間違いだらけのネットワーク作り(10) 98/01/17
「求められる公衆フレームリレー・サービスの質の向上」


今、私が一番不経済だと感じるネットワークの使い方は毎月百万円単位の料金で公衆フレームリレーを使ったLAN−WANネットワークでデータ伝送を行い、さらに百万円単位の仮想内線電話サービス(VPN)で本支店間等の電話を使う、という企業です。

データと電話のネットワークを別々に借りて高い料金を払う、もったいないことです。フレームリレーやATMを使えば電話なんてデータのついでにタダ同然の低コストで伝送できるようになっているからです。

特にフレームリレーは比較的低速の回線で使えることから中小企業からかなりの大企業まで使える技術です。ただ、「間違いだらけのネットワーク作り(3)公衆フレームリレーでの音声の途切れ」で述べたとおり現在の各社の公衆フレームリレー・サービスは優先制御等の機能がないため音声の品質には限界があります。

ATMメガリンクやデジタルアクセスなどの安価な専用線と高機能なATM/フレームリレー交換機やFRADを使ってプライベート・フレームリレー網を構成すれば品質のよいVOFR(Voice over Frame Relay)を利用できます。トラヒックの多い企業では、公衆フレームリレーでデータを扱いVPNで内線電話を使うより、プライベート・フレームリレーでデータと電話を統合する方が機器のリース料や保守料を勘案してもランニング・コストを節減できます。

しかし、トラヒックの少ない中小規模のネットワークではプライベート・フレームリレーをペイさせるのは難しくなります。米国ではこの問題が解決されています。公衆フレームリレー・サービスでATMのようなQoS(Quality of Service:通信品質)を保証するサービスが提供されているのです。利用者はプライベート・ネットワークを作らなくとも公衆フレームリレーで品質の良い電話とデータ伝送の統合が出来るのです。公衆フレームリレーとVPNを使っていたユーザが公衆フレームリレーだけでデータと内線電話を使えるようになるのですから、VPN料金分がタダということになります。(正確にはQoSのあるサービスは若干料金が高いので完全にタダということにはなりません。)

米国ではSprintとInfonetがQoSのあるフレームリレー・サービスを提供しています。次表はInfonet社のサービスです。Infonetではスループット、ジッター(遅延時間の変動)、平均遅延時間でQoSを定義・保証しています。

InfonetのFRサービス
サービス品目可用性
(月)
スループットジッター平均遅延時間月額料金
VC/interactive99.9%99.95%3% to 10%60ms$310
VC/lan2lan99.9%99.90%保証なし75ms$298
VC/access99.9%99.00%保証なし75ms$286
注1)スループットはCIRの何%が保証されるかを表す。
注2)遅延時間は米国内、一方向。
注3)料金は56k/s回線、CIR16k/s

VC/interactiveは最も優先度の高いサービスで、遅延時間が平均60ms以下、ジッターが10%以下すなわち6ms以下、スループットは99.95%を保証されています。遅延が少なく、フレーム・ロスもCIRの範囲ではごく少ないため品質の良い電話の伝送が期待できます。

公衆フレームリレーでQoSが保証されればトラヒックの少ない中小のネットワークでも音声・データの統合が経済的にできます。また、大企業のプライベート・ネットワークも専用線だけで構成するのではなく、遠隔地でトラヒックの少ない事業所は専用線の代わりに公衆フレームリレーで音声・データ統合が出来ます。多くのユーザがフレームリレーのメリットを享受でき、企業ネットワークの可能性が広がります。

米国では今後もフレームリレー・サービスの高い成長が予測されていますが、その成長は単なる量的なものではなく質的な向上も図られていることが分かります。日本でも早期にQoSのあるフレームリレー・サービスの提供が望まれます。

(参考ページ)Infonet


ホームページへ