間違いだらけのネットワーク作り(24) 98/05/02
「音声・データ統合、安易に考えていませんか?」

VOATM、VOFR、VOIP。音声とデータをパケット・ベースで統合する技術がやっと世の中で脚光を浴び始めました。通信の専門誌など開くと、ルータのベンダーが「音声・データ統合はおまかせを!」といったトーンで広告を載せています。

私の普段の商談の席でも様々なベンダーがFRADやルータやATM交換機でいとも簡単に音声・データ統合が出来るかのような提案をしているのに遭遇(競合?)します。

94年からフレームリレーやセルリレーでの音声・データ統合に取り組み、小規模なネットワークから銀行のネットワークまで設計・構築して来た私としては、VOFRやVOATMが脚光を浴びるのは大歓迎です。しかし、ユーザの方々があまりにも音声・データ統合に関して知識がなく、ベンダー側はあまりに安易に提案しているのにアキレテいます。

このページで初歩的な留意点をまとめます。

@人間の耳はコンピュータよりはるかに敏感

コンピュータ・ネットワークばかりやってきた情報システム部門の方がまず認識せねばならないのがこれです。
例えば、リアルタイム・システムでも100ミリ秒の遅延は実用上何の問題もありません。タイムアウトになることもありませんし、銀行のATM(Auto Teller Machine)で現金を引き出すのに100ミリ秒の遅れに気づく利用者などいません。ところが音声を聞く我々の耳は100ミリ秒の遅れをハッキリ認識します。音声のレベル(ボリューム)や雑音にも、耳は敏感です。

そして、電話がやっかいなのはコンピュータよりはるかにエンドユーザが多いこと(社長から平社員まで利用する)、音質の評価が主観によること、です。

パケット技術による音声・データ統合には遅延、音声パケットの紛失、エコーなどの問題がつきまといます。これらを解決するには通信機器そのものの機能+設計ノウハウが不可欠です。そして製品にはどんなに設計を工夫してもクリアできない限界があることも事実です。

Aネットワーク規模で音声・データ統合の難易度は大きく変わる

ネットワークに統合される事業所数(サイト数)が10カ所程度であれば、どんなFRADだろうがルータだろうが、そこそこの音質のネットワークが簡単に構築できます。しかし、20サイトを超えるあたりになるとFRADやルータだけで音声統合するのは困難になります。

ベンダーから提案されたネットワーク構成に無理がないかどうか、普通のユーザが判断するのは困難です。そこでおすすめしたいのは、

B自社と同等以上の規模で、利用条件の近いユーザの実績を確かめる

ことです。利用条件のなかで大事なのは、電話の使われている時間帯に大量のファイル転送やサイズの大きいメールが伝送されているかどうか、です。遅延や音声パケットの紛失は音声と大量のデータが競合したときに起こりやすいからです。実績を確かめるときに重要なのは、

C音声は自分の耳で、きつい条件で聞いて確かめること

です。音声だけは聞いてみなければ良し悪しはわかりません。また、データが少ししか流れてなかったり、経由するノード数が少なければ音質は良くて当たり前です。データがたくさん流れ、ホップ数の多いルートで聞かないと正しい評価はできません。そして最後のアドバイス

D音声・データ統合の設計、構築経験が豊富なSIを選ぶ

あたりまえですが、重要なことです。製品のカタログや提案書にどんな美しいことが書かれていても、机上と「設計して動かす」ことの間には天と地の開きがあります。
 

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