間違いだらけのネットワーク作り(11) 98/01/31
「ATM交換機を苦しめるメガリンクのCDVTとは?」


ATMメガリンクは高速で安価な専用サービスとしてユーザにとってはありがたいサービスです。私のお客様でもATMメガリンクを契機にATM交換機を自社網に適用するところが増えています。

ATMメガリンクの良いところはユーザから見て単純で使い易いことだと思います。ATM自体は本来複雑な技術で、CBR、rtVBR、ABR等のサービスカテゴリーやそれらのトラヒック条件・QoSをユーザとネットワーク間でネゴシエーションする仕組み、トラヒックを監視制御する仕組みなど、一般のユーザには理解しづらいものです。

しかし、ATMメガリンクは「固定接続のVP(バーチャルパス)をCBR(固定速度)で提供する」という形で複雑で範囲の広いATMのごく一部を取り出して提供するため、簡単で分かりやすくなったのです。公衆フレームリレーが専用線代わりに気軽に使われているように、ATMメガリンクも高速専用線として気軽に使われるようになりつつあります。

ところが、ユーザにとって分かりやすいメガリンクも、ATM交換機には結構シビアなところがあるようです。メガリンクでは0.5Mb/s、1Mb/sから1Mb/sきざみに135Mb/sまで速度の品目があります。それぞれの速度で1秒間に何個のセルが送信できるか、というPCR(ピークセルレート)が決まっています。メガリンクがユーザが契約したセルレートより速い速度でセルを送信していないか監視する仕組みは図のようになっています。

最小セル間隔Tというのは1秒をセルレートで割ったものです。つまり期待されるセルとセルの時間間隔です。この時間間隔より速くセルが送信されると契約した速度を違反することになります。メガリンクでは図の推定セル到着時間(前セル到着時刻+T)より多少速く次のセルが到着することは許容しています。これがセル遅延変動許容値CDVT(Cell Delay Variation Tolerance)です。135Mb/sの場合、720マイクロ秒です。

実際のセル到着時刻が(推定セル到着時刻−CDVT)より遅く到着した場合(図中B)は許容範囲内として、そのセルは転送されます。早く着いた場合(図中A)は違反セルとして廃棄されます。スピード違反を1個1個のセル単位で取り締まっているのです。厳しいと思いませんか?

このような厳しい取り締まり=ポリシングに耐えられないATM交換機があるのです。特に高速の45Mb/sとか、135Mb/sでは問題なくメガリンクに接続できるが、0.5Mb/sとか1Mb/sといった低速でポリシングに引っかからないための、トラヒック・シェーピングがキチンと出来ないATM交換機が結構あるのです。中には6Mb/s以上でないと使えない、という交換機もあります。

高速でのポリシングより、低速でのそれの方がATM交換機にとって厳しいというのが面白いところです。また、1Mb/sから135Mb/sまでメガリンクと同じレートでシェーピングできるATM交換機はまだないようです。メガリンクはサービスとして魅力的ですがATM交換機がそれを活かしきるようになるにはもう少し時間がかかりそうです。

別の観点から言えば、メガリンクがもう少し現実のATM交換機のことを考慮して、どんな交換機でも接続できるゆるやかさを持ってもいいと思うのですが。NTT以外の通信業者がそんなサービスをしないかと期待していましたが、他の業者はアクセス部分はメガリンクを使っているとのこと。これじゃあ、何時までたってもNTTをサービス・レベルで追い抜くことが出来ないはずです。


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