間違いだらけのネットワーク作り(101) 99/11/06
「CWCサービスの用途」

 クロス・ウェーブ・コミュニケーション(CWC)は昨年、ソニー、IIJ、トヨタの合弁で設立された会社です。料金の安さとEthernetのインタフェースでサービスを提供するという従来のWANサービスにない特徴を持っています。このCWCのサービスについて富士通のTさんから質問が来ました。しかし、私も詳しく検討したことがありませんので情報化研究会の会員でもある、CWCの八巻さんに回答して貰いました。なお、Tさんの質問の前にCWCサービスの基本的なことについての私と八巻さんの間でのQ&Aを書いておきます。

基本的Q&A
@レイヤ2(Ethernet)でサービスを提供するときユーザ宅に設置する装置は何なのでしょうか?
 CWCのサービス約款の表現を用いると「イーサ終端装置」というものをユーザ宅内に設置致します。 この装置が10BASE-T (今後100BASE,1000BASEをサポート予定) の口をユーザ側に提供します。これにより Ethernet to Ethernet を実現します。

A CWC網内の転送プロトコルは何なのでしょうか?
 CWC広域LANサービスはEND-ENDがレイア2で完結しています。網内の転送プロトコルは?、というとやはりEthernetとなるでしょう。簡単に構造をお話しますと、スイッチングハブ(L2)の各ポートが個別の拠点に(例:T1)の帯域で伸びているというイメージです。そして網側ではEthernetフレームをEthernetスイッチにてスイッチングします。LAN用語でいうコラプスドパックボーンの形態をL2にて提供します、という言い方が一番しっくりするのではと思います。

 JTさんやKDDさんの次世代バックボーン基本構築構想がIP over SONET(/WDM)だとすると、それに対してCWCはEthernet over SONETに取り組んでいるということになります。
B 既に利用しているユーザはどんな使い方をしていますか?
 このサービスは10月から受注開始となっており、ファーストユーザとなるお客様の開通は12月となっています。よって厳密にいうとまだ動いていないということになります。因みにこのお客様は一般的なTCP/IPで動くC/Sシステムをのせる予定となっております。FRからの乗り換えになります。

Tさんの質問
 CWCの広域LANプラットフォームサービスがありますが、松田さんはどのように使いますか?これは途中にレイヤ2-SWが入っていると思いますので、音声統合網(VoIP)には使い
にくい(ロングパケットの問題、優先制御が出来ないなど)のでは?と思います。P-P接続なら使えるのでしょうか?それでは従来の専用線orFRとかわりばえがしない感じですね。このあたりをよく考えると、次世代機種(あくまでも伝送装置ですよ)への要件が見えてきそうな感じがするので質問しました。
 *ちなみにTさんは伝送装置の開発に携わっている由

八巻さんの回答
 CWCの一営業という立場からコメント致します。ご質問の観点からずれているかもしれませんがご容赦下さい。
 このCWCの広域LANサービスは、ご質問のように、VoIPが使えるのか? に、やはり一般的な興味がフォーカスされると思います。ところが、弊社の立場としては、レイア2でお客様にお渡ししますので、そこから先はご自由にお使い下さい、の提供スタイルになります。よって、CWCは Anything over IP で展開するアプリの世界、(ここでは特にVoIP)についてその可否には関与しない、ということになります。

 この辺が、同様に次世代という冠が付くJTさんのPRISMやKDDさんのKTH21のような所謂IP-VPNのサービスで、網内にてある程度優先制御等します、というサービスとは大きく異なる点だと思います。つまり、CWCのこのサービスは例えて言うならば、いい食材を用意したので、その食材を利用して美味しい料理を是非作ってみて下さい、また同時に、その味付けは料理人次第(=機器メーカorSIベンダ)で味が変わります、変えることができます、というサービスになります。Aランチ、Bランチというような決まりきった味の定食の選択ではないです、というイメージです。

 しかしながら、販売する立場からすると、食材に料理教本を付けてあげなければ料理法が分からないでしょう、と感じており実はこの料理法について、その確立を急いでおります。メニューは当然VoIPが候補に挙がっています。

以上が今のところコメントできる限度となります。

 ご興味のある点にストレートにお答え出来ないところが、心苦しいところではありますが、CWC側での網制御が無い分、エンドユーザ側でどのようなソリューションが成り立つのか、その検証を進めている最中でございますので、この場はご容赦頂きその結果は何からのかたちでまた情報提供させて頂ければ、と考えております。

 逆にVoIPに限らずその他CWCへのご意見、要望等ありましたら私に投げて頂ければ幸いです。まだまだ吸収の段階ですので多くのご意見取り入れたいと考えておりますので宜しくお願い致します。

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 丁寧な回答をいただいた八巻さんに感謝します。CWCとPRISM等との違いを食材の提供と定食の提供にたとえられているのが分かり易いですね。私は決まりきった定食より、食材の提供の方が面白いと思います。TさんはVoIPでのロングパケットの問題や優先制御の問題を指摘しています。まず、ロングパケットの問題は心配ないでしょう。Ethernetのフレームはたかだか1500バイト。64Kとか128K程度の低速回線では問題になりますが、メガビット単位の回線ではシリアル化遅延は問題になりませんし、ノードでのSwitchingもワイヤスピードなら影響ないでしょう。Ether to Etherの接続がユーザから見てDedicatedなら、優先制御はユーザの用意するVoIPゲートウェイからのパケットをデータ・パケットに優先してEtherに送り出せばいいので、これも解決策はありそうです。ただ、音声品質を劣化させる要因はいろいろあるので、詳しい検討と実験が必要なことは当然です。

 CWCのサービスがMPLSを使った「画一的な」サービスでないのが好ましいですね。
 
 
 

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