言える。例えばソフトバンク・グループの携帯部門を取り仕切るソフトバンクBB宮川潤一取締役は,携帯事業会社BBモバイルや日本テレコムの固定電話部門の役員を兼ねている。ほとんどの幹部がこうした兼務をこなしている。NTTで言えば,グループ内で頻繁に行う人事異動がこれにあたるのだろう。

携帯電話への参入の遅れは,固定電話の事業にも影響する。例えば,KDDIは4月1日に携帯と固定を融合させたFMC(fixed mobile convergence)のサービス像を検討する専門部署を設置。FMCへの舵を切り始めた。NTTドコモも遠からず,NTTグループ内でのFMC戦略を打ち出してくることだろう。

 韓国のWiBroのように無線LANを利用した“ブロードバンド携帯電話”で大逆転を図るシナリオもささやかれている。しかしこれも携帯電話と同様に総務省の方針が絡んでくる。

 そして長期的には,さらなる売り上げ増を目指して海外への展開を考えるのではないだろうか。

2.「週5日のうち生産的に仕事をしているのは3日だけ」、米Microsoftの調査(3.16 nikkeibp.jp)
「社員が生産的に仕事をしているのは、週5日のうち3日だけである」。 米Microsoftが、職場の生産性について調査した結果を米国時間3月15日に発表した。
調査は、2004年9月−2005年1月にかけて、200カ国の3万8112人を対象にオンラインでアンケートを実施したもの。

生産的に仕事をできない理由として、「曖昧な目的、チーム内における不十分なコミュニケーション、非効率的なミーティング」を挙げる回答者が最も多く、全体の32%を占めた。次いで、「不明瞭な優先事項」が31%、「やらなければいけないことの先延ばし」が29%だった。

米国に限ってみると、「やらなければいけないことの先延ばし」が最も多く42%だった。「チーム内における不十分なコミュニケーション」(39%)と、「非効率的なミーティング」(34%)がこれに続いた。

回答者は週当たり5.6時間をミーティングに費やしており、69%の回答者がミーティングを非生産的だと感じている。 米国では、週当たり5.5時間をミーティングに費やし、71%の回答者が非生産的と感じている。

また、回答者の労働時間は週平均45時間で、そのうち約17時間を非生産的だと考えている。 米国の場合、週平均の労働時間は同じだったが、16時間を非生産的だと考えている。
その他の主な調査結果は次の通り。

・「生産性に直接的な影響を及ぼすのはソフトウエア」という回答者は55%に達した(米国では61%)
・スケジュール管理のために定評あるツールや方法を利用している回答者は34%(米国では31%)。また、生産性が上がらないため、仕事とプライベートのバランスが取れていないと考える回答者は60%(同66%)だった
・平均的な生産性は、女性の回答者が72%、男性が71%だった(米国では女性が70%、男性が68%)
・回答者が1日当たりに受信する電子メールは平均42通(米国では56通)
 

3.出井退場、遅すぎたバトンタッチ(3.16 日経ビジネス)
2000年の春。出井はとても重要な決断をしている。 1つは、エレクトロニクス重視と周囲に受け止められてきた路線の転換。もう1つがブロードバンド(高速大容量)通信への傾注だ。「インターネットは隕石だ」。 こうしたキーワードを出井が頻繁に使い始めたのがこの時期だ。ユカタン半島に落ちたいん石が恐竜を絶滅させたという説にならってインターネットが既存の経営概念を打ち壊し、未知なる世界が訪れることを示唆した。 エレクトロニクス事業の原点ともいえる製造子会社を「ソニーEMCS」として別会社化した。

実現こそしなかったが、フジテレビジョンへの出資の一歩手前のところまで迫った。また、携帯電話やテレビをブロードバンドへの入り口として、「4つのゲートウェイ戦略」を打ち出した。
「デジタル・ドリーム・キッズ」というキャッチフレーズは出井の下で、エレクトロニクスとソフトの融合という戦略へと進化した。

AV(音響・映像)機器などハードと、映画や音楽などコンテンツ(情報の中身)がブロードバンドを通じて融合する。こうした絵を精緻に描いたかに見える出井の経営者としての振る舞いに、株式マーケットは乱舞した。

しかし、売上高の6割を占めるエレクトロニクスが不振という現在のソニーの苦境は、この時に始まっていた。この5年ほどは、神話と称される出井の成功体験が、その歪みを正す機会を失わせた歴史でもあった。

エレクトロニクスの不振が表面化したのは2003年4月、業績を大幅下方修正した「ソニーショック」の時だった。その直後の会見で出井は、周回遅れのリストラをアナリストが指摘すると質した記者に、「そんなアナリストはいない」と声を荒げて質問そのものをかき消した。

複数の証券アナリストからは「一番必要な構造改革は、まず出井氏がこれまでの戦略の非を認め、辞任すること」との声が聞かれるようになった。 「引責」。エレクトロニクスの業績が低迷し始めてから、市場や報道陣の間で出井路線を出井自身がどう修正するのかに注目が集まった。 しかし、新体制を発表する会見に至るまで、出井が自らの責任に言及したことはない。

ハードとコンテンツの融合。出井が導いた戦略は、実際のビジネスでは思ったほど相乗効果が出てこない。 そればかりではない。コンテンツ重視の余り、ハードの使い勝手が悪くなるケースまで出てきた。

携帯型音楽プレーヤーの代名詞になった米アップルコンピュータの「iPod(アイ・ポッド)」。 実のところ、ネットを通じた音楽配信と携帯音楽プレーヤーを組み合わせた事業を始めたのはソニーの方が早かった。 しかし、「コンテンツの著作権をきちんと守ろうとする余り、ハード側の制約が大きくなり、使い勝手の悪いものになってしまった」(ソニー幹部)。

2003年、ソニーショックを受けた再建計画がまとまった直後のこと。 出井は本誌のインタビューにこう答えている。
「今は融合段階。2006年からは統合。ここがパナソニック(松下電器産業)や(韓国)サムスン(電子)と違うところ」

出井がまだ“夢”を追っている間、松下電器やシャープなど後に「勝ち組」となる企業は、経営の優先課題をきちと見極め、基礎を固めていた。
2003年12月、松下電器は中村改革の一環として、松下電工へのTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。AV機器から白物家電、フロ、トイレまでをカバーできる体制を敷いた。 シャープは2004年1月に、三重県亀山市に最先端液晶工場を稼働した。

その間、ソニーのエレクトロニクス事業は、完全回復の姿を見せてはいない。 2000年度の連結営業利益は2471億円を誇ったが、2003年度には353億円の営業損失に陥り、今期は250億円の損失(大和総研予想)になる見通しだ。

実態と遊離した言葉に酔い、一方で現場は荒野と化す。 ITバブルが崩壊するまでの成功体験が出井を縛った。 目標の達成はもはや絶望的になってきた。その段階からの交替が、余りにも遅すぎたことは間違いない。 神話に彩られた経営者、出井が敷いたレールを改めることは、当の出井にしかできないことだった。しかし出井は、肝心の言葉を最後まで発しなかった。トップが交替しても、「引責」が明示されなければ、組織に問題を一掃する機運は生まれない。出井退場で、ソニーは輝きを取り戻せるのか。

4.「情報システムを統合する“ESB”の威力と可能性」、米ソニック(3.18 日経コンピュータ)
「ESB (Enterprise Service Bus)」という新しいコンセプトに先進企業の注目が集まっている。 分かりやすくESBを説明すると、これまで企業内の各業務にあわせて個別に構築されてきたIT(情報システム)を、ESBという標準技術にもとづく“システム基盤”によって連結・統合し、必要な情報を互いにスムーズにやり取りできるようにするものだ。 ESBによって既存のIT資産を効率的に再利用し、新しいシステムも速やかに統合可能となるため、IT投資におけるROI(Return On Investment:投下資本利益率)が格段に向上するだけでなく、いわゆる“IT不良資産”を解消するというメリットもある。

まさに「魔法の杖」のようなコンセプトだが、実際に欧米の先進企業ではESBの実現に向けて積極的に取り組んでいる。 米国で通信事業者第2位のSBCコミュニケーションズや、大手移動体通信事業者のボーダフォン、安全カミソリなどパーソナルケア用品をはじめとする幅広い製品を提供するジレットといった大企業がESBを導入し、自社のITにフル活用して成果を上げている。

このESBのベースには、実はSOA(サービス指向アーキテクチャ)という考え方がある。 標準技術を用いて、様々なアーキテクチャやインタフェースを気にすることなく、ビジネス環境の変化に柔軟に対応可能なアプリケーションの連携を可能にする手法だ。ESBのコンセプトは著名なリサーチ会社である米ガートナーが2002年に提唱したもので、米ソニック ソフトウエアは同年3月からESBを初めて製品化した「Sonic ESB」を提供しているパイオニア企業だ。この3月8日には最新版「Sonic ESB 6.1」をリリースした。

実は既に、アプリケーション統合には「EAI」(Enterprise Application Integration)という技術があり、標準技術を用いて分散したアプリケーション環境を連携するためには「Webサービス」が知られている。 ESB はこれらの既存技術に対して、企業のITシステムにどのようなインパクトをもたらすのか。既存技術の問題点やESBのメリットなどについて、ESBのコンセプトを生み出した米ソニックソフトウエアの副社長兼チーフ・テクノロジ・エバンジェリスト(CTE)であるデビッド・A・チャペル氏にインタビューした。

――日本ではまだESBというコンセプトがそれほどメジャーになっていませんが、欧米では最近注目を集めているようです。なぜ注目を集めているのでしょうか。

チャペル それは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の発展が背景にあります。多くの企業がSOAを基盤にしてエンタープライズシステムを構築することに価値を見いだしており、ESBはWebサービスをサポートし、SOAを構築するためのバックボーンとして注目されているのです。
 

――ESBを導入することで、企業はどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。

チャペル 分かりやすく話をしましょう。まず、ESBの実体は「ミドルウエア」と呼ばれるソフトウエアです。SOAの考え方を取り入れ、異なるIT環境に存在する様々なアプリケーションの重要な機能を“サービス”として容易に定義でき、あるサービスを別のサービスと組み合わせることによって、業務処理プロセスの自動化や合理化などが短期間で可能になります。新しいアプリケーションの追加や変化にも容易に対応できるため、その結果、ドラスティックなビジネス環境の変化に強くなり、競争優位を獲得することができます。

5.「仮想化するのは2年後に3割」、米IBMの仮想化担当VPが語る(3.18 日経コンピュータ)
米IBMでシステムの仮想化を担当するバイスプレジデントのナイジェル・デッソー氏は3月17日、報道機関向けセミナーで「ユーザー企業がすべてのシステムを仮想化するのは、2年後に3割」との見方を明らかにした。仮想化の実現には、「企業が組織横断的にシステムを柔軟に考えられるかどうかが要で、製品の投入だけでは難しい」ことを理由に挙げた。
 

同社が打ち出すオンデマンド・ビジネスの実現では、仮想化が不可欠。「この10年、サーバーへの新規投資額は変わらないが、管理コストは9倍にもなっている。仮想化はIT環境をシンプルにしコストを抑制できる」(デッソー氏)からだ。だが現状は、「ようやく9割の企業が、同種類のサーバーをまとめ始めたところ」という。
 
 

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