間違いだらけのネットワーク作り(107) 99/12/18
「12月4日研究会詳報」

  12月にはDataCommunications誌のMarket Focustと日経コミュニケーションの市場予測記事を読み比べるのが、ここ数年の習慣だったのですが今年はDatacomの記事がなくなりました。雑誌が廃刊され、Webベースの情報提供のみになったのですがMarketFocustは未だ掲載されていません。日経コミュニケーションは今日、12月20日号が届き、LAN/WANの市場予測記事が掲載されていました。しかし、今ひとつ満足できません。たとえば、企業と通信事業者が導入するWANノード、という図やFRADの写真が掲載されています。しかし、この図は中小企業に当てはまっても大規模なネットワークに当てはまることではありません。企業の本社や大規模事業所のトラヒックが処理能力にとぼしいFRADやCLADでさばけるはずがないからです。キャリアの網がどうあれ、トラヒックの多いサイトのWANノードは多数の内線電話回線やIPトラヒックを処理できる交換機なりルータが必要です。
 「VOFRとVOIPに対応できる」FRADといっても、音声をIPに格納し、さらにFRフレームにカプセリングできても意味がありません。オーバーヘッドが増えるだけです。意味があるのは音声IPパケットをEhernetに出力できる場合です。これなら、ルータ経由でイントラネットでも、CWCのサービスでも使うことができます。
 記事のページ数も昨年よりずいぶん減りました。国内のことだけ、というのも物足りません。やはり米国の最新動向、たとえばVoIPが日本のように騒がれているのか、どの程度売れているのか、今後どうなのか、といったことを書いて欲しいものです。
 とにかく、一般性・客観性・公平性という点で信頼していたDataComの市場予測記事が読めなくなったのは残念です。

 先週の研究会の記事が手抜きだったので、会員の内村さんが書いてくれた議事録を掲載します。話していただいた方に迷惑がおよぶかも知れない内容はカットしたり、固有名詞を消したりしています。

12/4 情報化研究会勉強会
・ CWC(株式会社クロスウェイブ コミュニケーションズ) 八巻氏:ネットワークプラットフォームサービスについて
・ NTT-C(NTTコミュニケーションズ株式会社) A氏:Arcstar21について
・ ディスカッション:PRISM、Y2K、SLA…について

○ CWC 八巻氏:ネットワークプラットフォームサービスについて

CWCは、98年10月、IIJ、トヨタ、ソニーの合弁で設立された(株比率は4:3:3)、第一種通信業者。サービスは3本柱で、高速バックボーンサービス(専用線)、ダイアルアップポートサービス(KDDのデータオンデマンド)、ネットワークプラットフォームサービス(業界初)がある。
□ ネットワークプラットフォームサービス
99年11月からサービス開始。従来型のFRがLAN-WAN-LANなら、このサービスはLAN-LAN。
- 特徴
物理メディア:WDM/SONET Ring
Ethsernet Layer:Ethernet
Network Layer:TCP/IP、その他Ethernet対応プロトコルなら何でも可
Application Layer:イントラネット、エクストラネット、Web他アプリケーション
- 構成
CWC側:Layer2のEthernet Switch(10Base-T)
AP(アクセスポイント):NTTまたはNCC(1.5Mbps)
 (将来的にはCWCのダイレクトサービスや、無線を予定)
ユーザ宅内:CWC貸与のEthernet終端装置(RJ-45)。
- 料金体系
一時費用:初期費用
毎月:ポート単価×本数(東京、大阪、名古屋の3拠点の場合3ポート)。
 貸与機器使用料、AP接続料。
例:8拠点の場合、一時費用552,000、毎月2,672,000円(10BTでAPはNTTのDA1500)
□ 質問
Q:SLA(Service Level Agreement)は?
A:Etherポートのトラヒックレポートで、1.5Mを保証(網の常時1.5Mの保証ではない)
Q:FRでの使い方は?
A:スター型、IPのみ
Q:終端装置はCWC、回線はユーザ名で申し込むとすると、障害発生時どうするか
A:CWC→ローカルキャリアに工事依頼をする(ユーザの手はわずらわせない)
Q:最終的に全国80箇所超のAPに、Ether Switchが置かれるのか?
A(ヒミツ)。
Q:ルータの監視して欲しいなど、アプリケーション寄りの要求があった場合は?
A:IIJで対応する予定
Q:セキュリティーは?
A:VLAN。
Q:LAN-LANならではの、推奨する使い方は?
A:実例としてはまだないが、VOIPも某メーカーがテスト中。
Q:終端装置はフィルタリングしないのか?
A:していない。
Q:実例は?
A:初実例が11/29〜稼動。9拠点、IPネットワーク(NT)。5-60端末のある1拠点のみルータを入れる(コリジョンドメインできないため)。ルータは、ユーザ側で購入してもらった。

○ NTT-C A氏:Arcstar21について
□ 目的
より安価でシンプルなネットワーク、SLA(品質)にも優れ、ネットワーク構築やネットワーク管理まで対応できるサービスを目指した、IP-VPNサービス。
□ 特徴
- ユーザは、IPベースにCUGを構築する。
- 通信相手毎にPVCを設定するのではなく、VC単位でCUGを構築する(VCをユーザ端末とVPN処理装置間に設定し、VPN処理装置がIPルーティングを行う)。
- ユーザからは、既存のFR、CRと同様に見える。
- OCN経由で、インターネットも可能。ISPとの契約は不要。
- IP-VPNでは、Label Switching(MPLS)技術を使っている。これは、網内でIPパケットにラベルを付加し、そのラベルだけを見て高速にスイッチングを行うもの。MPLSは標準化の最中だが、GMN-CLのやり方でやっている。
- ユーザ事例としては、印刷会社のネットワークで「GTRAX」というのがある。顧客と印刷会社をネットワークで結び、版下を顧客自身のプリンタに出力するなどにより、顧客まで版下を届けることが不要になる。
□ 質問
Q:VOIPは?
A:VOFRとしてはやっている。ユーザは多い。VOIPはまだ大々的ではない。

○ディスカション:PRISM、Y2K、SLA…について
□ PRISM(JT)について
- 最近話題として聞かなくなった。Bさんは、PRISMの実験をやっている。
- PRISMの接続(Bさんの例)
PRISM内はCisco12000。VPで各4MのATMメガリンクでPRISM クラウドから3拠点(東京本社、東京支店、大阪支社)がつながる。支店では、Cisco7500からCisco3600につながり、それに電話、PBXがぶら下がる。*ちなみにCISCOのルータではVPシェーピングとVCシェーピングを同時には使えないとのこと。
- この構成なら、PRISMを使わず全部ATMメガリンクでつないだほうが、経済的だ。
- VOIPの実験(ダブルトーク:双方側で同時にしゃべる)をやると、相手の声が消える。エコーサプレション(エコーを消すため片方が話すと、反対方向の音声を消してしまうもの)を使っているためか?
- 料金体系や課金方法は?
 不明。しかし、参加者の中に見積もりを取ったことのある方が1名。
□ Y2Kについて
- インターネットのルーティング等の通信処理は、基本的に日付に依存しない。万一トラブルが起こった場合、ソフト的な原因であれば日付を戻せばよい。ハード的な問題だと、交換するしかない。DNSでY2K対応になっていないものがあると落ちる可能性があるが、一部が落ちても別のDNSが使えるため問題はないだろう。国際回線では、問題が起こったら復帰を待つのみ。NTT-CのY2K対策としては、OCNは対策済み、24時間体制、Y2Kcc、他のISPとの調整をやる。
□ SLAについて
Q:プライベートネットワーク構築後のSLA管理のポイントを3つあげるとすると?
A: 普段のトラヒック(流れているトラヒックの量、回線使用率)。ネットワーク構築直後の初期状態をきちんと調べておくこと。
- 捨てられているパケットの量(廃棄率)。
- エラーパケット。
Q:手軽なネットワーク管理システムは?
A: MRTG(フリーソフト)は良い。MIBで取れるデータはみんな取れる。
 
 
 
 
 

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