間違いだらけのネットワーク作り(863)2015/01/31
記事評「SIMは誰のもの」

   今日で1月は終わり。 時間の経つのが速く感じられます。 2月前半には4月4日に行う京都研究会の内容を周知する予定なのですが、まだまとまっていません。 いろいろ考えているうちに日が過ぎて、あっと言う間に4月になるのでしょう。

  今週、打ち合わせで来社した女性の服装が春を感じさせるものだったので、へえーもうすぐ春なんだと雪が舞っている寒い天気なのに思いました。 自然より、装いの方が速く春になるのですね。 春が楽しみです。 

記事評「SIMは誰のもの」(日経コミュニケーション2月号)

 格安SIMが話題になり、SIMという言葉が一般用語になりました。 しかし、SIMとは何か、どんな仕組みなのかと聞かれると説明に窮します。 この特集記事はSIMが持っている情報や機能が詳細に解説されています。 そして、SIMを取り巻く環境の変化がモバイルや端末ビジネスを大きく変えようとしていること、中でも端末メーカーとして影響力を強めているアップルがAppleSIMでMNO(モバイル事業者)に対して主導権を握り、さらなる野望も秘めていることを分かりやすく説いています。

 SIMとは何か、については記事を読んでいただくとして、環境変化として注目すべき点としてあげられているのは、@AppleSIMとeSIM、ASIMロック解除の義務化、BHLR/HSS開放やMVNOへの電話番号の直接付与、CSIMのソフト化の4点です。

昨年10月に米国でiPad Air2、iPad mini3に提供されたAppleSIMはiPad上に表示された複数のMNOの中からSIMを選択して利用するもので、契約期間は1か月。 MNOが端末を売るのでなく、端末メーカーがMNOのサービスを売ることになり、主客が完全に逆転しています。 MNOが膨大な販売奨励金を使って売っているiPhoneで同じことをやると、MNOとAppleが競合しますからiPhoneでのAppleSIMは当面、提供しないようです。

HLR(Home Location Register)は3Gの加入者データベース、HSS(Home Subscriber Server)はLTEのそれです。 総務省はMVNOを成長させるため、これらをMVNOに開放することや、携帯電話番号をMNOを介さず、直接MVNOに払い出すことを検討しているそうです。 もし、これらが実現するとMNOは単なる回線設備の提供者になり、ユーザーからは存在が見えなくなります。 モバイルサービスの主体はMVNOになり、SIMもMVNOが発行することになります。

アップルはそんな時が来ることを見越して、AppleSIMを手掛けたり、技術開発を進めているのでしょう。 アップルが取得した2つの特許が紹介されています。 アップルがMVNOとして複数のMNOを使ってサービスする際に有効な技術で、端末の位置を把握し、そこで最適なMNOを選択してその電波を使う技術です。 もう一つはバーチャルSIMと呼ばれるもので、物理的なSIMを使わず、端末内にSIM機能を持たせるもの。 SIMベンダーの縛りを受けず、自分の世界でSIMを実現できます。

こんな世界が易々と実現するとは思いませんが、実現すると下図のようなイメージになります。 MNOから土管だけ借りて、サービスから端末までアップルが垂直統合するのです。 単独のMNOより基地局も多く、通信品質の向上が期待できるかも知れません。 誰が権力を持ち、ユーザーを囲い込めるか、によってモバイルビジネスの主体は変化します。 アップルの端末が使いたいからLTEを使う、という状態が続くとアップルのめざす世界が実現するでしょう。  MNOのサービスが使いたい、端末は何でもいい、となればMNOが支配できるでしょう。 ユーザーを引き付ける力を持つものが勝つ、当たり前のことが起こりつつあるのですね。

  
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