間違いだらけのネットワーク作り(95) 99/09/25
「PRISM見学記への反応」

 先週の記事に関して情報化研究会の会員の方や一般の読者の方からメールを頂きました。その中から、いくつか引用します。

○IさんよりIP−PHONE等について(PBX・ネットワークベンダー)
 「PRISM見学記」の中で、IP-PHONEを試聴されたとありましたが、このIP-PHONEというのは、恐らくシスコのIP-PHONE 12SPや30VIPでしょうか?実は、私の事務所でも試行的に使用しております。運用としては、既設交換機にゲートウェイを接続して既設LAN内にIP-PHONEを接続しています。IP-PHONE同士での会話は確かに無音圧縮を使用しているので、沈黙のときやとぎれとぎれに話すときは違和感を感じたり、聞き取りにくかったことがあります。
 WANは、128Kの専用線を経由した形でのIP-PHONEは接続しています。特にたいしたルータでもないので、なんのQOSもおこなっていません。当然、WANがこんでいないときは、問題ないですが、トラフィックが高くなると音声が聞き取りにくかったりします。
 他にもVOIP on FRというのも使っていますが、これは特に問題は起こっていませんが・・・。環境はFR128KにVOIPルータで、音声2CH程度ですが…。

(コメント)
 私の評価と同じなので安心しました。

○Yさんより大規模VoIPネットワークについての質問(ネットワークSIベンダー)
 ここで、質問があります。
 大規模ネットワークを想定すると、ネットワークの基幹部分(本社,支社などの大規模拠点)だけではなく支線部分(支店,営業所などの小規模拠点部分)もあると思いますが、回線料金や通信機器の価格などを考えると、支線部分もATMで構成し、更に音声/データ統合を実施するには、現状無理があると考えていますがどうでしょう。
 価格的に無理があるとすると、基幹部分をATM,支線部分を公衆FR網や専用線などで構成するとして、次のような音声ネットワークが考えられます。
1、基幹部分をVoATM,支線部分をVoIPとし、基幹部分と支線部分は中継交換機で中継する。
2、基幹部分,支線部分ともVoIPで構成する。基幹部分と支線部分もボイス・スイッチングし、中継交換機経由はしない。
上記、2つのではどちらの方が高い音声品質を提供できると思いますか。(※ 特徴をはっきりする為、VoFRは省きました)
と、こんな心配をしているうちに、安価なATM装置が出現してきておりますし、VoIPの処理負荷を軽減するような開発がされておりますし(サンプリング時間の可変設定など)、ハイエンドルータのVoIP対応などもされてきております。
 VoIPを世の中に広めていく立場として、やはり現状は不満だらけの要求だらけです。しかしながら、技術は着実にしかも急速に進歩しており、将来の期待も大きいと言うのが正直なところです。

(コメント)
 1と2とどちらが音質が良くなるか、使用するネットワーク機器や環境によって変わるでしょうから「やってみないと分からない」というのが無難な答えでしょう。でも、それじゃ面白くないですね。1の構成に近い事例として基幹は国産ATM、アクセスは中継PBX経由でルータによるVoFRで構築中の企業があります。私はこんな構成は取りません。ATMとVoFRで音声圧縮方式が異なり、中継PBXで圧縮→伸長→再圧縮が避けられず、いわゆる「デジタル・ワン・リンク」にならないので音質劣化は避けられません。
 でもVoATM+VoFRで構築中の企業はVoIPを実験して嫌気がさして現在の構成を選択したとおっしゃていました。要は2の構成を取るには基幹とアクセス部分での高速→低速接続での、長いデータ・パケットのフラグメント、IPヘッダの圧縮、低速回線への送信バッファ・オーバーフローを防ぐためのふくそう制御などが不可欠ですが、ルータはそんなことが出来るレベルにないのでしょう。
 だから、次のKさんのように充分な帯域で2〜3ヶ所を接続し、IPヘッダの圧縮も不要、ロング・パケットの分割も不要、速度差がないのでバッファのオーバー・フローも心配ないという、楽チン環境でしかVoIPの実績がないんじゃないでしょうか?
 Yさんは「VoIPを世の中に広めていく立場」ということですが、私は「データ・音声統合を広めていく立場」です。適用する技術はお客様の要求品質やその時点での技術の到達レベルに応じて選択すればいいんじゃないでしょうか。私はVoFRは公衆フレームリレーの普及や品質の確保のし易さから相当長生きすると思いますし、VoATMもATM回線・交換機が安価になっていることと何より高い音声品質をのぞむエンドユーザがいる限り使われると思います。

○KさんよりCISCOのVoIPについて(キャリア系ネットワークベンダー)
 ルータはCiscoです。VoIP、VoFRはやっていますが、音声3〜6ch、Ciscoは2〜3台で、回線には十分な帯域を用意、といった極小規模のものです。この場合、顧客にとっては従来のTDMより安価というメリットがあり、不具合もとくにないのですがベンダとしては利益も少ない...です。

(コメント)
やはりそうですか。ここに書きたいことは山ほどあるのですが、この一言でやめておきます。
 
 
 

 
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