週間情報通信ニュースインデックスno.400 2003/04/05

1.「千と千尋」アカデミー賞でも制作現場は空洞化(4.1 日経ビジネス)
「千と千尋」のアカデミー賞受賞で日本製アニメは実力を世界に証明したことになる。 「ポケットモンスター」の米国での成功に触発され、ここ数年進んでいた日本製アニメの海外進出の動きに、今後一段と拍車がかかるのは間違いない。

 海外市場が視野に入り始めた中で、実際、日本のテレビアニメの制作本数そのものは急増。 1980年代初めに週25本程度だったテレビアニメ放映本数が、CS(通信衛星)放送が加わったこともあって、今年4月の番組改編に当たっては週80本を超えそうだ。 ただ、現実には、残念ながらこの流れが日本のアニメ産業を潤わせ、優秀なクリエーターの輩出にも一役買うとは言えない状況に陥っている。

 「日本のアニメ制作の現場は危機的」。 こう警鐘を鳴らすのは、ほかならぬ「千と千尋」のプロデューサーで、徳間書店スタジオジブリ事業本部長でもある鈴木敏夫氏自身なのだ。
 「千と千尋」を作ったスタジオジブリはテレビアニメに背を向け、月給を払って制作スタッフを抱え、リスクの高い映画制作に邁進する賭けに勝った。実はこれは希有な例であり、大半の制作会社の仕事場は今もテレビだ。

 テレビ局が制作会社に支払うテレビアニメ1話の制作費は、この25年の間、800万円から1000万円弱でほとんど変わっていない。 現在の実制作費は1300万円ほどだから当然、赤字である。 それでも制作現場が成り立ったのは、制作会社がキャラクター版権収入の多くを得ていたことによる。 1つでもキャラクターが大ヒットすれば、制作会社は赤字を補って余りある収益を稼ぎ得たのだ。

 ところが、最近は放送局や広告会社はもちろん、商社などの異業種企業までもテレビアニメの制作に参加し、投資の見返りに、制作会社にとって“虎の子”である版権収入の大半を奪い取る傾向が顕著になってきた。

 得るものは減るのに仕事の量だけが増える――これでは現場のクリエーターも納得しない。いきおい、コミックやゲームソフト、コンピューターグラフィックス(CG)などの世界に転身する優秀な人材が多くなる。

 さらに深刻な問題をはらむのは、スタジオジブリも含め、韓国や台湾といった人件費の安い海外に制作の一部を委託していることだ。 アニメのクリエーターは大抵、大量の絵を描くことで腕を磨く。 肝心の仕事が海外に流れ出せば、日本のアニメクリエーターは修業の場を失う。 この結果、制作現場が空洞化し、高品質の作品を生み出せなくなる事態にも直面する。 「千と千尋」のアカデミー賞受賞の陰で、優秀な作品を生み出す日本のアニメ制作現場の荒廃が進んでいる。 日本製アニメの海外進出に浮かれる前に、制作現場とクリエーターにカネが落ちる仕組みを作り出さないと、近い将来、日本製アニメを生み出す土壌が失われかねない。

2.日本郵政公社が発足--郵政3事業の独立採算目指す(4.1 日経BizTech)
日本郵政公社が2003年4月1日に発足し、霞が関の公社本社では設立記念式典が行われた。 郵政事業庁から郵便、郵便貯金、簡易保険の郵政3事業を引き継いでの発足となり、明治4年に郵政事業が創設されて以来、132年ぶりの改革となる。

生田正治総裁は就任の挨拶の中で、今後はサービス業としての認識を新たに、(1)郵政事業サービスを改善する、(2)郵政3事業がそれぞれ独立採算的に成り立たせる--などを経営ビジョンとして掲げた。

3.NTTデータ、法人向けiモード・アクセス・サービス(4.2 日経BizTech)
NTTデータは2003年4月2日、iモードから企業情報システムに直接アクセスできるようにする、法人向けサービス「Mobile Office Gateway:MOG」を発表した。 4月3日にサービスを開始する。 これまでは、iモードサービスを使って企業情報システムにアクセスする場合は、一旦インターネットを経由していたが、今回のサービスを利用すればMOG専用の回線を経由して企業情報システムにアクセスできるようになる。これまでと違って専用回線を利用するため、パスワード入力などをセキュリティ面の管理を緩和することができるという。関連サービスを含めて、2006年度に10億円の売り上げを目指す。

 MOGには、操作性の向上以外にも、特徴がある。 これまでは私用と仕事用で利用パケットを分割して請求することができなかった。 今回から、企業情報システムにアクセスする場合、それ以外の私用アクセスの場合で、請求先を分けることもできる。また、企業のメールアドレス宛てのメールをiモードで受信することもできるようにした。価格は、月額8万円から。

4.Yahoo! JAPANで音楽の無料配信が可能に(4.3 日経BizTech)
ヤフーと日本音楽著作権協会(JASRAC)は4月3日、インターネットにおける音楽の双方向配信に関して、基本契約を結んだと発表した。 今後ヤフーは、同社が運営するインターネット・サービス「Yahoo! JAPAN」で、楽曲データの配信や歌詞の閲覧が無料でできるようなサービスを展開する計画。

 この契約で、ヤフーがJASRACに著作権使用料を支払うことになり、インターネット・ユーザーが著作権者の権利を損なうことなく無料で音楽を楽しめるようにする。 ヤフーは楽曲データ配信や歌詞閲覧に加え、「Yahoo! BB」会員向けサービスやインターネット放送局などの新サービスの提供や、音楽と連動させてのインターネット広告配信などの新事業も計画している。 今回の契約でヤフーは、JASRACが管理する国内作品約110万曲、海外作品約500万曲の音楽著作物を利用しての、新しい事業展開が可能になった。

5.解説:電話接続料、土壇場で変わった精算方式に疑問の声(4.4 日経BizTech)
情報通信審議会は2003年3月28日、2003?2004年度に適用するNTT東西地域会社の電話接続料(東西NTTにほかの事業者が支払う設備使用料)の引き上げを認める答申を出した。これにより接続料はZC(中継交換局)接続の場合で3分当たり5.36円(2002年度と比べて約12%増加)、GC(加入者交換局)接続の場合で同4.37円(同約3%減少)と、平均で約5%引き上げられることになった。

総務省は答申通りに、「接続料規則の一部を改正する省令」を4月中旬にも施行して、新しい接続料を適用できるようにする予定である。これにより、日本における従来型の電話事業は大きな転換点を迎えることになりそうだ(詳細は日経ニューメディア2003年4月7日号に掲載)。
 
 
 

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