間違いだらけのネットワーク作り(8) 97/12/20
「1+1+1=2となる無理な設計」


○音声とデータが統合できるFRADは日本でもかなりの種類の製品が使えるようになっています。日経コミュニケーション12月15日号の97/98年注目のネットワーク製品の中でもいくつかの製品が紹介されています。ただ、何を基準に「注目」すべき製品に選んでいるかは全く理解できませんが。この記事に紹介されてない、MICOM、MOTOROLA、NORTHERN TELECOMの製品の方が世の中ではより多く使われているはずですが。FRAD以外の製品についても同様の疑問を持ちました。

○それはともかく、FRADを使ったネットワークの設計でトンデモナイ無理な構成を提案しているベンダーを見かけます。今回はFRADを使った「無理した」、「使うべきでない」ネットワークの紹介です。下図が典型的な例です。

 
○このネットワーク設計の考え方はFRADの処理能力や回線収容能力が1台では不足するため、通信拠点で複数のFRADを組み合わせて多数のリモートのFRADを接続しようというものです。

○あまり美しくありませんが、赤い線が音声トラヒックの流れを、青い線がルータのトラヒックの流れを表しています。

○1台のFRADの処理能力不足を3台でカバーしようとしたときの第一のネックは通信拠点のルータを収容するFRADです。ルータのトラヒックは拠点とリモート間のトラヒックのすべて、リモート〜リモート間の過半が3台のうちの真ん中のFRADに集中します。20カ所のリモートが64Kの専用線で接続されているとすると、64K×20=1.28Mb/sの負荷が1台のFRADに集中する可能性があります。逆に、その負荷に対応できないと回線が無駄になります。

○この負荷を分散するためにルータから3本のケーブルを各FRADに接続することも考えられます。でもルータはシリアル・ポートが増えると価格が高くなりますし、リモートへの回線速度や回線数が増えた時にはどうするのでしょうか?また、通信拠点のFRADを増やし、ルータのシリアル・ポートも増やすのでしょうか?まさにツギハギのネットワークと言わざるを得ません。

○第二のネックは通信拠点のFRAD間の「渡り」のトラヒックによるオーバー・ヘッドです。通信拠点の3台のFRADのうち、一番上のFRADに入ってきた音声やTCP/IPのトラヒックが一番下のFRADから出ていく、といったトラヒックの流れでは一つのトラヒックの流れが3台すべてに負荷をかけることになります。

○通信拠点のルータへのトラヒック集中やFRAD間の渡りのトラヒックがある場合、通信拠点のFRADの処理能力は1台のそれを「1」とすると、1+1+1=3にはならず1+1+1=2にしかなりません。ルータを接続している1台のFRADが過負荷でダウンしたら1+1+1=0にすらなりうるのです。

○では、このようなFRADのネックを解消するにはどうすれれば良いのでしょうか?冬休みの宿題ということにしたいと思います。エンド・ユーザの方からの質問にはお答えします。

○なお、今回はFRADを例にしましたが交換機だろうと、ルータだろうと小さいものを組み合わせて大きな処理能力や回線収容能力を得ようとすると同じ間違いが起こりうることは容易に想像できると思います。


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