間違いだらけのネットワーク作り(75) 99/05/08
記事評「QoSの必要性」(日経コミュニケーション99.5.3)
 
 
 先週の記事で引用したCISCOの方からのメール中に次のような文章がありました。

”Tag/MPLSでは確かに、エンド〜エンドの経路制御およびQOS保証という
点で、ATM/FRと同じようなことができます。でも、できるということと、
本当にそれをさせるか、ということは別問題で、本当にそれらが目的なら、
現在のATM/FRを利用した方が、コスト的にも、技術的にも、運用的にも、
ずっとリーズナブルであるような気がします。従って、現在と全く同等の
エンド〜エンドのQOS保証を求めるお客様に対しては、現在のATM/FR技術を
お奨めした方が良いと思います。

 要はTag/MPLSではATMほどきちんとしたQoS制御は出来ない、という趣旨だと受け取りましたがIPの世界でのQoSについてもう少し知りたいものだと思っていたところ表記の記事が日経コミュニケーションに掲載されました。よく調べて整理されており、勉強になりました。

 QoS(Quality of Service)とCoS(Class of Service)の厳密な定義など気にしたことはありませんでしたが、QoSは”通信に先立って端末間やノード間でコネクションを確立し、ネットワーク上で必要な帯域を確保する”のに対し、 CoSは”帯域を確保しないで、あくまでトラヒックに優先順位を付けるだけ”。要はパケット単位の優先制御に過ぎず、帯域幅も遅延も保証する仕組みがない。

 先日のCisco WaveでのTagスイッチングを私は”「Tagによってエンド〜エンドのコネクションを意識したり、レイヤ3の下でVPNを分離できる。つまり、ATMやフレームリレーといったコネクション・オリエンティッドなプロトコルがVPI/VCIやDLCIを使って、ごく当たり前にやっている高速転送処理やVPNの分離、さらにはコネクション単位のQoS保証を、コネクションレスなIPで無理やり真似しようとする技術がTagスイッチングだ。」と文学的理解をしておきました。 ”と書きましたが、Tagでコネクションを意識できても各ノードのやっていることがパケット単位での優先制御程度=CoSなら、コネクション単位の帯域幅や遅延時間の保証が困難なのは当然と思えます。

 この日経コミュニケーションの記事はよく調べてくれていて勉強にはなるのですが、「ネットワーク全体でQoSを実現するには、様々なQoS技術の対応付けが不可欠」、「QoSネットワークの構築を目指す企業ユーザは、メーカーの対応予定だけでなく、標準化動向も注視する必要がある」という、普通の企業ユーザに「出来そうにない」ことを結論にしているのが難点です。

 そもそもQoSが必要になるのはPacketized Networkの上に、遅延・パケットロス・帯域幅への要求が異なるIPデータ、レガシー・データ、音声等を統合して「通信費」を安くしたいため。(私自身はこんな目的は時代遅れだと思っていますが)しかし、その統合のためのネットワーク設計費用・通信機器やソフトがQoSのために高くなり、複雑過ぎて運用コストまで高くなったのでは台無しです。喜ぶのは有効かどうかも分からないQoS対応機器を売っているベンダーだけでしょう。

企業ネットワークで「今」必要なQoSは何か、それを「今」最もシンプルに実現する方法は何か、が企業ユーザの一番知りたいことではないでしょうか?「もっと勉強しなさい」なんてことを結論にされても、ちっとも嬉しくない。

 

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