週間情報通信ニュースインデックスno.361 2002/06/22
 

1.NTTドコモ、将来需要先食いでFOMA迷走(6.17 日経ビジネス)
6月初旬、家電量販店の携帯電話コーナーでは、ちょっとした人だかりができていた。 客のお目当てはNTTドコモの新製品。iモードを従来の3倍高速化した「504i」シリーズと、ドコモとしては事実上初めてのカメラ内蔵機となる「SH251i」だ。 特にSH251iの店頭での人気は高い。

 ドコモはこの504iシリーズやSH251iについて、発売前の宣伝はほんどしていない。IT(情報技術)関連の展示会「ビジネスショウ」で事前にお披露目をした程度だ。だが、ユーザーは自分から店に押し寄せてくる。 ドコモが積極的に売ろうとしていないのに、製品は勝手に売れていくというネジレ現象を引き起こした背景には、第3世代携帯電話を軸としたドコモのマーケティング戦略の迷走がある。

ドコモは昨年10月、「FOMA(フォーマ)」と銘打った第3世代携帯電話サービスを世界に先駆けてスタートさせた。 他の通信会社との差別化を図ると同時に、テレビ電話、映像配信といった大容量のデータを送受信するサービスを提供することで、データ通信量の拡大、つまり契約者1人当たりの売り上げの増加を狙った。

しかし、FOMAの加入者はドコモの思うようには増えていない。 サービス開始当初は、半年後の2002年5月までに15万件と見込んでいたが、実際には9万件にしかならなかった。 出遅れを取り返すため、ドコモは基地局の設置を急いでいる。エリアが広がることで加速度的にユーザーが増える、との目算があるからだ。 だが、エリア拡大を前倒ししたところで、それがすぐに契約者の増加となって表れてくるかは疑問だ。 結局は、通信機器メーカーが魅力的な端末を発売してくれるのを待つしかない。 その他力本願ぶりに、ドコモの苦境がうかがえる。

2.IEEE、10Gイーサネット『IEEE 802.3ae』仕様を正式承認(6.18 日経BizTech)
米国電気電子学会(IEEE)の一組織であるIEEE Standards Association(IEEE-SA)が、「IEEE 802.3ae」仕様をIEEE標準規格として承認した。 10GビットEthernetの普及促進を目指す業界団体10 Gigabit Ethernet Alliance(10GEA)が米国時間6月17日に明らかにしたもの。

10GビットEthernetはデータ伝送速度が10Gビット/秒で、延長距離40kmのEthernetである。IEEE P802.3ae規格は、大都市圏における大容量光リンクの低コスト・オプションとして提案された規格であり、使用波長は850nm、通信速度は10Gbpsである。1310nmや1550nmの波長とシングル・モード光ファイバーを用いた一般的な大容量光リンクと比較して、部品や光ファイバ・ケーブルのコストが半分から10分の1程度と安いため、10Gbpsの大容量短距離リンクを経済的に構成できるようになるものと期待されている。

3.ADSL、高速化が相次ぐ、アッカは最大10Mビット/秒に(6.19 日経BizTech)
国内ADSL事業者は、データ伝送速度を高速化したサービスの提供を相次いで開始する。 アッカ・ネットワークスは、最大10Mビット/秒のサービスを2002年7月中旬から開始すると発表した。 イー・アクセスは、最大12Mビット/秒?16Mビット/秒に高めたサービスの申し込み受け付けを2002年8月中旬から開始する。

4.ソフトバンク、ADSL用スペース1000万回線をNTTに返却も(6.20 ロイター)
ソフトバンクグループがADSL(非対称デジタル加入者線)サービス用にNTT東西地域会社の局舎内に確保していたコロケーション・スペースの無償保留期間が今月27日に期限を迎える。 ソフトバンクはスペースを返却するか、有償で保留期間をさらに6カ月延長するかの選択に迫られるが、複数の関係筋によると、ソフトバンクは約1000万回線を返却する方向で交渉しているという。

コロケーション・スペースとは、通信事業者がNTT局舎内に自社の通信機器を設置できるスペース。 ソフトバンクの関連会社であるBBテクノロジーは、ヤフーのADSLサービス用に東西地域会社合計で約2000万回線分のスペースを確保しているという。 そのうち1000万回線程度が、「費用負担なしの保留期間」に当たる工事未着工の状態にある。複数の関係者によると、ソフトバンクは、この未着工スペースを27日までに返却する方向で交渉している。 グループが展開するADSL事業の加入者数が、5月末現在で59万件にとどまっているため、戦略の見直しを迫られた、との見方も出ている。

5.視点:注目のグリッド・コンピューティング(6.21 日経BizTech)
コンパックコンピュータは、グリッド・コンピューティングのシステム構築事業に参入すると発表した。 グリッド・コンピューティングは、物理的に離れた複数のコンピュータを1つのコンピュータのように利用できる新しいコンピューティングの形態として、2001年末頃から注目を集めている。 コンパック・グリッド・サポートセンターでは大阪市とつくば市の事業所、北米、フランス、アイルランドにある同様のセンターと高速ネットワークで接続し、世界規模でのグリッド・コンピューティング環境を実現した。

 グリッド・コンピューティングは、無数のサーバを接続し、巨大で仮想的なスーパーコンピュータを創り出す技術で、科学技術計算や複雑な処理を必要とする分野での利用が進められている。 しかし、IBM、マイクロソフト、サン・マイクロシステムズといった企業をはじめ、大手のIT企業の多くが、次々にグリッド・コンピューティング市場への取り組みを表明していることで、状況が変わってきた。 データマイニングや基幹系業務処理などのビジネス・コンピューティングの市場の次代の担い手として、グリッド・コンピューティング技術の利用を掲げている。  例えば、グリッドに接続すれば、夜間にはほとんど使用されない金融機関のコンピュータを他の企業が利用したり、逆に金融機関の処理がピークに達する時間帯に外部のコンピューティングパワーを借りることも可能になる。 実際には、グリッドの技術がビジネスの分野で実用レベルに至るにはもう少し時間がかかりそうだ。 セキュリティの問題はもちろん、ビジネスソフト開発や付随するサービスの提供も不可欠な上、世界中での標準的な利用規定や法的な対処など、取り組まなくてはならない課題は山済みである。

 しかし、グリッド・コンピューティングは、オープンなプロトコルでネットワーク上の様々なリソースを利用できるという意味で、分散コンピューティングの新しい基盤になることが期待されており、今後の動向に目が離せない。

 

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