間違いだらけのネットワーク作り(100) 99/10/30
「ネットワーク・プラニングの現状」

 今週は新たに2つの会社とネットワーク更改について話をさせて頂きました。仮にA社とB社としましょう。A社は情報化研究会の会員であるYさんの会社です。B社はセミナーに来ていただいたIさんの会社です。ともにTDMネットワークから新しいネットワークへの更改を検討しています。

 A社でYさんから現状ネットワークと今後のネットワークについての考えを聞かせていただき、私からは現在構築中あるいはプラニング中のネットワークの目的や適用技術について説明しました。A社の現状ネットワークは国内100拠点以上、海外50拠点以上の大規模なネットワークです。国内はTDMと高速デジタル回線およびATMメガリンク(TDM間の回線として使用。ATM交換機は不使用。)、海外は公衆フレームリレー等を使ってデータ・音声統合網を構築されています。

 ネットワークの内容以前に感心したのはYさんが、1970年代から現在にいたるまでの社内ネットワークの歴史が一目で分かるグラフィカルな1枚の図を作られていたこと。ネットワークの構築や拡張、適用技術・回線、データと音声のトラヒック比率などをカラーでわかり易くまとめていました。その図はA社のネットワークの歴史であると同時に、典型的な企業ネットワークの歴史として日本のネットワークの歴史そのものを表しています。私もこれまでの2冊の著書の中でネットワークのトレンドを年表形式でまとめているのですが、Yさんの図表のコンパクトさとわかり易さには及びません。Yさんの仕事を大切にする、ご自分のやってきたことを大切にする姿勢の現れのように感じました。

 新しいネットワークに適用する技術やネットワーク構成はこれから検討されるとのこと。引き続き新しいネットワークについて意見交換をさせていただくことにしました。

 B社は検討がより具体的に進んでいます。国内、海外とも数10ヶ所の拠点を持つやはり規模の大きなネットワークです。TDMの後継をVoATMにするか、VoIPにするかが検討のポイント。ATM派の人とIP派の人がおられます。ATM派の方は高品質な音声が得られること、多くの製品から選択できる(VoIPでは候補が限られる)ことをメリットとしてあげ、これらのメリットが価格が高いというデメリットを上回るという意見です。IP派の方はデータ系重視でVoIPが音質でATMに勝るとは思ってないのですが、場合によってはデータ・音声統合を止めても良いのではないかという意見です。急増するデータ系トラヒックに対応し易いネットワークにすることを重視されています。

 B社は既にベンダーから提案を受けており、億円単位の見積もりの入った提案書を見せていただきました。VoIPも決して安くない(これは機器構成に無駄があるため)値段になっていました。さあ、こちらはどんな提案で対抗するか。

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 A社やB社のように、自社ネットワークのニーズをしっかりつかみ、自身のコンセプトを持って適用技術や製品を選択しようとされている方と会話するのは楽しく、勉強になるものです。結局、ネットワーク機器メーカーではない立場でネットワークの仕事をしている私のような者が、メーカーでないことの付加価値を発揮できるのは、どこまでユーザの立場に立って発想できるかにかかっていると思います。そのためには「頭」だけでなく、「足」を使うことが重要。

 ふと気が付くと「間違いだらけのネットワーク作り」も今回が100号になりました。あまり世の中の役に立っているとは思えませんが、私にとってはA社さんやB社さんはじめ多くのユーザの方やキャリア、メーカーの方と接点が広がり、助かっています。雑誌の100号記念なら華々しい特集でも組むのでしょうが、淡々とした日記調になりました。記事のネタには常に餓えていますので皆さんからのメールをお待ちしています。

 
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