間違いだらけのネットワーク作り(12) 98/02/07
「LANバックボーンの本命は?」


LANのバックボーンとして何が勝ち残るか。ATM−LAN、レイヤ3スイッチ(以下L3SW)、ギガビット・イーサネット(以下、GE)が有力候補ですが、これに関連する記事が専門誌3誌に同時に掲載されました。各誌の記事のポイントは次のとおりです。

○日経オープンシステム2月臨時増刊号98年の情報技術を概観するU部ネットワーク
「ルーターはWAN回線のみに利用、LANの中心はレイヤー3スイッチ」


サーバーの一極集中やインターネット利用の増加などにより、LANの中心に位置するルータがボトルネックになるケースが増えました。そこでコリジョン・ドメインの分離やVLANに使われるスイッチング・ハブにASIC(特定用途LSI)によるルーティング機能を付加したのがL3SWです。これによりルータに依存せず高速なルーティングが可能になりました。

この記事の特徴は「ATM−LAN」という言葉が一度も出てこないことです。LANのバックボーンとしてはL3SW、WAN対応のみルータ、という歯切れのよい記事になっています。

○Data Communications Feb."Lab Test Gigabit Ethernet Gets It Done"
Gigabit Ethernet switches have arrived boasting speed,stability,and quality of service"
Data Communications

この記事はGEスイッチのテストの結果、GEが広帯域と大きな交換容量、そしてQOS(優先制御やフロー制御)をあわせ持ち、ATMのライバルとして実用レベルに達したことを解説しています。また、レイヤ3スイッチの機能を持った製品のルーティング・テストの結果も紹介されています。GEスイッチとレイヤ3スイッチを区別することはできないのです。

とするとバックボーンLANとして何が本命か考えるとき、ATM−LANとGEとレイヤ3スイッチの3つで考えるのが不適切だということが分かります。ATM−LANをバックボーンをATMインタフェースで統一したLANと定義するなら、対抗はイーサネット・インタフェース(GE、10/100メガ・イーサネット)をバックボーンに使うスイッチト(Switched)LANとした方が適切だと思います。

○日経コミュニケーション2月2日号(p137)「98年のネットワーク機器市場
ATMスイッチ ベンダーの「やる気」が数字に反映」


日経オープンシステムでは名前すら出てこないLAN向けATMスイッチが、この記事では98年にブレークし、前年比倍増の240億円の売上になるという。理由はLANバックボーンとして有望なGE製品の大半が海外メーカー製なのに対し、ATMスイッチは国産メーカーが自社生産しているからだという。国産メーカーの販売意欲が高いというのが売上倍増予測の理由ということか。

この記事の「売上予測」というのはユーザ・ニーズの動向やそれに対する技術の適合性、価格の妥当性といった客観的見地から予測されたものでなく、国産メーカー各社に98年の販売目標を聞いて集計したものなのでしょうか?そんな気にさせる書き方です。

国産メーカーが売る気だから売れる、ではなくユーザが客観的に技術的に優れ、価格的に安価な製品選択が出来る情報を提供するのが専門誌の役割ではないでしょうか。ATM−LANが技術動向や価格等の客観的理由から、ユーザが選択すべきものであるならチャンと説明すべきです。

これらの記事を読んだ私なりの現時点での見方は次のとおりです。

@ATMインタフェースしか持たないLAN向けATMスイッチは使うべきではない。

バックボーンのインタフェースとしては100メガ・イーサネットで充分なことが多く、NICやHUB等の製品も1年間で価格が4分の1近くに下がるなど、安価になっています。バックボーンのコアになるスイッチがATMしか持たないのではLAN全体として高くつきます。

AWANインタフェースとしてATM、LANバックボーンのインタフェースとしてギガビット/100メガ/10メガ・イーサネット、ATMが自由に選択できるスイッチがベスト

ぜいたくなようですが、この要件を満たす製品はすでに複数あります。接続されるネットワークや高速サーバのニーズ(トラヒックやQOS)、HUB/SWITCHの価格と相談しながら柔軟にネットワークの拡張が出来ます。下図にATM−LANとスイッチトLANを対比しました。既存の10/100メガビット・イーサネットを容易に接続でき、より高速が必要ならギガビット・イーサネットを使う。外に出ていくときはATM。何でもATMより、いいと思いませんか。
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