間違いだらけのネットワーク作り(50) 98/11/07
記事評”Networks for humanity"(Data Communications,Oct 21,98)
 
この「間違いだらけのネットワーク作り」シリーズも今回で50回目になりました。昨年9月にこのページをYahooに登録すると同時にはじめたものです。factだけでなくopinionがふんだんに入っているのが面白いらしく、アクセス数は当初の50アクセス/日程度から、現在はコンスタントに200アクセス/日を超えるようになりました。

情報化研究会への入会申込も当初1〜2名/週程度でしたが、現在は5〜6名/週のペースになっています。
11月28日(土)にはATMセルリレーや、最近のプライベート・ネットワークのトピックスをテーマに研究会(オフネット・ミーティング)を行います。製造業や銀行等のエンドユーザ、NTTをはじめとする通信事業者、SIer、通信機器メーカー、学生、大学教授等々多彩な会員が集まる予定です。

このシリーズ、何時まで続けられるか分かりませんが情報化研究会の会員やこのページを見ている方からの刺激(情報)がもっとも有効なエネルギーになりますので、質問や意見等のメールを今後も頂けるようおねがいします。特に異論・反論は視野を広げる上で貴重なので期待しています。

さて、今週の本題です。"Networks for  humanity"(博愛のネットワーク)とは、技術雑誌にしては面白い特集です。社会福祉に貢献するネットワークの事例がいくつか紹介されています。その中で眼を引いたのがStarbright WorldのATMネットワークです。このネットワークはロサンゼルスのStarbright基金によって運営されているもので、重い病気で入院生活をよぎなくされている子供たちが同じ境遇にある子供とビデオコンファレンスやe−mailで交流したり、仮想環境を楽しむことを目的にしています。

95年11月7つの病院でベータ・テストが始められた時の構成はT3(45M)のATMを使ったフルメッシュ構成でした。初期のネットワーク構成

97年7月には99年末までに100の病院を接続するという目標に向けて新しいネットワークの検討が始まりました。その際の大きな課題は2つ。フルメッシュのT3で病院数を増やすには莫大な回線費用がかかること。もう一つはネットワークの大規模化が管理の時間とコストを増大させること。これらを解決するために考えられた構成が4つのハブ拠点をメッシュ構成にし、各病院はこれらのうち2つとT1回線で接続する構成。フルメッシュよりはるかに構成が単純化され、各病院は2つのハブと接続されるためリダンダンシーも損なわれません。
現在の構成

このネットワークから学ぶべきこととしてData Comm誌は次の4点を指摘しています。
@オーバースペックをさける
ATMは優先制御、帯域割り当てなど多くの機能を持っている。しかし、どのアプリケーションも特別な制御を必要としている訳ではない。どのアプリが真にミッションクリティカルかを見極め、それ以外のアプリはUBRで扱えばよい。
A数量的検証をすること
帯域の割り当てがいいかげんだと品質を保つことが無駄を産むことにつながる。実際のアプリを使ったテストで利用率や最低限必要な帯域を検証すべきである。
B現実的に考えること
目標を高く持ちすぎると設備や運用費が問題になる。まず、現実に購入できるものを決めること。次に帯域を絞る方法やより安価な機器を検討すること。
Cリダンダンシーは安価な方法で
ローカル回線の光ファイバをバックアップのためにもう1本ひくのは多くの企業にとっては非現実。バックアップPVCなど別の手段を。
 
 この記事で面白いのはVBRにおけるPCRとSCRの割り振りと、上記@のミッションクリティカルなアプリ以外はすべてUBR(ABRでなく)という割り切り。SCRはレスポンスやスループットの要求条件から決められるものの、PCRの決め方は数量的にどう決定すればよいのか。この記事では結果だけしか示されていませんが興味のあるところです。
 UBRか、ABRか。企業のネットワークではファイル転送系のアプリといえども、限られた時間で転送を終わらねばならない場合がほとんどです。MCR(最小セル速度)による転送時間の保証くらいはしたいところです。
 ATMの使いこなし、結構バリエーションがあって工夫の余地はつきないようです。
 

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