間違いだらけのネットワーク作り(22) 98/04/18
記事評"Voice Over IP:Hear's How" Datacommunications, April 1998

先週に続いてVOIPの話題です。  Datacommunications 誌4月号の記事がVOIPの現状をよく説明しています。How hot is VOIP? Many analysts say it is the future.  というセンテンスが全てを象徴しています。しかし、CISCO、BAYといったメジャーなルータ・ベンダーがVOIPゲートウェイに参入したことでVOIPが一時的なはやりではなくなってきた、というのが筆者の意見のようです。

実用上解決すべき技術的問題は山積、という印象です。最も大きいのが遅延の問題。@音声のエンコード、デコード、圧縮の時間が遅延時間の約半分。G.723.1だと片側で30ms程度、両端で60ms。Aパケットごとの遅延時間変動の吸収のためのJitter Bufferの遅延時間が50〜100ms。Bネットワーク内の伝送遅延、等。米国内では600ms以下のターンアラウンドタイムは期待しない方がよい、という意見もあるとのこと。

兼松USAが東京との間で使っているVOIPの例が紹介されていますが、遅延時間は約700msとのこと。それでもエンドユーザからのクレームがないというのは、国際電話が安くなるのだから我慢しようということなのでしょう。

遅延の対策として音声のエンコード・デコードや圧縮時間は製品の処理能力の向上で改善されつつあるとのこと。しかし、比重の大きいネットワーク内の遅延は決め手となる解決策はないようです。RSVPは限られたベンダーにしかサポートしておらず、また帯域の保証はしても転送ルートは保証されないため遅延を保証することは難しい、と指摘しています。

遅延以外の問題として、@パケット・ロス(10%をこえるとNG)、Aベンダー間の互換性のなさ、Bバースティ・データによる音質の悪化、C電話番号とIPアドレスを対応づけるテーブルのメンテナンスの煩雑さ、があげられています。

最後はやってみないと音質は分からないとのこと。音質がかんばしくないときのパッチのあて方もアドバイスされています。アメリカ的なチャレンジ精神の旺盛さが面白い。

私の意見は、先週とおなじ。ネットワークを作る手間やリスク・運用後のエンドユーザのクレーム対応の労力を考えると、VOIPで無理をせず、VOFR or VOATMできちんとした音声伝送をしたほうが結局お得、です。ネットワークを作るコストもFRADはルータと同等以下ですし、ATM交換機だってハイエンドのルータと同程度の価格です。専用線もどんどん安価になっています。国内の企業ユースのネットワークならVOFR/VOATMがおすすめです。

それでもVOIPがやってみたいという方、この記事に17社の製品の主要スペックとポート単価が掲載されているので参考にしてください。日本の価格は米国内の3倍、というのが相場ですが、米国での価格をおさえておけば国内代理店との価格交渉も有利でしょう。
 
 
 
 

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