間違いだらけのネットワーク作り(55) 98/12/12
記事評「1999 Market Forecast」(Data Com. Dec1998)
 
 例年のごとくDatacommunications誌が来年のネットワーク市場予測を12月号に掲載しています。
 http://data.com/issue/981207/forecast.html

 日本とアメリカではインフラの面でもニーズの面でも環境が違うとは言え、米国のトレンドは興味のあるところです。日経コミュニケーション誌は毎年この記事の翻訳・要約を掲載していますから、原文の内容と日経コミュニケーションが焦点をあてているところや書き方のトーンを比較してみるのも面白いと思います。

 さて、ATMとフレームリレーを主要なテーマとしているこのページでは少し違った見方をして見ましょう。まず、昨年のDatacommunications誌の予測はあたったのか?  が分かるように昨年の記事から98年の予想値も含めて主な製品/サービスの数字を引用しました。 数字の単位は百万ドルです。
 
 
製品/サービス名 98年予測売上 98年実績売上 99年予想売上 予想伸び率
企業用ATM交換機      618   524(−15%)      653   25%
企業用FR交換機     1033   216(−79%)      238   10%
ルータ     3436  3900(+13%)     4182    7%
PBX     6117  6107     7277   19%
製品合計    66283 68929( +4%)    78904   14%
ATMサービス      320   380(+19%)      720   89%
FRサービス     4720  4100(−12%)     5850   43%
専用線    10700 10500    11100    6%
ISDN     1658  1600(−3%)     2320   45%
サービス合計    22119 21040(−5%)    28360   35%
 
○フレームリレー交換機の予想は大はずれ
 その原因はアウトソーシングが進んでいるためだそうです。要は、フレームリレーはプライベートでなく公衆フレームリレーで済まそうということでしょう。大型のフレームリレー交換機を自分で持つ必要がなくなります。

○堅調なATM交換機の売上
 ATM回線サービスの順調な伸びとともに、ATM交換機の売上も伸びています。ルータは今にはじまったことではありませんが伸びは鈍化しています。ただし、大企業しか使わないATM交換機とちがって、広く使われるため絶対額は大きくなっています。

○相変わらず好調な公衆フレームリレーと伸びの著しいATMサービス
 フレームリレー・サービスは好調です。ATMサービスはまだ絶対額は少ないものの高い成長率を誇っています。 フレームリレーは中小企業用、ATMは大企業がデータ、音声、ビデオの統合に使用、がトレンドのようです。
日本と同じですね。

’Frame relay also is appealing to small to medium-sized businesses. "Lower prices and improvements in CPE[customer premises equipment] have made frame reachable for smaller companies," says Peggy Arnone, group manager for frame relay services at Sprint.’

’But demand for higher speeds and the integration of voice and video are giving ATM services a big boost. In fact, U.S. revenues are expected to jump 89 percent from 1998 to 1999. Current ATM customers are ramping up the bandwidth on their connections from T3 to OC3-and are starting to merge voice and data applications onto a single platform,’

米国の大企業がデータ・音声統合する手段はやはりATMなんですね。

○古いモノを馬鹿にしてはいけない?
 私がこの表で注目して頂きたいのは、ATMやルータが現在の主役としても、製品ではPBXの方がはるかに売り上げが大きく、伸び率もルータより高いこと。サービス面でも専用線のシェアが98年実績で50%を占めていることです。アメリカはPBX社会、専用線社会なのですね。先端のインターネットの世界ばかりが注目されますが、古いものがベースとして大きい、古いものが必要とされている、というのが面白いと思います。

 ルータ屋がVOIPだ、なんだと叫んでも現実の世界はもっと堅実だということではないでしょうか。音声もデータもPCで扱えて、PBXや電話機は不要、なんて時代はまだ後ろ姿も見えません。

 ちなみに同じDatacommunicatins12月号に VOFRの記事があります。 http://data.com/issue/981207/voice.html
” Customers stand to save with new services, if they don't mind the holes in coverage and quality”

公衆フレームリレーでのVOFRについて述べられていますが、「カバーするエリアと品質にこだわらないなら、どうぞ」というトーンです。このページでも何回にもわたってVOFRは専用線を使うべきだ、という意見を述べて来ましたが、米でも公衆フレームリレーでのVOFRの品質には感心していないのですね。

CIRによる帯域保証が可能な公衆フレームリレーでさえそうなのですから、いわんやVOIPをや。

○日本ではどうなるのか?
 NTTが高速データ伝送用(といっても音声や映像も扱える)にATM、従来の電話用にSTMを併用する方針を出し、ATMが当分インフラとして存続しそうなこと、ATM専用線・ATMセルリレーサービスの価格優位性が高いことから、米国以上にATMベースのネットワークが普及するのではないでしょうか。

 
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