間違いだらけのネットワーク作り(88) 99/08/07
「京都研究会模様・PRISM」
 
 7月31日(土)、8月1日(日)と京都研究会を開催しました。予定どおり12人が参加。会社員、中央官庁の公務員、医師、弁護士と多彩な顔ぶれです。初日は11時に京都に着き、「元祖にしんそば」の松葉屋(歌舞伎の南座となり)で昼食。西陣織会館と金閣寺を見学して、4時からホテル会議室で研究会。といってもテーマなし。各人が近況報告を順番にしていったのですが、そこから話が発展して最後の人が終わると2時間が経過していました。気を使わずに話ができるので、話好きな人は格好のストレス解消になっているようです。そう言えば東京から京都までの「のぞみ」の車中でも話しっぱなしの人がいました。

 7時から四条大橋たもと「出雲屋」の川床(涼と風景を楽しみながら食事が出来るよう鴨川に張り出した縁台)で夕食。東京と比べるとずっと手頃な料金で京懐石を楽しみました。9時から四条大橋をわたって祇園花見小路C’s(075−531−9899)で二次会。12人で盛り上がっていると、後から来たお客さんは入り口で退散。貸し切り状態で夜中の1時半まで「歌」の研究にはげみました。翌朝は8時30分にホテルを出発して洛北の貴船神社から鞍馬寺へ2時間ほど山歩きをする予定だったのですが、「計画は変更するためにある。ルールは破るためにある。」という会の方針で10時出発、貴船神社はパスして鞍馬寺へ直行。できるだけ速やかに鞍馬温泉へ逃げ込む、というスケジュールに変更。カラオケのマイクを奪って歌の合間に周知したのですが、独りだけ元の計画にこだわった方がいて我々が10時にロビーに集合すると「8時40分ホテルを出発。鞍馬で合流。」というメモを残していました。遊びに来ていても計画を守るとは、この人の部下は大変だろうなあ、と思いつつタラタラと出発。

 鞍馬は山の緑が強い日差しに美しく、牛若丸が修行したのはこんなところだったのか、と納得できる深山の雰囲気もあり、予想以上にいいところでした。私が感動したのはもっとツマラナイところです。叡電鞍馬駅を降りたところから鞍馬寺の登り口に至る間に数軒の土産物屋があるのですが、その建物やたたずまいが明治・大正の時代からたぶん、そのままなんだろうなあ、という何だかホッとするものだったのです。売っているのも松茸や山菜の漬け物、もう2年くらい売れ残っているような天狗のお面、手作りの小さなほうき、などなどプラスティックがあまり目に付かない品揃えなのです。唯一の欠点はおいしそうな団子屋さんの店先に「テイクアウトできます」とあったこと。「お持ち帰りできます」となっていれば満点でした。

 さて、話は変わります。京都研究会に来た人の中に日本テレコムのPRISMの実験に参加している方がいました。実験システムの構成は3カ所の事業所をPRISM IP−VPNで結び、VoIPの品質や映像通信の評価をするというものです。各事業所にはPRISM Gatewayを設置し、それに100BASE/10BASEのHUBを接続してIP電話やビデオ機器、PC等を収容しています。まあ、単純な構成です。

 PRISM内のトラヒック状況、遅延、等による音質への影響や公衆網と接続した場合の品質、等について評価するとのこと。PRISMは2000年4月からIP−VPN、PRISM内でのVoIP、インターネット接続のサービスを始める予定です。データは別段ISPがやっていることと大差ないですが、VoIPでどこまで品質保証ができるか大いに興味があります。そのうち実験環境を見学させて貰おうと思います。

 PRISM Gatewayという名のルータを使い、MPLSでVPNを分割し、と全くルータ・ベンダーの戦略そのままのサービスでオリジナリティというものが感じられません。どちらかというと国粋主義の私からすると、すべてが舶来品で出来るインフラというのは何だか淋しいな、という気がします。

 実務的には私の構築してきたネットワークでは日本テレコムの専用線をたくさん使っており、JTさんのサービスを使うことに何の抵抗もありません。PRISMも実験結果を詳しく知って、適用方法を考えたいと思います。関心はサービスの地域的Coverageがどの程度の速さで広がっていくのか、現在の電話と同等の品質をより安いコストで提供できるのか、 という2点です。使う技術がIPであれ、ATMであれ、同等の品質を出そうとすると同じような仕組みが必要になります。ということは、品質を落とさない限りコストを大幅に安くするなど不可能ではないか、というのが私の予想です。

 いずれにしろ、1ユーザの立場としてベンダーやキャリアの「奴隷」になるようなネットワークの作り方はしたくないものです。「奴隷」とは選択の自由がない、という意味です。かつて大型コンピュータの世界では「奴隷状態」があたりまえのようにありました。メーカーが基本ソフトのサポートをうち切る、あるいはハードそのものの保守をうち切ると言えば、ユーザは新しいソフト/ハードを購入せざるを得ない状態。一度システムをそのメーカーの世界で作り上げると互換性がないため、容易には他のメーカーに変えられない状態。ネットワークにおいても知らないうちにそうならないように細心の注意を払って「ベンダーやキャリアを何時でもスイッチできる」仕組みを確保したいものです。え、もう既に奴隷になっているんですか?
 
 

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