間違いだらけのネットワーク作り(5) 97/11/22
ATMが適用できなければTDM??


○日経コミュニケーションの10月6日号から11月17日号まで、NECの都築氏による「ATMネットワーク設計」という記事が連載されました。大変分かりやすくATMの基本や設計の初歩がまとめられており、良い記事でした。

○しかし、1つだけ大きな難点がありました。それは音声・データを統合する手段としてATMが適用できなければTDMしかない、かのような説明がされていることです。比較的低速の回線を使う場合や音声の割合が多い場合はTDMを使うべき、という説明です。

○この考え方はNECの見解であって、普遍的にあてはまる考え方ではありません。私の見解は「1つのネットワークの中でも、高速のリンクはATMで、64K程度の低速のリンクではフレームリレーでデータと音声を効率的・高品質に統合できる」というものです。

○ポイントは低速回線でフレームリレーを使った場合、音声の品質を保ちかつ効率的なデータ転送ができるか、ということでしょう。低速でTDMを使うのは音質は保ちやすいですが、回線の利用効率は悪くなります。仮にオンデマンド型(電話が使われるときだけ帯域を確保する)のTDMを使うとしても、フレームリレーのように無音圧縮(通話中のチャネルでも音声信号がなければ帯域を使用しない。会話の有音部分は50%未満のため無音圧縮により帯域は50%程度節減できる。)が使えないため回線効率が悪くなります。

○結論を言えば、低速でフレームリレーを使うことにより高品質な音声と高効率なデータ伝送を両立でき、TDMより安価で効率的なネットワークが出来ます。

○都築氏の記事の中で銀行は音声の品質に厳しいということが述べられています。そのとおりです。私の手がけた銀行ではフレームリレーを使って64K、128kといった低速回線で音声、LAN間通信、ホストのオンラインを統合し、何の問題もなく利用しています。こまかな数字のやりとりを含む電話を充分な品質で使え、電話やオンラインで使用していない帯域は無音部分も含めすべてTCP/IPに割り当てられるため高効率な回線の利用(=高いスループット)が可能になっています。

○ATMのセルでは53バイト中、5バイトがヘッダです。このオーバーヘッドの大きさが都築氏の記事では低速回線でATMを使わない理由になっていました。しかし、フレームリレーでは64K回線でATMセルの約2倍、128k回線では約4倍の長さのフレームを使うためヘッダのオーバーヘッドは小さく抑えられます。

○大切なことはフレームリレーで高品質な音声が実現できるFRADを選択し、ATM交換機等と組み合わせて、音質とスループットを両立できる設計をすることです。

○今後ますますイントラネットをはじめTCP/IP系のトラヒックが企業内で急成長することは確実です。フレームリレー/ATMはTCP/IPと同じパケット方式であり、TCP/IPの成長に対して柔軟で拡張性のあるネットワークが構築できます。低速の足まわりにTDMを使うことは足かせになりかねません。

○これからのネットワークは下図のように高速部分はATM、低速のアクセス部分はフレームリレーで構成されるべきです。メガビット単位の高速回線が不要な企業はフレームリレーのみでネットワークを構築すればOKです。

 


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