間違いだらけのネットワーク作り(7) 97/12/06
規模の大きなネットワークは経済効果が出ない??


○先日、ある大手企業のシステム部長から新しいネットワークの検討状況について伺っている中でネットワークの規模が大きいため投資の回収年数が長い、というお話がありました。これは何処か誤解があるな、と感じました。

○この企業が検討しているプライベート・ネットワーク(自社のATM交換機等ネットワーク機器と専用線を主体に構築する社内ネットワーク)では、規模の経済が働きこそすれ規模が大きくて投資の回収に年数がかかりすぎるということは普通にはないからです。

○ネットワークの投資はプロジェクト管理/設計/試験/工事等おもに人件費に関わる部分と、交換機・ルータ等ネットワーク機器/ネットワーク管理システムのハード・ソフトに関わる部分から構成されます。

○この中でプロジェクト管理/設計、交換機等の基本部、ネットワーク管理システムはネットワーク規模が大きくなれば逓増しますが、ネットワーク規模に比例するほどには増えないのです。これがネットワーク投資で規模の経済が働く主因です。ネットワークの規模を表すもっとも簡単な指標はネットワークに収容される事業所の拠点数です。下図はネットワークの拠点数と投資額の関係を表したものです。

 

○ネットワークの投資額は規模が小さい場合はプロジェクト管理やネットワーク管理システムなどの比重が大きく、規模に対して割高になります。しかし、ある規模以上になると投資額は規模に比例せず限界投資額(1カ所拠点を増やすための投資額)は逓減します。私の経験では50拠点程度以上になると、この規模の経済が働きます。

○つまり、100拠点のネットワークで経済効果が出るなら、200拠点のネットワークはなおさら経済効果が出しやすいということです。

○もちろんネットワーク規模が大きければネットワーク内を流れる電話やデータのトラヒックは比例的、あるいはそれ以上に増加しますから、なおのこと規模の経済が得られやすいのです。

○規模の大きなネットワークで経済効果が得られないとすると、その原因としては次のようなことが考えられます。
@ネットワーク機器のコスト・パフォーマンスが悪い。
Aトラヒック(電話やデータの量)の少ないところに必要以上に能力の大きい機器や容量の大きい回線を使っている。
Bネットワーク構成が悪い。

○拙著「フレームリレー/セルリレーによる企業ネットワークの新構築技法」でも書きましたが、ネットワークの投資は3年以内に回収できるのが理想です。ネットワーク技術や回線サービスが急速に進歩している現在、5年も6年も使い続けねばならないネットワークは企業の足かせになりかねないからです。

○ATMやフレームリレー、安価な専用線サービス、とネットワークを経済的に使うための要素は揃っています。これらの効果的な利用を工夫して経済効果を上げたいものです。

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