週間情報通信ニュースインデックスno.84 2004/12/04
 

1.「オープンソースと共存したいがGPLは問題」、マイクロソフト・平野高志氏(12.2 ITPRO)
「Microsoftはオープンソース・ソフトウエアと共存したいと考えているが、GPLは特許について否定的であり、問題がある」――マイクロソフト 執行役 法務・政策企画本部統括本部長平野高志氏は12月1日、講演の中で同社のオープンソース・ソフトウエアに対する方針をこのように語った。
 

平野氏は、12月1日に行われたイベント「Open Source Way 2004」で「マイクロソフトとオープンソース」と題して講演、マイクロソフトの知的財産権についての方針や、顧客に対する知的財産権リスク補償について説明した。
 

「米国では法律事務所が特許を買いまくって訴訟を仕掛けている。 米Microsoftは“ディープポケット”とされ、格好のターゲットにされている」(平野氏)。 米InterTrustとの知的財産訴訟でMicrosoftは4億4000万ドル(約440億円)を支払った。 米Eolasとの係争では Microsoftは一審で敗訴し5億ドルの支払いを命じられた。 現在控訴中だ。
 

「このようなリスクをお客様に飛び火させてはいけない」(平野氏)。 Microsoftは従来も顧客が知的財産権に関して訴訟に巻き込まれた際に訴訟費用を負担する補償を提供してきたが、昨年、商標および営業秘密についての補償を追加し、特許権についての責任の上限を撤廃した。 今年これを拡大し、ほとんどすべての有償製品について、すべての顧客に同じレベルの補償を提供するようにした。
 

「この補償が製品の差別化につながっていると考えている。米Novellの補償プログラムは著作権はカバーしているが特許はカバーしておらず、金額の上限がある。米HPの補償プログラムは米SCO Groupに対する訴訟に限定されている。米IBMははっきりしていない」(平野氏)。

2.年収400万円以下に照準、日清が所得2極化にらみ低価格麺開発へ(12.1 nikkeibp.jp)
「日本人は年収700万円以上と400万円以下に2極化する。 700万円以上の消費者向けに高付加価値の健康志向ラーメンを、400万円以下の消費者向けに低価格商品を開発する」
日清食品の安藤宏基社長は2004年9月中間期の決算発表の場で、藪から棒にこう発言した。

食品に限らず日本で消費財メーカーのトップが、具体的に所得階層別の商品戦略を示したのは初めてだろう。 業界の注目を集めるのは、その真意と、来秋にも発売すると見られる年収400万円以下向けの商品の値付けだ。 看板商品である「カップヌードル」の店頭売価は通常150円。 新商品は100−130円を想定していると見られるが、もしカップヌードルより安価なカップ麺を本格投入することになれば、同社では約30年ぶりになる。

「日本の消費者は米国のように所得によって2極化する。 低所得層を無視しては、これからの日本企業は成り立ちませんよ」。安藤社長が低価格品の開発を考えるきっかけになったのは、実は社外取締役である丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長のこんな一言だった。

社内でも、低価格品の発売を巡っては議論があった。「ここ数年、『日清具多(グータ)』など、200−300円以上のカップ麺で成果を上げてきた。 今以上に売価が低い商品を出すべきではない」と、反対派は主張。 これに対し、推進派は「カップヌードルを常に100円以下で販売するようなディスカウントストアに来る消費者が増えている。 この層を無視して、将来の日清が成り立つのか」と訴えた。

既に所得の2極化が進んでいる米国の即席麺市場で、日清は東洋水産に差をつけられている。低価格品で後れを取ったのがその理由だ。日本市場で東洋水産が低価格品を仕掛けてくる可能性も捨て切れない。最終的には、安藤社長が低所得層の増加に備えて安く作るノウハウを培っておくことが必要と判断し、開発にゴーサインを出した。

課題はむしろ低価格品が高い評価を得て、好調に売れた時に待ち受けているかもしれない。「年収400万円以下」「ディスカウンター」以外の所得層や店舗にニーズが広がる可能性があるからだ。そうなれば、カップヌードルなどの看板ブランドが、低価格品に侵食されるのは避けられない。

「味や飲用場面が確実に違うから、食い合いは少ない。最大でもビール市場の20%にとどまるだろう」。5年前、ビール各社は発泡酒に関してこんな予測をしていた。しかし今、発泡酒の比率は40%に近づき、業務用を除く家庭向けでビールを上回った。メーカーの想定外の飲用層が低価格を魅力に感じ、発泡酒に流れたのは事実だろう。

3.IBM、パソコン事業売却に向け交渉中=米紙◇ロイター(12.4 nikkeibp.jp)
米コンピューター大手のIBMは、パソコン事業の売却に向けて交渉しており、売却額は最大で20億ドルに上る可能性がある。 3日付のニューヨーク・タイムズ紙が報じた。
パソコン市場で、デルとヒューレット・パッカード(HP)に続いて第3位のIBMは、デスクトップ型とノートブック型パソコンの両方を売却の対象にする公算が大きく、売却額は10億─20億ドルになる可能性がある。 同紙が、交渉に近い筋が語ったとして報じた。

同紙によれば、中国最大手のパソコンメーカー、レノボ・グループ(旧レジェンド)および少なくとも別の1社が、IBMと交渉している、とみられている。
これとは別にレノボが、IBMと合弁事業を立ち上げる構えであるとする報道も既に流れている。

米調査会社ガートナーは今週、パソコン市場の成長鈍化と利益率の縮小を背景にメーカー上位10社のうち3社は2007年までに市場から姿を消すだろう、との見通しを示した。

4.「ユビキタス」は10年に一度の技術変革、無線ICタグ普及のシナリオ(12.3 RFIDテクノロジ)
越塚 登=ユビキタスIDセンター/T-Engineフォーラム
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所副所長 東京大学助教授

峯岸 康史=YRPユビキタス・ネットワーキング研究所

ユビキタスIDセンター(uIDセンター)は、ユビキタスコンピューティング技術やユビキタスネットワーキング技術の研究開発、標準化、普及を推進する国際的な民間技術フォーラムとして、2003年3月に設立された。 我々はこの「ユビキタス」(Ubiquitous)が、一過性のブームではなく、10−20 年に一度のITの大きな転換であると考えている。

いまだに、「ユビキタスも日本にありがちな一過性のブームではないか」というシニカルな意見をよく耳にする。 「ユビキタス」という言葉が巷(ちまた)にあふれている面は否めないが、ITの流れがユビキタスやパーベイシブ(Pervasive)という方向に急激に転換していることは確かである。

思い起こせば20年前ごろはちょうど、“central computing”から“personal computing”への転換期であった。 複数のユーザーが1台のコンピュータを共有して利用する方式から、一人が1台のコンピュータを占有する方式への転換だ。 一人が1台を占有するようになると、ユーザー自身が自分でコンピュータを設定・管理する必要があり、コンピュータの簡単なオペレーション方式としてGUI(Graphical User Interface)が爆発的に普及する。

一方、ユーザーがコンピュータを占有する環境で、ユーザー同士で何らかのコミュニケーションをとろうすれば、コンピュータ同士で「end-to-end」の通信をすることが必要となり、これがインターネット技術と結びつく。 つまり1980−90年代には、パーソナルコンピュータ、GUI、インターネットといった技術が結びつき、ITの大きな流れとなった。 この流れによって、産業界のプレイヤも過去の大型計算機の時代とは大きく様変わりした。

現在は、“personal computing”から“ubiquitous computing”への転換期である。 一人が1台のコンピュータを占有する時代から、一人が複数のコンピュータに囲まれる時代への転換である。 無線ICタグ(正確にはコンピュータではないが)やスマートカード、センサー・ネットワーク・ノードは、人を取り囲む小型コンピュータのリーディング・テクノロジとして脚光を浴びている。 また、かつてパソコンは一人1台だからこそ1台で何でもやろうとして汎用化が進み、その結果としてシステムも肥大化した。

一人が複数のコンピュータを使うことが前提となれば、携帯電話機やデジタルカメラ、ゲーム機、デジタル家電のように、目的に応じて軽量な専用機となるはずで、現在はそうした流れとなっている。 さらに、埋め込まれた多くのセンサーなどのノードを利用して、現実世界の情報(コンテキスト)を利用した情報処理方式である「コンテキスト・アウエアネス」(context awareness)が重要である

5.RFIDによる医薬品流通トレーサビリティを実験、NTTデータなど(12.3 nikkeibp.jp)
NTTデータ、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所、ユビキタスIDセンター、東京大学医学部附属病院、東京大学大学院情報学環の5組織は 12月3日、医薬品流通における無線IC(RFID)タグの利用実験を実施すると発表した。 注射剤の実験用サンプルが工場から出荷されて病院に入荷されるまでの過程を追跡し、RFIDタグの実用性を検証する。 実施期間は2004年12月−2005年3月。

5 組織は、「医薬品流通の電子タグ高度利活用ワーキンググループ(WG)」を設立し、医薬品流通時のRFIDタグの有効性について調査する。 具体的な検証内容は、1)RFIDタグを用いた医薬品トレーサビリティの有効性、2)医薬品流通各業務(入出荷業務/管理業務)の効率化におけるRFIDタグの有効性、 3)利用者側の利便性および問題点の抽出と課題確認の3つ。
 
 

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