間違いだらけのネットワーク作り(691)2011/06/04
「失敗学」

 30日月曜日にITproに掲載された”「想 定外」などない、「想定不足」だ”はかなり読まれたようです。  原発事故は典型的「想定不足」だと思います。  その事故調査・検証委員長に畑 村洋太郎東大名誉教授が就任しました。 適任です。 今日は畑村さんの「失敗学」について書きたいと思います。

            

NEC ソリューションフォーラム北海道2011 7月5日15:20−16:50 札幌パークホテル プログラムB3「次世代WAN、スマートデバイス (iPad等)による企業ネットワークの革新」


「失敗学」

   畑村教授の失敗学を知ったのは2007年夏の講演でした。  共感する事が多く、かつ面白かったため、すぐ「失敗学のすすめ」(講談社)という本を買いま した。 久しぶりにこの本を書棚から手に取ってみると、紙の周囲が赤茶けていました。  失敗学とは失敗を恥ずべきものと否定的に考えるのでなく、失敗の 特性を理解し不必要な失敗を繰り返さないとともに、企業や人を成長させる新たな知識を学ぶのが目的です。

 畑村教授が書いていることで、すでに自ら実践していることもけっこうありました。  例えば、”「想 定外」などない、「想定不足」だ”にも書いた「最悪を避ける設計」です。 設計・構築のプロジェクト・マネージャーなら当然のことですが、もっと も被害甚大なトラブルを頭の中でシミュレーションする、想像する、ということが出来ないと大きなリスクを回避する設計は出来ません。

 ITproのコラムではフォールトトレラントのことを書きましたが、2000年に設計した大手流通企業の衛星配信システムで想定した「最悪の事態」は約 8000店舗のサーバに組み込んだ衛星配信システムのクライアントソフトのバグです。  システム稼働後にバグが見つかり、ソフトを再インストールせねば ならなくなった場合、現地での作業が必要な事態が生じると8000カ所に人を派遣することになるため、軽く憶円単位の費用になります。  何があっても、 そんなことは避けなければいけません。  そこで、衛星回線と地上回線(ISDN)どちらを使っても、リモートでソフトウェアのバージョンアップが出来る 仕組みを作りました。 二重の手段があれば安心です。

 福島第一原発の事故は最悪の状況に対して経済的理由から「見て見ぬふり」をしたため起こったのだと思います。  そしてたぶん、畑村教授の調査委員会の 分析が進めば、事故が深刻化した原因も明らかになるでしょう。 事故発生直後に、「数百万の人の生命・健康の被害を避ける」ことを最優先し、経済的損失を ともなう「廃炉」をいとわない対策を取っていればまったく違った結果になったのではないかと想像しています。  管首相や東電の経営者が当時どんな判断を したのか、その責任が問われることになるでしょう。

 もっとも、失敗の分析で一番大事な「事象を正確に把握する」、「経過を記録する」ということさえ、まったく出来ておらず、何が事実か分からない福島原発 事故の分析は畑村教授にとっても難問だと思います。
 

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