間違いだらけのネットワーク作り(105) 99/12/04
「今週とおりすぎた話題」

 今日12月4日(土)の研究会の出席者は43名になりました。この記事をアップしてから会場に出かけます。今週はVoIPに関する2つの話題が通り過ぎました。

○OBNでのVoIP
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1.NTTコミュニケーションズ、2000年8月にもIP電話サービス (11.19 日経BizTech)
 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、2000年8月にも企業向けのIP電話サービスを始める計画である。IP電話サービスは、同社が提供している企業向けIPサービス「OBN(Open Business Network)」の一環として提供される。企業
 内の内線電話のIP化だけでなく、OBNでつながった企業間の電話もIP化できるようなサービスとなる模様だ。
*帯域や遅延時間の保証のないOBNで高品質な電話サービスができるとは思えない。品質の保証をユーザにどうするのか?
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 上の記事は先週のニュースインデックスのひとつです。この記事を読んだOBNの推進者の方から、OBNでも音質を保証するための仕組みを作りこんだ独自のルータを開発中であること、網の設計までユーザの立場である流通システム開発センターが行っているということを知らせてくれました。ただ、音声の優先・ロングパケットのフラグメント・網内遅延の抑制などをどう実現するかは分かりません。

○VoIPの製品評価
 あるVoIP−GWのベンダーが近々に掲載される専門誌のVoIP製品評価で、高い評価を受けたということで紹介に来てくれました。その評価は音声パケットの遅延ゆらぎのある、なしが音質にどう影響するかを中心に製品比較をしたようです。大手ルータベンダーの製品はゆらぎに弱い、といった結果が出たようです。

 私はどんな環境で評価したかが重要で、その評価が客観的に製品の総合評価になっているとは思えない、といつもながら辛いことを言いました。理由は簡単で高い評価を受けたという製品はエコーキャンセラーは20ミリ秒、ロングパケットのフラグメントは不可、電話のインタフェースはアナログ4chが最大・TTC2Mのサポートはなし、というもの。ロングパケットのフラグメントが出来ないということは遅延が大きくなるということ。エコーキャンセラーは20ミリ秒で他のVoIP製品と比較して弱い。電話のインタフェースがアナログ4チャネルではスケーラビリティなし。総合的に見れば低い評価をせざるを得ません。

 たまたま上記のようなスペックでも問題のないような試験内容だったから、その製品の音質が良かっただけではないか、と思いました。スペックから見れば、64K、128Kといった低速回線があり、かつロング・パケットと音声パケットが競合するような環境でいい音質を出すことは難しいからです。

 こういった製品評価をするときは、様々な音質の劣化要因に対して、どんな方法でチェックしたかを明示すべきだと思います。特定の要因だけチェックしたのでは公平な評価にはなりません。また、音質以外のスケーラビリティや信頼性も当然評価すべきでしょう。評価記事を読む我々も一面的な評価か、ちゃんとした総合的製品評価か、見極める必要があります。

ということで、今日は時間がないので短めで終わります。

*研究会から帰ってくると雑誌が届いていました。製品のスペックの比較もありますが、不完全だと思います。比較項目がこれしかないから、○×がこうなっているだけ。比較そのものも不完全。たとえば、TTC2Mのサポートが同じ○になっていても、本来の2Mのチャネル数である30チャネルを使い切れず、T1=1.5M分の24本しか使えない(T1を2Mに変換しているから)製品と、30本ちゃんと使えるものの区別がされてない。ディレイの大きいネットワークで重要なエコーキャンセラーの数値(ミリ秒単位)も、ゆらぎ吸収バッファの数値(同前)もない。音声パケットの優先方式もない。フラグメントの可否もない。帯域保証の機能のありなしもない。音質を左右する重要な仕様の比較がないのです。

 スケーラビリティを評価する上で大事なパケット処理能力も書かれていない。収容可能なチャネル数が60チャネルで、無音圧縮を使わないとすると1チャネルあたり双方向で音声パケットが100パケット飛びます。60チャネル同時に使うと6000PPSの処理能力が必要。同時にデータパケットの処理も必要です。でも、表にある製品にはそんな処理能力があるのでしょうか?それとも収容回線数は無音圧縮を前提にしたものでしょうか?無音圧縮は音質を著しく劣化させます。無音圧縮を前提とした数字か否かもハッキリしないと評価になりません。

 試験環境としてはロング・パケットの負荷をかけるサーバやクライアントが書かれていませんが、現実にゆらぎや遅延の大きな要因になるファイル転送などのロング・データ・パケットの負荷をかけないのでは評価環境としてどうかと思います。
 

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