間違いだらけのネットワーク作り(47) 98/10/17
「IP vs.ATM? IP over ATM?」
 

先週「VoIPは米国でも不評」という記事を載せました。月曜から金曜の5日間で約1200アクセスありましたが、記事を読んだ方からの反応(メール)は全くありませんでした。ルータ・ベンダー等VoIPを販売している方からリアクションがあれば議論になって面白いと思ったのですが。

米の雑誌をながめていると次のようなsentenceが眼に入りました。
”The industry agrees that the top layer will be IP. The great debate is whether the backbone transport will be IP or ATM. ”
”Fortune 1,000 companies will likely opt for more expensive IP over ATM, backed by QOS. Smaller customers will likely choose cheap and cheerful services on IP. ”
 
将来、上位レイヤはIPになる、もちろん音声も含めてのことです。議論になっているのはバックボーンがIP(バックボーンのファイバーに直接IPを流す)か、ATMか。フォーチュン1000(経済誌フォーチュンが選んだ米の大企業上位1000社)はATMでQoSが確保された高価なサービスを使い、中小の企業は安くて楽しい(?)IP上のサービスを 選ぶだろう、との予想。

もっとも音声まで全てIPになるのは一朝一夕のことではありません。ただ、通信事業者のインフラそのものがSPRINTのようにATMで従来のSTMを置き換えたり、LEVEL3のようにATMさえ捨てて(まだ捨て切れていませんが)IPでバックボーンも作ろうとしていたり、通信インフラの大きな変革が始まっているのは間違いないようです。

さて、日本ではどうなるのでしょう?NTTは先日、将来のバックボーンをATMで統一する方針を出しました。インフラの提供が今後もNTT中心とすれば、インフラをIPで作るか、ATMで作るかという「IP vs. ATM」の図式ではなく「IP over ATM」ということになります。しかし、ソニー/IIJ/トヨタが作る新しい第一種電気通信事業会社もそうですが、今後登場する通信業者はSTMや回線交換機といったレガシーな資産にしばられず革新的なインフラとサービスを開発するかも知れません。

米国の状況は電話屋さんとインターネット屋さんの戦い、交換機屋さんとルータ屋さんの戦い、といった面を持っていますが、さてどっちが勝つのか、共存するのか。眼をレガシーな世界に向けると米でもT1をはじめとする専用線はまだまだ健在で、ATMやIPのバックボーンが出来てもアクセス回線として当分残りそうです。

日本でも何でもATM、あるいは何でもIPといった単純な世界には当分ならず、ネットワークのサービスも機器も多様化あるいは拡散化が進みそうです。大企業も中小企業も同じ料金で高品質な電話を使っていた時代はそろそろ終わりで、エンドユーザは品質と価格のトレードオフの上でサービスと機器の選択が求められ、私のようなネットワーク構築を仕事とする者はあらゆる選択肢を知った上でエンドユーザのニーズ(予算とサービス品質への要求)を的確に把握した提案が求められるようになったと言えるでしょう。
 

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