間違いだらけのネットワーク作り(731)2012/03/17
「ベストエフォートとの付き合い方」

 
今週木曜日、3月末に65歳で定年退職するNTTデータの元同僚の送別会をしました。  高校を卒業して電電公社に入り、NTT、NTT データと47年間働いた人です。  ネットワークの仕事、とりわけ銀行ネットワークを長くやった方で、私とは90年代前半に一緒に仕事をしてもらいまし た。  実は「間違いだらけのネットワーク作り」というのは、この人がふともらした言葉なのです。 ある大手銀行のネットワーク・コンサルティングを数千 万円で受注した私は、コンサルの途中で基本的な方針変更をしました。 そのとき、打合せの中でこの人がもらしたのが「間違いだらけのネットワーク作りやな あ」という一言です。  これが強烈に印象に残り、「いましめ」の言葉として「間違いだらけのネットワーク作り」を使うようになったのです。 ネットワー クの仕事を始めて5年しか経っていない当時の私が、巨大銀行のネットワーク・コンサルをやる、というのが今振り返ればかなり背伸びをしたことだったと分か ります。  

 京都研究会は現時点で20人参加予定です。 会場にはたっぷりとゆとりがありますので、どんどん申し込んでください。

第13回京都研究会「変え てやろう、ネットワークの世界」


「ベストエフォートとの付き合い方」


 最近、ベストエフォートというのをどう設計すればいいのか、改めて考えています。  ベストエフォートという言葉を私が正式(?)に使ったのは97年に 出版した「セルリレー/フレームリレーによる企業ネットワークの新構築技法」(日経BP社刊)においてでした。  当時、フレームリレーが全盛でしたが多 くのユーザーが帯域保証のない「ベストエフォート」で利用していました。 帯域保証のないサービスなど価値があるのか、というのがそれ以前の考え方でし た。  ネットワークの利用形態が銀行オンラインのような狭帯域・常時利用中心から、メールやWebブラウジングのように広帯域・非常時利用中心になる と、各ユーザーに帯域を保証するよりベストエフォートで使わせた方が効率的なのです。 

 いつの間にか、ベストエフォートのフレッツ系サービスは企業ネットワークで一番使われる回線になり、2007年にイーモバイルが口火を切ったワイヤレ ス・ブロードバンドもベストエフォートです。  さらには海外の拠点を接続するのによく使われるインターネットVPNもそう。  企業ネットワークはベス トエフォート(BE)ばかりになりました。 

 しかし、ここに来てベストエフォートという「不確実性」がつきまとうサービスでは困るなあ、という局面が増えています。  たとえば、先々週取り上げた 「050Plusの音質が悪くなった」というのもBEのせいです。  回線交換で通話に必要な帯域をしっかり確保するふつうの携帯電話と違い、BEである 3Gパケット網を使う050Plusでは音の途切れや遅延が起こりがちになります。 これは050Plusに限ったことではなく、最近ユーザーを増やして いるLINEでも同じです。  WiFi同士で使うと音質がいいが、3Gだとダメ、ということをよく耳にします。

 音質や帯域幅の保証をしてサービスレベルを確保したい、というニーズがある場合、BEの回線では設計に困ります。 かと言って、保証のあるサービスは高 いし、ワイヤレス・ブロードバンドではそもそもBE以外のサービスがありません。 

 BEの不確実性をどう処理して使いこなせばいいのか。 京都研究会ではこんなことを考えている背景についても話します。  


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 tuguhiro@mti.biglobe.ne.jp


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